キャリアの「新しい挑戦」を怖がるミドルシニアたち
田中:なので野澤さんはこの本ができて、今は連日のように登壇されていると思いますけど、反響をいただいている中で、今ここから、2025年にやっていきたいことはありますか?
野澤:でも本当に、ちょうどミドルシニアや我々世代の方が読んでくれて、「サイコウ(最幸)です!」って言ってくれるんです。その「サイコウ」の「コウ」は「幸」なんですよね(笑)。
山口:(笑)。
田中:いいね(笑)。
野澤:「『最幸』の本です!」と言ってくださるのは本当にうれしいですね。前回もタナケン先生(田中研之輔氏)と登壇させていただきましたが、その反響もとても大きいです。その時もお話しさせていただきましたが、やはりライフプレナーの役割というのは我々世代にとって本当に元気を与える存在でありたいなと思っています。
けっこうミドルシニアとお話をしていると、「あっ!」と思ったことがあります。ミドルシニアのみなさんって、自分のキャリアで何か新しいことをすることに対して怖いと(思っちゃうと)いうか、すごく躊躇しちゃうんですよね。
でもライフプレナーの人が増えると、1つは「失敗しても大丈夫なんだ」と(笑)、あとは「成功したらすばらしいことが待っているんだ」と(思えます)。やはりこの2つの姿をどんどんライフプレナーが見せていくのが非常に重要かなと。それは同世代に対しても勇気になります。
若者は「自分が中高年になった時」を考えて企業を選ぶ
野澤:先ほども言いましたがミドルシニアだけでなく、若者も「この会社は自分たちにどうしてくれるの?」だけじゃなくて「この会社は中高年・ミドルシニアの将来的な自分に対してどういうサポートや成長の支援をしてくれるんだろう?」ということを見ています。そういうところもしっかりお伝えする(ことが大事です)。
そういうメンバーの活躍を成功も失敗も含めてお伝えしていく責任があるんだろうなって、ひしひしと感じました。
田中:うーん。だから(ライフプレナーとなる人を)ここにいるみなさんともっと増やしていきたいんだけど、何がブレーキになっているのかを考えないといけないですよね。
山口:うん。
野澤:そうですね。
田中:だって、若手や子どもたちから見れば、親や自分の上長、マネージャー、自分の憧れの人たちが変わらないまま(新しいことをすることに)「イヤイヤ」するんですよ。そんな背中が参考になるわけないですよね。
野澤:いや、本当にそうですよ。
田中:やはりチャレンジし続けるロールモデルになってほしいですよね。今の最先端のキャリア開発でいうならば、ロールモデルも1つのロールじゃなくて、いわゆる複数形でいいんだよね。例えば「山口さんのこの部分、野澤さんのこの部分、私のこの部分の3つを合わせて私のロールにしていくんだ」みたいな考え方がすごく重要だし、だからやはりこういう越境の場やネットワークがあると。
だから、今日の野澤さん(たち)の(講演の)ポイントでシャープに言葉が出ていたのは「越境」と「開拓」だよね。開拓というのは「デベロップメント」の開発(という)よりも、もっと自分事であると。だから歴史を振り返るならば、新しい土地を開拓していくのと同じように、我々は人生という物語の舞台をどんどん開拓できる。
「今いる会社」を捨てる必要はない…ミドルシニアが持つべきマインド
田中:だからその時に思考のブレーキを外さないといけないし、行動への恐れを取って一歩一歩やっていく。一歩踏み出してやり出したら仲間に出会えるからね。LSPでいうと、もうそこに400人到達したんだっけ? 200人だっけ?
山口:300人。
田中:300人ですよね。もうそういう方がいて、しかもご経験のあるベテランの方たちが集まっているからこそ、それぞれネットワークがあったり、商品開発にいけたり、トップのデザイナーがいたりということでいうと、唯一無二のコミュニティではありますよね。
(コメントを見て)ありがとうございます。山口さんがこれからやってみたいことや課題(については)どうですか?
山口:そうですね。僕はよく「犬も歩けば棒に当たる」って言うんですよね(笑)。
田中:(笑)。
山口:やってみるといろんなことがあって。今日のコメントにもやはり「所得のことが気になる」ってみなさん書かれています。ちょっと今見えないかもしれないですけど、この本の101ページ目に……これの出典は何でしたっけ?
野澤:ライト兄弟ですね。
山口:ライト兄弟の飛行実験の絵が入れてありますね。「ゼロイチで全部を懸けて何かやりましょう」みたいな話になると、(自分が)やっていきたいことでもあるんですけど、やはりさすがにけっこう怖いですよね。ちょっと躊躇する瞬間です。なので、今いる会社やコミュニティを捨てる必要はぜんぜんありません。できることを少しやってみるみたいなことや本当にちょっとした行動からいろんなものが変わります。
実は今日見ていただいている我々の(紹介した)事例もそうなんですが、「そのことだけをやっている」という悲壮感が漂うものではありません。(事例に登場した)みなさんは本当にいろんなことをやられています。お金や「感謝される」みたいな報酬も含めて、いろんな報酬で自分の生活をリッチにされているのを僕たちは目の当たりにしています。
本当に「犬も歩けば棒に当たる」、あとは「情けは人の為ならず」ですね。これは非常にミドルシニアには大事だと思っているんです。
田中:(笑)。
山口:そういったことと事例をセットでお伝えしていくのが、みなさんの背中を押せることになるんじゃないかなと最近は思っていますね。