2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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村上静香氏(以下、村上):Willなのか、Canなのかというところで、さっそく対談にいきたいなと思います。もし質問などありましたら、随時拾っていくので、チャットにお気軽にお寄せいただければと思います。
高橋さんはWillからスタートで、その後にCanを伸ばしていくというところが、ちょっと意外だったりもしました。ちなみに、20代~30代の頃にWill・Canをどんな感じで変遷してきたのか、よければ少し聞いてもいいですか。
高橋浩一氏(以下、高橋):そうですね。そもそも僕は、「能力が足りないけど気持ち先行」みたいに行動しがちで、就職活動の時もなかなか学校を卒業できなかったかな(笑)。
(一同笑)
高橋:留年も単位も厳しい中で、「じゃあ、成長できる業界は何か?」という目線で就職活動したわけですね。例えばベンチャーがいいのかとか、コンサルティング会社がいいのかとか。
大企業にも応募しようと思ったんですが、あまりにも自分が世の中を知らなすぎて、とにかく小さい会社に行きたい、なるべくちっちゃな危なっかしい会社に行きたいって思ってたんですよね。入った会社は、同期は僕の他に1人で、2人で新人研修を受けるという感じでした。
ただやっぱり、事前のアンケートにも書かれた方がいらっしゃいましたが、ハードワークでなんとかするというか。確かに、ハードワークで自分の能力って一時期は伸びるんですが、働きすぎて「自分のやりたいことは何だっけ?」みたいに、自分を見失うことってあるじゃないですか。
ただ、僕はもともとWillの妄想が強かったので、就職活動の時にすんごく書き溜めてた自分ノートがあったんですよ。
大川陽介氏(以下、大川)・村上:へぇー。
高橋:ちなみに今、机の上に20歳の時に書いたノートがある。
村上:えぇ~!
高橋:これは別に今日のために持ってきたわけじゃなくて、けっこう普通に書いてる。
大川:常に。
高橋:うん。大学の時の時間割とか、生々しく。
村上:そういうことまで書いてある(笑)。
大川:全部書いてあるやつ?
高橋:うん。20代の頃から、考えてることをけっこう書いてたので。今読んでもわりと違和感がないというか、こういうのを自分でけっこう書いてたんだなぁっていうね。だから、もともとわりとWillの人間。
高橋:ただ、やっぱりできない壁にぶつかるじゃないですか。それでなんとか能力を引き上げるっていう、この振れ幅を作ってやってきた感じですね。
村上:なるほど。Willが強くなるから、壁にぶつかった時にはCanのほうに集中して、行ったり来たりしながらという感じなんですかね。
高橋:社会人の時に一番耐えられなかったのが、自分に対して誰か指示する人がいるっていうのが、もうなんかね……。
村上:いやいや、よく就職しましたね(笑)!?
高橋:本当に、社会人1年の時はあまりにも劣等生オブ劣等生でした。だから、指示された瞬間に体が受けつけなくなっちゃうというか。1年目で仕事がまったくできないくせに、「でも、こうじゃないですか」とか言って無視されるみたいな(笑)。
大川:(笑)。
高橋:言って聞かせるだけの説得力もなければ、ただ思いだけでやっていたので、入り口が相当鬱陶しい社会人だったんですよね。
村上:スキルがついてこないからこそ、なかなかWillを通せない、みたいな感じの時期だったんですね。
高橋:そうですね。1年目に入ったプロジェクトが、若手のコンサルタント3人とマネージャーみたいな感じだったんですけど、自分の作ったスライドで、そのプロジェクトでお客さまに出した最終報告書に採用されたのは1枚でしたからね。なんの1枚だったか、はっきり覚えていて。調査したグラフの年齢比と性別のグラフ。
村上:ファクトですね。
高橋:そうそう。他は全部先輩方にカバーされて。だから本当に、「能力がない」「何もできない」みたいな苦しみが最初はすごくありました。
村上:おもしろいですね。ありがとうございます。
村上:大川さんはどうですか?
大川:その状態から、よくこんな分厚いファクトだらけの本(『営業の科学』)が書けるようになったなと。なんかすごいなって思いました。
僕が1点聞きたいのが、もともとWill型人間っておっしゃってましたけど、「Canを獲得していくにあたって、自分のWillがあったから効いた」とか、WillとCanの影響で感じることはありますか?
高橋:そうですね。たぶん、根っこのところはWillの衝動がすごく強いんですよ。僕が20歳過ぎの時の自分のノートを見返すと、暑苦しいことが書いてあるんですね。それがあったから、何かができない時には乗り越えようみたいなエネルギーはけっこう強かったんです。
ただ、2000年ちょっとぐらいの当時って、今と違ってそんなに情報がないじゃないですか。だから、とにかく気合いでなんとかするしかなかった。
大川:気合いの時代。
高橋:20代の頃はそれにけっこう助けられたこともあったんですが、一番しんどいのは、メンバーを抱えた時に自分と同じようなことを押し付けられないじゃないですか。
大川:なるほど。
高橋:そうなった時に、今度はマネージャーとしてのCan不足にすごく突き詰められて。例えば最初に会社で社員の人たちを採用して、入ってきた人に「高橋さん、営業どうやったらいいですか?」って聞かれて、「トイレに行こう」と。「『トイレに行こう』って何ですか?」「いや、まず商談前はトイレに行って気持ちを集中させるんだ」って。
(一同笑)
村上:ガンバリズム!
大川:ミクロな……。
高橋:「鏡を見て、ちゃんと自分の表情をチェック。いけるってなってから受付の電話を取るんだよ」という指導を真顔でやってたんですよね。典型的なダメマネージャーですよ。
中途半端なダメマネージャーだったらもうちょっと違った未来だったんですが、あまりにもやり方がわからなさすぎて、それでまたCanのほうに激しく反対に振り切る、みたいな。僕の場合は、真ん中がなくて反対側しかないんです。
大川:なるほど、おもしろいですね。壁があって、それに打ち返されていく感じですかね。
高橋:そうですね。今度はCanのほうに行きすぎると、「やっぱりどうしよう」って悩むみたいな。
村上:大川さんは逆?
大川:でも、僕もちょっとその感覚があるかなぁ。20代はWillの話をしたらぜんぜん通用しない世界というか、「早く一人前になれ」っていう世界だったので、MustとCanをひたすらやってたし、それが当たり前だと思っていた感覚もあります。
先輩たちもみんなMustとCanが優れた人たちで、できる能力が高くて、やる仕事の質やレベル感、Mustの質が高かったりするから、ルートとしてそこを目指していくのが自然としか思ってなかったのかな。
だけどそれをやり続けてる中で、「あれ?」っていう違和感が徐々に増してくるわけですよね。それが壁じゃないけど、ある程度の水位を超えた時に、「このままじゃやばい」って。たぶんこれが、社会人3年目とか10年目ぐらいに定期的に来るんですよね。「あれ。自分は何をやりたかったかな?」と、そのあたりで転職ブームのタイミングが来るのかなと思います。
30代に関しては、結局僕も蓋を開けてみたら、人から何かをやれとか言われたり、正しく標準的にやることはやっぱり苦手だと10年ぐらい経って気づくんです。そこからWillをベースに動き始めたのはありましたね。
だけど、実は僕のWillだってMustから入ってるんですよね。最初からWillの一人前になりたいと思ってやってたわけじゃなくて、レンタル移籍で事前研修としてやらなきゃいけなかったから、それを一生懸命やっていたら、「これ、すげえおもしれえな」ということで自分のWillになった。そんな状態はけっこうおもしろいなと思ってます。
村上:Willって個人で持っているものみたいな(イメージが)ありますが、組織の中にあることで育まれるとか、組織の中で増幅されるという観点もあるんですかね。
大川:あると思います。だから、たぶんWillが重なる会社や組織に入ったほうがおもしろくて。個人だけでできるアクションってちっちゃいし、想像力がないから想像がつかないんですよ。
だけど、そういうところ(Willが重なる会社)へ行って、「そんなやり方もあるのね」「そういうやり方でもWillにつながってくのね」というパターンを見ることができると、「自分もできるかもしれないな」「やってみよう」と思える。あと、機会もたくさんあるので。
Willがアップデートされていったり、より具体的に解像度が上がってく感じ。それこそ(営業へ)行く前にトイレ行くというのすら、僕はけっこう大事なアクションだなって思ってるぐらいなので。
(一同笑)
高橋:今日も、大企業の方で聞かれてる方もいらっしゃると思うんですが。実は自分にはいろんなポテンシャルがあるということが、若手の時ってなかなかわからなかったりするけど、ある程度年を重ねてくると、「こんなにいろんな機会がある」っていうのを知ることもあるじゃないですか。
だから、どういうふうにうまいこと帳尻を合わせるかっていう手段も見えてくるんですが、若手の時ってそういうのがわからないから、さっき大川さんがおっしゃった「まずは(個人のWillと組織のWillを)切り離す」というのはすごく納得感があって。
高橋:昔、よく若手のキャリア研修とかをやってたんですが、みんなが悩むのが「自分のやりたいことと会社のやりたいことが一致しない場合、どうしたらいいんですか?」って、無理くり重ねようとしちゃう。
大川:ありますね。
高橋:人事の方から依頼されて、かつて大手企業のキャリア研修をやっていた時にいつも悩ましかったのが、「どこまで本音を引き出していいのか」というのを必ずお客と握らなくちゃいけなくて。
(一同笑)
高橋:例えば、「正直、合わないと思うんです」「正直、辞めたいと思ってます」みたいなセリフがうっかり出てしまったらダメという会社もあれば、「いや、そこはもういいんですよ」と言ってくださる会社さんもいて。ここをちゃんと確認しないで研修をやると、けっこう炎上することもある。キャリアって、けっこうきわどいじゃないですか。
大川:きわどいですね。
高橋:今の自分が合ってるかどうか、みたいな。この時代は、ある意味で言うと選択肢が増やしやすいなと思うのは、組織にいながらにしてできる選択肢がけっこう増えたことです。
大川:確かに。
高橋:20年前は、それこそ「辞めるかどうか」みたいな問題だったのが、(今の時代は会社に)いながらにしてけっこうできるから、落ち着いて考えればいろんないい道がとれることもあると思うんですよね。
村上:それは、例えば副業みたいな観点ですか?
高橋:お金をもらわなければ、週末に他人の会社を手伝うとかもやれるじゃないですか。
大川:プロボノですよね。
高橋:あとは、まさしくローンディールさんがやられているように、レンタル移籍みたいな手段もあると思います。体験するという観点で言ったら、顔を合わせないで一緒に仕事ができる環境がこれだけ整っていれば、なんでもできますよね。
大川:今、めちゃくちゃ恵まれてる気がしますよね。けっこう僕もプロボノ的なことをやってたんですよね。自分ができるかわからないから、WillはあってもCanに自信がないし、Canがないので。昔で言うと資格取得がわかりやすくて、僕も30歳ぐらいの時に中小企業診断士を取ってました。
だけど、実際にやってみないとわかんないことがたくさんありました。そういう機会を作ったり、手を上げて首突っ込んでみて、対価はないけどCanをちょっとずつ醸成していくと、「やっぱり俺がやりたかったのはこれなんだ」と、Willの輪郭がはっきりしていくんですよね。
あと、当時は「中小企業よりも大企業のほうが支援したいな」というのを確認したりとか、そんなのもけっこうありました。やってみるのも大事だし、やってみる機会がめちゃくちゃあるのは、すごく恵まれた時代になってきたなとは思いますよね。
村上:なるほど。自分のWillの輪郭がはっきりするという意味でも、行動してみる。ありがとうございます。
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