【3行要約】・YouTubeは単なる動画プラットフォームを超え、社会動向を反映する重要メディアとして機能するようになっています。
・フジテレビ問題では6.5億回もの再生数を記録するなど、メディアの主役としての地位を確立しつつあります。
・元テレビプロデューサーの西田二郎氏らが、これからの映像業界に必要な「属人的な感性とデジタル技術の融合」について語りました。
前回の記事はこちら YouTubeは社会も動かしている
西田二郎氏(以下、西田):前職のテレビがね、『ミヤネ屋』に出ている(読売テレビ報道局特別解説委員の)高岡(達之)さん。
庄野数馬氏(以下、庄野):高岡さん。恐れ多い方ですよ。
西田:「タカオカ目線」って言ってやっている動画とかもめちゃくちゃ見られている。
庄野:だから読売テレビさんも、今はニュースチャンネルがめちゃくちゃ伸びていますもんね。
西田:高岡さんが引っ張ってるで。
庄野:はい。このあとの話になるんですけど、やはり数字を持っている人って、どこにいっても数字を持つんですよ。なんだけど、まず話を戻すと、政治で注目されていると。
西田:それが今のYouTube。
庄野:だから「若者の政治離れ」とか言われましたけど、YouTubeは1つそういう点では社会に貢献しているかもしれないですね。
西田:それはそうですね。
庄野:関心を引き出しているという点ではね。
西田:はい。
庄野:これはエビリーも、前回の衆院選で活用させていただきましたもんね。
中川恵介氏(以下、中川):はい。実際にプレスリリースを出して、かなりのメディアに取り上げられたので。
庄野:「kamui tracker調べ」って出るので。
西田:そうですね。kamui trackerで調べていること自体が、情報としてニュースに出て。
中川:そうですね。我々のデータを使ってプレスリリース(を書いている)。
西田:そうか。だからYouTube界で動いているいろいろなみんなの興味は、実はもうニュースになるということですね。YouTubeが社会であり、社会の動向であり、人々の気持ちであるみたいなことですよね。
庄野:そうですね。
西田:それにkamui trackerがあったら一覧がバッて出るということ?
庄野:はい。エビデンスを示すところで。ちょっとね、僕もテレビ出身の人間ですし、「フジテレビ問題」という言葉もあまり好きではないんですけど。みなさんイメージしやすいところで。
西田:まぁ、例えばね。
庄野:はい。
フジテレビ問題の動画再生回数は6.5億回
庄野:直近で言うとフジテレビ問題に関連する動画の投稿数が、なんと1.3万件。累計の視聴回数が6.5億回回ったというところで。従来ではこういった問題は、なかなかネットで見ることはなかったんですが。YouTubeが存在したことで、これだけの本数の動画があります。
西田:これは一般の方もということですか?
中川:そうですね。あとは切り抜き動画とか。
西田:切り抜いてんのや。
中川:1.3万投稿のうちショート動画が約3,000。そのうちの約8割が切り抜きなんですよね。
庄野:著作権の観点からいうとNGなものも多いと思いますし。個人の上げてはるネタは裏も取れていないものもあるだろうし、玉石混交だとは思うんですけど。今ではもうテレビよりも注目されるきっかけを作っちゃったのは、結果としてありますよね。そういった背景が見て取れる中で、その具体的なところですよね。
中川:そうですね。具体的には、このような動画が見られています。
西田:これだけいろいろとありますということですね。
庄野:確かに。関連でこれらの動画が飛んできましたね。開いて見ちゃったのもあるな。それでテレビ業界で活躍しているということで。
中川:そうですね。ここまではデータですけれども。実際にYouTubeでヒットを作っているチャンネルの1つの共通項として、これまでテレビで活躍した人たちが参入して。
西田:当てている?
中川:当てている。なので今日はね、そのへんも二郎さんからいろいろと聞いていければと。
西田:もう当てる人は、どんどんと出てくるんちゃいますの?
庄野:もうみんなうずうずしているでしょうしね。(スライドの)左から、お二人とも元テレビ東京ですよね。佐久間(宣行)さんで、真ん中が先ほどから名前があがっているReHacQの高橋さん。この右側の方は僕の大学時代の友だちで、和田悟くんといって、TBSに入って辞めたって聞いたんですけど。

最近見ないなと思ったらYouTubeで超有名人。『BreakingDown』とか『REAL VALUE』とかをやっているんでね。こういう方々がどうしてYouTubeで活躍されるのかを最初のお題にしつつ……。
人が組織、文化をつくる
庄野:お待たせしました、二郎さん!
西田:はい!
庄野:あらためてですけれども。
西田:よろしくお願いします。
庄野:よろしくお願いいたします。
中川:よろしくお願いいたします。
庄野:先ほど少し、エビリーのここが強いんだというところを言ってくださいましたけども。でも、なんで顧問にまでなろうと思ってくださったんですか?
西田:だからこれね、ぶっちゃけて言うと、人なんですよ。
庄野:人。
西田:はい。やはり、みんなけっこう誤解しているのが、会社って箱やと思ってはるんですよ。だけど、実は箱を作っている人であり、箱の中にいる人って一番大切だと思うんですよ。
だからすばらしい箱であっても、その箱を運転する人が悪意に満ちていたり(すると)、なんとでもできるわけじゃん。だから僕は、箱の魅力もあるけど、どちらかというと人です。
中川さんと最初にしゃべった時は、まだ読売テレビにおるときですよね?
中川:そうですね。2022年に二郎さんに(お会いして)。
西田:これは何かあるぞと思ってん、俺。庄野が(エビリーに)入ってたのもあったから、余計にね。
中川:お互い関西出身というところもありましたしね。
西田:関西出身で。
庄野:だから渋谷のIT企業ですけど、全員関西弁です。すみません(笑)。
(一同笑)
西田:だからもしかしたら今見られている方は、こんなトーンの感じじゃないと思っている方もいるから、それは先に謝っておこう! すみません! 謝っておきます。
庄野:鶴見にこんなスタジオあったっけ? というのが(笑)。
西田:ホンマすみません。でもやはり人というものが組織をつくり、文化をつくっていくと思うので。そこが僕の中では一番ですもん。そこから何かある? 具体的に何ができますとか、どうですということより、なんかできるだけ。そもそもでいうと(それがエビリーの顧問になった理由)ですね。
映像を作るだけじゃなく、スポンサーも連れて来る
庄野:ちょっといいですか? 二郎さんも少し言ってくださったので、私と二郎さんとの間柄でいうと。もともと僕が日テレ系列のテレビ局のアナウンサーをやっていた時に、2年目ぐらいの新入社員研修の時に二郎さんがお越しになって。『ダウンタウンDX』を作った人と。
西田:アナウンサーの方がいっぱい集まって。
庄野:そうそう。よくテレビで見る感じで、二郎さんがバーッとしゃべりはったのに僕は感動して。打ち上げの焼肉屋さんで、横の席を外さずに話をしていたのを覚えていただいていたところからの間柄で。
西田:そうそう。
庄野:それで僕がエビリーに入った時とか、入る前とかにもご相談をしていただいて。それで読売テレビさんでもkamui trackerを使っていただくきっかけを作っていただいた時に、中川さんと二郎さんをご紹介させていただいて。
その時に、静と動でまったく違うタイプやなということで、ここが掛け合わさったらめちゃくちゃおもしろいやろと、僭越ながら(思いました)。中川さんもそこは思惑としてあったんですか?
中川:ありました。もう会った瞬間に、まったく僕と感覚が違うと。
(一同笑)
中川:僕はどちらかというとITの人間なので、デジタルでものを考えるタイプなんですけど。映像の世界に入れば入るほど、クリエイティブとアナログの感覚を持っている人。やはり自分と違う感覚を持っている人と接することで何か生まれるんじゃないかなと。そこを期待して、そこから定期的に二郎さんと、お話をさせていただいていてという感じですかね。
庄野:二郎さんってどうしても「おもしろいものを作る人」というイメージが強いんですけど。ご自身で営業をしてスポンサーを連れて来られたりとか、新しい取り組みをされてきたところで。いわゆる、ものを作るだけの人ではないんですよね。そんな二郎さんから見て、中川さんってどういう感じですか。
西田:いや、だからやはり、ここに至るまでにkamui trackerが開発されたりとか。口で言うのは簡単やんか。「YouTubeの分析できるものがあったらええなぁ」。
庄野:うん。言うのは簡単。
西田:でも、かたちにするって、すごいことで。
庄野:確かに。
西田:それをかたちにするだけじゃなくて、ちゃんと使っていただいて。それをもって、YouTubeという世界、動画配信という文化に貢献していこうというわけですよ。こんなの、なかなかできへんで!?
庄野:確かに。
西田:それがまず大感動だった。「すごいな!」と思って。
クリエイティブの世界では属人的なものも必要
庄野:「企業さまを映像でDXする」というエビリーの理念を、社会貢献の観点で中川さんに補足していただくと。
中川:そうですね。映像の活用の仕方は、どんどん広がってきている。これまでは、どちらかというとエンタメ要素だけや、学ぶこととか。やはり、伝える魅力というのは映像パートはすごくある。
もともとエビリーってITから入ったので、配信から入って、分析に入って。コンテンツを作ることは、会社を始めてなかなかやっていなかったんですね。コンテンツの世界に本格的に入ったのが2021年ぐらい。もうそこから庄野が入って。
庄野:私が入って。
西田:またそこから違った広がりがあったんですね。
中川:という世界に入れば入るほど、そこはデジタルだけではないと、より感じたんですね。なのでクリエイティブの世界とは、何かしら、いわゆる脱属人的ではないんだと。属人的なものもやはり必要なんだと思って。
西田:特にこちら側が?
中川:そうです。それで、そこから二郎さんとお話して、いろいろと吸収させていただいて、コンテンツが入ることでエビリーがやることって、ものすごく増えてきたと思うんです。
庄野:確かに。かけ算でね。だから先ほど二郎さんがおっしゃっていただいた「個で選んだ」みたいなところでは、めちゃくちゃ属人な話ですからね。二郎さんがエビリーを選んでくださった3つの理由の1つがkamui trackerであったり、普通だったらいろんな会社が少しずつやっているのをまるっとできるというと、個に惹かれたとおっしゃっていただいたと。もう1つ挙げるなら何ですか? 3つというなら。
西田:俺、3つって言ってたっけ?
庄野:僕が今問いました。「3つというならば」。
西田:そうね。だから先ほど言った人のところもあるやん。可能性ちゃう? 要は、それは僕が入ったことによって……。偉そうに言うのはあれですよ? 何かできるんじゃね? みたいな。
庄野:それは言ってくださいよ。
イノベーションは組織でなく、人から始まる
西田:自分が入ったことによって、新たなるフィールドができるんちゃうかと可能性を自分が感じるから。要は、誰かがやっているところの後ろを、俺がやっていくことは、たぶん俺はあまりできないのよ。できないというのは、下手くそなんよ! 人がやっていることをやるのが、できへんねん。だから、人がやっていないとか、人が見ていないこと。
「こうやったら広がるんとちゃいますか?」というのを受けてもらえて、それを各々がハーモナイズして広がっていくみたいなのが、すごく感じたところ。自分が常々思っているのが、属人的とおっしゃっていましたけど、イノベーションって、組織よりもまずは属人から始まるのよ。
やはり成熟した会社ほど属人的にならないように仕事をシステム化していこうというのがあるんです。それはすごく大切なことやねんけど。だけど一歩踏み出す、やったことないことをやるって、たぶん属人じゃないとできなかったりする。
それをみんなで大きくしていく。ここがね、バランスがいいなぁと。それがすごくありましたね。自分としては、そういったところに常にいたいというのがあるの。
庄野:そうですよね。求められるところに対して、求めてくださったから幸せにしたい。
西田:逆でもええ! エビリーから、中川さんが求めへんかったとしても「いや、違う!」と。俺は、そういうところあるから。要は求められへんかったとしても、「ここですよ」って俺が言っちゃうところがある。お節介やから。
中川:うんうん。
庄野:確かに。
西田:それを見に来てくれている方が今後、「え!? うそ!? エビリーはこんなところに行くんか」って思ったら言ってもらいたい。
庄野:違う会話をしていきましょう!
西田:「二郎さん違うぞ!」みたいな。「中川さん、二郎さんが間違ってましたよ」と言ってもらいたい。
庄野:でも、いろいろな方向性に進む可能性があるというね。我々もワクワクするし、自己満足になっちゃいけないので。これをご覧のみなさんに……。
西田:もちろんそうですよ、戻さなあかん。
庄野:ということで。