【3行要約】
・大手企業とベンチャーでは企業文化に違いがあり、転職時の期待と現実のギャップが課題となっています。
・高野秀敏氏は「幹部でも手を動かす」「経営陣と社員のレベル差がある」など、大手企業出身者が直面する現実を指摘します。
・転職希望者は、コスト意識の違いや年収面での現実を踏まえつつ、早期のCXOポジション獲得など、ベンチャーならではのキャリア形成のメリットを見極めることが大切です。
企業ブランド=自分の実力ではない
司会者:(視聴者からの質問)「大手企業からベンチャーへの転職が決まりました。入社前に大手企業とベンチャーはここが違うという点を教えていただきたいです」とのことです。
高野秀敏氏(以下、高野):『ベンチャーの作法 「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』にもいろんなことを書いたんですけども、その1つが、企業ブランドを自分のブランドだと勘違いしてしまう。大手の看板でやっているところが抜けないみたいな話ですね。
幹部でも“手を動かす”が前提
高野:2つ目は経営幹部の仕事を勘違いしている。ベンチャーだと、やっぱりまったく手が動かない(人)というのはかなりキツくて。社長でも、自分でなんでもやってる人が多いんです。秘書の人とかアシスタントの人があまりいないんですよね。自分でできないといけない。

このあたりは、私が仲の良い(社員数)170人か200人弱ぐらいの、とあるIT企業の社長さんなんかは、「ChatGPTを3万円ぐらい払うProのプランにしたら、経営企画の人があまり要らなくなった」なんて言っていて、けっこう衝撃を受けましたね。ただ、いずれにしても、幹部の仕事は管理するだけじゃないよっていう話ですね。
仕事の範囲やコスト意識にも違いが
高野:3番目は仕事の守備範囲を勘違いすることです。やはり、幅広くいろいろできたほうが良い。大手だと縦割りなので、他に影響しないほうが良いんですけど、ベンチャーの場合、ちゃんと根回しをすれば越境したほうが良いですね。

(4番目として)あと交通費とか経費ですね。このへんはあまりじゃぶじゃぶ使えないですね。
5番はかなり大きいんですけど、スタートアップ・ベンチャーとかの場合、やはり一流企業といわれる会社よりも採用力がないんですよね。だから経営陣が優秀で、大手より社員とのレベル差がすごくあると思います。
ストックオプションの現実
高野:あとは(6つ目が)年収面ですね。利益率・利益額の違いから、大手の給料は高いので、ベンチャーでは払えないというのはある。
最後(の7つ目)、SO・株については、私は嘘をつきたくないんで、そのままお話しすると(例えば)時価総額が1,000億円を超えるとします。そうしたら1パーセントを持っていたら10億円。2,000億円なら20億円。(そのレベルまで)いく会社もあるんですけどね。多くの場合はそんなに上がらなかったりするっていうのが、正直なところ、ありますね。
そのあたりを勘違いし過ぎない程度に(考えてください)。ただ、良いところも本当にたくさんあるんで、ベンチャーで結果を出してたら、早くCXOとか独立できることもあります。良いところもやりがいもあると思います。他方で、最近では勘違いして入ってる人も、まぁ、どうしても多いのかなとは思います。
“大企業→スタートアップ”は今やトレンド
司会者:高野さんが転職でサポートされた候補者の方で、大企業からスタートアップってけっこういるんですか。
高野:そうですね。かなりの数がいますね。

だから大企業、いわゆるレガシーなJTCといわれてる方もいますし、上場ベンチャーとかメガベンチャーっていわれてるところも大手なんで、そういうところからスタートアップに行くのは、むしろ最近のトレンドになっているぐらいの勢いかなと思います。