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START CAMP 2025 女性の社会参加における構造的問題を捉え、これからどうしていくべきか?(全4記事)

女性というだけで名刺を渡されないことも ビジネスシーンに今なお残る女性参画の課題 [2/2]

“属性の偏り”が奪う想像力

栢原紫野氏(以下、栢原):みなさん初めまして。味の素の栢原紫野と申します。「柏」みたいですけど「木へん」に「百」で「かやはら」と読みます。どうぞよろしくお願いいたします。

私は篠田さんとほぼ同世代なのですが(キャリアは)対象的で、大学を出て、ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーである味の素に入りました。幸い「辞めたいな」と思ったことがないまま今に至っており、本当になんて運が良いんだろうと思うんですけど(笑)、人事担当の役員をさせていただいています。

今思っていることは、本当に味の素ってすごく良い会社なんだけれども、やはりある特定の属性が強過ぎる(ことです)。日本人であり、男性であり、健常者というのがすごく強い。

別にこれら一つひとつは何ら問題ありませんが、自分と違う属性の人に対する想像力を持つとか、相手の立場に立って考えること(が大切です)。

また、我々の仲間、それからお取引先の人たちにも、そういう気持ちで生きてもらえるにはどうしたらいいかを、特にこの年齢になって考えています。ぜひみなさんと意見交換をしたいと思います。よろしくお願いします。

(会場拍手)

エシカルで産業を動かす挑戦

白木夏子氏(以下、白木):白木夏子と申します。私は会社の経営を17年間しておりまして、人と社会と自然環境に配慮をしたジュエリーを制作販売しています。

大学時代にインドの鉱山に行ったことがありまして、鉱山で強制労働をさせられている子どもたちの姿を見て、こういったことが発生しないものづくり(をするにはどうしたらいいか)。また、ジュエリーの鉱山で実際に行われていたことが発生しない世の中にするにはどうしたらいいんだろうと考えました。

紆余曲折あって、自分の会社を作りました。会社では、なるべく顔の見える取引だったり、リサイクルの地金を使ったりして、人と社会と自然環境に配慮したジュエリーブランドを立ち上げました。

このブランドがお客さまに受け入れられて存続できれば、ジュエリー業界も変わってゆくのではないかということで、今はHASUNAというジュエリーブランドの会社を運営しております。

女性というだけで名刺を渡されない

白木:私が会社を立ち上げた17年前は、まだサステナビリティやD&I、エシカルといった言葉を検索しても何も出てこない時代でした。

英語で検索すればもちろん出てくるんですけど、日本語で検索しても何も出てこない中から、道なき道を切り開いてきました(笑)。今回のSTART CAMPの「道なき道は誰かと行け。」というメッセージとすごく重なってくる部分があって、ちょっと「胸熱」です。

そんな中で、ずっとサステナビリティやエシカルを追求してきているので、(ブランドを運営する)傍ら、最近は大きな企業さまに向けてサステナビリティ経営や、エシカル、D&Iに関するコンサルティングもやっています。

そうした中で、男性のメンバーと私とで一緒に地方へ行ったりすると、やはり私は名刺交換を後回しにされたり、名刺すらもらえなかったりします(笑)。「アシスタントさんですか?」みたいな感じで見られてしまうことが、本当にいまだに起きています。

あとはプライベートでも似たようなことがあります。家族で地方に旅行へ行くと、ホテルのオーナーは夫に名刺を渡して、私には渡されないことが本当によく起きる。女性がなきものとして扱われているということなんです。まだまだ日本は変わらなきゃいけないなと思うシーンがあまりにも多くあります。

差別じゃないですけれども、どうやったらこういう見えない空気感を変えていけるんだろうかと。今日はみなさんとディスカッションしたり、ご意見を聞いたりしたいなと思います。よろしくお願いします。

(会場拍手)

オープンイノベーションのイベントでの違和感

佐藤:僕もちょっとだけ自己紹介を。ふだんは大企業の経営者のアドバイザーをしていて、実は栢原さんとは(味の素の)経営会議で……。

栢原:経営会議で隣に(笑)。

佐藤:なぜか栢原さんの隣の席が安心するので、いつも隣に行っています。

栢原:私も。ありがとうございます(笑)。

佐藤: 一生懸命に稼ぎながら、今日ご一緒させていただいているエールやCOTENなど、素晴らしい会社に投資をさせていただき、本当に一緒に価値を作っています。

このテーマに問題意識を一番持ったのは、300人ぐらいのオープンイノベーションのイベントがあった(時のことです)。女性が5パーセントぐらいしかいなくて。オープンイノベーションですよ。ほとんどの人がスーツにネクタイ。3、4年前だったかな。

栢原:最近じゃないですか。

佐藤:意外と最近なんですよ。そういうのもまだ残っている。それはやはり価値創造というところでも良くないなと。今日のみなさんはそうじゃない、ラフな格好でいい感じなんですけど。

あと、当然、自分には母親がいます。(さらに)妻がいて、30代半ばの娘が2人います。会社では女性が一緒に働いていて、学生時代の女性の友人たちはめちゃめちゃ優秀。

周りにはそういう人がたくさんいる中で、でもこのテーマがなかなか進まない。そろそろ本当に真面目に変えていきたいよねっていう中で、「じゃあ、どうスタートしたらいいかな?」と。

男性側の学び直し

佐藤:僕が1つやってみたことは、いろんなことを反省しました。(すると)女性と男性の違いをいろいろと知らなかったんじゃないかなと気がつきました。特にいわゆるホルモンカーブとか。つまり1個は、男性と女性の違いを会社のみんなが知ったらもうちょっと変わるんじゃないかなと。

教育からゆっくり変えていってもいいんだけど、そういうことをもっと会社でもやったらいいんじゃないかということで、自分の会社では、仲間が女性の健康経営を学んでいます。

あと自分自身は、今はいろんな技術があって、そのうちの1つに「SIXPAD」みたいな(仕組みで、お腹に着けて電気を流すことで)生理(痛)体験ができるマシンがあるので、それを体験しました。僕は最初、あんまり効きませんでした。しばらく着けて、一番強いやつでもあんまり効かなかったです。

でも、1時間着けていて、「これが数日続いたら、それはぜんぜん違う話だな」と気づいて、それについてみんなで話しました。妻とも話したし、会社でも話して、女性によって(生理痛の程度は)すごく違うということを知りました。

私はどうしても経営者の方と話すことが多いので、会社の中でトップダウンで進めていくのは1つ、あってもいいんじゃないかなと思います。

けれども、それは本当にいろんなことの1つなので、みなさんの中で「変えていくためにはどうしたらいい」と思うことがもしあったら。あるいはそもそも、「もっと違う問いをしたほうがいいのかもしれない」とかも含めて、いかがでしょうか? 順番はぜんぜん……ちょっと、目が合った。

篠田:ちょっと目を合わせてみた。

(会場笑)

初めてマジョリティ側に立った時の衝撃

篠田:じゃあ導入として。そういう意味では、自分はずっとマイノリティなんですけど、この1年で初めて、働く環境でマジョリティ側の経験をして、今の佐藤さんのお話と逆の部分がありました。

何かというと、私はメルカリの社外取締役をやっています。特に日本ではジェンダーバランスがなかなか克服できておらず、まだまだ努力をしていますが、メルカリでは経営方針としてダイバーシティを大事にしています。

取締役会に12名いるんですが、社内が2人、社外が10人。これは経営方針で決めているんですが、私は社外なのでマジョリティです。結果的に2025年度はジェンダーバランスが、女性が7人、男性が5人になって、(女性が)50パーセント超えの側に初めてなったんですね。私は5年目なので、過去にはそうではない状態、社外が少ない状態や女性が私1人だけという状態も経験してきました。

そのメンバーにガッと替わったその日、本当に皮膚呼吸レベルでラク。ぜんぜん違う。びっくり。それがなんでかは、ちょっと私の中でも言いにくいんですけど、わりと何気なく発言できちゃう。誰かがちゃんとキャッチしてくれる感じっていうんでしょうか。「ああ、(マジョリティって)こんな感じなんだ」っていうのを経験して、この違いを両側(の立場から)経験できたのは幸運だったなと思っています。

今の投げかけのどこから始めたらいいのかに戻ります。たまたまメルカリは成り立ちや他の経緯があって、ここに気がついて全社で取り組み続けていますが、まず気づくのがめちゃくちゃ大変。

私もそうですが、女性本人も自分の経験はわかるけど、他の女性とどれだけ同じか・違うかなんて考えずに生きています。自分が今置かれている状況が構造的な不利益なのか、自分の能力のせいなのかもわからない。

杉山・栢原:あー。

佐藤:今、「あー」がハモりましたね。

(会場笑)

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