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転職で後悔しないための、面接時や入社後に気をつけるポイント(全3記事)

新しい職場の人間関係に悩む人への処方箋 転職先での「最初の1週間」でしておきたいこと

採用した中途人材のうち、3人に1人は3年以内に退職していると言われています。転職後に給与や仕事内容、職場の人間関係で後悔したことのある人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、株式会社人材研究所 ディレクターの安藤健氏に、転職後に後悔しないためのポイントをお聞きしました。本記事では、中途人材が組織に定着するプロセスや、転職後の人間関係に悩んでいる人へのアドバイスをお届けします。

前回の記事はこちら

入社後の人間関係を良くするための3つの要素

——入社後に職場の人間関係に悩み、早期離職をしてしまう人も多いかと思います。人間関係で悩んでしまうのは、どういったケースが多いのでしょうか。

安藤健氏(以下、安藤):上司や同僚と仕事の進め方や意見が異なり、結果的に「こんな人たちとは働けない」となってしまうケースですね。仕事の仕方が気に入らないとか、仕事で意思決定をする時に意見が合わないとか、コミュニケーションがうまく取れないとか。なんか噛み合わない、相性が合わないということですね。

——なるほど。安藤さまは心理学を専門にされていたということですが、入社後の人間関係作りにおいて、心理学の知見を活かすとしたらどんなアプローチが有効でしょうか。

安藤:一緒に働く相手の性格、キャリア観、モチベーションリソースの3点が、(人間関係を築くうえで大切になる)心理的な3側面と言われています。

1つ目はパーソナリティ、性格。2つ目はキャリア観、志向性で「この人は将来どうなりたくて、この会社にいるか」を把握している状態です。モチベーションリソースは、この人は何に重きを置いてるんだろうと知ること。これを理解しておくだけで、その後のコミュニケーションがぐっと楽になるはずです。

入社後の人間関係作りにおいては、一緒に働く上司や同僚、それぞれ一人ひとりの性格、キャリア観、モチベーションリソースの3点を把握し、入社したてのコミュニケーションの中で把握するように努めていくことが大事です。

例えば自分にとって角が立つような言い方をされてムッとした時に、「この人はこういうバックボーンがあるから、こういう意図で言ってるんだ」と、冷静に把握できるわけです。なので一言で言えば、その人のことを知るのが大切なんです。

「入社して最初の1週間」が勝負

——相手を知るためには、具体的にどうしたらいいのでしょうか。

安藤:おすすめなのは、入社して最初の1週間で、仕事で関わるすべての人たちと1on1を30分やることです。「挨拶兼面談で、30分インタビューさせてくれ」という立て付けで、僕自身もよくやっています。

「先日入社しました安藤と申します。よろしくお願いします。私、こういうキャリアで、こんなものです」と説明をします。かつ、さっき挙げたキャリア感について「将来どうなりたいと思ってますか?」「仕事で一番楽しい瞬間は何ですか?」「あなたのやる気スイッチは何ですか?」と質問をしていくイメージです。

あとは、「○○さんってご自身の性格をどういうふうに思われていますか」とか。1対1でその人の性格やキャリア観、モチベーションリソースを把握するように動くということです。3ヶ月経ってからいきなりこれをやるのは不自然なので、入社初期にやっておく。要はスタートダッシュが大事なんですよね。

定着に関する理論では、まず職場での受容感を得るのが大切なんです。「職場の仲間に受け入れられた」という感覚があってから、次第に「この会社で自分の仕事ができそうだ」という有能感や自己効力感を得ていくんですね。

中途は即戦力と言われるが、「本当の意味で即戦力なんてない」

安藤:これは中途も新卒も一緒なんですけど、職場に定着するプロセスとして、まず3ヶ月ぐらいで受容感を得る必要があります。新人は周囲と人間関係を作って、そこから情報を得て仕事ができるようになったという感覚を6ヶ月ぐらいで作っていく。まず受容、その後に有能感というのがポイントです。

なので、中途は即戦力ってよく言うんですけど、本当の意味で即戦力なんてないと僕は思っています。最初はやっぱり人間関係にアプローチしないといけなくて、身近な上司や同僚とか周囲との愛着形成が必要。「この人のために一緒にがんばりたい」「この人たちと一緒に仕事していきたい」という感覚が育まれると、会社に対するコミットメントにつながります。

専門的には組織信任行動と言うんですが、職場で困ってる人を助け合うことで、「もう辞めちゃおう」という意思が抑制され、定着率がアップするセオリーになっているんですね。

自分から自己開示をするメリット

——相手を知ることが大事だとおっしゃいましたが、「自分のことをどんなふうに相手に伝えるか」も重要なんでしょうか。

安藤:そうなんですよ。さっきの挨拶兼インタビューでは、僕は最初に「私はどんな人です」と人となりをお伝えしました。心理学的に有効なテクニックで、こうした自己開示には返報性があります。返報性というのは、相手のことを深く知りたかったら、まず自分から言うべきだと。そうすると相手は同じ深さだけ自分のことを返してくれます。

スライドにある、信頼関係構築がポイントになるのですが、最初のステップはあなたの自己開示からです。

自己開示の返報性と認知的不協和理論という2つの心理学理論があります。自分が自己開示をすると、相手も同じだけ自己開示をしてくれると同時に、相手の好意が上昇するんです。これを自己開示好意効果と言います。本来は開示しないような大切なことを自分に開示してくれたから、その代わりに好意をお返ししようと、自己開示の返報性が生まれるんですね。

それから、例えば自分が誰かに自己開示をすることで、その人に対する好意がさらに上昇するんです。

なんでかというと、「一貫性を保ちたい」という人間の心理が働き、自分のプライベートなことも含めて開示したという行動と、相手に対する自分の感情の認知を合わせようとするからです。「ここまで話したんだから、自分はきっとこの人に好意を持っているはずだ」と頭が勘違いするのが、認知的不協和理論です。

なので、あなたから自己開示をすれば、相手は同じだけ返してくれるし、相手の自分に対する親近感も勝手に上がってくれるということです。

——リモート勤務で職場の人とコミュニケーションが取りづらい人も多いかと思いますが、入社後の早い段階で1on1の時間を提案するなど、自分から自己開示の機会を作っていくのが大事なんですね。

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