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「自分で考え、動く社員」をどう育てるか:セルフリーダーシップの可能性と課題(全3記事)

“指示待ち社員”から「自分で考え、動く社員」に育てる方法 セルフリーダーシップの発揮に重要な3つのアプローチ [1/2]

【3行要約】
・予測不可能な変化が続く混沌とした環境の中では、社員一人ひとりが自らの意志で考えて主体的に行動することがより求められます。
・学術的研究によれば、セルフリーダーシップは「行動中心」「自然報酬」「建設的思考」の3次元から構成され、単なる自己管理を超えた能動的な自己導きの技術です。
・変化の激しい現代ビジネスでは、組織がこの概念を理解し浸透させることで、より自律的で創造的な職場づくりと人材育成が可能になるでしょう。

「自分で考え、動く社員」をどう育てるか

伊達洋駆氏:みなさん、こんにちは。株式会社ビジネスリサーチラボの伊達と申します。本日は「『自分で考え、動く社員』をどう育てるか:セルフリーダーシップの可能性と課題」と題して、1時間にわたってセミナーを行います。

まず自己紹介から始めさせてください。あらためまして、株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役の伊達と申します。私はもともと神戸大学大学院経営学研究科で、研究者としてのキャリアを歩んでいました。大学院在籍中にビジネスリサーチラボという会社を立ち上げて、現在に至っています。

ビジネスリサーチラボは、「アカデミックリサーチ」というコンセプトの下、データ分析と研究知見を基にしたサービスを提供しております。

具体的には、企業人事向けには組織サーベイや社内データ分析を提供し、HR事業者向けには、組織サーベイや適性検査をはじめとした、人事サービス開発に際した支援ならびにコンサルティングを行っております。

個人としては、今までいくつか本を出させていただいています。先延ばしとかイノベーション、それからEX、採用、心理的安全性と、幅広いテーマで出させていただいています。共通点としては、人と組織を巡るテーマであることが挙げられるかというところです。

自分で考えて動いていく社員をどうやって育てるのか

本日のセミナーでは、セルフリーダーシップと呼ばれるものを取り上げたいと思います。セルフリーダーシップの詳細については後ほど紹介したいと思うんですが、セルフをリードする。つまり、自分自身を主導していくというのが、このセルフリーダーシップに込められた意味合いになっております。

みなさんもご承知のとおりかと思うんですが、現在、予測不可能な変化が続いているわけです。そういった混沌とした環境の中でも、組織は持続的に成長・維持をしていく必要があるわけですね。

なかなか過酷な環境の中で、指示を待っているだけだと、組織が生き残っていけません。そこで社員一人ひとりが自らの意志で考えて主体的に行動するということが、より一層求められるようになってきています。

そのような背景を踏まえると、自分で考えて動いていく社員をどうやって育てるのかが、多くの企業にとって重要な人事課題の1つになっているのではないかと思います。

そうした人事課題に対してアプローチしていく際の1つの鍵になるのが、本日取り上げるセルフリーダーシップと呼ばれるものです。本日のセミナーでは、セルフリーダーシップの可能性や、育成における課題などを含めながら、研究知見を交えてさまざまな角度から切り込んでみたいと思います。

セルフリーダーシップとは何なのか?

さっそく中身に入っていきましょう。そもそも「セルフリーダーシップとは何なのか?」ということについて、定義やその中身について紹介していきたいと思います。

セルフリーダーシップというのは、学術的には自分自身の思考・行動に影響を与え、自分自身を動機づける、つまりモチベーションを高めて、さらには目標達成へと導いていくような一連の思考や行動の戦略ないしは技術と言うことができます。

少し抽象的な定義になっていますが、後ほどセルフリーダーシップの中にどういった要素が含まれているのかを説明していきますので、そこでイメージはだいぶ具体化されるかなと思います。一言で言うと、「自分を導いていく」ということがセルフリーダーシップの意味するところです。

「セルフマネジメント」、いわゆる「自己管理」という言葉もあるんですが、(セルフリーダーシップとは)少し違っているんですね。より能動的なリーダーシップ的な要素が含まれているので、「動機づける」「モチベーションを高める」みたいな部分も含まれているのが、セルフリーダーシップの特徴になっております。

セルフリーダーシップの3つの次元

セルフリーダーシップについては、さまざまな研究が行われているんですが、それらの研究を統合的に見ていくと、セルフリーダーシップは大きく分けて、3つの次元から成っていると捉えることができます。

ここでは「次元」と呼んでいるんですが、要する要素より少しカテゴリーとしては大きい、さまざまな要素が統合されている次元が3つあるということです。言い方を変えると、セルフリーダーシップは、いろいろやることがたくさんあるということなんですね。

それを今から説明したいと思います。「行動中心戦略」「自然報酬戦略」「建設的思考パターン戦略」という3つの次元に分けられています。それぞれ中身を見ていきましょう。

行動を管理して目標達成を高めていこうとするアプローチ

最初の次元が、「行動中心戦略」ということで、行動を管理して目標達成を高めていこうとするアプローチです。自分自身の行動をうまく管理して、目標達成の確率を少しでも高めていこうとするような方法が幅広く含まれています。

例えば、挑戦的で具体的な目標を設定することを自ら行う「自己目標設定」とか、日々の行動や進捗を記録したり観察したりするような「自己観察」と呼ばれるものも含まれます。

さらには、目標を達成した際に自分自身にご褒美を与えるような「自己報酬」と呼ばれるものも、この行動中心戦略の中に含まれていますし、達成できなかった際に自らを律するような「自己処罰」と呼ばれるものも含まれています。

目標を達成するために、進捗をきちんと管理し、そして自分を動機づけていく。そこに向けて進めていくことが幅広く含まれているのが、この行動中心戦略と呼ばれるものです。

これはどちらかというとセルフマネジメント、いわゆる自己管理に比較的近いのかなと思います。自分自身が自分のマネージャーとして、自分の行動を計画したり、実行したり、評価していくということですね。それを自律的に行っていく。自分が自分のマネージャーになるという意味合いが、行動中心戦略には強いのかなというところです。

内発的なモチベーションを高めていこうとするアプローチ

ただ、セルフリーダーシップはそれだけではないんですね。2つ目の次元が、「自然報酬戦略」と呼ばれるものです。これはいわゆる内発的動機づけ、つまり内発的なモチベーションを高めていこうとするアプローチです。例えば、仕事そのものに内在しているような楽しさとか、満足感、意義を積極的に見いだしていこうとすることが含まれます。

私たちは、外部からの報酬であったり評価がなくても、活動自体に喜びや楽しみを感じていくことによって、より高い集中力や生産性を発揮することができるんですね。

つまり、「内発的に動機づける」ことを自分自身が行っていくのが、この自然報酬戦略に当たります。例えば、難しい課題に直面した時に、それをあたかもゲームのように捉えて、攻略する際の楽しみを見いだしていくといったことが挙げられます。

あるいは単調な作業もありますよね。そういった作業を行っている最中でも、その作業の中に含まれている社会的な貢献や、その作業を通じた自己成長に注目してみる。そのように、自分の仕事に積極的に意義を見つけていくことによって、内発的なモチベーションを高めていこうとするのが、2つ目の次元になっています。

この戦略を実行していくことができれば、仕事に対して「やらされ感」を減らしていくことができるんですよね。自発的にエンゲージメントを引き出して、そして生産性高く働いていけるという意味では、この自然報酬戦略も重要になってきます。

これもまたセルフリーダーシップの1つの要素であるということです。自分を管理するだけではなくて、自分をモチベートする、特に内発的にモチベートするということが含まれているのが、セルフリーダーシップの特徴かと思います。

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