【3行要約】
・「こうあるべき」という強さの呪縛と「このままでいい」という開き直りの間で揺れ動く――現代のビジネスパーソンが直面する新たな生きづらさが浮き彫りになっています。
・編集者・井上慎平氏は、NewsPicksでの高速な仕事環境から休職を経て、「弱さ」について考察する著書を執筆しました。
・井上氏は「そのままでいい」と言われても働かなければならない現実を直視し、弱さを抱えながら前に進む方法を模索することの重要性を提案しています。
『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考』著者・井上慎平氏
工藤拓真氏(以下、工藤):「本音茶会 じっくりブランディング学」。この番組は、業界や業種を越えて、生活者を魅了するブランド作りに本気で挑まれるプロフェッショナルの方々と、ブランディングについてVoicyさんが構える和室でじっくりじっくり深掘りするトーク番組です。
こんばんは。ブランディングディレクターの工藤琢磨です。本日のゲストは『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考』著者で編集者でもある、井上慎平さんに来ていただいてます。井上さん、よろしくお願いします。
井上慎平氏(以下、井上):よろしくお願いします。
工藤:いろいろなかたちで関わらせていただいてるので、こうやってあらためて見ると若干気はずかしいところもあるんですが、よろしくお願いいたします。
井上:そうですね、あらためて感を出していこうかな。
工藤:あらためて(笑)。あらためて感です。もうド頭でもご紹介させていただいたとおり、今回『弱さ考』という本を作られたということで、思いっきりプロモーショナルな収録になっています。
井上:今のカットしといてもらっていいですか?(笑)。
工藤:すみません、そんなに編集はかけないんですけどね。よろしくお願いします。
井上:よろしくお願いします(笑)。
工藤:井上さんが何者かを簡単に僕からお伝えさせていただきつつ。
井上:ありがとうございます。
工藤:「なぜこんな和気藹々としゃべってんのよ」っていうお話も……。ちょうどこの『弱さ考』につながるような話で、たまたま近くでお仕事をしていたとかもあるので、そんなことも交えながらご紹介できればと思います。
井上:ですね!
入社後半年程度で1冊目の書籍を出していたNewsPicks時代
工藤:はい。よろしくお願いします。まず、工藤拓真が落ちた京都大学に入学・卒業されてというところで、僕は若干恨みつらみがもうあるんですけど。
井上:トゲがあるな~。
工藤:(笑)。というところでご卒業された後、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンに入られ、株式会社ダイヤモンド社さんに移られというかたちで、一貫して編集者なんですかね。
井上:一貫して出版社ですね。営業をやったりとか広報をやったりとか。基本ずっと本の編集をやってきました。
工藤:出版社さんに入って本の編集をされてという中で、僕がお会いしたのは転機の2019年、経済メディアのNewsPicksさんで。当時いろいろな新事業を立ち上げるぞということでいろいろ動いていて。
僕は横の動画の授業だったり、スクールの授業だったり、そういったものを佐々木紀彦って人と一緒に作るということを……。僕は前職、電通の時にご一緒していて。その中で、別部署で書籍(に関する事業)が動くぞみたいこともあって、そこで大活躍されていたのが、NewsPicks パブリッシング創刊編集長の井上さんだったと……。
井上:そうですね。立ち上げをやってました。
工藤:その立ち上げ自体が2019年になるっていう。
井上:そうなんですよ。覚えていますが、2019年4月に入社して、10月にはもう1冊目を出すっていうね。
工藤:(笑)。当時から「狂ってるぞ」という話はみんなしていましたけどね。
井上:出版社ってわりと長い時間軸でやることを良しとする文化だから、「ITスタートアップとはこういうものか」とビビりました。
工藤:『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』が最初に出版した本ではないんですかね?
井上:最初ではないですね。最初のほうですけど。
工藤:安宅(和人)さんの『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』もかなりロングセラーで今も売れ続けている本かなと思いますけど。もう数々の話題作を生んでいらっしゃってというところで。
今回の『弱さ考』も、最初はNewsPicksの中で連載されていたりとか。
井上:あぁ、そうなんですよ。最初はNewsPicksトピックスという、いろいろな人が連載を持てる場があったんですが、「そこでやろうか」と言ったところから始まったんですよね。
休みと復帰を繰り返し、弱さについて考え出した
工藤:そう。なぜそんなタイトルなのかというところで、たぶんさんざん「なぜ?」と言われてると思うので、答えるのも飽き飽きかもしれませんけど。
簡単に僕のほうから他己紹介的にお伝えすると、本の中でも書いていただいている副題というわけじゃないですよね? 『弱さ考』は正式タイトルでいいんですかね。
井上:はい、そうです。
工藤:なるほど。なので、ここに書かれてるとおりです。強いビジネスパーソンを目指されていて。この本の中で「もしかしたら鬱的傾向が入社した時から始まっていたのではないか」という医師の方からのお話とかもあったので……。
それで言うと、僕はその前の井上さんを存じ上げないのかもしれないんですが、会った時からもうハイギアが入ってる。印象的だったのは、とにかく目が強い人だなっていう。
井上:どういうこと?(笑)。目がバキバキにキマってるんですかね。
工藤:目がバキバキの人だなという印象で。
井上:リスナーの方が音声だけで今どんな絵が浮かんでいるのかちょっと怖いですけど、確かにちょっと強がっていた、鬱というよりは躁じゃないけど、ちょっとハイテンションの自分を演じていたかもしれないですね。
工藤:気合いが入った井上さんとお仕事でご一緒したり、「本とかやってみる?」みたいなくだりでご一緒したりとか「ちょっと番組出てくださいよ」と僕から逆にお願いして、イベントに出ていただいたりということもあったりですが。
子どものことや家族の働き方とかもちょっと似ていたようなところもあって、そんな話とかもさせていただいていた矢先、お休みになるタイミングでたまたまご一緒していて。
井上:ですね。
工藤:『弱さ考』は、お休みに入られて1回復帰されてもう一度という、そのあたりのタイミングでトライされたと。
井上:そうですね。1週間~2週間の休みからちょっと鬱っぽくなって、しばらくすると吹っ切ってできてしまうので……。体を休めると、ある程度心も「また働くぞ」って上がってくるので。そしたら「あれ?」って言ってまた働けなくなって、また休んで復帰して、いよいよっていう……。10ヶ月ぐらい休んだのが一番長かったんですかね。それから回復して、弱さについて考え出したというのがきっかけでしたね。
工藤:冒頭から「おやおや、今日はいつもと違うぞ」という感じになっているリスナーの方々もいらっしゃるかもしれませんが、経緯も含めてご説明しないと。「井上さん。編集者です。お願いします」「じゃあ、編集者として大事にしてることはなんですか」という話からいくと、『弱さ考』までたどり着くのに時間がかかるなと思ったので、今みたいなお話を冒頭にさせていただきました。
井上:確かに。