2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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後藤宗明氏(以下、後藤):みなさん、はじめまして。一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事の後藤と申します。ついに「IVS KYOTO」最後のセッションになりました。
スタートアップの世界に優秀な人材がどんどん流れ込んで、これから成長していくエコシステムになっていくようなところで、みなさまのキャリアとスタートアップをひもづけてお話しができればと思います。すばらしいゲストの方3名をお迎えしております。では橘さんから、自己紹介をお願いします。
橘大地氏(以下、橘):はい。4月に創業して3ヶ月ぐらいのスタートアップなんですけども、ここ10年間ぐらい「クラウドサイン」という電子契約のサービスの事業責任者をやってました。
そこで10年ぐらいSaaS事業をやっていて、4月から、エンプロイーサクセスプラットフォームというかたちで、社員のエンゲージメントやスキルアップに関わるSaaSビジネスを向こう5年間で20個作っていくようなスタートアップを創業しました。よろしくお願いします。
(会場拍手)
清水美保氏(以下、清水):フォースタートアップスの清水美保と申します。フォースタートアップスという、スタートアップに特化して成長産業支援をしている会社で企業の人材・採用支援、あと個人の方のキャリア相談などを受けております。7年目になりましたが、それまではコンサルや営業をやっておりました。
会社としては、ハイブリッドキャピタルとして今、ベンチャーキャピタルの子会社だったり、パブリックアフェアーズで経産省や、地域の自治体の方々とも連携させていただいています。あとは大企業とスタートアップ企業をおつなぎするオープンイノベーションなどを行っております。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
大林尚朝氏(以下、大林):大林です、よろしくお願いします。2019年の5月7日、令和の最初の営業日に作った、Another worksという会社の代表をしております。「複業クラウド」という、複業したい人と企業や自治体とかスポーツチームとかを、我々が人材紹介することなく、Web上で自由にマッチングするようなサービスアプリを運営しております。
今、社員数はだいたい50名から60名ぐらいの正社員メンバーで、我々も複業メンバーにだいたい50名ぐらいジョインしてもらっているので、だいたい総勢100名ぐらいを超える所帯として展開をしております。
今日のテーマである「キャリア」というところで、複業でどうキャリアを作っていくかとか。スタートアップ・大手、どうキャリアを作っていくか、越境していくか。僕なりの目線でお話しできればなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
後藤:最後になります。本日ファシリテーターを務めさせていただきます、後藤でございます。僕は日本でリスキリングを定着させるために、政府・自治体向けに連携の仕組みのご提案をしたり、企業向けのリスキリングの導入のご支援を担当させていただいております。今日、みなさまに最初に「これからはスキルの時代がくる」というお話をしたいと思います。
日本では今、ジョブ型雇用が大変注目され始めました。「メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ」という話になっていますが。実は今、アメリカやシンガポールでは、このジョブ型雇用から先んじて「スキルベース雇用」という、スキルを前提に雇用を維持する、スキルを前提に転職をしていく時代に突入しています。
実はこのスタートアップの世界で働いていく上では、ちょっと違ったスキルが必要になってくるのではないかなと。このスキルベース雇用時代に、スタートアップでどんなスキルが必要になっていくのか、今日はお話しをしていきたいなと思います。
登壇者のお三方ともスタートアップで働かれていらっしゃいます。「どんなスキルが今の自分を支えてきてくれたのか」、みなさんにおうかがいしてみたいと思います。橘さん、お願いします。
橘:自分は専門職で弁護士資格を持ってるという、超スーパーニッチなスキルがあります。弁護士の法的な能力というよりは、論理的な思考力とか、論点が出てきた時にその場で決断するとか。
弁護士の経験もありますし、実際裁判で人の生き死にを扱う仕事をしてきました。場合によっては犯罪者の弁護もしなきゃいけないという局面で、さまざまな意思決定を迫られて、時間がない中で厳しい意思決定をしてきたので。そんな思考能力とかが、未だに自分の武器だと思ってます。
後藤:ありがとうございます。今回、起業に当たって弁護士資格を返納されたと。
橘:はい、そうですね。
後藤:一般的に考えると、やはりすごくハードな勉強をして、弁護士に合格するまでが大変ですが。サンクコストを考えると、普通の人はなかなか返納できない気がするんですけど。なんでそんな決断に至られたんですか?
橘:今回は「人」を扱う事業なので……もともと弁護士ドットコムにいて、そこでは弁護士の資格が活きたんですけど、別に未来に必要ないので。潔く返納したほうが、社会のために恩返しになるかなと思い、返納しました。
後藤:これもすごい意思決定ですね(笑)。では清水さん、今まで自分を支えてきてくれたスキルは何ですか?
清水:新卒で外資系のITの営業をやっていて、そのあとコンサルティング会社で働かせてもらったり、楽天でマーケティングしたり、いろんなことをやってきたんですね。
それで、「自分がやりたいことって何だろうな」って思った時に、未来に資する仕事がしたいと。たまたま出会ったのがフォースタートアップスという会社で、もうビジョンに共感しかなかったんです。日本の経済のために何かしたいと思っていて、自分の人生のビジョンとその会社のビジョンが合致したので。
もうこれまでのスキル・経験、まったく業界も業種も違うので関係ないんですけど、「なんでもやるんで入れてください」と言って入ったのが2018年の頭でした。この「なんでもやる」っていうのがベンチャーではすごく大事だなと思っておりまして(笑)。
何かが降ってきた時に、3日後にはある程度できるようになるみたいな。そこのアンラーニングとラーニングをやり切るみたいなところは、スキルって名目だと若干違うのかもしれないんですけど、ベンチャー・スタートアップではすごく役に立つなと思いました。
後藤:ありがとうございます。今のはすごく大切なお話だと思うんですけど、マインドセットの部分とスキルの部分って、実は切り離せないところがあって。まさにその「やり切る」というところは1つのスキルなんじゃないかなと、僕は思いました。
後藤:じゃあ大林さん、次お願いします。
大林:あんまりおもしろくない話かもしれないんですけど、営業力とか提案力とか「なんちゃら力」がスキルだとすると、たぶん僕は圧倒的「努力」だと思ってるんですよね(笑)。
後藤:すばらしい。
大林:清水さんとめちゃくちゃ近いです。例えば複業を世の中の当たり前にするために、令和の最初の営業日に、世の中の働き方の常識を変えていこうと思って、未来を想像して……。未来は、けっこう狙って作れると僕は思っているので。
あとはやり切る力とか、実現できるように、いかにイメージして死ぬほど努力するか。努力と言うのが陳腐になるぐらい、とにかく行動するしかないなと、本当にずっと思ってやってきてました。
後藤:すごいですね。今若干、会場のみなさんが引いてるんではないかなと(笑)。大丈夫でしょうか。本当にすごい方たちですよね。
ちょっと参考までに聞いてみたいんですけども、今日「スタートアップを自分で始めたいな」と思ってここにいらっしゃった方、どれくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
おっ、20パーセントぐらいですかね。じゃあ「スタートアップで働きたいぞ」と思って来たという方、どれくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
その他大勢って感じですかね。
後藤:スタートアップを「始める方」のスキルやエネルギーと、「スタートアップにジョインする」ところで必要になってくるスキルは、実はけっこう変わってくるのかな、と思ってまして。
清水さんは、大きい企業とスタートアップ、たぶん両方をご経験されてきたと思うんですけども。大企業で働くことと、スタートアップで働くことの違いについて、お話しいただいてもいいでしょうか。
清水:ぜんぜん違うなと思うところが「組織の作り方」です。会社が大きくなってきた時に事業部やグループが分かれていって、その中でチームが分かれて「あなたはここでこれをやってくださいね」ってジョブディスクリプションがはっきりしてくる。これは大きくなればなるほど、あると思っています。
逆にベンチャー・スタートアップ、創業から数年ですってなった時に、そんなに部署は分かれないじゃないですか(笑)。だいたいコーポレート、ビジネスサイド、エンジニアサイド、みたいな。
後藤:もうなんでもやるみたいな。
清水:そうなんです。なので、1人当たりの裁量が(大きい)。「ベンチャー・スタートアップに行ったほうが大きく成長できるよね」っていうのは、この組織の作り方の違いだと思っています。持つ責任範囲がより大きいのが、スタートアップ・ベンチャーの特徴かなと思います。
後藤:ありがとうございます。大林さん、どうでしょう。
大林:そうですね、それはもちろん僕も100パーセントアグリーではあります。でも1個、大手企業にいた人間からすると、やはり予算の規模が違かったり。僕らが土日に当たり前のように仕事をしている時に、大手でもすごく優秀な人とか自律的にキャリアを作っている人って、土日でもぜんぜん返信されるんですよ。
後藤:土日で働いてるって、今ここで言って大丈夫なんですか?
大林:「僕は」なので、ぜんぜんいいと思います(笑)。なので、大手にいてももちろんキャリアを作ることはできますし、ベンチャーにいてももちろん自分で裁量を拾うことができるので、どっちでもキャリアを作れると僕は思っています。
後藤:ありがとうございます。何を目指すのかによって、というところもあるかもしれないですね。じゃあ橘さん、お願いします。
橘:今日はどっちかというとスタートアップで働きたい人、起業したい人なのでスタートアップ向けなんですけど。やはり起業家ってシャレにならない責任をおうというか、失敗は自分の美談じゃなくて、従業員とか取引先に多大な迷惑をかけるので。そういうシャレにならなさはやっぱりあります。
スタートアップって大成功を収めないと意味がないんで、スタートアップ起業するのに最初自分たちで何ができるかとか……。「受託からやろう」とか「目の前にある事業」とかだと、あんまりスタートアップとしての存在価値がないようにも思える。
GAFAを超えるようなどデカいことで勝負してやろうっていうのが、日本経済のためになるので、そういう大勝負をする。自分だけの人生じゃなくなっちゃうんで、それを成功させないと本当にシャレにならない。そういう気概とか全責任を負う覚悟がある人以外は起業家になっちゃいけないなってたまに思いますね。
後藤:またすごく選択肢が狭まってくるような話になりましたが(笑)。経営者になろうと、自分でスタートアップを始めようという方には今、すごく良いメッセージなんじゃないかなと思います。
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