2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』著者で、SNSを中心にライフハックや仕事術などを発信しているF太氏。今回は「無理なく生きるコツ」をテーマに、自身の経験を踏まえたアドバイスを送ります。本記事では、仕事選びに悩んでいる人に向けて、F太氏流のアドバイスを贈ります。
F太氏(以下、F太):僕の中で1つおすすめなのが、仕事をやる優先順位がわからない時ってあるじゃないですか。それで悩む方はけっこう多いと思います。
山本沙弥氏(以下、山本):あります。
F太:すごく複雑なことを自分の心がけとして常に心に持っておくことって、できないんですよね。例えば「姿勢を正しくしよう」「常に笑顔でいよう」とか、意識しておくと良さそうなことっていっぱいあるじゃないですか。だけど、全部を常に意識しながら一日を送るって難しいんですよ。
『ドラゴンクエスト』をやったことがある人だったらわかると思うんですが、「ガンガンいこうぜ」「いのちだいじに」みたいな大まかな作戦ってあるじゃないですか。たぶん人間って、あれぐらいざっくりした作戦ぐらいしか覚えてられないんですよ(笑)。
山本:確かに。
F太:だから、今日一日どういう作戦でいくのか、一言のフレーズで表すとしたら何かを考えて、「今日は『ガンガンいこうぜ』にする」「目を見て話す」とか、ざっくりとした方針を1個だけ決めて臨むのはけっこう効くと思います。
山本:なるほど、ありがとうございます。
山本:それではまだまだ質問が来ているので次に移ります。「自分とは違う意見を言われた時に、後で『これを言ったらよかった』と時差でポンポン意見が出てきます。本当はその場で返したいので悔しくなります。こういう経験、F太さんはありますか? どうしたらいいと思いますか?」という質問です。
F太:これもすごくいい質問で、僕もめちゃくちゃあります。ホットプレート型なので、「いや、あれはちょっとおかしくない?」「あの言い方はなくない?」とか、そういうのが後から出てくるんですよね。
これに関して、僕が39年生きてきてなんとなく思うんですが、その場その場で臨機応変に気の利いたことを言える人がカッコいいのって、ドラマとか漫画でそういうシーンがよくあるからだと思うんですよ。
古くは『水戸黄門』から始まるというか、悪い人を成敗するみたいなカッコよさがあったりして、なんかスカッとするじゃないですか。気持ちいいんですよね。ああいうのが「仕事ができる」ということだと思い込まされている気がしていて。
山本:確かに。ドラマでは、成敗する時に「ちょっと時間をもらっていいですか?」とか言わないですものね。
F太:そうなんですよ(笑)。「冷静に考えたら」とか言わないじゃないですか。
山本:はい(笑)。
F太:「その場でガツンと切る」みたいなのがカッコいいとされている。
F太:冷静に「その場で気の利いたことが言える人」のことを思い浮かべてみてほしいんですが、言行一致している人ばっかりなのかを見てみてほしいです。
その場その場で気の利いたことを言うスキルを持っている人はいるんですよ。でもただそういう人って、もちろん能力のある人は言行一致するんだけれども、気の利いたことを言うことに特化している分、言ってしまったことを守れない人もけっこういるんですよね。
実際に行動が伴うかというと、言うことが大きいぶん行動が伴うのは難しいんです。だから言った後を見てみると、実はあんまり言行一致してないんじゃない? みたいな人が多かったりとか。
冷静になって、「本当にその場その場で気の利いたことを言う人が、すべての仕事ができるのだろうか?」という目線を持ってみてほしいんです。後から自分の発言や会議について振り返ることができるのは、1つの才能だと思うので。
山本:そうですよね。
F太:そっちの才能のほうが重要なんじゃないかって思うんですよね。後から自分の発言を振り返って、冷静に考えたらこう言うべきだったという反省ができるんだったら、そこで見えてきた「本当にやるべきこと」があるはずなので。
たぶんこういうことで悩む方は、それを実行に移してかたちにしていくために、コツコツと根回しするような動きのほうが向いていると思うんですよね。
山本:よく考えることができるということですものね。
F太:そうなんですよ。「よく考えることができる」という特長だと思うので、よく考えて、あとはそれをじっくりと根回しをする。もちろん、この人の悪口や悪評を広めるということではなく。
山本:(笑)。
F太:実際に、その会話をしたことによって見えてきたものがあるわけじゃないですか。「あの時、こう言えばよかった」にイマジネーションを使うよりも、「それをかたちにしていくために、自分ができることは何なんだろう?」ということを考えたほうが、そういう方の場合はものすごくいいものが出てくる気がします。
山本:確かに。その場で言うことだけが本当にいいのか? というところから見直してもいい気がしました。
F太:そうですね。
山本:ありがとうございます。まさに自己表現の話についても質問が来ていますので、読み上げていきたいと思います。
「質問です。自己表現や言語化が苦手です。感想や自分の意見を求められる場面で、自分の思いをなかなか言葉にすることができません。F太さんがTwitterでご自身の意見を発信する際に意識していることや、言語化のコツみたいなものはありますか?」ということです。
F太:なるほど。僕自身はしゃべることに対してそんなに苦手意識がないんです。ただ、今日はすごく久しぶりに人前でしゃべる機会をいただいたので、ぜんぜんしゃべってなかったからろれつがぜんぜん回らなくてやばいなって。
今、案内してくださっている山本さんと打ち合わせしている時に、「ぜんぜん言葉が出てこなくてやばいな」と思ったから。
山本:本当ですか(笑)。
F太:はい。毎日お風呂で4~5時間ぐらい、自分の言いたいことを口にするということをずっとやっていたんですよ。その中から、今の文脈に応じてちょうど良さそうなものを選んで言っている感覚があるんですね。
F太:そういうやり方もあるとは思うんですが、この質問をくださった方は、そもそも自分の言いたいことを表現したり、言葉にすることに苦手意識があるということです。まず、自分の言いたいこと・表現したいことをかたちにするのは、言葉だけではないというのは(頭の中に)留めておいていただきたいです。
音楽だったり、いろんなかたちがある。必ずしも言語化することが最善ではないということを頭の中にとどめていただいた上で、それでも言語化したい思った時に、この方のようなタイプの場合は「沈黙を怖がらない」というのがけっこう大事かなと思いますね。
「臨機応変に答えなきゃ」と思っちゃうからこそ、沈黙が怖くなったり、時間をかけて自分の思考をまとめることよりも、その場の空気を優先してしまうから、なかなか言葉が出てこないんじゃないかなと思うんです。
山本:確かに。
F太:ただ、僕みたいなタイプの人から見ると、めったにしゃべらない人がじっくり考えて何かを言おうとしているのって、すごく重みがあるんです。言葉の重みがぜんぜん違うんですよ。
ふだんあんまり話さない人がじっくりしゃべろうとしているのって、みんなが息を呑んで見るんです。もちろん、それがプレッシャーになるというのもわかるんですが。
山本:そうですよね(笑)。
F太:ただ、たぶん待ってくれるはずなんですよね。あるいは「待ってほしい」ということを、あらかじめ上司とかに伝えておくとかね。
F太:あとはもう1つ。「自分は発言をまとめるのにちょっと時間がかかるから、これについては少し考える時間をいただけますか?」というふうに言えるようにしておくとか。
もう1つは、文章だったら自分の表現をちゃんとまとめられるタイプの人もいるので、「この意見は後で文章でまとめてお送りするので、ご確認いただけますか?」という言葉を1つ言えるようにしておくとか。自分なりに自分の時間を稼ぐためのトークスクリプトを用意しておくのは、1つおすすめかもしれないです。
山本:先ほどの話とだいぶ通じますが、「すぐにレスポンスしないといけない」と思えば思うほど、頭が真っ白になっちゃうこともあると思うので。
F太:そうなんですよ。それで頭が真っ白になっちゃうのは、ちょっともったいないなって思います。別に(言語化する手段は)オーラルコミュニケーション、会話だけではないじゃないですか。
それこそコロナの時代に時期がリモートワークがあって、文章によってコミュニケーションする重要性にみんな気づき始めていると思います。
先ほどの質問にもつながりますが、必ずしもその場その場で臨機応変に、適切な言葉を返すことだけに自分の能力を開花させようとする必要はないんじゃないかな? という感じはします。
山本:確かに。ありがとうございます。
山本:じゃあ、質問の3つめですね。「好きなことを仕事にするのが億劫になります。それがいつか嫌いになってしまうのがつらいと思うのです。自分に合う仕事を『好き』で選ぶか『できる』で選ぶか。何を選んだら無理なく働くことができるのでしょうか」という質問です。
F太:良い質問ですよね。多くの方が悩んでいらっしゃるんじゃないかなと思います。SNSを見たり、いただく相談を見ていると、好きなことを仕事にするとか、得意なことを仕事にするとか、どういうふうに仕事を選んだらいいんだろう? というところがあって。
先ほどもお話ししたことにつながってくるんですが、「仕事の選び方」って簡単に言語化できる部分ではないんだと思うんですよね。だからこそ一人ひとりが、仕事の選び方や付き合う人の選び方とか、センスを磨いていく必要があるんだろうなという気がしていて。
先ほど「1日を2つに分ける」という話をしたと思うんですが、自分自身の準備の時間は、必ずしもタスク管理をするための時間ではないと僕は思っていて。
この時間に絵を描いたりする人もいると思うし、僕だったらひたすら文章を書くんです。文章を書くといっても、人の悪口をがっと書く時ももちろんありますし、noteを書いたりブログを書いたり、Twitterのつぶやきを書いたりする時もあるんです。その時その時に応じて、この時間をどう使うかは変わってくるんです。
F太:例えば、ジブリの音楽を作っていらっしゃる久石譲さんという方がいるじゃないですか。その方は毎朝楽器で同じ曲を弾くことによって、自分自身の体調を見極めたりするらしいんです。そうやって、自分自身を調律する時間としてこの時間を使っていたりするんですよね。
人によって、この時間をどういうふうに使うかは変わってきます。そういう時間があることによって、自分自身の「好き」とか「嫌い」をもう少し超えた、深い部分の判断基準が見えてくるような気がするんですよ。
僕は宮崎駿さんがけっこう好きで、あの人の動画をよく見たりするし、エピソードや文章が好きで読むんです。すごく印象に残っているんですけど、「面倒くさい、面倒くさい」と言いながら絵を描くんですよ。すごく面倒くさそうだし、すごくつらそうに仕事をしているんですよね。
あの人を見た時に、無理なく働いているようには見えないし、好きなことをやっているようにも見えないんですよね。「めちゃくちゃしんどそうじゃん」と思うんですが、でもどこかああいう仕事の仕方に憧れるし、やはり彼の生み出したものは人を感動させるわけじゃないですか。
そういう人たちの話を聞いていると、「好き」「嫌い」「得意」「苦手」というレイヤーじゃないところで仕事をしている感じがしませんか?
山本:確かに。ご自身の心の声に従ってやっている感覚はありますよね。
F太:そうなんですよ。でも、そこの部分は誰にでもある気がしていて。ただそこの部分の感覚って、忙しいと見えてこないものだと思うんですよね。
F太:奇しくも「忙しい」って、「心を亡くす」って書くじゃないですか。忙しい時って、やはり何かがなくなっているんですよ。そうすると、すごくわかりやすい選択基準で物事を選ぶようになってしまう。
心がなくなっちゃっている状態に気づくためにも、準備のフェーズを自分の時間の中に作ることが大切だと思っていて。その時間を過ごすことを自分に許可することで、「好き」とか「嫌い」というレイヤーを超えたところで、自分がやるべきことが見えてくるんじゃないかなと、なんとなく思っているんですよね。
でも、それはたぶん「無理なく働く」ということにはつながらない気がします。ただ「無理をしている」ということで、自分の中で心の底から納得できる選択ができるようになっていくような感じがするんですよね。
山本:確かに。本当にコメントもたくさんいただいているので全部取り上げたい次第なんですが、時間が……。
F太:ありがとうございます。後ほどコメントをすべていただいて、どうせ今は働いてないので僕のTwitterでお答えしていけたらなと思います。
山本:ありがとうございます。
山本:本当に名残惜しいんですが、そろそろお時間になってまいりました。F太さん、ご覧いただいている方に向けて、あらためて最後にメッセージをお願いできますでしょうか。
F太:もう話せることは全部話し尽くせたかなとは思うんですが……最後の質問にもつながってくるんですけど、言いそびれた部分というか。どうしても僕、具体的な何か提案をしたくなっちゃうんです。
「自分が仕事を選ぶ基準がまるでないのがしんどいんじゃん」という方に向けて、これは僕の場合なんですが、「好きとか嫌いにかかわらず『やらざるを得なかったこと』ってないですか?」というのは、1つ考えてみてほしいなと思うんですよね。
例えば僕の場合は、好むと好まざるとにかかわらず、悩んだ時はとにかく書いていたんです。文章を書いていたことが、結果として今の仕事につながっているんだろうとは思うんですが、それが好きだったかというとめちゃくちゃしんどかったんです。やらざるを得ないから書いていた、みたいなところがあって。
誰に頼まれるでもなく、誰に褒められるでもなく、なんか昔からやっていることって、どんな仕事をしようが、それを仕事にしなかったとしても仕事じゃない部分でやっちゃうんですよ。
F太:僕が公認会計士の勉強をしている時のTwitterみたいに、「文章を書く」ということをメインにしてなかったら、結局どこか副産物みたいなところで(文章を書くことを)やっちゃうんですよ。「だったら仕事にしちゃったほうが早くない?」と思うんですよね。
山本:確かに。
F太:「好き・嫌い」「できる・できない」って未来に意識が向いているんですが、さすがに20年、30年生きてきたら、どうしても続けちゃっていることがあるはずなんですよね。諦めて見つめて、それをどうにか使えないか? というところにシフトしたほうが、たぶんすんなりと見つかるものがある気がします。
山本:ありがとうございます。本当に息をするようにやっていることとか、無意識でやっていることがありそうな気がするので、仕事を選ぶ上でそこを考えていただくのもいいんじゃないかなというお話だったかと思います。「ありがとうございました」というコメントもいっぱい来ていますね。
F太:たくさんの方が聞いてくださっていたんだなと思ってうれしいです。ありがとうございます。
山本:本当に名残惜しいですが、これでお開きとしたいと思います。F太さん、本当に今日はありがとうございました。
F太:こちらこそです。ありがとうございました。
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