元『ダウンタウンDX』プロデューサーが語るヒットのつくり方　人気企画「スターの私服」の立ち上げ秘話 [1/2]

テレビ業界の出身者がYouTubeで活躍する理由

西田二郎氏（以下、西田）：なんでテレビの人は（YouTubeで）活躍しているんかというところやから。理由はね、別にないと思う。

（会場笑）

庄野数馬氏（以下、庄野）：前振りがめちゃくちゃ長かったですけど。

（会場笑）

西田：「テレビの人がYouTubeで活躍している理由があるんですか？」って、聞いているやんか。これ。

庄野：聞いていますよ。これに書いてありますよ。

西田：これはね、理由があるか、ないかで言うとね、当ててへんテレビ出身の人もいますよ。

庄野：まぁね。

西田：当てて出ている人もいますよ。じゃあ、この（YouTubeで）当ててるテレビの人はなんでなんやという話だけど。

庄野：そっか。

西田：当てている人はテレビ出身でなくても、当てていたりするんだけどね。

庄野：確かに。

西田：でもね、各々で言えるのは、やはり自分の中でのものをめちゃくちゃこだわっているよね。それと、テレビを作る人って基本的に、こだわっていることと視聴率の世界で毎週数字を見るわけやんか。これはデータで出てくるか、客観的なものやんか。こだわっているだけやったら、視聴率が取れへんのよ。

こだわっているものと視聴率を、うまくブレンドしながら、視聴率のほうだけにガンッといくと、要はただただ当たっているならやったらええってなるやん。ほんならこれってね、ええんやけど、どこかで飽きられていくかもしれへんやん。要は、どこかにあるやつやから。

そこにちゃんと自分のオリジナリティ、こだわりをブレンドさせながら、データに引きずられながら、こだわりを忘れないみたいな。これが上手な人なんちゃうんかな。

庄野：なるほど。

中川恵介氏（以下、中川）：まさにそうだと思っていまして。我々はデータを持っているので、YouTube上で何がヒットしているかというのは、当たりはわかるんですよ。ただ、それを真似て作ったとて。

西田：ただね。

中川：うまくいく人と、そうじゃない人って、そこにやはり差があって。そこが先ほど言ったクリエイターのこだわりというか、属人的なところなんだなと感じているところなんですよね。なのでトレンドとかは、まさに我々が得意とするところ。

庄野：じゃあ、いつもテレビで親しんでいる方が多いし、テレビ業界の方もたくさん見ていただいているので。ちょっとエビリーをわかりやすく言うと、YouTube界のビデオリサーチがkamui trackerだということです。

数字や視聴率とは、テレビ局でいうところの編成局がやっていて、「テレビ局の心臓だ」なんて言われますけど。ここはエビリーは、めちゃくちゃ強いんですよ。制作がなかったというところですよね。

西田：今まではね。それがだから新たに。

人気企画「スターの私服」の秘話

庄野：そこに二郎さんに加わっていただいて、新たにドン！　というところで。二郎さんにしかできないこだわり。読売テレビで『ダウンタウンDX』をやられていました。大阪の放送局でありながら全国ネット。視聴率のプレッシャーもあったと思うんですけど、二郎さんが貫いたこだわりって、何だったんですか？

西田：貫いたんじゃないんですよ。やはり結局番組が、ヒットに恵まれるか、恵まれないかの際って、その当時でもトレンドってあるんですよ。「こんなのが見られてるなぁ」とか、「グルメが見られるなぁ」とかがあるんですよ。でも、俺はぜんぜん興味がないねん。

庄野：何にですか？

西田：食べ物の企画とか。

庄野：食べ物か。

西田：別に俺、どうでもええねん。自分の中で何があるのかなというと、やはり人って、みんな等しく人やから。タレントさんも、みんなと同じところがあるやん？　と。タレントってみんな違う人やん？　みたいな。我々と違う世界に住んでいるんとちゃうんかって思っているかもしれんけど。もちろんそんなところもあるやろうと。だけど、めちゃくちゃ当たり前に普通なところもあるかもしれへん。

中川：まぁ、1人の人間ですからね。

西田：そこをタレントさんを使ったかたちで、人間の営みである日常を表現できへんかなというのが、自分が一番がグッとくるところやったんよ。だから「スターの私服」（『ダウンタウンDX』内の人気企画）言うて。要は、タレントさんが着た服を、見ているだけやんか。

庄野：シンプル。

西田：シンプルに。うん、でも、そんなん……。あんな時間帯に流して大丈夫か？　みたいなのはあったけど、人気あったんですもん。ただ「（着ている服が）いくら」って言うてるだけやんか。それで何かおもろい話ができるかと言うても、そんなおもろい話はできへんやんかみたいな。

でも最終的には、よく2時間のスペシャルでやっていたけど、ダラダラと見てもらう。これは結果的には、そこで「あ、私らも買うようなやつを着てはるな」とか、「あの人、こんな時計とかをやってんなぁ」とか、そんなようなところで、値段のところでだんだん……。最初は「一緒かな？」とかを思うけど、だんだん「あ、やっぱり違う」みたいなところにいくみたいな。

中川：叶姉妹とかはすごい。

（一同笑）