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未来を切り拓く次世代リーダーをどう創るか(全5記事)

世界一の企業になるには「ミックスカルチャー」を作ること 日本在住30年の経営者が考える「日本人の強み」の活かし方

「真面目に楽しい教育の創造」をミッションに掲げる株式会社ヒップスターゲートは、ビジネスゲームを中心に、新入社員から管理職向けの集合・オンライン研修を支援する教育コンサルティング会社です。今回は、同社が主催で行われたオンラインセミナー「次世代リーダー見聞録!」より、第5回目の最終回の模様をお届けします。『未来を切り拓く次世代リーダーをどう創るか?』をテーマに、東京大学星加良司氏、エール株式会社篠田真貴子氏、株式会社J-Globalジョン・リンチ氏、プロティアン・キャリア協会有山徹氏の4名が登壇。次世代リーダーを体系立てて育成するために必要なポイントが議論されました。本記事では、冒頭の登壇者の自己紹介パートをお届けします。

有識者4名と考える、次世代リーダーの作り方

小田桐正治氏(以下、小田桐):本日ナビゲーターとして、ファシリテート、そして進行を進めさせていただきます、ヒップスターゲートの小田桐と申します。みなさま、よろしくお願いいたします。

本日のテーマは『未来を切り拓く次世代リーダーをどう作るか』。今日は有識者4名の方をお招きしておりますので、みなさんも一緒に思考を巡らせていただきながら、そしてこちらからも何か投げかけながら、一緒に議論を深めていけたらと思います。よろしくお願いいたします。

全体のプログラムの構成です。まず会社概要として、主催企業のご紹介をします。そしてメインのパネルディスカッションに進んでいきます。

まず会社概要をご紹介させてください。弊社の事業内容は大きく4つでございます。1つ目が、集合研修・オンライン研修の企画・設計・実施でございます。ここ最近ですと、2023年に向けて新人の方への研修のご提案、そして管理職に向けてのリーダーシップ研修が年々増えております。

2つ目が、ビジネスゲーム・学習教材・動画制作でございます。そして3つ目が、社内勉強会の学習ネタや資料の素材サイト「ロクゼロ」の運営です。「今実施している社内勉強会がうまく機能していないんだ」というお声に対して我々から素材をご提供して、うまく機能していくよう支援をしています。そして4つ目が、ダイバーシティインクルージョンの推進支援です。

本年8月から開催してきたセミナーにご登壇の星加さん、篠田さん、ジョンさん、有山さんにご参加いただき、『次世代リーダー見聞録!』ということで、このリーダーシップ探究の航海に例えて議論を深めてまいりました。今日はその集大成の位置付けになります。

では最初のご案内は以上とさせていただき、さっそく本編に入っていきたいと思います。ではご登壇者のみなさま、お願いできますでしょうか。

まずはパネリストの皆様に、自己紹介をいただきたいと思います。自己紹介の中にも、みなさんが活動してる事業領域・専門領域のキーワードに紐づくことがありますので、ぜひその時間もしっかりと受け取っていけたらと思います。

大学で取り組むダイバーシティ&インクルージョン

小田桐:では一番最初、8月にご登壇いただきました星加さん、お願いできますでしょうか。

星加良司氏(以下、星加):みなさん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました、東京大学の星加と申します。東京大学の教育学部の中にバリアフリー教育開発研究センターという非常に小さな研究所がありまして、私はそこで教員をしています。

それ以外に学外の活動として、OTDというダイバーシティ&インクルージョンに関わるプロジェクトも、司会の小田桐さんともご一緒しながら進めていたりします。

近年は多様性、ダイバーシティに関わる活動や研究を中心に行っているんですけれども、もともとのバックグラウンドは社会学という分野の研究者でございます。中でも障害、disabilityに関わる社会学的な理論研究をベースとして研究をしてきました。

次のスライドで、私が所属しているセンター、バリアフリー教育開発研究センターの主な事業内容についてご紹介しています。

東京大学の中で、やはり近年ダイバーシティ・インクルージョンに関わる取り組みを積極的に進めていこうという全学的な方針が掲げられまして、2022年度、「東京大学 ダイバーシティ&インクルージョン宣言」が出されました。そうした取り組みの中核を、我々のセンターで担っています。

1つは大学の中でのカリキュラムとして、学部の枠を超えて、ダイバーシティ・インクルージョンに関わって学習ができるカリキュラムを展開すること。それから、未来競争推進事業というSDGs等の流れを受けて、社会に大学の知をどう還元貢献していくかという観点からの事業などにも関わっています。

東京大学の学部から大学院、それから学外の人に向けて、ダイバーシティ&インクルージョンに関わるカリキュラムの運用をしたり、あるいは大学自体をインクルーシブなものにしていくためのさまざまな取り組みを行ったり。

組織開発における「多様性」の研究を進める

星加:それから小学校、中学校、高校のインクルーシビティを高めていくことによって、地域そのものをインクルーシブな状態に変えていくというような事業を行ったり。

組織の中で多様性をいかに包摂し、能力が発揮されるような価値を生み続けられるかという、組織開発のための重要な観点がどういうものであるのかということに関する調査であったり。あるいはそれを高めていくためのさまざまなコンテンツ開発など。そういったことを行なっているセンターで仕事をしております。

本日は短い時間ですけれども、お付き合いいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小田桐:星加さん、ありがとうございます。活動が多岐にわたっていて、整理するのが大変な状態だったんですが。星加さん、東京大学で授業も担当されてるんですよね。

星加:あ、そうですね。カリキュラムを展開するには授業をやらなきゃいけませんので、1・2年生向けのもの、3・4年生向けのもの、それから大学4年生向けのもの、さまざまなかたちで授業を展開してます。

小田桐:ありがとうございます。今日はインクルーシブリーダーシップというキーワードも出てくるかもしれません。よろしくお願いいたします。

組織と人の関係の整合性が取れる「聴く」

小田桐:では続いて篠田さん、お願いできますでしょうか。

篠田真貴子氏(以下、篠田):はい。みなさんこんにちは。エールの篠田真貴子です。私が今いるエールについてはこの後詳しくご紹介しますが、組織開発・人材開発の領域で、BtoBで仕事をしているベンチャーです。その他、スライドの箇条書きにあるようなお役目をいただいております。

過去の職歴から、まず個人的にさまざまなタイプの組織で働いてきたところから、「組織と人の関係」がずっと関心事でありまして、結果ライフワークのようになっております。

特にその中でも「聴く」ことができるようになると、人と組織の関係がうまく整合性が取れていくという実感がございました。そこでちょうどすばらしい本に出会ったので、監訳をお引き受けをいたしました。『LISTEN』という本です。2021年に出まして、今8万部売れており、2022年のHRアワードもいただいております。ありがとうございます。

500ページぐらいあるので、本を読むのはちょっとな......という方向けには、人気ポッドキャスト『コテンラジオ』があります。その中の番外編のコーナーに3回出させていただいて「聴く」についてお話をしているので、耳から入れたい方はそちらをお聞きください。

組織と人の関係でいきますと、もうちょっと幅広く、「その人らしくあれる」こと。これが実はエールのビジョンでもあるんですよね。組織も人もその人らしくあれて、組織は生産性が上がっていく。そこに向かうであろうという考えで、この『ALLIANCE』という本の監訳をしたり。

女性がキャリアを積みながら、プライベートでも幸せになってく、ここがけっこうトレードオフになりやすい。それについて考えたことを時々書くようなこともやっております。

「聴かれた体験」から始める組織変革のサイクル

篠田:エールのご紹介を簡単にしますね。エールは社外人材による1対1の継続的な伴走をすることで、組織で働いてらっしゃる一人ひとりの個人の変容サポート、それによって結果組織の変容を促していくということを、外部から支援しています。

スライドの上のほうにテーマが書いてあるもの。これは今の企業が直面している経営課題であり、かつ組織課題です。これらを実際に実施したいという時に、私たちの会社にはにサポーターという、話を聴く方々が2,800名います。

これを企業の社員の方と1対1でつないで、各週30分オンラインの1on1をしていただき、これで自分主語の思考を言語化する機会としていただいています。

大きく2つのソリューションを持っていて、今日のテーマであるリーダーには、「聴く力」が今すごく大事になっています。その力を高めるための「聴くトレ」というプロダクトがあります。そして研修の定着伴走、ミッション・ビジョン・バリューの浸透、あるいは自律性の向上といった、より幅広い組織の課題に対して「Yell」というプロダクト。この2つを展開しております。

例えばトヨタさん、JTさんのような企業にも使っていただいています。私たちは聴いてもらうことで、考えや感情・価値観・思いなどの言葉にできていなかったものが言語化されて出てきます。そうして個人の潜在力も花開くし、組織と人をうまくつないでいく、こういうメカニズムなんですよね。

じっくり話すことで言葉になりますし、逆にじっくり聴くことが、これを引き出している。聴かれた体験が聴く力につながっていく。このサイクルを回すことで、組織変革の推進のお手伝いをしております。ちょっと長くなってしまいましたが、私からは以上です。よろしくお願いいたします。

小田桐:篠田さん、ありがとうございます。私も『LISTEN』を読ませていただきましたが、8万部ですか。

篠田:そうなんですよ。私もちょっと想像だにしないことで、大変ありがたく思っております。

小田桐:現代のビジネスパーソンが欲しているキーワードにつながっていることが、数字に表れているんですね。本日はよろしくお願いいたします。

篠田:よろしくお願いいたします。

日本の人事スタイルは、メンバーシップ型とジョブ型のハイブリッドに

小田桐:では続いてジョンさん、お願いできますでしょうか。

ジョン・リンチ氏(以下、ジョン):みなさん、こんにちは。イギリスから参りましたジョン・リンチと申します。異文化コミュニケーションコンサルティングおよび研修を常に行ってます。日本在住30年ですが、100社以上でいろんな支援をしております。

最近J-Global Intercultural Business Schoolが始まりまして。その中で日本のビジネススタイルと海外のビジネススタイルを両方勉強しています。なるべく新しいハイブリッドなビジネススタイルを一緒に作りましょうというコンセプトのビジネススクールです。

その中だと、例えばプロジェクトマネジメントなど、さまざまなリーダーシップの育成のやり方があります。やっぱり日本の人事スタイルは、昔はメンバーシップ型。最近ジョブ型を目指しているんですが、どうしてもハイブリッドになると思うので。そういうハイブリッドをうまく理解することが重要です。

もし興味ある方がいらっしゃいましたら、無料でさまざまなWebセミナーにご参加できますので、ぜひご連絡ください。

弊社のジャーニーは、まず研修から始まります。その時いろんなスキルを学ぶと、みなさん頭でわかるんですが、職場に戻ってそのスキルがすぐ使えるかというと、場合によるんです。プロセスが前のままだから扱えないとかいう社風は、ずっと前のままですから、コンサルティングも必要だなと思いまして。

最近、私たちの収入の9割ぐらいは年間契約のコンサルティングなんですが、日産自動車とか、いろんな大企業に対して、グローバルで成功する方法である「GX」、グローバルトランスフォーメーションを支援しています。

トランスフォーメーションでいうと、最近スキルのトランスフォーメーションも必要ですね。スキルを学んで、それを使う自信も必要です。今までできなかったことができるように、いろんなサポートするようなハイブリッド研修プログラムを、J-Global Intercultural Business Schoolで行うつもりです。

日本人の強みとさまざまな人の強みを兼ねた「ミックスカルチャー」を作る

ジョン:J-Globalは、コンサルティングと研修のミックスです。ファシリテーションと言ってもいいかもしれないですね。会社の課題がありましたら、みんなと一緒に考えて、みんなで実行するというコンセプトです。

今までにいろんな外資と日系企業の両方をサポートしてきました。メーカー、IT企業、ヘルスケアなどが多いかなと思います。

さまざまな課題があります。グローバルビジネスだと基本的に日本人はチームプレイ、外国人は個人プレイっていうギャップが昔からありまして。そのギャップを埋めるために「こういう課題ありませんか」って聞くとけっこう出てくるので、その課題についてのソリューションのカスタム研修を作ったりしております。

傾向を考えますと、日本人はどちらかというと、チームワークは世界一だと思うんですね。あと、品質改善のさまざまのスキルとマインドセットを持っています。あと「お客さまは神様」という昔からの考え方はいいなと思うんですが。

グローバルだと、どちらかというと個人プレイとかスピードとかわかりやすさとか、戦略的な動きがありまして。両方一緒にミックスすると世界一の企業になるんだと思います。そういうミックスカルチャーを一緒に作りましょう。

最近のダイバーシティ・インクルージョン・エクイティとか考えますと、さまざまなスタイルをミックスする。そうすると日本人の強みとさまざまな国の人の強みが一緒に、ワンチームでより出るようになります。

「郷に入っては郷に従え」は、場合によっていいことも

ジョン:一方で「郷に入っては郷に従え」という方法もあるし、外国人に「完全に日系企業のように働いてください」と言うことも可能で、場合によってはそれがいいこともあります。

例えば、「郷に入っては郷に従え」っていうのは、各国とビジネスする時、彼らのコミュニケーションスタイルをうまく理解して、合わせるように、よりフレンドリーなスタイルを使う時はそうしましょうとか。日本人のクオリティとか改善のプロセスとかさまざまなビジネススタイルにどうしても理解してほしい場合は、きっちり教える必要もあるんです。

一番いいなと思うのは、歩み寄ることですね。お互いの強みを同時に使おう。新しい文化。日本人とタイ人の文化、日本人とベトナム人の文化、アメリカ人との文化。国別に、地域別にダイバーシティをうまく使うようにする社風を、各グローバル拠点で使いながら、同時に共通の価値観・働き方・ミッションを自分なりに持つように、コーチングで確認する。

もしご興味ある方がいらっしゃいましたら、ぜひ異文化ビジネススクールのWebサイトをちょっとご覧になってください。今日、よろしくお願いします。

小田桐:ジョンさんありがとうございます。日本とグローバル、そのハイブリッド。これだけで議論したいぐらいのテーマでした。ジョンさん、今日はよろしくお願いいたします。

ジョン:よろしくお願いします。

キャリアを「関係性」で見る、プロティアン・キャリアの考え方

小田桐:続いて有山さん、お願いできますでしょうか。

有山徹氏(以下、有山):みなさんこんにちは。一般社団法人プロティアン・キャリア協会の有山と申します。4designsという会社の代表もしております。プロティアン・キャリア協会は、人事のみなさまはご存じの方が多いかと思いますが、法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授と一緒に立ち上げさせていただいた協会です。

この「プロティアン」、今回のリーダーシップという点においても触れさせていただきたいと思います。詳細はここでは割愛させていただきますが、まさにこの令和におけるキャリアの考え方の概念であり、実践手法といったところで提唱させていただいています。

私のほうは、こちらに書いてあるとおりで、キャリアの専門家ではなくて、事業会社での経営企画が非常に長い経験になっております。田中教授の理論・実践手法を広げるために協会運営に取り組ませていただいております。

本も出版させていただいてはいるんですけれども、先ほどの篠田さんの足元にも及ばない部数しか売れてませんので、今後がんばりたいなと思います(笑)

協会の理念はプロティアン・キャリアの考え方に沿ってるんですけれども、やはりこの「キャリア」について、組織と個人との関係性に焦点を当ててるのが我々のプロティアンの珍しいところです。キャリアというと「個人のもの」と囚われがちなんですけども、キャリアを「関係性」で見るというのがプロティアンの考え方となります。

そのためプロティアンとは、組織と個人の関係性をより良くする考え方であり、その前提として主体的なキャリア開発をするといった、キャリア自律を支援してる団体になっております。

キャリア面談は、2年間で15万人が活用

取り組ませていただいてることに関しましては、右側に円が5つありますけれども、個人向けのキャリア開発の支援を、この考え方をベースにやっています。あと資格ですね。認定資格のほうを取り組ませていただいております。

あとは法人向けの組織開発、研修支援をやっておりまして、eラーニングの提供、メディアの運営、資格を取られた認定者の方のコミュニティの運営もさせていただいております。

今「人的資本経営」とか「人的資本の最大化」とよく言われておりますが、それを前提として、従業員との関係性を変え、キャリア自律をいかに推進するかということで、特に大企業の方からの引き合いが非常に増えています。その方々にeラーニングであったり研修であったり、もしくはキャリア面談を提供していますが、この2年間で15万人の方々にご活用いただいています。

法人向けのサービス、もしくは個人向けの認定資格もございますので、関心ある方はぜひご参加いただければなと思います。私のほうからは以上になります。ありがとうございます。

小田桐:有山さん、ありがとうございます。8万部の次は「2年間で15万人」っていう強烈な数字のキーワードが出てきました。

有山:そうですね。eラーニングとオンラインでの数字です。ほとんど田中教授のオンラインでのセッションで、今は200~300人とか、下手すれば800人、1,000人と一遍にできちゃいますので。そこも含めてということで。

小田桐:いや、すごい広がり方ですね。ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。

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