2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』著者で、SNSを中心にライフハックや仕事術などを発信しているF太氏。今回は「無理なく生きるコツ」をテーマに、自身の経験を踏まえたアドバイスを送ります。本記事では、転職するかどうかで悩んだ時の“考え方”や、仕事に対する向き合い方など、F太氏流の仕事術を語りました。
山本沙弥氏(以下、山本):次のテーマに行くと、1年間浪人されて大学に進学したんですよね。
F太氏(以下、F太):はい。1年間浪人して、大学には「やりたいことを見つけにいく」という感じで行ったんです。自分の悩みをすべて丸投げして、ちゃんと期限を決めて、目標もちゃんと立ててという、この3つがそろうと人間は馬力が出るなということをここで学んだんですよね。
目標のケツを決めて、ちゃんと自分の達成したい目標を具体的にする。これがけっこう大事だなと思うのは、失敗したら失敗したってわかるような設定にしないと失敗を受け入れられないので、ズルズルと浪人を繰り返しちゃったりするとか、そういうことにつながります。
一度決めた目標と失敗をちゃんと受け入れられるように設定するのが大事です。あと、一度決めたらそれが終わるまでは全部の悩みを丸投げするという、この3点セットが大事だなと思って。
大学4年生で公認会計士の勉強をし始めた時も、けっこうこれを意識してやるようにはしていました。だから、2年間というふうに決めて試験勉強をし始めました。受からなかったんですが、当時Twitterが流行り始めたんです。
1人で勉強するのはすごく寂しいし、なかなかつらいし持たないんですよ。年単位で何かを目標するとなった時に、同じ目標を持っている人が近くにいないと集中力って持続しないんだなというのは、ここで学びましたね。「そういう仲間も必要なんだ」というのが、プラスアルファで学んだことですかね。
山本:ありがとうございます。今、かなり「いい失敗」についてお話ししていただきました。1、2、3をもう一度復唱で言ってもらってもいいですか?
F太:1、目標の期間を決める。2、失敗したか・成功したかがちゃんとわかるような目標を立てておくこと。3、悩みを全部ペンディングすることですかね。
山本:なるほど、ありがとうございます。
山本:みなさんのコメントでも「支度が遅くてよく怒られてました」「『悩みのペンディング』というワードが刺さりました」と、同じような境遇の方がいらっしゃるかもしれないですね。
F太:そうですね。たぶん後でお話しするかなと思うんですが、「悩みをいかにペンディングするか」というのは、「悩みを放棄する」というわけじゃないんですよ。ここがけっこう重要で、悩みを先送りしているだけでいずれ立ち向かわないといけないんですよね。そこが「思考停止」とはちょっと違うんですよ。
ここで「問題を見て見ぬふりをする」というふうになると、やはりメンタルが少しやられてくるんですよね。
そうじゃなくて、ちゃんと期限を決めてペンディングすることによって、いずれは向き合うんですよね。上手に悩みをペンディングしていく方法を、わりと僕は模索してきている感じがしますね。
山本:なるほど。悩み方でも、そのほうがヘルシーな悩み方な気がする。
F太:そうなんですよ、いいことを言いますね。ヘルシーな悩み方をしないといけないんですよね。
山本:なるほど、ありがとうございます。
山本:次の段階が「試験に落ち、はじめて就活をするも心が折れる」ですね。
F太:僕は公認会計士の勉強を始めたんですが、その時にTwitter(現X)が流行り始めて夢中になってしまって、試験勉強がわりとないがしろになってしまった自覚はあるんです。
山本:そうだったんですね。
F太:でも今となっては、その時がんばったTwitterが結果として自分自身の仕事につながっているので。「塞翁が馬」と言ったりしますが、何が仕事につながるかとか、本当に何が役に立つかはわからないなと感じましたね。
山本:本当にそうですね。でも、まさかTwitterのほうにベクトルが向いて(試験に)落ちたというのは知りませんでした。
F太:そうですね。ある意味、何か1つのことをがんばろうとするのは悪くないことだと思っていて。結果として、僕は公認会計士の試験は向いてなかったなって思うんですよ。正直、公認会計士の仕事って、実際に受かっていても続けられなかっただろうなという感覚があるんですね。
でも、だからといってその試験勉強がムダだったかというと、そういう気もしなくて。合っていようが間違っていようが、とりあえず何か1つのことに集中していると、それが自分にとって正解じゃなかったとしても“副産物”が生まれるんですよね。
山本:なるほど、副産物。いいですね。
F太:僕の場合は「公認会計士の勉強をする」というメインのやるべきことがあったんだけれども、そこに集中できないというフラストレーションが常にあったんですよ。
Twitterを見ていると「1日16時間勉強しました」みたいなツイートをする人がいるわけですよ。「マジで? 俺、6時間も集中できてないけど」みたいな感じで、そういう人がいるのを横目に見ていたんですよね。
「ぜんぜん集中できない」というフラストレーションを僕はTwitterにぶつけてたんですが、結果としてフラストレーションというエネルギーでがんばっているわけじゃないんですが、すごく文章を書いていたTwitterが自分の中で育っていって今につながっているような感じです。
何かに集中しようとする、目の前のことに集中しようとすることによって、それが間違っていれば別のところにそのエネルギーが行くのでそっちが育つ、みたいなことが起こるんですよね。
山本:確かに。
F太:そういうのを期待して、とにかく合っているのか・間違っているのかはわからないけど、今の自分がやるべきことにしっかり没頭することが、どっちにしろいいものを生み出すという感覚はけっこうあります。
山本:ありがとうございます。F太さんに関しては、その時のTwitterだったということですね。
F太:そうですね。
山本:ただ、「就活をして心が折れた」と書いていますね。
F太:そうなんですよね。試験に落ちて、たぶん新卒で順当に行った人からしたら3年遅れとかで、僕は生まれて初めて就活を始めることになるんですよね。
3年も遅れている上に、しかも試験の勉強をしたけど結局は国家資格にも受からなかったという、ものすごく劣等感がある状態だったんです。その劣等感があるから、本当に「すごくがんばらなきゃ」という気持ちがものすごくあったんですね。
公認会計士の試験には合格できなかったけれども、その過程で簿記1級の資格を取ることができたので、「これを活かして、事務の仕事や会計の仕事に就職できないかな」と思って就職活動をしたんですが、ぜんぜん箸にも棒にも触れずにお祈りメールをいただくばっかりで。
ただ唯一、1社だけ最終面接まで行くことができて。「うわ、がんばろう」と思って面接の準備をして、しゃべることも用意して臨んで、僕の中ではちゃんと言いたいことを言って面接を終えることができたんですよね。
「もう出せることは出し切ったからいいかな」と思って帰ったんですが、その日の夜にものすごく胃が痛くなって、そこで初めて不安に襲われたんですよね。最終面接もそこそこうまくいったからあんまり悩むこともないし、あとは結果を待つだけなんだけど、今までで一番不安に襲われたんですよ。
山本:なんででしょう?
F太:「なんでだろう?」ってすごく不思議で。翌日に結果のメールが届いたんですが、お祈りメールだったんですよね。結局、受からなかったんですよ。その時に心の底から安心したんですよね。「ああ、安心するんだ」と思って、自分でもびっくりして。
山本:確かに。
F太:そこでようやく、自分自身のプライドや自尊心を守るために、2年間をムダにしないために、自分が明らかにやりたくない仕事や向いていないことを無理やりやろうとしていたんだなということに気づいて。
さすがにちょっと観念したんですよね。「これぐらい不安になってしまうような仕事を、さすがに続けることはできないだろうな」と、そこで諦めて。
F太:とはいえ上京しちゃっているし、生きていくために何か仕事をしなくちゃいけないので、「自分にできることって何だろう?」と考えたんです。学生の頃からコールセンターの仕事はしたことがあったので、けっこうストレスフルな仕事ではあるんですが、その分時給が良かったりするんですよ。
山本:確かにそうですよね。
F太:だから、新卒ですらないアルバイトとして東京で仕事をし始めたんです。
山本:なるほど。ちなみにちょっと話は戻るんですが、公認会計士の勉強をされていて、その流れで簿記の1級をさらっと取ったとおっしゃっていましたが、そのモチベーションというか、それはやりたいことだったんですかね?
F太:普通に勉強すること自体は嫌いじゃなかったし、苦手ではなかったんだと思います。「勉強する」というくくりでいったら、たぶん何でもよかったんですよね。
だから会計でなくてもよかったし、受験勉強でも本当に何でもよかったんですが、自分自身がいざそれを仕事にするとなった時に、勉強としてしか会計を見ていなかったことに気づいたというか。それを仕事にするってなった時に、ようやく臨場感を感じたんですよね。
だから気づかなかったんですよ。「自分にはこんなに想像力がないんだ」って、けっこうそこでびっくりしたというか。本当は興味がないことに2年間も勉強することができるということが、ちょっと怖かったですね。
山本:でもそれは、聞いている方もけっこう思い当たる節はあるんじゃないですかね。
世間で言う食いっぱぐれない資格の勉強や仕事を、「ここまでやってきたんだからもう戻れない」と思うことや「大学で4年間この勉強をしてきたから、新卒でこの会社を選ぶ」とかも、ぜんぜんある話だと思いますし。学費もかけているので、すごく思い当たる節がある気がしますね。
F太:そうですね。
F太:今からちょっとややこしいことを言うかもしれないんですが、「今の仕事が向いてないな」と感じるからといって、必ずしも今の仕事をすぐに辞めようと思う必要はないと思っているんですよ。
これも「臨場感」や「リアリティ」という話に近いんですが、今は実際に仕事をしているわけじゃないですか。僕の場合は仕事をする前の話なんですよね。
実際に仕事に触れながら、「この仕事って合っているんだろうか? 違うことをやったほうがいいんじゃないか?」と感じるのと、やったこともないことを自分の中で「向いているのか、向いてないのか」と考えるのは、似ているようでぜんぜん違うんですよね。
実際に仕事に触れた上で悩んでいるという状態は、ちゃんと自分の体を動かしながら悩んでいるから良い悩みだと思うんですよ。ただ、いざ「辞める」というところまでは、自分の中でリアリティが高まってないんですよね。
だからこそ「合っているのかな? どうなんだろうな?」とモヤモヤはするんだけれども、具体的な行動につながらないのは、なんとかやっていけているからじゃないですか。
その「まぁなんとかやっていけている状態」を無理に動かしたくなるんだけれども、自分自身がどういうタイミングでリアリティを感じるかは人によって違うので、あんまり自分でコントロールできないんですよ。
山本:それ、難しいと思いました。どこで判断したらいいんですかね?
F太:僕の中で、そういう小難しいことを考えた上でおすすめしたいのは、自分自身の中で「あ、無理だ」と思う瞬間って来るんですよね。
例えば、その人が仕事を辞める運命にあるとするじゃないですか。その運命にあるとしたら、自分で「辞めよう」って決めなくても、器に水が1滴ずつ溜まっていくようなイメージで、嫌なことや何かしっくりこないことがあると少しずつ溜まっていくんですよね。
ある時、もう悩む余地もなく「辞めよう」と決断する時が来るんです。それって、いつ来るかは自分でコントロールできることじゃないので。
山本:確かに。
F太:しかも、もしかしたら来ない可能性もあるんですよね。例えば仕事を辞めるか・辞めないかって、その仕事に就く難易度とかによっても変わってくると思うんです。
僕は公務員をやったことないからこれは想像だけど、例えばせっかく公務員になったのに辞めるのって、けっこう大きな決断だと思うんですね。
そういう仕事に就いた方が、自分のやりたいことをやるために仕事を辞めるべきかどうかですごく悩んでいらっしゃるのは、けっこう僕も目にしてきていて。難しいよなって思うんですよ。
F太:僕は今年39歳になるんですが、働いている人を10年以上ずっと見てきて、もちろん辞めた人もいますし、辞めずに続けている方もいらっしゃるんですよね。
いまだにそれで悩み続けている方もいるけれども、悩みながらも自分自身の人生のフェーズというか、それこそいろんなターニングポイントを経て変わってくるじゃないですか。
例えばパートナーができたり、子どもが生まれたり、そういったことによって状況は時々刻々と変わっていくんですよ。そうなってくると、「今いる環境、実はものすごく恵まれていたな」ってわかる時が来たり。
モヤモヤしながらもなんとなくがんばって仕事を続けていたら、自分がやりたいと思っていたことがその職場の中でできるような環境になっていた、ということも起きるんですよね。
だから本当に「何が起こるかわからない」という前提で、今の自分がやらなくてはいけないことに、いかに集中するかが重要だよなと思いますね。
山本:なるほど、ありがとうございます。ちょうど先ほど来ていたコメントで「回り道のようで、そうでなかったりなのかもしれないですね。意外とそこにヒントがあるかもしれません」。
F太:「意外と」なんですよね。本当にそうなんですよ(笑)。
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