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これから必要となるキャリアの考え方(全5記事)

「成長」したい社員も「平衡」でいい社員も存在するのが企業 多様なフェーズ、マインドの人がいる組織に求められる力

グロービス経営大学院が主催した「あすか会議2022」。本セッションでは、パソナグループの髙木元義氏、フォースタートアップスの恒田有希子氏、そしてデンソーの原雄介氏が登壇したセッションの模様をお届けします。「これから必要となるキャリアの考え方」をテーマに、メンバーに当事者意識を持たせるために必要なものや、他人ではなく過去の自分と比べることの重要性などが語られました。

メンバーに当事者意識を持たせるには?

山岸園子氏(以下、山岸):続いて、白いシャツの方にマイクを渡していただけますでしょうか。

質問者2:ノムラと申します。先ほどと近くなりますが、選ばれる企業になるために、企業側でお金を渡せない時、マネージャーの方々は何を与えられればいいかに迷っていまして、何かございますでしょうか。

山岸:誰に答えていただきたいとかありますか?

質問者2:えぇと……恒田さんで(笑)。

山岸:じゃあ、恒田さんもう1回(笑)。

質問者2:ごめんなさい(笑)。

(会場笑)

恒田有希子氏(以下、恒田):たぶん3人が言っていたと思うんですけど、ミッションを渡せる会社だと思います。OKRや目標設定って、みんな1年に1回とかじゃないと思うんですよ。うちはOKRは3ヶ月に1回決めて、1週間に1回1on1してるし。「あんた今、何にチャレンジしてるの?」って。「1ヶ月前と比べて、3ヶ月前と比べて、あなたは成長していますか」と問い続けています。

それで成長感を感じていない人はたぶん達成感も感じないし、承認欲求も満たせないので、たぶん辞めちゃう。ミッションを渡せる会社かなと思います。

質問者2:ありがとうございます。

山岸:では、一番前の方にマイクをお願いします。

質問者3:アナザワと申します。この4月期にLEV(リーダーシップ開発と倫理価値観)を受講して、自責と他責のところですごく自己対話をしました。ようやく私も自責ができるようになってきたというレベルでして、今ベンチャーを2社と共同開業で医療の分野もやっているんですが、後輩や部下の育成をする中で、どうやったら自責を促していけるのか。

自分ですら最近ようやくわかってきたところを、どうやって周りに伝えていけるのかを迷っています。そこで恒田さんにお聞きできればうれしいなと思っております(笑)、お願いします。

(会場笑)

恒田:まず当事者意識を持ってもらうためには、欲望をアップデートしてもらう必要があって。「まぁこんなもんでいいや」と思われたら無理なんですよ。「別に私、給料とかいらないし、出世とかもしたくないし、新しいミッションとかちょっと難しいんでいいです」という人には無理なんですよね。

なので、自分が今接してる人に「もっとこうなりたいんです」という欲望をまず持ってもらう。それがない中で「当事者意識を持て」と言っても、絶対その人に納得感はないと思うので。

その上で「じゃあそこになるためにはどんな課題を解決すればいいと思いますか」「どんなスキルセットを持つべきだと思いますか」という話をしていったらいいのかなと。まずは、どうなりたいかというイメージです。

山岸:ありがとうございます。

多様なフェーズ、マインドの人がいる組織に求められる力

山岸:ここまで3人の質問に恒田さんに答えていただいた上で、私から髙木さんに質問をしたいんですけど。

恒田さんのおっしゃっていることはわかります。ただ会社にいるみんながめちゃくちゃ成長したいと思っているかというと、人によっては「いやいや、これぐらいでいきたいんですよ」とか。なんなら「今年はいろいろあって、けっこう平衡でいいです」とか、いろんな人がいるのも事実だと思うんです。

このへんの受け止めは、どういう心持ちでしていけばいいのでしょうか。

髙木元義氏(以下、髙木):恒田さんがいるスタートアップの界隈はとにかく前進で、上を向いて進んでいかなきゃいけない。けれどもいろんな企業がある中においては、たぶんいろんなフェーズやライフステージがあるので、そこに寄り添う力を持っていかなきゃいけない。

これは、0→1と1→10と10→100でぜんぜん違って、10から100のところにおいては、そういう考えを持った社員にも寄り添えるというか、環境を整えるのも実は会社としての強さになってくるので。

常にポジティブなシャワーを浴び続けると、それに疲弊することもあるんですよ。だからそうじゃなくって、心に余裕を持つとか、組織に遊びを持つとか、けっこうそういうことって大事かなと思っています。

山岸:ありがとうございます。もうお一方、ちょっとお待ちください。せっかくなので原さんにもこのくだりをおうかがいしたいんですけれども。やはりいろんなステージの方がいる中で、組織としての評価みたいなところで、どういう担保をしているとかってありますか。

原雄介氏(以下、原):大事なのは、いろんな人がいることです。みんなが「おー!」って感じの人だけじゃないので、基本的には多様な選択肢を準備して、自分で決めることです。そのステージ、ステージで自分で決めることが大事だと思います。

山岸:特にこの時代においては、自分でキャリアに責任を持っていくことが重要かなと思いました。

組織のパワーやイノベーションを生むもの

山岸:お待たせしました。端にいらっしゃる方、お願いいたします。

質問者4:トリイと申します。髙木さまに質問がございます。今回のテーマであるキャリア作りについての学びですが、私もなんとか去年、2回落ちたんですけども3回目でGMAPに受かって卒業できたんですけど。

卒業後にやったことは、金系が弱かったのでまず簿記を取ったこと。そして今はビジネスコンプライアンスの勉強をしているんですが、先ほど原さんもおっしゃっていたんですけど、時代に応じて弱いところを勉強したほうが自分の価値を高められるんじゃないかと考えて、今取り組んでいます。

ただ、勉強しても、私の会社は副業もNGなので、なかなか実技に活かす機会がなく、こういう場合にどうキャリア形成をしていったらいいかを教えていただければと思います。

髙木:ありがとうございます。大事なのは、自分がどういった人生を描いていきたいのか。そして、弱みのカバーをしていくということではなくて……。

ビジネスとして、共通言語として大事なところは学ぶ必要があると思うんですが、その次にいくのは自分の中で強いところ、光っているところ、もしくは輝かせたいところが何かを言語化できているかどうか。それを自分のライフステージや、今の状態をちゃんと明確にして行動をしたら、たぶん結果が出てくると思います。

一人ひとりがきれいな丸になれるわけではなくて、いろんな丸があってそれが重なり合うことで、組織のパワーやイノベーションなどが起こると思うんですね。その中における「自分の強みって何なの?」みたいなところを、ちゃんと出せるかどうかが勝負じゃないかと思います。

他人と比べず、過去の自分と比べる

山岸:残り2分となりましたので、最後に3人の方から参加者の方々にメッセージをいただきたいと思います。原さんからお願いいたします。

:一言で言うと「他人と比べない」。自分らしく。ここにいらっしゃる会場のみなさんでも絶対に一人ひとり、やる気スイッチや何が幸せかは違うので。それを自分でちゃんと見つける。で、他人と比べない。今の仕事を120パーセント全力でがんばるということをしていただけるといいんじゃないかと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

山岸:ありがとうございます。続いて恒田さん、お願いします。

恒田:もう先に言われちゃいました(笑)。なので私は付け加えるとしたら、特にスタートアップにおいては、過去の自分と比べて成長しているかですね。他人と比べなくていいんですけど、過去の自分と比べて3ヶ月前、半年前、1年前と比べて自分は自分のことを認められているのか。

自信って「自分を信じようと思う」ってことだと思うので、それって過去と比べて前に進んでいるかってことだと思います。

(会場拍手)

山岸:ありがとうございます。

髙木:私ももう「付け加えるとすれば」というところなんですけれども(笑)。「どうなるか」じゃなくて「どうありたいか、どうするか」だと思っています。マーケットのバリューがあるかとか、いろんなことが気になりますけど、そうじゃないですよね。

どちらかというと自分がどうしたいのか。どういう世界やどういう社会やどういう自分を作っていきたいのか。常に矢印は自分に向いている必要があると思っています。その一歩を踏み出す時に、やはり1人だとけっこう弱いんですよね。だから自分自身が一歩を踏み出せるポジティブな環境にいられるかどうかが大事かなと思ってます。

(会場拍手)

山岸:髙木さん、ありがとうございました。今日は、外部環境の変化に伴ってどういう人材要件がこれから求められるかについて話してきましたが、やはり最後は自分自身がどうありたいかが、自分の長い人生の豊かさを決めると思いますので。

ぜひここにいらっしゃるみなさん、特に在校生の方は、自分自身のキャリアをどう歩みたいのかについて考える時間を過ごしていただきたいと思います。あらためて、3人の方に大きな拍手をお願いいたします。ありがとうございました。

(会場拍手)

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