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リスキリングは本当に仕事に生かせるのか? VUCA時代、可能性を広げるためのキャリアの育て方(全4記事)

日本企業は社員を「子ども扱い」し、学ばない大人が増える 自発性が低い日本人にとって「リスキリング」が必要な理由

JAC Digital主催のイベント「リスキリングは本当に仕事に生かせるのか? VUCA時代、可能性を広げるためのキャリアの育て方」の模様をお届けします。元・日本マイクロソフト業務執行役員でJAC Digitalアドバイザーの澤円氏が登壇し、これからの時代のキャリアについて深掘りしました。本記事では、仕事に直結しない学びの重要性や、リスキリングにおすすめの学習法について語りました。

日本人は“勉強をしていない人”の割合がダントツ

澤円氏:そして、あえてここで、「日本」という非常に大きい主語を使いたいと思います。日本が残念な状態になった理由を、今からお話ししていきます。

これは、僕の本にも書かせてもらいましたが、(スライドに出ているグラフは)データとして出ているんですよね。日本は、「社外の学習・自己啓発を『とくに何も行っていない』人の割合」が、ダントツ(1位)です。

グローバル調査をして、こんな数字が出ているんですよね。2位のオーストラリアに、約倍の差をつけて、52.6パーセントですよ。(3位の)スウェーデンの人って、学んでいる印象があるんだけどな。意外。

ということで、日本は52.6パーセントも、「何も行っていない」人がいるんですね。良かったですね。今日、今この瞬間、ここにいる方は、この中に入っていないということですよ。何しろ学んでいらっしゃいますからね。なんとビジネスパーソンの過半数が、こういうセミナーにも一切出ない、という数字があるんですよね。

インドとかやばいですね。ほとんどの人たちが学んでいる。最もこれも「解釈」で、日本人で「私がやっていることは学んでいるうちに入らない」とちょっと控えめに考えた人が、そっち(何もしていない)につけていることはあるかもしれないし。

「YouTubeを見ていること、イコール学びである」と言っているインド人が多いのかもしれないので、これはわからないです。ただ、こういうデータがある。

社員を「子ども扱い」する日本企業

それと、アメリカのMBAで教えられていた言葉を共有しますね。「日本は社員を子ども扱いする」。アメリカのMBAコースの中で、「日本人をマネジメントする方法」という教科があって、そこの中で教えていた情報を友だちからもらったんですね。そして「子ども扱いすると子どものように振る舞う」のも、ある意味、自然なことですよね。

どういうことかと言うと、日本はめちゃめちゃヒエラルキカルにあって、管理的、官僚的な、ある意味で封建的な管理を好むわけですね。そういうマネジメントが横行している傾向があります。これはアンコンシャス・バイアスでもなんでもなくて、僕の経験値、一次情報です。

実際そのようにしてしまうと、「言うことを聞いたら褒められる」という感じのマインドセットになってしまうわけですね。あるいは「何かは与えられるものだ」というマインドになりやすい。

そうなってくると、言い訳をする人が出てきます。「教えてくれないからできない」「会社で活躍してほしいんだったら、教えてくれてしかるべきでしょ」みたいなことを言い出す人もいるわけですよね。

「教えてくれないからできない」のは、残念ながら、子どもの言い訳です。やはり、自分のために「学ぶ」のが、リスキリングにおいてはすごく重要。まず自発的であれ、ということですね。自発的にやらないと、なかなかうまくいかない。

そして、なんでこうなるのか、今日も別のところで話していたんですけれども、日本は、地位・肩書きと年齢(のグラフ)で、キャリアは自動的にアップしていくものだと思っている人が大多数だったわけですね。

昭和から平成の前半においては、それによってうまくいっていたんですよね。実際そうだったし、年齢が上がったら地位が上がって給料も上がる。そして一生安泰という世界があったんです。今となっては完全におとぎ話ですけれども、昔はそれがリアルだったんですよ。

その成功体験を得ている人たちは、今、爺ちゃん婆ちゃんだったりするわけですね。その人たちは、ものすごくデフレ大歓迎なわけですよ。もう知ったこっちゃないですね。「自分たちは成功体験を得た」と思ってしまっているし、「それでいいじゃん。私たちは幸せだし」となってしまうんですよね。それじゃアカンでしょという話です。

年功序列の考え方が抜けない人に欠けている視点

「年を取ればいい」という考え方が横行していたんだけど、「そんなわけはない」という話です。こういう(年齢と共に地位が上がる)角度を作るのは、人為的にやっていかないといけないんだけど、「何だよあいつ、自分より上に行きやがって」「俺より若いくせに同じポジションにいるなんて」と、嫉妬に化けたりする。

自動的に上がっていく時代は終わっているのに、何もせずに抜かれて文句を言うなんて、ナンセンスもいいところですよね。

じゃあ、そういう人たちには何が足りないのかと言うと、「外のものさし」です。世の中にはいろんな「単位」があることを知らないんですよ。世の中にはさまざまな価値基準、あるいは自分の価値の出し方とか、見せ方があるんだけど、それを知らないと、会社の中のルールだけがすべてになってしまう。

自分の価値を知るためには、「外のものさし」が必要なわけですね。これはもちろん、例えば副業をやるとか、いろんなところにボランティアに行くというアクションによって得ることもできるんですけど。効率的にできるのが、リスキリングという考え方なわけですね。

「学び」は多くの「単位」を知る手段ですよ。学ぶことによって、たくさんの「単位」を知るんです。「単位」は比喩表現ですよ。何かを推し量る手段。なので、さっきの「高い視座」とか「広い視野」とかは、学びによって得られるんです。その学びで多くの「単位」を知る。

そうすると「解釈」の方法も多岐にわたるわけですよ。自分のアンコンシャス・バイアスに極端に寄るのではなく、自分のいろんな選択肢の中で、「こんな感じかな」「こういう考え方もあるかもな」「もしかしたら、こういうことがあったんじゃないか」と、ササッと思いつくようになってくるわけですね。

“仕事に直結しない学び”の価値

「世界を動かそうと思ったら、まず自分自身を動かせ」と、ソクラテスさんも言っています。もうソクラテスの時代からそうだったんですよ。だから自分のために学びましょう。例えば、仕事に直結する何かのスキルを身につけることを、リスキリングだと思っている人がいるんですけど、僕は別にそう思わないんですよね。

ぜんぜん関係ないことでもつながってくると思います。それを僕は「布石」と考えています。「布石」ってわかりますかね。よく、囲碁の世界でちょっと離れたところにポンと石を置いて、「布石を打つ」なんて言い方するじゃないですか。

囲碁の世界では、そうやって「いつかつながる」感じで布石を打っていくのが、最終的には効果的になると聞いたことがあります。じゃあ、その布石になるような学びって何なのか。例えば、プログラミングは学びがめっちゃ多いです。

さあ、これも聞いてみようっと。「プログラミングを学んでいる、もしくは学んだことがある」人、どのぐらいいらっしゃいます? もちろん現役のプログラマーの方もいるかもしれないですね。学んだことがある。お、いるいる。すばらしい。いるけれども全員ではないですね。はい。ありがとうございます。

プログラミングは学ぶといいですよ。プログラマーを目指すだけが目的ではありません。つまり、プログラマーになるために、プログラミングを学ぶと思い込む必要は、ぜんぜんないです。

プログラミングを学ぶことにどういう効果があるかと言うと、世界が「条件分岐」でできていることがわかるんですよ。そう言われても、わからない人もいますよね。「条件分岐」は、if文とよく言われます。「if-then」みたいな感じで、「もしこの条件がこうだったら、こうしなさい。そうでなければ、こうなります」という「条件分岐」ですよね。

世の中の仕組みって全部「条件分岐」でできています。世の中の仕組みを知る上で、プログラミングは最適ですよ。プログラミングはいろんなかたちで応用が効きます。

「世の中の仕組みを知るのに、プログラミングは最適」

そうすると「どんな言語を学べばいいですか」と聞かれることがあります。このVSCode(Visual Studio Code)は、Microsoftのコーディング用の無料のツールです。これが一番と言っているわけではなくて、こういう無料で使える開発環境って、いくらでもあるんですよ。なので、ここからスタートするのも1つの手ですね。

ということで、世の中の仕組みを知るのに、プログラミングは最適です。言語は何でもいいですけどね。そして、テクノロジーについて学びたいんだったら、ぜひやって欲しいのがChatGPTです。これは課金する価値がありますよ。

「ChatGPTに課金していますよ」という人はどれぐらいいるでしょうか。どうだ、伸びるか。少ないなあ。ちょっと高いかもしれないですけど、月3,000円ぐらいだったかな(2023年11月時点/20ドル)。僕は課金しているんだけど、プログラミングの「この言語で、こういうことをしたいんだけど」と言うと教えてくれるんですね。

人に教わろうとすると、けっこう気を遣ったりしますよね。「同じ質問を何回もするのは申し訳ないな」とか、「このあいだも聞いたんだけど、また同じことを聞いたらバカだと思われるんじゃないかな」と感じるかもしれない。けどChatGPTさんは、どんなに同じことを聞いても嫌な顔1つせず、いくらでも辛抱強く教えてくれますからね。先生としては最高です。

たいていの言語にちゃんと対応してくれますから。あとGoogle Bardでもいいですけどね。ただChatGPTに課金するといろいろといいことがありますので、その価値はあるんじゃないかなと思います。

お、いいメッセージが来てるな。「情報が溢れていてインプットが多い現代では、何かを作るためのアウトプットによって得る学びを、意識的に行うことが大切だと思っています」。いや、そうです。あとでその話もしますね。

「ChatGPTは使い道が思いつかない」。だから「プログラミングの勉強をするのに使ってください」という話だったんですね。

その時にコードレビューにも使えるし、「こういう処理をしたいんだけど、どういうのが模範的なコードですか?」と言うと、テンプレートを出してくれますので。そうやって使ってもらうといいんじゃないかなと思います。

“英語のアレルギー”をなくすメリット

「英会話のバディにも良い」と。そうですね。「プロンプトが重要なスキルになる」。プロンプトも、おそらくは何年かすると自動化されていくんですよ。それが1年なのか10年なのかまだわからないですけれども、ただ、今の時点ではプロンプトができる。要するに、AIを賢くするための何かしらのコマンドを打っていることが、今の時点で非常に重要。

次、英語。「英語ペラペラ」は別に目指さなくてもいいです。ただ、英語でのコミュニケーションを身につける、もしくは英語のアレルギーを取り除く。苦手意識を取り除くだけで、ものすごくたくさんのいいことが起きます。

まず、アクセスできるデータがすっごく増えるんですよね。例えば文献や記事にガンガンアクセスすることができます。もちろんこれ、アクセスした後に、長い文章を読むのはちょっとしんどいからと、別のアプリやサービスに放り投げて、「翻訳してちょうだい」とやるのもいいんじゃないかなと思います。

ただ、まずはそのとっかかりの部分で、アクセスする時に英語が苦手なのはちょっとハンデになります。少なくとも苦手意識を持っているのがもったいない状態なので、ぜひ英語も勉強する対象として考えてもいいのではないかなと思います。

澤氏が行った、ハリウッド映画から学ぶ英語学習法

「英語はどのように学べばいいでしょうか」。もうドストレートな質問が来ましたね。じゃあ、僕のアイデアをシェアしますね。ちなみに、今は1個しか質問がきていないんですけれども、複数バーっと来た時には、「いいね」が多い順番から答えていきます。

今はもっと簡単な方法がいろいろあるんですけど、僕は1997~1998年頃にアメリカに出張に行った時に、見たことのある好きなハリウッド映画のビデオテープを買ってきて、家で見ていました。

字幕は入っていないけれども、ストーリーが頭に入っているので、「こういう言い回しをするのね」とそこで学ぶことができたんですね。それで語彙力を増やしていったんですけど、これは1個、問題があったんですよ。

僕が買ってきたビデオが『ダイ・ハード』シリーズだったんですね。それを見て英語を覚えて会話していたら「あんた、随分ワイルドな英語をしゃべるね」と言われたことが1回あるんですよ。もう覚えてないですけど、どうやら何かのスラングを言ってしまっていたみたい。

なので、できればラブコメぐらいにしておいたほうがいいと思います。アクション映画とかも、今DVDを買ってきて見たり、Netflixとかで見ることができますけれども。字幕を消して観ると物騒な言葉を覚えてしまいますからね。なので平和な映画をおすすめします。基本的にアメリカン・イングリッシュか、イギリスのブリティッシュ・イングリッシュの映画がいいと思います。

おすすめのサービスですけど、例えば「Grammarly」。文章を書く方は、思いっきり課金する価値がありますね。「Grammarly」を使っている人、どのぐらいいます? お、何人かいらっしゃいますね。

「Grammarly」は文法チェックのサービスです。あともう1つが「DeepL」というサービスですね。これは僕も思いっきり課金しますけどね。「ChatGPTで十分じゃない?」という意見もありますけど、両方使う価値はあるかなと思っているんですね。僕は「DeepL」と「Grammarly」、よく両方使っています。

おすすめの英語学習サービスの使い方

「DeepL」で自信がないやつを翻訳したり戻したりして、その後に「Grammarly」で文法チェック。「Grammarly」は、ジェントルな英語にするか、ビジネスライクにするか、カジュアルにするかも選べるので、そんな感じで使い分けることができます。ちょっと「Grammarly」を見せようかな。

これはたぶん履歴書か何かをやっている時かな。こんな感じで、「どういう意図で作るんですか?」とか「どういう意図でやっていますか?」みたいなのを選べます。Great jobが出ていますね。全部ちゃんとできたのが、これでわかります。

「DeepL」が日本語から英語に翻訳するやつですね。これはいろんな言葉を選べるんですよ。英語で「リスキリングは、ビジネスにおいて重要である」とかってやると、「Resurinkilling is important in business」とか右側に出てきてますよね。

これを例えば「Grammarly」に投げるとチェックしてくれる。「No issues found」で問題ないので、このまま使えます。「DeepL Write」になっていますね。

という感じで、英語も勉強をする価値はあるのではないかと思います。「もう翻訳ソフトがあるからいいんじゃないの?」とお思いになるかもしれないけど、少なくとも、まずは英語に対する苦手意識を、払拭しておいたほうがいいと思います。「勉強する」意思を持つことは大事かなと思いますね。

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