小さなタスクでも、終わったら「喜ぶ」のが大事
今井:それだけでだいぶ違うと思うんですけども。例えばメルマガを書き終わりました、配信しましたとなったら、もう本当に「やった!」と言ってガッツポーズしている。それだけで不思議なことに、「また明日も書こう」という気分になるんです。
クラリネットも10分とか5分だけ練習して、どう言うかというと「よし、今日もうまくなった」「ちょっとうまくなった」と。たった10分でも自分に言ったりしますね。
僕は専門家じゃないので詳しいことはわからないんですけども、やはり何かを喜ぶとドーパミンが出て、それが強化学習になって、「またやろう」という気持ちになるそうなんです。なので、コツコツやろうと思ったらちょっとしたことで喜ぶのが大事です。
米良:おもしろいですね。ちょっとしたことで喜ぶためには、長期のことを細切れにしないといけないですよね。
今井:そうですね。タスクが大きなままだと、1つ終わって、「やった!」と1回しか喜べませんけど、タスクを10等分しておいたら1つずつ喜べますからね。
米良:なんかラッキーですね。
今井:そう。不思議なことに小さなタスクで喜んでも大きな仕事で喜んでも、出てくるドーパミンはそんなに変わらないと思うんですよ。なので、細かくしたほうがやる気が持続しますね。
米良:その喜び方も、先ほど「ガッツポーズ」という言葉が出ましたけれども。
今井:僕、こんな感じで(拳を上げて)「やった!」ってやっているんです(笑)。
米良:例えば今日の分を書いたら「やった!」みたいな。
今井:「よし!」っていう感じですね。
米良:言葉に出していらっしゃるんですか?
今井:出しています。「よし、できた!」「やった、終わった!」とかけっこう言っていますね(笑)。
米良:おぉ(笑)。
「このくらいで喜んじゃダメだ」と思いがちな、自分に厳しいタイプ
今井:なんか面倒くさい書類を書かないといけない時、「あっ、できた!」と言いますね。なので、何かチームでプロジェクトをしていて達成した時も、絶対みんなでお祝いしたほうがいいですよ。「達成おめでとう!」「できた!」と言ってお祝いしたほうが、「よし、またやろうかな」という気持ちになりますのでね。
米良:確かに。達成だけじゃなくて、お祝いというところでももう1回ついでに喜べるということですもんね。
今井:そうですね。それがやはり継続のコツの1つですかね。けっこう自分に厳しい人って喜ばないんですよね。こんなので喜んでいちゃダメだっていう。
米良:いらっしゃいますね。「私なんてまだまだです」という感じの(人)。
今井:そうそう。それをやっていると本当に仕事が苦しいままになるので、コツコツできないと思うんですよ。そういう心理的なことがけっこう大きいので、コツコツするのは大事です。
米良:なるほど。真面目で厳しい方のほうがコツコツできそうですけど、逆に厳しいよりは明るく前向きに「やった、できた! 小さい部分でもできた!」という人のほうがコツコツできるんですね。
今井:そうですね(笑)。たぶん、合っていると思います。
米良:うわぁ、おもしろいですね。今度、「やった!」というガッツポーズとともにドーパミンがどれだけ出るかを測ってみたいですね。
今井:そうですね。ぜひどこかの大学の先生にちゃんとエビデンスを取っていただければうれしいです。
1日の中で「良かったこと」を書き出す
米良:いやぁ、おもしろいですね。あと1個、「良かったことを明確にするために、良かったことを1日1個でも2個でもいいから書き出してみないか?」と書かれていたんですけど、今井さんは手帳か何かに書かれているんですか?
今井:そうですね。僕はアプリのノートやWebのノートに書き出していましたね。特に起業前ぐらいは、やはり自信がないので自信をつけようと。今の言葉で言うと自己肯定感を高めようということで、良かったこと、できたこと、達成したこととか、とにかく気分が良くなることは毎日なんでも書いていましたね。
米良:具体的にどのぐらいのレベルのことを書かれていたんですか?
今井:すごく小さなことで、「どこどこに買い物に行けた」とかもそうですし、でもビジネスのことが多かったかな。「この作業を終えられた」とか、「このセミナー資料が完成した」とか、そのぐらいのことが多かったです。
米良:いいですね、それ。今のお話を聞いていて思い出したのは、アメリカのペンシルベニア大学にいるポジティブ心理学とかウェルビーイングを研究しているマーティン・セリグマンさんです。彼が、「1日3つでもいいから良かったことを書き出しましょう」とおっしゃっていて。それに近しいことを今井さんはもうすでにやられていたんだなと思ってビックリしました。
今井:そうですね。僕もそういう本を読んだんじゃないですかね、たぶん(笑)。あと、今だとアプリにいろいろ記録できるので。観た映画とか読んだ本とか、あとランニングする人、運動する人はその記録もできますし。やはり積み重なっていく数字を見ると気分が上がるので、「またがんばろう」と思うと思います。
米良:うわぁ、いいですね。私も、コツコツと新しいことにチャレンジできそうな気がしてワクワクしてきました。
今井:やはりグロービス経営大学院のMBAクラスに参加して、「これもわかるようになった、これもクリアした」という、そういうのが一番楽しいんじゃないですかね。
米良:1個ずつ倒していくみたいな感じですかね?
今井:「よし、クリティカルシンキングができるようになった」とか、「マーケティングの簡単なやつを勉強した」とか、そうやって一つひとつ達成感を味わったら、もう最後はすごくできるビジネスパーソンになっていると思います。
米良:ありがとうございます。グロービスを引き合いに出していただいて感謝でございます(笑)。
「失敗が怖い」という人への処方箋
米良:最後の質問なんですけど、細かく分けて小さく喜んでいくというのはわかったんですが、最初の一歩はやはり「チャレンジする」。「失敗が怖い」という人もいらっしゃると思うんですよね。そういった方に対して今井さんは、どういったお言葉をかけられるんですか?
今井:おっしゃるとおりで、みんな失敗が嫌なんですよね。なのでチャレンジをなかなかしないんですけど、絶対失敗はありますからね。失敗がダメなんじゃなくて失敗のショックがダメなんですよね。
失敗しても何も思わなかったらいいじゃないですか。誰にもバレていないとか。「まぁ、いっか」みたいなやつですね。
私たちがマネジメントしないといけないのは、失敗のショックのほうなんです。いちいちショックを受けるから失敗したくないわけで、失敗してもショックを受けないと思っておけばだいぶマシです。
だから失敗は起こるものだなと思って、失敗は、そこから立ち直るのがいいんだよと。やはりできる人は失敗しない人じゃなくてリカバリーできる人ですからね。
米良:うわぁ、名言ですね。
今井:ありがとうございます。あと、めっちゃ「うわぁ」ってショックを受けている人がいるんですけど、周りから見ていると、「いや、そんな失敗じゃないけどな」ということが多いので(笑)、あんまり失敗にショックを受けすぎない。大したことないよっていうのを知っておいていただければいいんじゃないかと思います。
米良:すごく大事なポイントですね。「失敗はあるよね」というのを最初に知っておくこともそうですし、「もう人生終わりだ」と思っているかもしれないけど、ほかの人はそんなに気にしていないからみたいな。
今井:本当に大したことないですよ。
米良:(笑)、そう言われたらそうかもしれません。私も自分のことはすごく気になりますけど、ほかの人のことはそんなに気にならないような気がしてきました。
今井:そうですよね。