2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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関根:(レジリエンスを促すためのTipsの)最後は、自叙伝を活用した対話のデザインです。倒産社長自身の起業から成功、失敗、そして現在までの一連の体験を物語にして、同じような境遇の倒産社長同士で読み合い、語りあうワークショップをやらせていただきました。
実際に相手の本を読みながら、自分が共感できた点だとか、「自分だったらこうしたかもしれない」というコメントを本にどんどん書き込んでもらう。そしてその物語のご本人に本を返して、記載されたコメントを読みながら、自身の内省を深めた後に、互いに対話をするセッションです。
(スライドを指しながら)こんな感じでコメント書いてくれるんですね。そのコメントを本人が読んで、「他者はこういうふうに感じるんだな」「僕はそういうふうに見ていなかったです」とか新しい発見が出てくる。
そうすると、どんどん自分自身の内省が深まっていく。自分の過去のストーリーに対する意味や解釈自体が変わって、語りが変わってくるんですよね。そういう意味で「語りのデザイン」と言っているんです。
原田:なるほど。
関根:これも1つの可視化ツールを活用した事例です。「対話」というものに加えて、さまざまな可視化ツールを活用することで、レジリエンスが促進される。一応私も研究の過程でいろいろな情報を比較する中で、可視化することを増やしたほうがうまくいったんですね。
原田:いやぁ、おもしろい。これはやってみたいですね。
関根:おもしろいですよ。自分もワークショップに参加された方のお話を聞いていると「社長はこの時こういうふうに言ってなかったですよね」みたいなことが出てくるんですよ(笑)。他者の情報開示に触れて、自分の中に秘めていた記憶や感情に気づいて、それが発露される感じでしたね。
原田:なるほど、ありがとうございます。
関根:最後に今の話をまとめると、「対話」と「可視化」をセットで行うと、内省や捉え直しに効果があるようです。「ナラティヴ」というのは1つの概念としてご紹介しているんですが、対話を通じて自分自身の認知を組み替えていくとか、意味を変えていく。そのプロセスや現象のことをナラティヴと言います。
(スライド)右の「Boundary Object」というのは、いわゆる媒介物ですね。自分の思考や感情、自分が認識している事実や状況を可視化して、周りの人が見えるようにしてあげる。それをやると何がいいかと言うと、自分自身の俯瞰的認知が進むことに加えて、聴き手がより共感しやすくなるんです。
聞き手側がそうした媒介物を通じて、「なるほど。その時はそうだったんですね」「そういう気持ちだったんですね」というのがわかって、より共感が進み、話し手に寄り添えるわけです。
原田:救われるな。すごいものを見させてもらっているかもしれないです(笑)。
関根:レジリエンスの話に戻すと、「どう下がった気持ちを戻すか」という意味では、まずは対話することが大事なんですが、あえて可視化をあえてやってみることをおすすめします。
原田:ありがとうございます。
原田:(最後のテーマが)「再挑戦に必要なこと」。
関根:ここまでワーッとしゃべってきましたが、結局僕がやりたいことは、「『倒産社長』が褒め言葉になる」「倒産自体が資産として語られる社会にしていきたい」ということなんですね。
そのためには一度の倒産で終わりではなくて、再起業であったり、立派な事業会社に勤めてそこで活躍される。つまり、ウェルビーイングな倒産社長を事例的に世の中に出していくことがすごく重要だと思っているんですね。
じゃあ、再起業・再挑戦において何が必要かをあえて言うと、先ほどの話の繰り返しなんですが、大事なメンターとか利害関係がなくフラットにしゃべれる人がいるか。
「大切な人を身近に置く」という話なんですが、これは今回のアクセラレーションプログラムにご参加いただくことによるコミュニティの形成もありますし、学び直しを通じて知り合ったご友人でもいいと思うんです。
MBAの話もそうなんですが、MBAを通じて知り合った方を通じて再起業されていたり、雇われ社長になったという話もあったりするんです。なので、そういった出会いは貴重ですし、コミュニティを持つことは重要だと思います。
関根:そして、ウェルビーイングになるためのステップとしては、1つは「みんなと一緒にやる」という他者との関係性だと思うんですよね。みんなでがんばってお互いに支え合っていくということは大事な要素だと思っています。
ウェルビーイングの構成要素はいろいろあるんですけど、自己効力感、意義、利他精神とかあるじゃないですか、そういう上位概念的な感情やマインドを持てていることが、大切だったりするのかなって。
なので、再起業をしてもう一度チャレンジすることは、そういう意味ではウェルビーイング要素がめちゃめちゃあると思っているので、ぜひチャレンジしていただきたいと思っています。
原田:ありがとうございます。
関根:最後になりますが、事業が失敗することは人生の負債じゃなくて、資産だと思っています。ですので、それを活用して次に活躍できるとか、誰かのためになることがすごく重要だと思っていますが、日本だと「倒産したら人生終わりだ」と思われているのが悲しいですよね。
印象的なエピソードとしては、とある倒産した経営者の方に対して、その方の外国の友人が「おめでとう」とおっしゃっていたそうです。「Congratulations」と言うらしいですが、(当初その経営者は)「なんで『Congratulations』だ」と怒ったらしいです(笑)。
原田:(笑)。
関根:そうしたら、「君は成功へのパスポートを手に入れたね」と言うんですよ。
原田:おおー!
関根:社長は「え、なんで?」と反応するわけですが、よくよく聞いてみると、「アメリカやカナダとか欧米では、うまく行っている人はみんな大きい失敗している。そこから這い上がってくるから強くなれるし、よりおもしろいことができるんだよ。おめでとう」と言われて、気持ちがとても救われたという話でした。
原田:なるほど。
関根:やはり(倒産は)資産なんですよね。
原田:いいですね。それを目指して支援していきたいですね。
関根:本当にそうですね。
原田:というわけで、最後にあらためて僕のほうからまとめをさせていただければなと思います。スライドを見返しながら、長いけど振り返りをしていきますね。
そもそも日本人にとっては、「倒産」というキーワードが重めだったという事実が発覚しましたね。これは僕もびっくりしました。ただ、実際に会ってみると(倒産を経験した経営者は)ポジティブな人が多いという話ですね。
そもそもの課題は何か? というところなんですが、倒産社長とか、倒産する可能性がある方々も含めてW型のメンタルになっていました。(スライドを指しながら)下が「レジリエンス」と言われているところで、右上が「ウェルビーイング」になっている。ただ、再起するためにはこのレジリエンスをどうするかが重要です。
相談できる人がいなかったり、リーダーシップが強くて人に話せない、利害関係がある人しか周りにいない、というところが(問題点として)あったりします。そもそも、人間そんなに強くない。なんとか相談できる人を探しましょう、ということだったりするんですけれども。
すごく大事なのが、大切な人、友人とか家族との「対話」だったり、「学び直し」。MBAの話だったり、実際に就職して事業活動を通じた社会性、自己効力感を回復させていく。もしかしたら、ここに「再起業」が入ってくるかもしれないですね。
MBAでなぜうまくいかなかったのかとか、自身が経験したことや経験外から学び直しすることも役に立ちます。
原田:次に、レジリエンスをどうやって解決していくかというTipsがいろいろありました。概ね「語り」をどうやってデザインするかということなんですが、こうやって「可視化」していきます。
実際に、今は落ちめの事業をやられていらっしゃる方とか、まだまだこれから再起業する方々も含めて、一回こういうのをやってみたらいいんじゃないかなと思います。すごくいいなと思ったのは「Cultural Model」ですね。関係性を可視化して、自身の何が悪かったのかを振り返る。
やはり人間、ロジックですべて動けることはないですよね。感情で動いてしまうこともあると思うので、そういったところを見直すきっかけになったり、役員の方やいろんな関係者とのより関係性を密にして、対応ができるようになったらいいなと思ったりします。
あとはこういう対話、関係性をしっかり可視化することによって、業務自体の改善にしっかりつなげて行きましょうというのが、すごくいいかなと思ったりしております。こういったワークショップをやる時は、関根さんとかにご相談したらいいんですね?
関根:はい。そうですね。
原田:ぜひ、関根さんにメールとかでご連絡いただければと思います。「generative book」は、こうやって書いたものを他の人からフィードバックいただいたりできるものですね。
(内省や可視化に)大事なのは、対話と可視化をセットでやっていくことです。そして、共感してもらったらすごくうれしいですよね。また、ここがウェルビーイングに向かって行く第一歩かもしれません。
最後にまとめ。きっかけとして大事なところは、ここの3つ(「大切な人との対話」「学び直し」「事業活動を通じた社会性・自己効力感の回復」)です。あらためて覚えていただければなと思っております。
というわけで、ここでトークセッションは終わりにしようかなと思います。関根さん、あらためてありがとうございました。
関根:ありがとうございます。
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