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トレンド経営学『転職を考える前に自部門の役割を整理する』(全1記事)

転職したいなと思ったら、まずは「自社分析」から始める “いきなり転職”ではなく、自部門の位置づけから見えてくるもの

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル『ちょっと差がつくビジネスサプリ』。本記事では、転職活動を考えたときに、まずは「自社分析」から始めることがおすすめな理由を紹介します。 ■音声コンテンツはこちら

転職を考える前に押さえておきたいポイント

加藤想氏:今日は「転職を考える前に押さえておきたいポイント」についてお伝えしていきます。数年前に比べると、転職が当たり前になっていると感じる人は多いと思います。終身雇用は終わりを迎え、今は新入社員の40パーセントが転職を念頭に入社をしているというデータもあるようです。

つい先日も、グロービスで学んでいる若手の受講生の方からこんな相談を受けました。「自分の組織は新しいことがなかなかできない」「せっかくいろいろと考えたアイデアが通らない。だから転職をしようかと思っています」。このようなことは、みなさんの周りでもよくあると思います。

もちろん、やりたいことを実現するための転職はありだと思います。ただ、転職活動を考える前に、もう少し冷静になって現状把握をしてほしいと思います。

転職は会社自体を変えることです。社内で自分の望みが叶うのであれば、部署異動によってやりたいことを叶えた方がやりやすいと思います。社内の人脈や給料、福利厚生など、あって当たり前だと思っていたものも転職によって失うことがあります。

さて、突然ですがここで質問です。あなたの会社は全部でいくつ事業展開をしていて、それぞれどんな人材が求められているでしょうか? ベンチャーの立ち上げ期など、少ないプロダクトの場合はシンプルに回答できますが、大企業になると事業の数自体を把握するのも難しいと思います。

自分の勤務先の事業を「4象限」に当てはめる

もし、あなたの会社にいくつか事業がある場合は、大まかでいいのでそれぞれの事業の関係性を整理しておくと良いと思います。この際に「プロダクトポートフォリオ」というフレームワークが役に立つのでご紹介をさせていただきます。

このフレームワークは、縦軸に「市場の成長性」、横軸に「業界での自分の会社のシェア」を取ります。それぞれ高い・低いで、4つの象限ができます。ここに事業を当てはめてみると、それが稼ぎ柱なのか、まだまだこれからなのか、むしろ撤退を考えないといけないフェーズなのかが可視化できます。

では、この4つの象限であなたの部門はどの象限に入るでしょうか? 例えば、市場の成長性は低いけれどシェアが取れている部署は、稼ぎ柱の部署だといえます。

会社的には「この部署がコケてしまうとけっこうまずい」という位置づけになるので、あまり冒険的な施策は求められないかもしれません。今やっている業務を効率的に行う施策とか、リスクの低い施策が求められている可能性があります。

反対に、これから大きく成長させるフェーズの事業の場合はチャレンジしやすい可能性が高いと思います。一般的には、市場の成長率が高くてシェアが低い象限を“問題児”と呼びます。

私がグロービスでMBAを学んだ際、講師からは「この象限は『問題児』ではなく『ルーキー』と呼ぶのがわかりやすい」と学びました。つまり、事業としては新人なので、いろんなことにめげずにチャレンジして、安定感のあるベテランへと成長させていく段階という意味合いです。

いきなり転職するのではなく、まずは自社分析から始める

「新しい冒険が通らない」と悩む、受講生の話に戻ります。

この場合はいきなり転職するのではなくて、まずは自分の会社、そして事業・部署を整理して、今いる部署はチャレンジしやすい部署なのか、ルーキーに当たる事業はないのか。こんなことを考えてはどうかとお話しをしたところ、「再度自社分析から始める」と前向きなコメントをいただきました。

自分のキャリアを考える際に、まずは自部門の位置づけを考えてみる。その際に、プロダクトポートフォリオというフレームワークに当てはめてみるということを、今日はお伝えしました。

「新しいことができない」という一人称の視点から、グッと視座を高めて客観的に自分の位置づけを見つめる。視座の高い・低いを自由に行き来できる人ほど、優秀なビジネスパーソンだと個人的には思っています。

この訓練をなるべく若いうちから積んでおくと、上司やさらにその上の上司の言動や背景も理解しやすくなると思っています。今の仕事に満足している方も、一度自部門の位置づけを整理してみてください。なにか新しい気づきがあるかと思います。

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