2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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「営業職が入りたい会社、入りたくない会社」と題したイベントに、白潟総合研究所株式会社の石川哲也氏と株式会社セレブリックスの梅田翔五氏が登壇。本記事では、近年のキャリア志向のデータを元に、営業職が入りたいと思う会社作りのヒントを語ります。
石川哲也氏(以下、石川):ここからは梅田さんの「セールスが望むキャリア」です。4つの稀少性のうちの、まさに「自分はどうなれるのか?」の部分で、営業はどう考えていて、どういうふうに見ていけばいいのかをお話しいただけたらと思います。では、梅田さんお願いいたします。
梅田翔五氏(以下、梅田):よろしくお願いいたします。ごあいさつが遅れましたが、株式会社セレブリックスという会社で、SQiL Career Agentという営業職に特化した人材紹介サービスの事業責任者を務めている梅田と申します。ここからお話をさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
今日のタイトルは「営業職が入りたい会社、入りたくない会社」ですが、まさに僕はふだんサービス上で、営業の方々と何回も面談を繰り返しています。
「どういうキャリアを実現していきたい」「どういう会社に入りたい」といったことをディスカッションしている人間ですので、特にZ世代と言われる最近の世代の方々がどんなことを考えているかといった、トレンドをお話しできればと思っています。
簡単に僕の経歴についても自己紹介をさせていただきます。僕はセレブリックスが5社目で、入社してまだ2年ちょっとぐらいです。これまでは何をやってきているかと言うと、新卒では大手の製薬会社でMR(Medical Representative:医薬情報担当者)という病院を回る医薬品の営業をしておりました。
2社目がすごく変わった経歴でして、これは営業じゃないんですが、僕はブレイクダンスという頭で回るような競技を14年間ぐらいやっていたことがありまして、ダンススタジオを自分で1回起業していました。
起業した会社を1回たたみまして、3社目では大手の人材会社に戻って、ここでも営業をやっていました。営業マネージャーを務めた後、4社目はSaaSです。最近流行りのITプロダクトのスタートアップベンチャーで営業のマネージャーを務めて今、という経歴です。
梅田:今も含めて営業の組織マネジメントを3社で経験してきているのと、自社の採用面接も合わせると、営業パーソンの転職支援・キャリア支援はおそらく2,000人ぐらいはお話ししてきているので、わりと詳しいかなと思います。
あと、ちょっとおこがましいんですが、「S1グランプリ」という日本一の営業を決める大会があって、みなさまの応援もあって2023年に準優勝することができました。わりかし営業には詳しいほうなんじゃないかなと自負しておりますので、今日はそんな立場の者がお話ししていると感じていただけたらと思います。
ここから今日の内容に触れていくんですが、「営業パーソンが望むキャリアの傾向」が主題でして、内容としてはこの3つをお話ししていきたいと思います。1つ目は「近年の若手営業パーソンの志向性」のお話をさせていただきます。
こちらはパーソル総合研究所が出している調査結果です。これは営業にかかわらずなんですが、「20代が仕事を選ぶ上で重視すること」について、パーソル総研が2019年から5年間ずっと調査をしてきています。
赤で色が付いているところ、青で色が付いているところ、白のままのところの3ヶ所あると思うんですが、赤は5年間で5ポイント以上上昇した結果で、青は5年間で5ポイント以上減少した結果になります。なので、赤は1つだけですね。
「いろいろな知識やスキルが得られること」という項目が、5年前よりも8パーセントも上昇している。これは、この調査結果の中で最も数字が上昇している結果になります。これだけ見ても、営業にかかわらず、最近の若手の方々は自分のスキルや知識に関しての関心度・重要度が上がっていることは明らかかなと思います。
一方で青のところは何かと言うと、「休みが取りやすい」「職場の人間関係が良い」「仕事とプライベートのバランスが取りやすい」「通勤の便が良い」とか、いわゆるワークライフバランスや働き方のところですね。
このあたりがランキングでは上位に入ってきているので、決してないがしろにされているものではありませんが、以前よりも関心度はちょっと落ちてきている。なので(青いところも)重要視しているけど、「やはりスキルや知識って重要だよね」と考える方が増えてきているということが、この調査結果から読み取れることです。
梅田:また違う調査結果なんですが、これはRevCommという営業のITツールを提供している会社が出している調査結果です。営業職の中でも、MVPとかを受賞した人たちだけを対象にしています。
「今後、営業職において『リスキリング』の重要性は高まってくると思いますか?」という質問をしているんですね。見たらわかるんですが、90パーセント以上が「そう思う」と回答している。なので、営業の優秀層の多くは「リスキリング、学び直しの重要性がやはり高いよね」と感じている。
同じ調査なんですが「なんで『リスキリング』は重要だと思いますか? その理由を教えてください」という質問もあります。一番多いのは「勉強し続ける姿勢が重要だと思うため」。
それ以外にも「オンライン営業になって、より一層スキルが求められていると感じる」「ジョブ型雇用に移行が進んでいますよね」とか、いわゆるトップセールスの方々は、いろんな側面からスキルをアップし続けていくことの重要性を感じている。
この2つの調査結果と、僕がふだん営業職の方々の転職やキャリアの支援をしていても感じることですが、求職者の方々は「成長」だけを求めているわけではないんですね。
お給料ももちろん欲しいし、働き方も気にしてはいるし、社名やブランドが気になったりする人もいます。ただ、優秀層ほど「自分自身の成長」という項目を外すことはほぼないだろうなというのが、僕の最近の所感です。
なので、今日ご覧になられているのは人事や経営者の方々も多いのかもしれませんが、優秀な営業を採るとなると「うちではこういうキャリアが歩めるよ」「こう成長できるよ」という話が確実に必要になってくるだろうなというのが、僕の伝えたいことの1つ目です。
梅田:ここでみなさんに一瞬考えていただきたいんですが、営業における「成長環境」って何ですかね? 「成長したい」「成長環境に行きたいです」って求職者はよく言うんですが、「具体的に何ですか?」と聞かれると、さっと出る人はたぶん少ないんじゃないかなと思うんですね。
この「成長環境」と言われるものの構成要素について、僕なりに大分類として6つにまとめてみました。
1つ目は「業務の内容」、2つ目は「一緒に働く人」、3つ目は「その組織のカルチャー」、4つ目は「その組織のルール」。そして5つ目が「会社の教育体制」、最後に6つ目が「人事制度」。
なので「営業職の成長環境」と言っても、たぶん求職者の方々もイメージしているものがそれぞれ違うんですね。大企業に行って、教育体制に期待して「成長環境に行きたいです」と言っている人もいれば、ベンチャー企業にチャレンジして、すごく多岐にわたる業務範囲の中で、挑戦しやすい雰囲気の中で成長環境と言っている人もいると思います。
なので、「自社は成長環境として何を持っていて、どのような成長環境をイメージしている方々にその情報を提供すべきか」という話が、ペルソナと自分たちの伝えたいことのセットで考えていく必要があるんだろうなと感じております。
この中でも僕がより深く触れていきたいのが、右下の「キャリアパス」です。実を言うと、ここ最近、転職支援・キャリア支援をしていて求職者からものすごく出ることが増えてきたワードなので、ちょっと触れさせていただきます。
梅田:そのまま、2つ目の内容の「採用や組織づくりが順調な会社のキャリアパス」のお話をしていきます。
今日ご参加の方々はIT企業じゃない会社もきっと多いと思うので、「うちは違うな」という方がいらっしゃったら大変恐縮なんですが。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、営業の世界はIT業界を中心として分業化が進んできているんですね。
「分業化って具体的に何?」という話なのですが、従来の営業は、営業が自分で見込み顧客を獲得してきて、自分でアポを取って、自分で商談して、自分で受注して、そして受注後のフォローや納品も営業がやる。このすべての作業を営業がやっていたのが今までの営業です。
直近の4〜5年ぐらいでIT業界から始まったのが分業型で、「The MODEL型」と言われたりします。見込み顧客を獲得するのはマーケティングの仕事で、そこから商談機会やアポを取るのはインサイドセールスの仕事。商談をして受注までするのはフィールドセールスの仕事。
そして受注後の対応は全部カスタマーサクセスがやりますというかたちで、今まで1人でやっていた営業活動を4つに切り分けて、それぞれ担当者を分けていくというのが、最近どんどん浸透してきている営業のスタイルなんですね。
この分業化なんですが、ある落とし穴と言いますか、1つの組織課題にぶつかり始めています。分業化というのは、その会社や組織にとっては都合がすごくいいんですね。
なぜかというと、業務を細かく切り分けることによって教育が簡単になったり、営業も業務をキャッチアップしやすくてPDCAも回しやすくなったりするので、成果は出しやすくなるんです。
梅田:ただ、業務が細分化されすぎることによって、業務をやっている営業パーソンがキャリアの閉塞感を生みやすい。これが転職理由や退職理由につながっているという組織が、実を言うと今はかなり増えてきています。
分業化された営業の組織を例として作ってみました。一番下にマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスとメンバーがいて、その上に課長がいます。
部長になると、マーケとカスタマーサクセスはそれぞれ部長がいて、セールスは1つにまとめられることもけっこう多かったりするんですが、その上に経営陣や事業責任者がいる。
こういう組織がけっこう多いんですが、ここでセールスの話だけしておくと、例えばインサイドセールスというアポを取る仕事をしている方々は、自分が課長に上がることまではイメージができるんですね。フィールドセールスも同様で、課長ぐらいまではキャリアのイメージが湧く。
ただ、その先ですね。「あれ。俺、この会社でインサイドセールスしかやってきたことないけど、このままフィールドセールスも管轄するセールス部長ってなれるんだっけ?」「インサイドセールスしかやってきていないけど、いきなりマーケの部長にはなれないよな」とか、急にキャリアがどんづまるようなイメージを持つ方はすごく多いんですね。
これはフィールドセールスも同じで、「フィールドセールスしかやってきていないのに、課長以上っていけるんだっけ?」とか、分業型が進みすぎることによって「課長が限界説」みたいな感じのイメージを抱いてしまう。実際は限界かどうかはわからないですよ。
その方のポテンシャルや能力にもよるので、どこが限界かは人それぞれなのですが、キャリアのその先のイメージが持ちづらいというのが、最近の分業型の営業組織にはよくある課題になってきています。なので僕が声を大にして言いたいのが、営業組織の分業化は、柔軟なキャリアパスが本当に必須になってきていると思います。
先ほどの図の話に戻ります。例えばインサイドセールスの後に1回メンバーでフィールドセールスを経験していれば、課長になった時も「インサイドもやったことがあるので部長にいけるよね」といったイメージを持たせやすい。今、キャリアパスを柔軟に作っていくことの重要度が非常に上がってきています。
求職者の方々が企業を受ける前に、めちゃくちゃ聞いてくる質問があるんです。「この会社って異動はしやすいですか?」。これ、最近ものすごく多い質問なんですよ。
「その会社の中でキャリアが固定化しちゃわないか」「ずっと同じことをやらされるだけなんですか?」という質問が、かなり増えているのが僕の体感としてあるので、キャリアパスは重要だよねというお話でした。
梅田:最後に3つ目の内容の、営業スキルは実際にキャリアの中でどのように活かされていくのかというお話をして終わりたいと思います。
フレームワークを1つご紹介をさせていただきたいんですが、これは人材系の会社ではけっこう有名な、リンクアンドモチベーションという会社が提唱している人材要件フレームというフレームワークです。ビジネスパーソンのスキルを後天的に獲得できる可能性を縦に並べているんですね。
ご注目いただきたいのは上から2つ目までなんですが、後天的に獲得がしやすい、後からでも学びやすいものを「テクニカルスキル」としています。業界、職種、地域に関する専門知識・技術とかは、勉強したり業務をやっていけば後からでも身につけられるよねと。
次に上から2つ目が、テクニカルスキルよりは後天的に身につけるのが難しいというものです。これは「ポータブルスキル」といって、持ち運びできるスキルのことです。人事をやっている方だとよく名前を聞いたことがあるんじゃないかなと思いますが、業界・職種・地域を超えて求められる社会人としての基礎力。
もうちょっと具体的に言うと、例えば「対課題力」は、問題解決の能力やロジカルシンキング。「対自分力」は、内省する力や自分の思考を言語化する力ですね。「対人力」は、コミュニケーション力を指しています。こういうポータブルスキルは、現場レベルのテクニカルスキルよりも後からじゃ身につけにくいよねと。
よく企業さんにも求職者の方々にもお伝えしているんですが、「営業スキル」というワードがあると思います。「営業スキルを身につけたいです」「うちの会社は営業スキルが身につきます」ってよく言うと思うんですが、営業スキルというのは上2段(テクニカルスキル、ポータブルスキル)の総称だと考えています。
テクニカルなスキルも身につくし、対課題力やポータブルスキルも身につくのが、トータルで営業スキルだという考え方だと思っています。ここを切り分けて考えて、採用要件を作っていったほうがいいんじゃないかなというのが僕の考えです。
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