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45歳から始めるキャリアとしての複業(副業)デビュー入門(全2記事)

「プラットフォームに載せるだけ」では案件はもらえない 複業を軌道に乗せる「自分の武器」の見つけ方・売り出し方

45歳からの実践型キャリア自律スクール「ライフシフトラボ」は、複業・社外活動を足がかりに、転職や独立起業、定年後のセカンドキャリアなど、人生後半のキャリア自律を支援するオンラインビジネススクールです。今回は、ライフシフトラボ キャリアコーチの勝田健氏より、ミドルシニア世代の「複業デビュー」について語られたセミナーの模様を公開します。40〜50代が複業デビューするための3つのステップについて解説しました。

50代の複業は「WILL」「CAN」「MUST」で考える

勝田健氏:案件を獲得するところをいったん「複業デビュー」においていますが、そのためのステップとしてよく言われるのは「WILL」「CAN」「MUST」の3つが重なるところを探すことです。「専門性を活かしてできることや得意なことを活かす」と話しましたが、もう1つ大事なのは「WILL」です。

単発ではあまり意味がない。セカンドキャリア自律につながるということで、65歳で定年退職でも100歳までと考えたら80歳まであと15年、50歳の方だと30年くらい働かなければいけないので、当然やりたいことじゃないと続かないんですよね。

この「WILL」も大事なんですが、もう1つは「MUST」です。当たり前ですが、世の中から求められているニーズがあることが大事になる。この3点を一緒に探していくイメージになります。

わかりやすく3ステップに分けています。食品を仕入れて、加工して、販売するというアプローチです。最初の仕入れは、いわゆる自分の複業で社外に通用する武器として専門性やスキル、経験をまず掘り起こしていくことです。

それだけではもちろんだめで、それをお客さんというか、他人からお金をもらえるように商品化していくことが一番大事です。さらに、商品化しても売れなければ意味がありません。顧客にアプローチして営業活動して、売り歩いていくところが重要です。この3つのステップがあるかなと思っています。順番にご説明しますね。

副業の武器には「ニーズ・希少性・再現性」が必要

「まず、複業の武器となるものを探す」と言っていますが、探すとはいえ、みなさんは40代後半や50代で、今までいろいろな経験をしてきています。ビジネス上の経験もそうですし、ビジネス以外の人生経験も含めてそうですね。

なので、先ほどのプログラミングの例じゃないですが、今から新しいものを見つけるとか身につけるのではなくて、すでに持っている知識や経験、ノウハウを抽出するというか、思い出してもらうイメージに近いかなと思っています。

注意点としては、武器となる知識・ノウハウの条件は何でもいいわけではなく、1つは世の中的なニーズがあることです。

例えば、おそらくほとんどの方がご存知ないと思うんですが、アンティグア・バーブーダはカリブ海の観光地です。「アンティグア・バーブーダにすごく詳しいんです」と言われても、「あ、そうですか」という感じで終わってしまうと思うんですよね。そこに興味がある人はほとんどいないので、当然ですがある程度ニーズがあることも必要です。

あとは希少性です。誰でも語れるような、「1回転職したから転職成功法を語れますよ」と言われてもなかなか納得感がないと思うんですが、希少性があること。

そして、再現性です。誰でもできることに落とし込むことも大事ですね。「複業の成功のポイントは気合いです」と言われても、なかなか何をしていいかわからないと思いますので、この3つの観点を元に整理していただくといいかなと思います。

個人向け・企業向けの「ニーズがある」ジャンル

「ニーズがある」と言ってもイメージがつかない方もいらっしゃるかもしれませんので、参考までにこちらをお持ちしました。BtoC(一般の個人の方をターゲットにしているサービス)と、BtoB(企業や法人向けを対象にしたサービス)に分けた時に、BtoCの個人向けは、いわゆるライフイベントや根源的な欲求に関するジャンルのものは当然非常に強いニーズがあります。

例えば、私の本業は転職エージェントですが、転職、起業、キャリア、お金、健康、ヘルスケア管理、美容なんかもそうですね。それから恋愛や婚活、家族、教育、お受験も個人サイドからするとけっこうニーズが強いところかなと思います。

一方で、企業向けでいきますと、当然ですが事業成長にダイレクトに貢献できるジャンルのニーズが多いかなと思います。例えば売上アップや販路拡大、人事的なところにいくと採用の代行や離職防止とかですね。

最近はDXもありますし、コスト削減、女性活躍推進や、マーケティングはZ世代やSNSとかのジャンル・領域のもののニーズが比較的多いかなと思います。あくまで一例ですが、参考にしていただければと思います。

自分武器を加工して商品化する

次に、加工です。強みや経験を掘り起こしただけだとだめで、どうやってお客さんからお金をもらうのか、商品化していくのかということですが、パターンがあります。大きく分けると、代行業、人に教える顧問業と講師業、自分で発信していく情報発信業、コミュニティの立ち上げとかの幹事業と、主に5つの業態があります。

そこからさらにBtoB向けか、BtoC向けかに分かれていくイメージです。このような業態で自分の商品化を整理していくとわかりやすいかなと思います。

どのように展開していくのかというと、例えばシングルマザーで元夫の援助はない。ただ、公的な支援をいろいろ駆使しながら仕事と育児を両立して、2人の娘さんを難関大学に進学させた方が複業しようと思った時、いろいろなパターンがあります。

例えば、BtoC向けの代行業では奨学金の申請を代行しますよとか、顧問業としてであれば後輩や知人のシングルマザーで同じような子育てをしている方のメンターもできます。

セミナー講師としてシングルマザー向けの子どもの進路選択について自分の体験を含めてお話ししたり、場合によってはブログを書いたり電子書籍を発行したり、いわゆるコミュニティを自分で運営するのもあるかなと思います。

BtoB向けでもいくつかあります。最近、企業向けにシングルマザーが働きやすい職場環境作りの支援もけっこうあります。女性の管理職向けに仕事と育児の両立をするための研修も含めて、同じようなご経験の方でもBtoB、BtoCでいろいろなバリエーションがあるのがご理解いただけるかなと思います。

販売の大前提は「適切なプラットフォームに載せる」こと

3点目は販売です。ここが一番難しいというか、最大のポイントです。潜在顧客にどうやってアプローチしていくのか、先ほど作り込んだ商品開発サービスをどのように拡販していくのかというところですね。

お伝えしたとおり、プラットフォームに載せるだけだと案件獲得にすぐにはつながらないんですが、載せないと土俵に載らないというか、スタートにならない。何でもいいわけじゃなくて、代行業、顧問業、講師業とかそれぞれの業態に即した適切なプラットフォームがあるので、それに登録してみるのがマストです。

もちろん、これだけで成立するほど簡単ではありません。BtoCであれば「ココナラ」や「PARK」ですね。「PARK」はクラウドソーシングで、3月にできたサービスです。講師業であれば「ストアカ」「Udemy」、情報発信をするのであればブログや、最近は「note」を使っている方も多いし、音声系の「Voicy」もあるかなと思います。

オンラインサロンを自分でやってみるなら「Facebook」がまだまだメジャーです。いろいろありますが、適したプラットフォームに載せるのが大前提ではあります。

BtoB向けでは、ベンチャー向けやスタートアップ業界は複業人材をけっこう有効活用しているんですね。非常に進んでいて、正社員、複業人材の区別なく自由に活躍していたりするので、スタートアップとの接点を探してみるのも非常に重要なポイントです。

「YOUTRUST」はベンチャー向けのビジネスSNSで、最近CMをやっているのでご存知かもしれません。「Wantedly」は求人サイトです。

「複業クラウド」という複業の求人サービスもあったり、「Kassoku(カソーク)」という人材系サービスもあります。「lotsful(ロッツフル)」は複業のエージェントです。このようなBtoB向けの求人サービスも利用していただくといいかなと思います。

複業求人サービスには2つの“村”しかない

先ほどご紹介したのはいわゆるスタートアップやベンチャー系ですが、またちょっと経路が違う中小・オーナー系の企業に対して見ていきますと、先ほどのようなアプリとかではなく、「顧問名鑑」「パソナ顧問ネットワーク」というようなサービスがあります。顧問派遣サービスもあるので、そういったものを利用してみるのもいいかなと思っています。

最近は複業解禁で「複業オーケーです」という会社もかなり増えていますが、公務員や銀行の方は「複業禁止です」ということがまだまだあります。そういう方でも金銭的な報酬を伴わないものの、社外との接点を持ったり、社外人脈が形成できるという意味で、プロボノやボランティア活動をする方がけっこう増えています。

NPO法人とか社会貢献性の高いプロジェクトに参画するケースも増えていて、プロボノを紹介する「サービスグラント」や自治体で連携する「Tailor Works」というサービスもあるので、ぜひご参考にしていただければなと思います。

一方で、お伝えしたとおり「プラットフォームに載せればいい」ということではないんですね。複業求人サービスには2つしかなくて、いわゆるベンチャーやスタートアップ村か、中小オーナー系の企業の村しかありません。

大企業や外資系にいると、こことの接点がなかなか持ちにくいかと思います。その時に、ベンチャー系では「YOUTRUST」とかのサービスを使うルートがあり、中小企業村ではまたぜんぜん違ったルートがあります。

アプローチ手法が異なることもありますが、「村」と書いてあるので、情報の流通や人材の流動がなかなかし難い。そこをどう突破するのかが1つの大きなポイントかなと思っています。

プラットフォームに頼らない案件獲得のカギ

先ほど「プラットフォームに頼らない」とお伝えしましたが、複業を軌道に乗せている人は、コネとかの知人紹介で案件を獲得しています。逆に言うと、プラットフォームに頼らずに知人紹介経由で案件を獲得できると安定してくるということになります。これも、どうやって社外との接点やビジネス人脈を作るのかが大きなポイントかと思います。

最近、先ほどの複業求人だけではなくて、いわゆる社外人脈を形成するためのビジネスマッチングサービスもけっこうたくさん出ています。人脈を形成するためのツールです。

「Meety」はスタートアップ界隈では非常に普及していて、すでに数万人強の会員がいます。「気軽に簡単にカジュアル面談ができますよ」というサービスなので、何かを募集してみたり、「こういうサービスに興味がある人」というかたちで使って面談を設定できます。

リクルートの「サンカク」という社会人向けのインターンサービスもありますし、ビジネスマッチングサービスの老舗「Yenta」や、最近では「バーチャルランチクラブ」というもっとカジュアルなサービスもあります。

こういったビジネスマッチングサービスを使って社外人脈を形成することも、今はほぼ無料でできたりするので、利用していただくといいかなと思います。

商工会議所を活用した人脈の広げ方

中小企業村は、先ほどのアプリとかを使ってもなかなか届かないんですね。どうするかというと、商工会議所ルートを使います。なかなかご存知ない方が多いと思いますが、地元じゃなくても、個人事業主でない個人でも商工会議所の会員になれるんですよ。

年会費は1万5,000円程度かかりますが、個人で商工会議所の会員になれば、いろいろな中小企業のオーナー社長との異業種交流会に参加できます。商工会議所の担当者と顔馴染みになれば、場合によっては商工会議所でセミナーを開催させてもらったりできますし、当然中小オーナー系企業との接点も広がりますので、そういったルートもできます。

もう1つ特徴があって、コロナ禍なので商工会議所がやっている異業種交流会もオンラインでやるケースが多いんですね。これは自分の地元だけじゃなくて、地方の都道府県の商工会議所にも入れる。

例えば「自分は沖縄県が好きだ」「石川県がいい」とかで地方企業の商工会議所の会員になることによって、オンラインで異業種交流会に参加できます。そういった意味で中小企業との接点を増やすことも、商工会議所を使えばけっこう有効にできるということです。

実は弊社の代表の都築辰弥が日刊ゲンダイさんで、商工会議所に入って中小企業とパイプを持つサービスの広げ方について取材されたこともあるので、ご参考にしていただければなと思います。

複業の第一歩は「無償での人助け」

ここから、よくある質問にいきたいと思います。趣味の話もさせていただいたんですが、複業になりそうな武器や専門性がなかなか見つからない方もけっこういらっしゃいます。結論としては必ず見つかるんですが、どうすればいいのかを今日お伝えできればと思います。

逆説的ですが、「複業しよう」「お金儲けしよう」「こんなことでお金はもらえるのか」というのが先立ってしまうとなかなか見つからないというか、わからなくなってしまうんですね。なので、そうではなくて「まずは無償で人助けしてみましょう」ということです。

そのようなことで見ると、「自分でできること、得意なことはあるかな」と思うんですよね。無償で人助けしていくと、やたら相手から感謝されるとか、自分では苦もなく普通にやっていても非常に喜ばれることがある程度見えてきたりする。その延長線上で複業をやってみるのも成功するポイントかなと思います。

なので、「人助けで自分ができることはないかな」と考えていただくのも有効かなと思っています。

我々は「ひとつ目のドミノを倒す」と言ってますが、とにかくまずは「無償でできることがないか」「人助けできないか」を考え続けて、それをやり続けていくと「じゃあ、こんなことを手伝ってみてよ」「こういうことはできないの?」と言われる。

それが続いていくと必ず次のお客さんを紹介してくれるので、まずは「ひとつ目のドミノを倒すこと」を意識していただければいいかなと思います。

複業の時間を捻出するためには

3点目のよくある質問です。「複業解禁とはいえ、本業もある中でどうやって複業の時間を捻出しているんですか?」ということですね。正解がないので難しいんですが、現実的にはみなさん忙しい合間を縫って、平日の夜もしくは土日を使って活動しています。

先ほど申し上げましたが、複業マーケットはベンチャーあるいは中小企業のオーナーのいずれかしかありません。スタートアップや中小企業のオーナーはだいたい平日の夜も土日も関係なく仕事するので、優先度を上げて平日の夜や土日を使ったりします。

最近はフレックス制の方やリモートワークの方もいらっしゃるので、平日の日中でも活動できる方もいらっしゃいますが、優先度をつけてやっているのが実情かなと思います。

何をするにももちろんそうなんですが、特に複業やキャリアの自律を考えた時に、緊急かつ重要のマトリクスではここ(緊急性低・重要性高)なんですね。セカンドキャリア自律や退職後のキャリアをどうするのか、100年ライフをどのように過ごしていくのかは極めて重要だと思います。

一方で、その手段として複業を始めることについての緊急度合いは当然そんなに高くない。今日や明日やらなきゃいけないということでもないと思うんですが、「じゃあ、いつやるんだ」という話なんですよね。

ここの優先度合いは人によりますし、意識の問題かもしれませんが、稼働している方は意識的に緊急度も優先度も上げて、もっと言うと時間を作って複業に取り組んでいるのが実態かなと思います。

以上ご案内してきたような、複業ですとか社外越境など、そういったデビューのプロセスを、60日間でサポートしているのがライフシフトラボです。

なかなかひとりでやっていくのは難しい複業デビューをキャリアコーチ陣が「行動ファースト」で伴走支援していますので、ご興味ある方はぜひお声がけください。

以上、ありがとうございました。

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