本企画、「キャリアをピボットした人の哲学」では、インタビュイーにこれまでの人生を折れ線グラフで振り返っていただき、その人の仕事観や人生観を深掘りしていきます。
今回は、『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』著者の西原亮氏に、今までの人生を振り返っていただきました。本記事では、成果を出せず最低レベルのE評価だったという同氏が、上司からのフィードバックを最大限活用できる方法や、同じ失敗をしないためのノートの使い方を明かします。
上司からフィードバックを受けた時の一言
——著書『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の中では、「成長のために上司からのフィードバックを無駄にしない」とおっしゃっていました。フィードバックを最大限活用するために、具体的にどうしたらよいのでしょうか?
西原亮氏(以下、西原):仕事でフィードバックをもらった時に一番大事なのは、「自分の言葉に変えてアウトプットする」ことなんですよね。これができると、圧倒的に変わるなと思っています。
だからうちの社内でも「提案資料をここまでに作っておいて」とメンバーに言ったら、「これは、新しい商品のイメージが載っていて、金額が載っていて、そこにメリットが訴求されていて、法人向けの提案資料ということでいいですか」と、自分の言葉で常に確認すること(をしてもらっています)。
例えばプレゼンしている時に「今の話し方だと相手に伝わらないから、こういうふうにしたほうがいいよ」と言われて、「わかりました、次回からやってみます」って言って終わっちゃうんですよ。
そうじゃなくて、フィードバックを受けたら、「それってこういうことですよね?」と自分の言葉で口にして、本当の意図を確認することを、必ずセットでやる。これが、上司からのフィードバックを漏れなく自分に活かすやり方です。逆に自分の言葉に変換できないってことは、たぶん活かされなくなっちゃうんですよ。
仕事ができる人の「ノート」の使い方
——自分の言葉にできないなら、本当には理解できていないということですね。もう1点、書籍の中では、インプットしたことの活かし方として、A4ノートを縦に使う方法が書かれていましたね。
西原:まず前提として、ノートはほとんどの人が振り返らないと思っています。僕自身がそうだったので、まず情報を1ヶ所に集約することが大事。毎日見開き1ページ使って、仮に内容がなくてページが余ってしまっても、翌日は次のページにいくようにするんです。すると、1ヶ月続けたら、だいたい1冊のノートを使い切れるんです。
そうすると「1冊終わったわ」みたいに充実感が出るので。まずは1ヶ所に情報を集約し、各内容をカテゴリーで分けて迷わなくして、やりきれるという自己肯定感を持つ。当時はツールがなかったのでノートを使っていましたけど、WebのITツールでもOKです。
同じ失敗をしないように「ToDoの障害」をメモ
——毎日見開き1ページと決まっていたら、「あの日の会議の内容はどこにメモしたかな」と迷わなくなりそうですよね。
西原:そうです。あとは、1つのページに会議のメモもToDoもバーっと書き出してしまうと、だいたいごちゃついちゃうんですよ。
なので、あらかじめ線で区切ってエリアを完全に分けると、どこに何が書かれているかがわかります。これが自分が書き止めたものを最も活かせるんだなと、実践してわかりました。

——書く内容としては、A4ノートを縦に使って、ToDoと、ToDoの障害と、振り返りをメモすると書かれていましたね。
西原:そうです。前回のToDoを見た時に「毎回あの秘書のサトウさんがボトルネックになってるから、次はおそらくこの障害がまた出てくるな」って思うんですよ(笑)。そうすると今度はToDoの先手が打てるんですね。だから次やる時に同じ失敗を繰り返さないように、どんどん知見が貯まっていくんです。
上司は指示だけでなく「手順」まで示す
——ありがとうございます。ここまで、フィードバックを受ける側の目線でおうかがいしてきましたが、今組織のトップとして部下にフィードバックをする時に、気をつけているポイントはありますか?
西原:はい。まず全員能力が違うので「人によって変える」ことですね。もう1つは「階段を作る」ことです。
「新しいYouTubeのサムネイルを作って」と言って「わかりました」って作れる人もいれば、サムネイルの作り方がわからない人もいるんですよね。要は階段のように手順を作ってあげる。
例えばこういう手順があるとします。まず「サムネイルが何か」という情報を確認して、過去に作ったものを見て、サムネイルを作るためのツールの使い方を学んで、1回仮で自分で作って社長に確認してもらって、修正して、最終化する。その手順を一緒に決めてあげるってことです。
指示する時に「絶対に手を抜いてはいけない」ポイント
——最終の成果物ができるまでの手順まで、最初に指示するんですね。
西原:そうです。人によっては1手順でオッケーだったり、3つの手順だったりしますし、ものによっては10もの手順が必要な時もあるんですが、上司側はそれを絶対に手を抜かないことです。
コンサルや優秀な人たちの組織だったら部下に任せてしまってもいいんだけど、やはり中小企業って本当に人が集まらないので。「今いる人たちにどうやって活躍してもらうか」が大事なんですよね。
上司が手を抜いて「だからそれ作りゃいいんだよ」って指示するだけではなくて、ちゃんと達成するための道筋を一緒に作る。すごく面倒くさいんですけど、これをやり続けるのが大事です。
僕が伝えたいのは、いよいよ上の人たちが本当に変わらなきゃいけないということです。「現場の人が仕事ができない」とか「現場に気を遣っちゃって言えない」いうのはよく聞きます。でもそれは現場の責任じゃなくて、実は上司側が考え方を明確にしていないとか、手を抜いていることがほとんどだと思うんですね。
だからこれからの時代、上の役員の人とか管理職の人たちが、もう1回自分たちが本当に正しく指示をしているか(を考える)。昭和みたいに「気合いでやれよ」じゃなくて、人とか世代も変わっている以上は、伝え方ももっと具体的に丁寧に伝える。自分たちが変わっていかないと、やはり離職率が高くなってしまうし、組織は良くならないと思うので。
今こそ上の人たちが変わるべきなので、もう1回自分たちの「当たり前」を変えてほしい、手を抜かないでほしいと伝えたいですね。
参考リンク:
『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』(ダイヤモンド社)