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古川武士さん×なつみっくす対談/ほんとうにやりたい ことを言語化する方法(全4記事)

子どもの頃の「懐かしい感覚」を動詞で書き出すと、自分を“突き動かす力”が見える ライフワークを具体化する方法

『I型(内向型)さんのための100のスキル』の著者・鈴木奈津美(なつみっくす)氏が代表理事を務める一般社団法人母親アップデート主催のイベントに、『ディープドライバー ほんとうにやりたいことを言語化する方法』を出版した古川武士氏が登壇。やりたいことを見つけて挑戦しても続かない“やりたいことジプシー”に陥る理由や、自分の特性を理解する「マップ」づくりなどを語り合いました。

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『ディープドライバー』という造語が生まれた理由

鈴木奈津美氏(以下、鈴木):最初におうかがいしたいのは、『ディープドライバー』という造語についてです。禁断というか(笑)、書籍のタイトルにするのはなかなか難しさもあったのではないかと思いますが、それでも古川さんがこの言葉にこだわった理由をもう少しおうかがいしてもよろしいですか?

古川武士氏(以下、古川):もともと15年間くらいは、「本当の自分」とか「自分の本質」といった言い方をしていました。セミナーのような場では「自分の本質を知る」といった表現でも、なんとなくニュアンスが伝わるんですよ。「あ、本質ってそういうことなんだな」と理解してもらえるんです。

ただ、いざ本というかたちで表現しようとすると、「本質って何ですか?」と聞かれることが多くて(笑)。そこで、言葉に名前をつけなければいけないと考えました。

最初は「インナーボイス」という表現を使っていました。自分の内側の声、心の声という意味です。しかし、(編集者の)干場さんから「それはスピリチュアルすぎて、タイトルとしてはあまり好きじゃないですね」と言われてしまって(笑)、それで「ボイス」も違うのかと。

次に「価値観」という言葉も考えました。これは近い意味ではあるんですが、価値観という言葉は多くの人がそれぞれのニュアンスで捉えていることと、熱くさせるような感覚がなく、むしろ静止画的というか、冷静なイメージがあるんですよね。それでも違うなと感じました。

『モチベーション3.0』の世界観に近い部分もあるんですが、そういった中で「ディープドライバー」という言葉が出てきました。最初は賛否両論ありましたが、この言葉には熱量を感じたんです。それで、「これでいこう」と決めました。最終的には、この言葉を広めようと思い、ディープドライバーをタイトルにしました。

鈴木:なるほど。この書籍を作る過程で湧き上がってきた単語が、伝えたい根幹の内容としっかりつながったということですね。

古川:そうですね、はい。

名詞を「動詞」に変えるだけで、自分の“好き”が見えてくる

鈴木:今、チャットにも書いていただいていますが、この表紙のイメージと「ディープドライバー」という言葉、さらに先ほどの「レッドブル」という表現も含めて、「すごくぴんと来るというか、伝わるものがありました」と。ありがとうございます。

古川:そう言っていただけると嬉しいです(笑)。ありがとうございます。「駆り立てるという強い印象を受けました」といったコメントもありがとうございます。本当に深く探るとか、まさにそういったことを意図しているんです。

鈴木:なるほど、ありがとうございます。たくさんおうかがいしたいことがあるんですが、先ほどの3つのフェーズの話がありましたよね。その中でも「自己理解」が大切だということで、「何がしたいか」を考える際にドライバーの動詞を3つ書き出すことが第一歩になるというお話がありました。

古川:はい。

鈴木:この動詞を見つけるということが、その後のワークや取り組みの入り口になっているとのことですが、なぜ動詞なのか、また3つに絞る意味について、もう少しおうかがいしたいと思います。

古川:ありがとうございます。動詞にする理由と、なぜ3つに絞るのかという点ですよね。ではお答えします。

まず、習慣化との関係性からお話しします。結局のところ、「好きなことは続く」「嫌いなことは続かない」という、とてもシンプルな原則にたどり着くんですよね。短期的なものは別として、長期的な取り組みはやはり好きなことであることが重要です。

例えば、大谷翔平さん、村上春樹さん、本田宗一郎さん、孫正義さん、三木谷浩史さんといった方々も、それぞれが「好きなことを続けてきた」と語っています。ただ、ここでいう「好きなこと」とは、単に楽なことやわくわくするだけのものではなく、自分を駆り立て、熱くさせるようなものだと思うんです。

そのため、「好きなこと」を明確にする際に、まず最初に意識すべきなのが動詞なんです。名詞ではなく動詞にすることで、より行動に直結し、エネルギーを引き出しやすくなるんですよね。

ライフワークを具体化する第一歩

古川:例えば、私自身、「探求する」という動詞に強く惹かれます。道を探し、深く追求することが好きなんです。ただ、日本語は名詞中心の言語なので、「芸術」「創作」といった名詞で表現したくなる傾向があります。

鈴木:たしかに、名詞にしがちな部分がありますね。

古川:ただ、名詞にしてしまうと、自分が何をするのかが明確にならないんですよね。例えば「道」と書くと、それで完結してしまいます。でも、「道」という言葉を動詞に変換してみると、意味が広がります。

例えば、少し堅い表現になりますが、「求道する」という言葉にしたとします。この「求道する」と言った瞬間、自分の中に「何を求道するのか?」という空白が生まれるんです。そしてその空白を埋めるために考えると、「自分は習慣化という道を求道したいんだ」「人が変わるということについて実践し、それを追求したいんだ」といった答えが出てくるんです。

「求道する」という動詞は、今日1日だけでも取り組むことができるし、10年かけて取り組むこともできます。一方で「道」という名詞だと、それを具体的に当てはめるのが難しくなるんです。

なので、Why、What、Howという視点で考えた場合、ドライバーが動詞であることが重要です。例えば「共感する」という動詞が自分のドライバーであれば、今日目の前の人に共感することもできるし、仕事としてカウンセラーという役割を選び、その中で共感を深めることもできます。

ただ、これが「他者理解」というような名詞表現になってしまうと、行動に結びつきにくくなる感覚があります。

鈴木:なるほど。動詞だと、小さな行動としても取り組めるし、人生を通しての大きなテーマとしても取り組める。その違いがとても腑に落ちました。

自分の原動力のヒントは、子どもの頃からの“懐かしい感覚”

鈴木:ちなみに、古川さんご自身のディープドライバーは、ずっと変わらないものなのか、それとも人生のターニングポイントで変化するものなのか、どちらだと思いますか?

古川:どちらもあると思います。大人になってから変化した部分もありますし、子どもの頃から持っていたものが発動するタイミングもあると思います。

ただ、何かきっかけがないと、子どもの頃からのディープドライバーが明確にならないことも多いです。また、言葉を与えられないと、自分の中の感覚がはっきりしないということもありますよね。例えば「ゾーンに入る」「フロー状態に入る」といった表現がありますが、それは結果であって、どうやってその状態に入るのかは人それぞれ違います。

寺に座っているとゾーンに入る人もいれば(笑)、走ることで入る人もいる。私はそれがディープドライバーの働きだと定義しています。そして、子どもの頃から持っている懐かしい感覚を伴うものが、ディープドライバーであることが多いと感じますね。

鈴木:なるほど。古川さんご自身の子どもの頃から今につながる、ディープドライバーとしての動詞は何かありますか?

古川:そうですね、一番原始的なものとしては「気づく」というのが、私にとって非常に大事なディープドライバーなんです。本を書くという作業そのものも、気づきを得るプロセスですし、それをアウトプットするために毎日書き続ける活動そのものなんですよ。だから、本を書くということはやめられないんです。むしろ常に新しい主題を求めているような感じですね。

例えば、私がやっているコミュニティで、1日15分の音声を共有する取り組みがあるんですが、これは3,195回続けています(笑)。つまり、毎日、8年11ヶ月も続けているわけです。これを聞いた方からは「意志が強いですね」とか、「さすが習慣化コーチ」といったコメントをいただくんですが、実際はそうではなく、これは私のドライバーなんです。

私の中で「今日、気づいたことを話したい」という衝動があるんですよね。この気づきを共有すること自体が非常に強い原動力になっています。例えば、本を読んだり、なつみっくすさんとこうしてお話ししたりすると、「あ、これに気づいた!」という瞬間がある。それをすぐに共有したいという欲求が、私を毎日動かしているんです。

これって、子どもの頃からあまり変わっていないように思います。常にそんなふうにして、自分の中で気づきを得て、それを発信するということを繰り返していますね。

鈴木:いやぁ、それは本当におもしろいですね。3,000回以上続けているというのも驚きですが、その「気づく」ということが原動力になっているのは興味深いです。

古川氏にとっての「気づく」の重要性

鈴木:そして今回のイベントのタイトル、『ディープドライバー』にもある「ほんとうにやりたいことを言語化する方法」と、気づきや言語化の関係性についてもお聞きしたいのですが、それらはやはりセットと考えればいいのでしょうか?

古川:セットというより、私にとっては「根源的なもの」という感覚ですね。例えば、「気づく」というのはシンプルな言葉ですが、私のコーチングの出発点そのものでもあります。コーチという職業は、人に気づきを与えることが仕事です。そのためには、自分自身が常に気づきを得られる体質でなければ、人に気づきを提供することはできません。

そのため、私は日々自分自身に気づき続け、他者に気づき続けるということを繰り返しています。

鈴木:なるほど。気づき体質ということで、自分自身の気づきだけではなく、コーチングを通じて「気づく」という尊い行動を広めていきたいというイメージがあって、コーチングの仕事を楽しんでいらっしゃるということなんですね?

古川:そうですね。さらに、人が変わるには気づきが必要不可欠だと提案しています。その気づきは、単発的なものではなく、連続的な実践や共有を通じて生まれるものです。特に、ある時にアハ体験のような「はっ! そういうことだったのか!」という深い気づきが起こると、そこから軌道がぐっと変わるんです。

このような瞬間的な気づきもあれば、深いシフトを引き起こすような気づきもあります。どちらにしても、気づきが行動変容を促し、それが結果的に習慣の変化につながると考えています。

鈴木:なるほど。日々の気づきが積み重なり、それが習慣化につながっているということですね。

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