2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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畑俊彰氏(以下、畑):では、よろしくお願いします。
福田聖輝氏(以下、福田):只今、畑さんからご紹介いただきました福田でございます。だいぶ過分な(笑)ご紹介をいただきましたけれども。
畑:いえいえ。
福田:私自身、特段何か得意なことがあるわけでもありませんし、優秀な人間でもないんですが、やはり長い間生きていますと、自分がやってきたことについて考える機会がございまして、今回お話しさせていただくことになりました。
私は、これまでも人間力を自分の生き方のテーマにしていまして、それと運の関係などをいろんな書物で調べたり、論文を見たりして、私なりに考えています。そのようなことをお話しさせていただいて、それが少しでもみなさんの参考やヒントになればいいのかなと思っています。
畑:よろしくお願いします。
福田:今日のテーマは「人間力が運を呼び込む」という大きなテーマなんですけれども、実際に私が経験してきたことを中心にお話しできればなと思っております。
最初に自己紹介をさせていただきますと、私は元は日本郵便の代表取締役副社長をしておりまして、現在は自分の会社である株式会社KTの代表をしています。あと数社の顧問や相談役をしているところです。
略歴としては、1970年に郵政省に入りまして、最初は郵便局での区分けの仕事から始めました。その後、郵政局、今でいう支社や本社で勤務させていただきました。
2009年に、郵便事業株式会社の執行役員として新東京支店長(郵便局長)や日本郵便株式会社東京支社長をやったりして、2014年に副社長になりました。2018年に退任しまして現在72歳、もうすぐ73歳になります。
みなさんもご一緒だと思いますが、仕事をやっていると大変なことがほとんどです。けれども、その中でもけっこう楽しかった仕事だけをちょっとご紹介しようかな。今やっていることを前段でちょっとお話しして、「こいつ、こんな人間か」と少しわかっていただくといいのかなと思っています。
福田:いろんな仕事があったんですけれども、特に郵政がこんなことをやっていると知らない方もたくさんいらっしゃると思います。けっこう楽しかった仕事で、日本郵便のシステムを海外に輸出しようという話がございまして、2015年からコンサルティングを始めました。
日本郵便からベトナムに専門家を派遣しまして、いろんな改善をしたんですね。例えばハノイとかホーチミンとかダナンの郵便局は日本の郵便局とまったく同じような形態をしているんです。
その結果、送達日数が2日短縮したとか、破損率が90パーセント低減したとか、お客さまの満足度が上がったということで非常に成果があり、けっこうおもしろかった仕事だなと思っています。
それから、ロシアなんですけども、ロシア郵便公社(ロシアポスト)との協業もやったんですね。1つはウラジオストクからシベリア鉄道を使ってヨーロッパに郵便を運ぼうというものです。
もう1つは、日本の逸品をロシアの郵便局で販売しようというもので、実際に販売したんですね。このように、海外に日本郵便のシステムや日本の商品、例えばラーメンとかも売ってたんです。
それから、これは畑さんも若干関わっていらっしゃったと思うんですけれども、日本郵便初のオープンイノベーションということで、ベンチャー企業のみなさんに日本郵便のインフラを提供して、いろいろなアイデアをいただき、それを事業に活用していこうということをやりました。
その時にドローンの取り組みも始めたんですけれども、今年の3月24日にはレベル4で(荷物配送の)飛行実験をやったと記事に出ていました。どんどん進化していてすばらしいなと思っているところでございます。
福田:また、日本郵便は全国で8万台ぐらいの郵便車が走っているんです。これも「こんなことをやっているのか」と思われると思うんですが、この頃、郵便車のEV化を始めまして、今かなりの台数のEVが走っています。
それから、バイクを使っている企業として、交通安全や安全運転にも取り組んでいかなくちゃいけないということで、プロのドライバーが走っているバイクレースに協賛し、支援しています。今年は、1,000cc2台と600cc1台、250cc2台の合計5台が全日本ロードレース選手権で活躍しているところです。
それから、私はけっこう「郵便おじさん」と言われていまして、この頃『ブラタモリ』だとか、武田鉄矢さんの番組といった、いろんな番組に出させていただいたのも楽しいところでしたね。
私は68歳で仕事を辞めたんですけれども、本職以外に人生の中でやりたいことが3つあったんですね。1つは、料理人になりたいという夢、もう1つはカメラマンになりたいという夢があったんです。
退職してから、焼き鳥の学校に行って修行をしまして、自分の店で3年くらい焼き鳥を焼いていたんです。そのうちに70歳を過ぎて、これだけじゃダメだと。もう1つの人生を生きなくちゃいけないということで、今度は昔からやっていたカメラを再び始めて、現在はたまに焼き鳥を焼きながら写真を撮る生活をしています。
今はもう1つの夢のために、全国を1人で旅しながら、キャンプをしたりしながら全国の橋を撮り歩いています。バイクレースの写真も撮りながら、第2の人生を謳歌しているところです。
福田:前段のお話はこれで終わりです。今日お話しさせていただく内容のだいたいの流れとして、まず私の人生はほとんど「運」だと思っているんですが、「運」ってなんだろうとか、運のよい人はどういう行動をしているのかなということを考えてみたい。
次に、「人間性」が大事だと言われますが、「人間性」の高い人はどんな行動をしているんだろうということを考える。じゃあ「運」と「人間性」を考えた時に、この(運も人間性もいい)人たちがやっていることはほとんど一緒だと。だからこれに対して「EQ」は一緒じゃないんだろうかというようなことを考えてみる。
もう1つ「人間力」という言葉がございます。これも生きていくための総合的な力と言われていますが、その関係はどうなんだろうか。私は「人間力」をこういうふうに考えていますよというお話をしていきたいと思います。
私がこれまでに取り組んできたこと、気をつけながら生活してきたことが12項目あります。これらと(人間力は)非常に密接な関係があるんじゃないかということで、その12項目についてお話しさせていただきたいと思っております。
私の人生の80パーセントから90パーセントは運だという話をします。私は人から「福田さんはなんで副社長になれたんですか?」と言われるわけですよ。特に優秀でもなかった人間が。その時に私はいつも「運です」と答えています。確かに自分でもそう思っています。
これまで本当にたくさんの人と出会って、会社でもいろんな時代を生きてきて、いろんな仕事と巡りあってきました。それらを1個1個振り返ってみると、これは運だったんじゃないかと痛感したことが幾度もありました。そして、自分の行動と運との巡りあわせに、なんらかの関係があるんじゃないかと思って、ちょっと検証してみようかなと思います。
「福田さんは運がよかったね」といつも言われるんですけれども、それだけじゃないんじゃないかなと思っていまして。運は誰にでも平等に回ってくるんじゃないかな。ただ、運を引き寄せる行動をしていたかどうかが問題なんじゃないか。(運が)来た時に、気づくことができるかどうか。
もう1つが、その(運に)気づいて乗れる準備ができているかどうかじゃないかなと思います。そのために何が必要かというと、運のいい人の行動にはいろんな特徴があります。(その特徴を)日頃から意識して行動することが大事なんじゃないかなと感じているわけです。
福田:最近見た雑誌で、大谷翔平選手や菊池雄星選手を育てた、花巻東高校の佐々木監督の話が載っていました。「何をやってもツイている人、空回りする人の4つの差」は何か。いろいろ書いてあるんですけれども、この監督も「菊池雄星を獲得できて運がよかった」とか「棚ボタだ」とか、いろいろなことを言われたんだけれども、俺だって努力したんだとムッとしていたそうです。
私もこのへんは若干共感するところがあります。佐々木監督は最近、運というのは、自らをコントロールしている人のもとにしか来ないんだとわかって、素直に喜べるようになったとお話しされていました。
それは何かというと、言葉や一緒にいる人、表情、態度(姿勢、身だしなみ)そして感謝と謙虚さ。この4つをちゃんと自分でコントロールできている人が、運を呼び込むんだと言われていました。
そのあとに、これもちょっと気になったんですが、大谷選手も菊池雄星選手もグランドにゴミが落ちていたらよく拾いますよね。菊池選手は、あれは「神さまが自分を試しているんだ」といつも思っているそうです。
ですから、私たちも何かやる時に「これは神さまが俺を試しているんじゃないか」「もしかしたらドッキリカメラが仕掛けられているんじゃないか」ということを思いながらやるといいんじゃないかなと思った次第でございます。
ワイズマン博士という方の『運のいい人の法則』という本があるんですけれども、「運のいい人の特徴」には4つの法則があります。法則1は「チャンスを最大限に広げる」、法則2は「虫の知らせを聞き逃さない」、法則3は「幸運を期待する」、法則4は「不運を幸運に変える」です。
要は、さっきの佐々木監督と同じような話なんですね。(運がいい人には)特徴があり、それはちゃんとチャンスをものにできるとか察知能力があるということだと思います。
福田:それから、最近出た『運の方程式 チャンスを引き寄せ結果に結びつける科学的な方法』という本があって、(この本に)「幸運=(行動×多様+察知)×回復」とあります。この言葉は、いろんな研究者による研究を(著者の)鈴木さんが自分でまとめられた言葉らしいです。
要は、幸運は試行回数で決まり、「試行回数×成功率」が物事の結果になるということです。ですから、チャレンジの総量を増やして、同時に行動を多様にしていくことが大事ですよ、と。
行動の源は好奇心だとか、多様性とはすなわち、薄くて広い人間関係を持つことが大事だとか、いろんなことが書かれています。もしまだ読まれていない方がいたら、読まれるといいかなと思います。
それから、これは私がだいぶ前に、自分の運ってなんだろうと考えた時に最初に買って読んだ本で、PHP文庫から出ている『強運を味方につける49の言葉』です。人生は何を感じ、何を考え、何を行動するかで決まりますよということで、49の言葉がずっと並んでいるんですね。
「『感謝できる人』に運が集まる」とか「(運気は)移動距離に比例する」とか。だから私、運がついてくるんじゃないかなと思って全国を走って移動距離を伸ばしているんですよ。
あとは「チャンスに投資ができる」「優しい言葉」「正論ばかり吐く人は運が逃げていきますよ」とか、「ごめんなさい」とかいろんなことが書いてあるんですけど、これらはみなさんが知っている言葉ばかりだと思うんですね。いろんな本を紹介しましたが、言われていることはだいたい同じような言葉じゃないかなと。
こちらの本は読まれた方もたくさんいると思いますけども、稲盛和夫さんの『生き方』という本です。「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という言葉が書いてありますけども、やっぱりこの本の中でも考え方が大事ということですね。
運命は自分の心次第ということが言われていまして。やっぱり運はただ回ってくるだけじゃなくて、自分がそういうふうに考えていないと回ってこないし、気づかないんじゃないかなと思います。
福田:さっきの49の言葉の中に、チャンスに投資すると幸運がくるという話がありました。私もちょっと考えてみますと、最初の仕事の中での運っていうのは……。実は郵便局って、配達する先のご家族の名前まで入った原簿が全世帯分あるんですね。
それが昔、私らが入った頃は手書きだったんですよ。これを全部コンピュータ化しようと、本社や支社など郵便局3社で取り組んだプロジェクトがありました。
私はそのプロジェクトに入っていたんです。1980年ぐらいですかね、当時の私の給料がいくらだったか覚えていませんが、40万円ぐらい出してこのパソコンを買ったんですよ。それはもう今では考えられないような、漢字もコードで入力しなくちゃいけないとか、フロッピーがないからテープレコーダーで読み込ませるような時代だったんです。
それを買って、この頃のBASICっていう言語を勉強したりですね。やっぱり何よりも良かったのは、そこでメーカーの方やサードパーティの方、本社や支社の方と知り合ったりしたことで、それが本当に、私が本社の副社長をやるまでずーっとついて回るぐらいのチャンスだったんですよ。
ですから、やっぱりこの時に大枚をはたいて買ったパソコンは、私に最後までチャンスをくれたなぁと思っております。
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