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古川武士さん×なつみっくす対談/ほんとうにやりたい ことを言語化する方法(全4記事)

どんな環境でも「モチベーション」を再燃できる秘訣 転職や昇格の岐路で“納得できる判断”をするポイント

『I型(内向型)さんのための100のスキル』の著者・鈴木奈津美(なつみっくす)氏が代表理事を務める一般社団法人母親アップデート主催のイベントに、『ディープドライバー ほんとうにやりたいことを言語化する方法』を出版した古川武士氏が登壇。違和感を感じた時に自分のディープドライバーに戻る方法や、人生の岐路で迷わないための自分だけの言葉について語り合いました。

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なつみっくす氏が考える活動の原動力

古川武士氏(以下、古川):なつみっくすさんは、ご自身のディープドライバーについてはいかがですか? これだけの会を主催されるなど、活動の源泉がどこにあるのかをお聞きしたいです。

鈴木奈津美氏(以下、鈴木):そうですね。先ほどの動詞リストを拝見した時に、「学ぶ」という動詞は自分の中でしっくり来るものがありました。自分自身が何かを学び、新しいことを知ることが好きなんです。

また、他者視点で考えると、「成長を促進する」という表現が近いのかもしれませんが、少し偉そうな印象もあります。もっと具体的に言うと、「勇気づける」という言葉のほうが自分に合っているように感じます。

自分自身が新しいことに気づき、昨日できなかったことがチャレンジできるようになったりすることに喜びを感じますし、他者が成長し、新たな可能性を見つける場面にも大きなうれしさを感じます。

そのため、コミュニティ運営や書籍の出版なども、自分のディープドライバーが影響しているのではないかと思います。

古川:なるほど、なるほど。なつみっくすさんの活動をうかがっていると、本当に「学ぶ」や「成長促進」「勇気付ける」といったドライバーが強く感じられますよね。おそらく、ご自身とお付き合いのある方々も、「ああ、確かにそれをいつもやっているな」と思われているんじゃないでしょうか。

さらに、「行動する」とか「挑戦する」といったドライバーも根底にあって、それらが活動の大きな原動力になっているように思います。実際、どうですか? こう言われてみて、ご自身ではどう感じますか?

鈴木:まさにその通りです。この会の冒頭で古川さんがおっしゃっていた「内向型の方にはディープドライバーが特に重要」というお話、私自身も本当にそうだと思っています。

他者からの要請で動くことももちろんありますが、やはり、それだけだと続けられないんですよね。でも、自分の源泉に基づいていると確信できれば、続けられる。私にとって、今取り組んでいるコミュニティの活動なんかはまさにそういうものだと思っています。

違和感を感じた時に自分のディープドライバーに戻る方法

鈴木:ただ、時々、自分の源泉を忘れてしまったり、「これでいいのかな?」と迷ってしまったりすることもありますよね。そういう時、どうやって自分のディープドライバーに立ち返ればいいんでしょうか? 一度それを見つけたら、ずっと迷わずに進めるわけでもないと思うので、そのあたりのアドバイスをいただけますか?

古川:そうですね、だからこそ「言語化する」ということが非常に大切だと考えています。例えば、調子が良い時は「学ぶ」「気づく」「成長促進」「行動」「挑戦」といったドライバーが自然に機能している状態だと思うんです。

ただ、どこかのタイミングで、例えば組織運営や仕組みづくりに忙殺されるようになると、新しいことを学んでいないとか、人の成長をサポートするよりもフォロー業務が増えた、といった状況に陥ることがあります。そうなると、漠然と「なんか違う」「何かがズレている」と感じるようになるんですよね。

その時に役立つのが、「ディープドライバーマップ」を自分で作っておくことです。「学ぶ」「成長促進」「勇気付ける」「行動」「挑戦」といった自分のドライバーを確認して、「これをちゃんとやっているか?」と振り返ることができれば、「ああ、これが足りていないな」と気づくことができます。

これは変わらないコンパスのようなものなんです。例えば、なつみっくすさんの場合、「学ぶ」や「成長促進」「挑戦する」といったものは、たぶんあと30年経っても飽きることはないんじゃないでしょうか?

鈴木:そうですね、飽きないでいたいという願望は強くあります(笑)。

古川:それはまさに不変のようなものですね。ディープドライバーとは、そうしたずっと続けられるものを指しているんだと思います。

人生の岐路で迷わないための自分だけの言葉

鈴木:マップに立ち返るというのは、まるでお守りのようですね。気持ちが乗らない時や転機に差し掛かった時、新たなチャレンジをしようという時に、マップを見て自分を振り返り、さらにマップ自体をアップデートすることもあるんでしょうか?

古川:そうですね、アップデートもしていいと思います。迷う時というのは、コンパスを確認したくなる時なんですよ。迷っていない時にはわざわざ見る必要はないんですけど、一度作っておけば、迷った時に「あれ?」と思って見返すと、そこに答えが書いてあるんですよ。

実際、コーチングの場でも「以前『研究することと実践することが自分の両輪だ』と言っていましたよね。それは今、できていますか?」と問いかけると、「確かに、そんなことを言っていましたね。でも今はできていません」と答えられることがあります。書いておけば、その言葉が立ち戻るきっかけを作ってくれるんです。

鈴木:それが選択の軸のような役割を果たすんですね?

古川:そうです。人間は自分に問いを投げる時、必ず言葉を通してしかできません。例えば、「挑戦する」はできているか? と具体的に問いかければ、「挑戦が大事なのにできていないな」と気づけます。でも、「あの時の熱い感覚に戻れるか?」のような問いかけでは曖昧すぎてわからなくなります。

役割が変わったり状況が変化したりする中で、変わらないようで変わっている部分もある。だからこそ、ドライバーの動詞を明確にしておくことがとても重要なんです。

鈴木:なるほど。

古川:企業の理念のように、自分が立ち戻れる言葉を持っておくと良いと思います。

鈴木:ありがとうございます。チャットでもコメントをいただいていますが、「内向型の方はディープドライバーを持っていると周囲の状況に揺らぎにくくなりそう」という意見がありますね。確かにそう感じます。

古川:そうなんです。やはり他者評価って大切なものですが、それ以上に深い動機は「自分の動機」だと思います。自分が楽しいと思える動機を基に貢献して、その結果として他者評価を得られると、とても良い循環が生まれます。そうしたプロセスを通じて、揺らぎにくい安定感が得られると思います。

どの環境でもモチベーションを再燃できる人の特徴

鈴木:揺らぎにくさや選択の基準という話がありましたが、例えば転職、起業、副業、移住など、人生のターニングポイントに直面する時には迷うことが多いですよね。そんな時にディープドライバーを言語化して基準にするのは有効だと思いますが、こういったターニングポイントで迷っている方への具体的なアドバイスはありますか?

古川:ターニングポイントでは特に重要な考え方だと思います。例えば、現場でプレイヤーをしていた方がマネージャーに昇格するという状況を考えてみましょう。「マネージャーに向いているのか、それともプレイヤーの方がいいのか」と迷った時、組織の中で選択肢が限られていると余計に迷いが生じることがあります。

その時に、「マネージャーかスペシャリストか」といった問いではなく、一度自分のディープドライバーに立ち返ってほしいんです。例えば、「うまくいくパターンを作る」というディープドライバーを持っている方がいました。その方は、現場では品質保証の専門家として活躍していましたが、営業の現場でもこのドライバーを活かし、マネージャーになるとチームメンバーがうまくいくパターンを作るというかたちでドライバーを活用しました。

その結果、「自分にはマネージャーとしての役割が合っている」と納得し、見事に昇格を果たしたんです。このように、ディープドライバーを明確にすることで、どんな役割にも適応する方法が見えてきます。

だからこそ、ディープドライバーを言語化することが大切なんです。このワークを通じて、自分にとっての動詞を見つけてほしいですね。そうすることで、「環境を変えないとモチベーションが上がらない」という癖をつけるのではなく、今の環境の中でモチベーションを再燃させる力を持てるようになると思います。

鈴木:なるほど。先ほどのドライバーの動詞という考え方に通じる部分があると感じました。その動詞をどう活かすかによって、マネージャーになるかスペシャリストになるか、また環境を変えずにモチベーションを再燃させるかといった選択ができるというのは、とても希望が持てるお話ですね。

古川:そうですね。我々が本当に求めているのは、生きがいや働きがいといった、情熱や活き活きとした心の状態だと思うんです。やりたいこと自体が欲しいのではなく、心の熱が高い状態を維持したいというのが、多くの人の本質的な欲求だと思います。

例えば転職や起業などの選択肢も、結局はその精神状態を得たいという目的から来ている場合が多いですよね。そうだとしたら、この内的なボルテージを上げるためのパラメーターがディープドライバーの中にあるのだとすれば、環境を変えなくてもできることがたくさんあるはずなんです。

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