2024.12.03
企業の情報漏えいで最も多いのは「中途退職者」による持ち出し 内部不正が発生しやすい3つの要素
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岩田佑介氏:(以下、岩田):(ワーケーション推進のハードルの乗り越え方について)2つ目の論点は「労災や事故が起きた時どうするか?」です。
ここはシンプルで、「出張命令で行っています」という業務型の場合なのか、「明日は立科で働きます」と、完全に個人が私的旅行をしているついでに働いているのかで分岐します。
今回私がおすすめしているのは、出張型から始めることです。出張型であれば、原則出張中は労災に該当します。
ただ、「さすがにそれはちょっと業務じゃないな」という場合について、たとえば「泥酔している場合は労災に該当しない」というルールを覚えていただければOKです。
労災という言葉は人によって受け止め方が違っていて、「労災認定されちゃマズい」と誤解している人がいるんですね。「労災」という言葉から、労災認定って「会社がすごく悪い」みたいなイメージを受けちゃうんです。
「会社に余程の過失がある」「すごく危険な地域に行かせた」とかは別ですが、普通のワーケーションにおいて、怪我をされた方やそのご家族の方からすると、労災認定は受けたほうが補償が手厚いので、まずは「労災認定はネガティブではない」マインドを持っていただいたほうがいいかと思います。
岩田:よく労災のイメージとして、「メンタルヘルス」「過重労働」とメディアで騒がれるので、「労災=会社がめちゃめちゃ悪い」となっちゃっているんですよ。
そうじゃなくて、「普通にやっている時に事故が起きたことを保険で助けましょう」という制度なので、従業員の方からすると労災認定されたほうがいいです。
なのでどちらかというと、労災認定されないリスクを会社がきちんと補償してあげたほうがよくて。そこで問題になるのは、例えばレジャーとか、明らかに業務とはぜんぜん関係ない場合に起きてしまった事故です。
例えば、自由参加でダイビングさせていて潜水中に亡くなってしまった場合、業務との関連性が何もない場合は、出張命令で行っている間であっても労災認定の可能性は低くなってくるので、レジャーやアクティビティを入れるのであればおすすめは民間の保険です。
旅行保険みたいなものがありますので、そういったものに加入しておかれると、労災認定が下りなくても怪我をされた時の補償も手厚くなりますので、こういった観点で労災を見ていただけるといいのかなと思います。
岩田:私的旅行の場合、原則は完全に「業務に従事している間に怪我をしたのかどうか」が見られますが、これからワーケーションをやろうという方は業務型から始めるほうが論点がシンプルなので、出張命令を出して、「出張中は原則労災に該当します」というところだけ押さえていただくことになります。
今お話ししたような細かな論点をここに入れておりますので、ご覧いただけたらと思います。
チャットにご質問をいただいております。さっき私が「ホワイトペーパーを作っています」と言ったことに対して、「どういうものですか?」というご質問をいただきました。これは「和歌山企業課題解決ワーケーション」から資料を引用しております。私が監修している資料です。
個人情報の登録が必要になるんですが、今映っているキーワードで検索していただくと、ホワイトペーパーのダウンロードができますので、ご興味のある方はダウンロードいただけたらと思います。
岩田:最後の「経費はどうするのか?」という論点なんですが、これもシンプルです。出張型で「これは業務に必要ですよね」となるのであれば、基本的には経費で落としていくことになると思います。
ややこしいのは「ワーケーションの旅費とか宿泊費を会社が負担します」という場合です。これは難しいんですよ。
給与所得という考え方があります。要は、みなさんが毎月給与を20万円もらったら、「20万円の所得があるので税金を引きます」と、そこから所得税が引かれていると思うんですね。
交通費についても「ある一定の基準を満たさない時には、それは所得税の課税対象にしてくださいね」というふうになったりと、いろいろなルールがあります。
つまり、完全に遊びのワーケーションというか、「どこどこで働きたいです」と、個人が私的旅行の間で働く時に旅費を出しちゃうと、会社としては「その旅費って給与に近いよね」「本来給与所得として課税すべきものを旅費と名前を変えて払っているんじゃないの?」と。
そういう場合は所得税を引かなきゃダメだよねというのが所得税法の考え方なので、ポイントは「業務に紐づくか」「業務上必要なお金なのか」です。
業務上必要なお金であれば会社の経費対象なので、給与所得ではない。明らかに個人の私的な目的に対してお金を払っているとしたら、それは給与と同じような扱いなので所得税を引くことになります。
これと同じように、出張型や業務型のワーケーションだと、そんなに論点になりづらいと思います。
岩田:繰り返しになりますが、ワーケーションにいろいろなハードルを感じていらっしゃる場合や、企業の中でなかなか説明がつかない場合には、まずは業務型のワーケーションからスタートしていただくと、規程、労災の論点、税務の論点が非常にシンプルになります。
そういった意味でも、仕事メインの業務型ワーケーションからスタートしていただく。それに慣れたら、休暇型だったり個人のワークスタイルのニーズに合わせたワーケーションに進化させていくのが、ハードルをクリアする上では非常にいいのかなと思います。
ちょうどお時間になりましたので、いったんピッチトークを終了させていただきます。ありがとうございました。
上前知洋氏(以下、上前):岩田さん、ありがとうございます。一気にお話しいただいたので、聞いている方がかなりオーバーフローしているかもしれませんが、ここからはゆっくりと今のお話の説明の内容をもとに議論したいと思っています。
上前:さっそく渡邉さんにお聞きします。立科町にお越しになっているのは企業さんが多いので、おそらく岩田さんに言っていただいたような、出張命令の受け入れでの企業型でのワーケーションなのかなと思います。立科町の場合、今まではそういった受け入れが多かったんですかね?
渡邉:そうですね。聞ける範囲で聞いた自分の中でのデータは、95パーセントくらいの方々が出張命令です。
上前:やっぱり、ふだんはテレワークをされている方が多いんでしょうかね?
渡邉:そうですね。お問い合わせがある時に多いのが、「テレワークが続いてコミュニケーションが不足しているから、リアルで会おうね」というものです。裏を返せば、テレワークはずっとやっているということですよね。
上前:さっき岩田さんのご説明の中にありましたが、テレワーク規定があって、それが在宅なのか、あるいは在宅じゃなくてサードワークプレイスみたいなところで実施していくことをある程度容認されている。すでにできる可能性があるということなんでしょうか?
岩田:最近の相談として多いのが、「テレワーク規程で『いつでもどこでも働いていいですよ』というルールになっているんですが、みんな忖度してワーケーションはしていない」ということです。
「誰もやっていないからリスクがわかっていなくて、人事としても推していいのかわからない」「制度上はできるんだけど、わからない」という相談が多い気がしますね。
上前:「制度上できるようになっている」というのは、具体的には場所の話ですか?
岩田:はい、場所の話です。フルリモートで出社する義務もなくて、場所も「実家で働いてもいいし、自宅で働いてもいいし、カフェで働いてもいいですよ。地域の縛りもないですよ」となっているけど、自宅か実家かカフェ以外では誰もやらない。
みんな忖度して、「ワーケーションはさすがにちょっとダメなんじゃないか」みたいに思っていらっしゃる。それで進まないという声はよく聞きますかね。
上前:今のところって、まさにリスク管理の部分ですよね。
岩田:そうですね。誰もリスクがわからない感じで、それも個人型に寄っちゃっているからだと思うんですね。個人に「ワーケーションに行くかどうかを委ねますよ」だと、みんなワーケーションの原体験がないので、行く個人も怖いんですよね。
最初は業務出張というかたちで、オフサイトで開発合宿でワーケーションに行ったことのある人数が増えると、自由にしていても勝手に行く人が増えてくると思うので、最初は立科WORKTRIPのような出張型・業務型がいいのかなと思っています。
上前:とてもよくわかりました。要するに在宅ワークが続いて、あるいはふだんのテレワークで「チームとしてのコミュニケーション」が会社の課題になっている時に、テレワーク規定があるのだから、オフサイトでみんな集まってやろうよと。
出張命令やテレワークの延長線上にあるところを、まずはみなさんで経験していく。そういうところを踏んでいけば、社内文化としてもある程度ノウハウが醸成されていくんじゃないかというイメージですよね。
岩田:おっしゃるとおりです。
上前:ありがとうございます。とても勇気が湧くような話をいただきました。レジャーなどを組み合わせたワーケーションをした際、確かにそれはリスクですよね。「立科WORKTRIP」の場合はできる限り仕事に寄せているのは、そういったリスクを下げる理由にもなると思います。
渡邉さん、これまでの企業の受け入れ状況の中でマネジメントプランを提案する際に、「リスクをどのように下げようか」といったエクストリーム系の話は言われないのかなと思ったのですが、企業のニーズはいかがでしょうか。
渡邉:労災とかの観点から、「アクティビティを減らして『ワークマシマシ』にしたほうがいいですよ」と言ったことはないんですが、そもそもワーケーションの目的が「業務効率を上げたい」「滞っている仕事を一気に片づけたい」ということであれば、「アクティビティはいりませんよね?」と言ってしまうんですよね。
また、もう一方の考え方で、無理やりやらされているアクティビティがあったら事故が起きやすいかなと思っちゃうんですよ。
渡邉:例えば、チームリーダーの人が「チームビルディングを高めたいからみんなで一緒にカヌーで激流を下りましょう」と言った時に、運動が苦手な方が「言われたから参加しないとな」となると、怪我のリスクも増えちゃうのかなと思います。
「だったら、本来やりたいことは何ですか?」「チームビルディングです」「じゃあオフサイトミーティングとか、みんなで話し合いをすることでも叶えられるんじゃないですかね」みたいな。
余暇は余暇で、行きたい人が自由参加でワーケーションを中抜けして行けばいい。参加したレジャーでアクティビティ保険も入っていますし、旅行保険をかけている人もいるし、それはそれでスッパリ分けられるんじゃないかと思うので、遊びの部分は自由意志でお任せしますとは言っています。
上前:岩田さん、今のお話にコメントをいただいてもいいですか?
岩田:すばらしいやり方だなと思います。Vol.1、Vol.2でも議論になったと思うんですが、「社員旅行と何が違うんだ?」という話があったと思います。
社員旅行はまさに完全強制型で、みんなで同じアクティビティに参加させられて、同じ視察先に行かされることがあると思います。やっぱりワーケーションは業務がメインだし、業務の成果を出すために行くのが特に業務型のワーケーションです。
岩田:渡邉さんがおっしゃったように、業務時間中は業務に寄せたかたちで、アクティビティを入れるにしても、業務であることの納得感が出るようなアイスブレイク程度に留めておいて、完全にレジャーと切り分ける。
そうすれば労災論点上も、業務時間中なのか、完全に個人の私的行為なのかが線引きできる。なので、「個人の私的行為であればさすがに労災じゃないですよね。旅行保険でやってください」「業務中に起きたことは、業務にかなり密接に関連しているので労災ですよね」と、労災認定のものがわかりやすくなると思います。
リスクって、どちらに転ぶかわからない状態が一番気持ち悪いです。ご本人からしても、「この時間に起きたら労災だし、そうじゃなければ労災じゃないよね」とイメージがしやすいので、すごくいいやり方なのかなと思いました。
上前:ありがとうございます。そうなると、やはり「ワーケーションを何のためにやるのか」という目的設定が大前提としてあります。
例えば社内のレクリエーション的な話だけじゃなくて、しっかりと業務をしに行くんだと。しかもそこにリフレッシュとか、高原とかふだんとは違う越境学習の話もありますよね。
そういったところを成果として求めていくワーケーションであること、そこでしっかりと業務の成果を出すことがワーケーションの大上段に来ないと、なかなか社内の同意は得られない気がしました。
上前:岩田さんの資料の中で深掘りしたいところがありました。「社内規定やルールのQ&A」というちょっと細かい資料だったので、まだみなさんご覧になっていないかと思うのですが、一番左側に「ワーケーションにおいて、どのように人事評価すべきでしょうか?」という話があります。
ワーケーションのルール作りをする場合、例えばワーケーションに参加できる人たち・できない人たち、業務内容あるいは部署のルールの適用範囲を決めなきゃいけないと思うんです。
「ルールの適用範囲を決めた時に、逆に社内の軋轢が生まれるんじゃないかな」「あの部署はワーケーションに行けるようになったのに、こっちの部署はダメだよね」とか、正規・非正規の問題もあるかもしれませんよね。
次のフェーズでワーケーションの制度を作って実施していくとなった時に、実際に軋轢が発生するかなと思ったんですが、そこの乗り越え方はいかがでしょうか。
岩田:これも繰り返しなんですが、業務型なのか、個人なのかによって変わってくると思っています。
個人型で、働き方やワークスタイル、職種や正規・非正規で差があるのは個人の働き方に関してなので、公平感はどうやっても出しづらいと思うんですよね。
業務型のワーケーションは、達成したい業務目標やミッションがあるはずなんですよ。そこに紐づいて、関連する人は行こうねという話なので、業務型はこの不公平感はかなり整理しやすいんじゃないかなと思います。
岩田:例えばよくあるのが、事業開発系や新規事業を作る方がインスピレーションを得るためにどんどんワーケーションしている事例です。
チームビルドで言えば、「価値観をみんなでシェアする研修をやりましょう」だと、その日は通常業務じゃなく普通にオフサイトとして、職種関係なく、現場作業の方でも全員ではなく分けて交代制で行けばどこでもできます。
なので、業務型だと不公平感の払拭がかなりできるのかなと思います。ただ、個人型はやっぱり難しいかなと思います。
要は「リモートワークが完全にできて、企画職で、いつでもどこでも同じパフォーマンスで、あるいはワーケーション先に行ったほうがよりパフォーマンスが出る」という前提なので、職種間不公平が残る。それにはまだ解決策はありません。でも、業務型であれば問題なくいけるんじゃないかなと思っています。
上前:なるほど。全社的に集まってやるような業務型も1つの解決策ですよね。「部署間でみんなで行こう」みたいなところかもしれません。
上前:渡邉さんはそういった受け入れ事例がありますかね?
渡邉:正直、あまりないです(笑)。
上前:そうですか。「全社的に来ている」というイメージもありました。具体的に言うと、シソーラスさんなんかがそうなのかな?
渡邉:そうですね。全員で来ているし、そうじゃない会社はチームごとにやっています。このへんは、あまりお答えできるところはないかなと思います。
上前:わかりました。ありがとうございます。
岩田:業務型のワーケーションで起きやすいのは、部門長とか管理職のマネジメント力による格差だと思っています。
感度がいい事業開発のマネージャーやライン長って、ワーケーションをどんどん取り入れていたりするんですよね。そうするとチームの関係性がよくなったり、チームの生産性が上がったりするんです。
だけど、そこに理解がない管理職が上司だと、まだまだワーケーションに対してネガティブだったり、それをマネジメントとして使わなかったりするので、チーム間のエンゲージメントの格差、パフォーマンスの格差は出てくるだろうなと思いますね。
上前:確かにそうですね。
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