「コンプライアンス」が各論になりすぎている
庄野:はい。それは今度話しましょう。でも今日話しておきたいのが、もう1つのコンプライアンスね。これは、もう二郎さんの得意分野というか、大事にされている分野じゃないですか。テレビには「考査」という概念があったり、総務省の下でやっているので、やっていいこととダメなことの線引きが明確にあるんですけど。
YouTubeは、今までは無法地帯みたいなイメージもあったけど。それこそ企業チャンネルがこうやって生まれたりしている中で、そのコンプライアンスがYouTubeを担っていくと思うんですけど。二郎さんは、このあたりをどうお考えですかね?
西田:うーんとね。コンプライアンスって、やはりいろいろな意味で法令を遵守しますという部分があって。放送というのは、放送法という法律があるだけで。その中というのは、いわゆる一般の法律とか、倫理とか、放送という部分でいうともう少し厳しめにしてあるんですね。
大きくは、すごく単純な話なんですけど。やはり傷つく人が出ないこと。それから人権自体にちゃんとした配慮があること。要は、それは自分たちが偉いとかじゃなくて、みんなが同じなんですよという立ち位置なのよ。だから、こちらが上に立っているのもおかしいけど、こちらが誰かをこうやって貶めているのもおかしいやん。
この軸がベースであって。だけど僕は今、コンプライアンスが各論になりすぎている気もする。「これだからダメ」「だからできない」じゃなくて、「そもそもは何ですか」という話で。急に厳しくなったとかどうかじゃなくて。そもそものところが、けっこう大切なんとちゃうかなと思う。
だからYouTubeの世界で「なんでもできますよね」といった議論があるかもしれへんけど。やはり企業さんと一緒にお付き合いする中で、例えば「世の中でこんなことをやっているし、テレビでできないこともできるんと違いますかね?」という企業さんがいらっしゃったとしても、「ちょっと待ってください」と。
企業が持つべき視点とは
西田:こういうことが本当に企業さんにとっていいことなんでしょうかね。(そう)言えるような矜持は持っておかなアカンと。企業さんは、それを望みはったりしている。「ちょっと待ってください」と。それは別にテレビのコンプライアンスという線引きをすごく大切にせなアカンということじゃなくて。基本のところやと思うんやね。
そこは、やはりしっかりとエビリーに根付かせていこうという意思を感じるからね。だから命令じゃないのよ。「やったらアカン!」とか「こういうことは違うやろ!」って言って「そっか、だから……」じゃなくて。基本的にみんながどう思うかというところ。
このYouTubeの世界がというところじゃなくて、全体的にみんなね。コンプライアンスを守らないといけないみたいな感じになりすぎている気もする。
庄野:なるほど。
西田:一般論としてある。
庄野:とは言っても企業さんからしたら、炎上リスクとかも考えないといけないし。言葉の使い方もそうだし、物の取り上げ方とかね。権利を得ないと映しちゃいけないもの、流しちゃダメなものは、我々もしっかりやってきたんですけど、二郎さんが来ていただいて一段と強くコンプライアンスをということでね。
西田:コンプライアンスというか、そうですね。眼差しですよね。
庄野:眼差し!
西田:はい。やはり眼差しというのは、どこの視点から見ているかだけですよ。それは、「こういった情報を与えているんだ」ってなったら、上から目線やんか。「見ていただいてますよね」という、要は感謝とともにちゃんと表現できるか。
庄野:それだ。
西田:でもね、どうしても、ある種のなんでしょう。ヒットしたとかになってきたら、ちょっと偉そうになっていく人がいたのかもしれへん。「見せているんだぞ!」みたいな。
庄野:上からね。
西田:上からね。やはり、それこそ「見ていただいてありがとう」やんか。
庄野:そうですね。
西田:それが全部やと思うよ。
庄野:感謝の気持ち、優しさね。
西田:基本ね、基本。
再生数だけでは測れない価値を重視するべき
庄野:「自分の小遣いで番組を作っているから、好きにやったってんねん」という世界もYouTubeにあり、それはそれで1つの表現の方法としてね。
西田:だから別にその人がそれでいいと思って、ごく個人のものとしてやられている分には、我々がそこに介在するわけではないんだから。その人の権利と自由のもとにやっているものでいいんじゃないかと思う。
放送に関しては、個人の権利と自由じゃなくて放送法という法律と電波が総務省のものである。だから基本的な場所が違う。だけど企業さんの表現には、何よりも企業さんが安全に、そしてより伝わるというところをエビリーは考えていきたい。
庄野:そうですね。
西田:そういうこととちゃうんかなと。
庄野:本当に企業の方々とは対話をして、一緒に歩みを進めていくというところで。
西田:そういうところじゃないかな。だけど時に、そのことによって思っていることが伝わっていないなって、再生数で出るかもしれない。要はね、こっち(数字で測れない価値)をわかっていただきたいんですよ。だから数じゃない! だから先ほどのに戻るのよ。
この丁寧で優しい表現が、100人にはめちゃくちゃ伝わっているかもしれへんやん。じゃあ、その伝わった100人に対する視点と、とにかくおもしろいなと思った1万人を相手にしてしまうと大変じゃないですか? ということは、やはりちゃんとお伝えしていったほうがいいような気がします。
中川:まさにうちはファンマーケティング。いかにファンを大切にするかがまさに、ここにつながるかなと。
西田:僕は思うなぁ。
庄野:ありがとうございます。ということで。
西田:ええこと言ったでしょ?
庄野:めちゃくちゃええこと……。それは言わんでいい(笑)。いいこと言っているんで、自分で言わなくていいですよ。
(会場笑)
西田:「やっぱりええこと言いはりますねぇ」とか、なんか言うてくれるかなって、だから待つやん!!
(会場笑)
西田:「二郎さんは、やっぱりひと味ちゃいますね」とかを言うんかなと思ったらさ。サッと次にいくから。
庄野:……。二郎さん、やはりね。
西田:(笑)。なんや(笑)?
(会場笑)
庄野:いいこと言ってくださいます。
西田:もう大丈夫やから(笑)。そんなのは、俺もういらんから(笑)。