2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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井上和幸氏:松本さん、せっかくなので1つおうかがいしていいですか?
松本利明氏:はい。
井上:2つとも、すごくおもしろい例だと思うんですよ。今日聞いてらっしゃる方とか、この後このトークライブは記事になりますけど、お読みいただく方が、「なるほど、松本さんのおっしゃるとおり」と思うでしょう。
ただ、何が普通かという定義の問題はあると思うんですけど、おそらく見ていただいてる方はいわゆる通常の事業会社にお勤めされて、リーダーやマネジメントをやっていらっしゃる30代の方、あるいはその前後の世代の方が多いと思うんですよね。
そうすると、このDJとか俳優という出発点自体が、キャラを持っていらっしゃるんじゃないか? と思う人がいると思うんですよ。そのへんはどうですか?
松本:はい。わかりやすい例として出しましたが、普通の企業でもこのパターンは非常に多いんです。例えば、ある不動産の販売をしている会社で、不動産販売のハイパフォーマーの営業の方って2,000万円ぐらいもらえると思うんですが。「だいたいこの物件をこう見せて、この流れでいけば1発でいけるよ」みたいなグイグイ系で「どうですか!」みたいな人がその会社では強かったんです。
そこに非常に真面目で、心配性の人が入ってきてしまったんですね。そうしたら、何の成果も上げられなくて、みんなにけちょんけちょんに言われて、メンタルがヤバくなった。いったん総務に異動にはなったんですけど、心配性な持ち味を活かして、コツコツ勉強して宅建を取って、それでもまだ心配でコツコツと知見を深めた結果、リーガル面にめちゃくちゃ詳しくなったんです。
結果、トラブルが起きたら、あれだけ偉そうだった営業の人がみんなその人に頭を下げて、「助けてください。同行してください」と。もうお客さんもネットで情報を持っていますので、昔みたいにいかなくなったからです。
あとは、コツコツした情報とか、リーガルの知識がないと売れないような、ビルとかデカい案件を扱うようになり、何億のビルをガンガン売れるようになり、ダントツの営業成績を出せるようになりました。結果、あっという間にその人が部長の部署ができ、年収も翌年いきなり2,500万円にはね上がった。
みんなが得意なところだと似通ってしまいますが、苦手だと思っていることも、苦手をどう活かせば価値が出るのかを考えると、意外と大逆転できるんですよね。
井上:なるほど、おもしろいですね。
松本:ある会社さんであったのは、その人はエンジニアだったんですけども、もう50歳を過ぎて、COBOLを担当。最後のCOBOLのシステムの載せ替えが終わってしまったので、会社からはもう三行半、要はリストラ候補だと言われた。本人は再教育を希望しているけど、会社は50歳過ぎた人間に再教育する気持ちはない。
調べていったら、その方のプロジェクトになると、女性社員の方、もちろん男性社員もそうですけど、誰1人メンタルが壊れず、辞めず、ということが繰り返されていたんですよね。
「何で?」と聞いたら、その方は家族が全員女性ばかりで、「いつもお姉ちゃんの顔色を見て動いているうちに、態度や言葉の裏にある本音までわかり、どう動けばいいかができるようになった。この「どうすればいいか」を言語化して伝えることができたので、それを売りにして転職活動をしてみました。。
今度は、メンタル的エラーが起きていたり、ゴロゴロ人が辞めていく、伸びているIT系の会社さんから「ぜひうちに来てほしい」と声がかかり、エンジニアではなくバックオフィスの責任者として、年収も上がって移られた。
自分の持ち味を洗い出してみて、同じところだと(周りと)強みが似てしまうので、「この強みを持っていなさそうなところで売りになるところはどこだ?」と考えると、実は同じ会社の中でも違う部署に異動することによって大活躍できる、もしくは転職して大成功するという可能性を秘めているんですよね。
井上:すごくいいお話というか、おもしろいですね。その方の資質みたいなところからくる、得意なこととか好きなところをちゃんと見つめて、徹底的にそれが活きるところはどこだ? という戦略。
あと、今いらっしゃるところで、もし自分がローパフォームだと思った時に、ネガティブに思っているものが活きるケースがけっこうあるんだという話ですよね。
松本:はい、そうです。
井上:そこで差を埋めてみるのはおもしろいですね。そこが逆に、その方が際立つチャンスになる。
松本:そのとおりですよね。仕事って両輪なので。みんな得意なところの反対が苦手なんですよ。
井上:営業系の方も、本当にそうですよね、昔で言うところのブイブイみたいな人は、今売れる人にはならなかったりするので。しっかり物事を捉えて、傾聴できる方のほうが売れるとかって一般的にもよくありますね。
これは、みなさんのヒントになるんじゃないかと思います。ありがとうございます。
松本:人事の方も異動させる時に、過去にやってきたもの中心じゃなくて、その人の持ち味を見た上で、みんなが苦手とするところを彼・彼女にやってもらったら、よりうまくいくんじゃないかと考える。別にアサインすることで、適材適所を実現していくとか。
井上:そうですね。意外な宝がすぐ近くにいらっしゃるかもしれませんね。
今ちょっとコメントをいただきました。「本人の強みを活かす場所を紹介するコーディネーターが必要」ということで、まさしくおっしゃるとおりですね。
松本:本人1人でできればいいんですけど、なかなか自分自身の強みとか持ち味ってわからないものなので。人事とかHRBP(ビジネスパートナー)とか、あと井上さんのようなエージェントの方にコーディネーターとして見ていただく。転職しなくても、相談をすることによって新しい可能性が見えてきたりしますので。
どうしても人間って自分自身をかっこよく見せたい、良いところを見せたいんですけど。持ち味みたいなところって、実は自分の苦手なところとか隠したいところに隠れているので。
井上:そうなんですよね。それはすごくありますよね。
松本:人はハイパフォーマーの姿を1つのステレオタイプで見てしまいがちなのですが、成功している人は、自分自身の欠点というかコンプレックスみたいなものをうまく昇華して、結果、自分らしく活躍されているケースが9割です。
このあとで出てきますが、資質をあぶり出す方法にはいくつかのパターンがあって、1つに「コンプレックスをいい意味で逆転させる」というのがあります。例えば、「仕事ができます」とキイキイ切りそうな人よりも、ちょっと私では圧が強すぎるかもしれませんけど、ぽっちゃり系の癒し系の人のほうが相談しやすいというのがあるみたいに。
本人は逃げたいと思っても、それを「いい意味で」という言葉に置き換えるとポジティブな持ち味になるんですよね。
申し上げたとおり、仕事においては、強みとか持ち味とかってスキルが似ちゃうんですけども、逆にコンプレックスや、売りにならない強みというものを「いい意味で」と置き換えていくと、実はその人を強くする大きなポイントだったりします。ゲームで「コンボ」というのがあるんですけど、2つ3つ持ち味を組み合わせてあげると、よりオリジナルになりやすくなります。
ここに書いてあるようなことは本に詳しく書いていますし、いろんな書籍とかネットで出ていますので。あと井上さんの会社でやっていらっしゃる「経営者力診断」でしたっけ?
井上:はい。
松本:ああいうのをやってみることによって、自分自身の資質をあぶり出したり、方向性を見つけることに活用できるんじゃないんですかね。
井上:なるほど、ありがとうございます。
井上:今の話にさらにつながると思いますが、松本さんは本の中で、30代の方々に「具体的にこういう仕事の仕方をしたらいいんじゃないか」ということをいろいろとご紹介されています。ぜんぶ話していただくと、それだけで5時間ぐらいになるんじゃないかと思うんですが(笑)。いくつかお話しいただけますでしょうか?
松本:いくつか代表的なところだけ。まず30代で一番大きく変わるところは、やったことがなくてもできるようにならなきゃいけないこと。効率的な仕事から、やったことがない効果的な仕事にシフトするにはどうしたらいいかという、いくつかのポイントを解説します。
みなさん会社で、目標設定をされると思うんですよ。その時にキーになるのが、目標の中身より「アクションプラン」を重視したほうがいいということです。
何を言いたいかと言うと、ここに書いてあるみたいに目標設定をSMARTにしようと。
要は、測定可能、達成可能というふうに、より具体化しなさいよと。「目標は明確にしなきゃダメですよ」と言われるんですけど、ただ単に明確になっただけでは何も達成しないんですよね。
大事なことは最初に言っちゃいますけど、オセロで勝つには四隅を取るのが必要みたいに、達成するための「コツ」が必要なんです。コツをうまくアクションプランに落としておかないと、単なる計画になります。
ゴールと予定しか書いていないとどうなるかと言うと、調整とか進捗管理しかできないんですよね。今8月なので、みなさんのお子さんが夏休みの宿題をやっているかと思いますが、「いつまでに何を終わらせる」と計画どおりに真面目にやる子もいれば、予定どおりいかない子もいます。でも「早くやりなさい!」みたいなかたちで進捗管理しかできないと、達成はなかなかしんどいですよね。
やっぱりオセロで勝つコツのように、仕事のコツが必要です。それがわからなければ、やったことがない仕事、もしくは初めてやる仕事だと不安ですよね。だから、コツを仕入れる。
オセロで四隅を取るのがコツだとわかれば、序盤で相手のコマの色が多くても不安にならないじゃないですか。「四隅を取るにはどうしたらいいか」と冷静に見ていられるんですけど、コツがわからないと「どうしよう。自分のが少なくなってくるよ」と不安に陥る。
井上:「次を置け」みたいなのが進捗管理なわけですよね。
松本:そうです。あと、コツがわかると、こうすれば勝てるという作戦が描けるんですよね。で、日々の行動・習慣をルーチンに落とし込むと、どうすればできそうかがわかって、やる気になるんですよね。「こうすればできる」と思うと安心にもなるので。
松本:コツ、作戦、ルーチンまで落ちると、マネジメントでPDCAが回るようになります。進捗管理だと「できませんでした」「もっとがんばります」みたいな不毛な話になりがちなので。特に新しいことや高い目標にチャレンジしようと思ったら、まずコツを仕入れてくる。それを組み立てていくということがキーになります。
コツをつかむには3つのポイントがあります。まず「優秀な方に仕事のコツを聞く」。これが一番ですが、注意点があります。それは、普通の人と何が違うのかというポイントを聞くことです。
なぜかと言うと、優秀な人に聞くとそれこそ「ボールが来たら打てばいいんだよ」というような、すごく粗い自分の感覚で教えてくれるので、普通の人は理解できないんです。
井上:ミスター・長嶋(茂雄)さん語録でよく出てきますが、「スーッと来た球をガーンと打て」みたいな(笑)。
松本:そうそう(笑)ただ、ビジネスの世界では、優秀な方は普通の人と何が違うかがわかっています。
だから、「普通の人と違うポイントを教えてください」「一番重要なポイントは何ですか?」とか、「どこにウエイトを置けばいいんですか?」「そのコツは何ですか?」と聞けばコツがスッキリします。
5万人をリストラして、7,000人のリーダーを選抜育成してきましたけど、リストラされてしまう人が多く陥りがちなワナは、マニュアルどおり真面目にぜんぶ同じようにきっちり仕事をしちゃうことなんですよね。パフォーマンスを出す人ってメリハリがついているんです。
この違いが大きいので、ハイパフォーマーが知るコツはもう仕入れちゃいましょうと。普通の人と違うポイントを聞いて、優先度合いとか時系列、場合によっては攻略本に落とし込んでもいいし、時間割に落とし込んでもいいです。
もう1つが、「成功している打ち手から、何がそもそも原因なのかを遡って考えていく」こと。これは思考のゲーム的なものにもなりますけど。うまくいっていることって、表に出ないことが多いんですが、この成功の裏にあるコツは何だろうか? とある程度仮説で考えていく。
例えば、自動販売機。日本では盗まれないので、自動販売機が道端などに設置されています。その自動販売機の設置数は、コカ・コーラが一番多いんですけど、今でもさらに自動販売機を置く数を増やし続けています。
なぜかと考えていくと、目の前にあるから買ってもらえやすくなる。などはすぐ思いつきますよね。でも、真実はそんなに浅くわけはない。と考えると、一番のポイントは、自動販売機って儲かるんじゃないかと考えつきますよね。。自動販売機はスーパーやドラッグストアと同じ商品でも基本的には定価で売っています。
ドラッグストアとかだと、定価より安く売っています。なので、どんどん利益率が落ちてくるな、と普通に考えると思いつきますよね。
井上:中間マージンもやっぱりある程度かかりますしね。
松本:自動販売義は「定価で売るので儲かるんですよ」とは口が裂けても言わないですよね。こういった成功していることって、きれいごとの裏に本音のコツが隠れていたりします。そういう見方をしてみると、意外なポイントが見えてきたりします。
3つ目は、「成功事例を集めて共通項を見つける」。例えば、野球のピッチャーって、スピードボールを投げる人とかキレのある変化球を投げる人とか、いろんなタイプがいますよね。
いろんな持ち味がある野球のピッチャーの共通する成功要因は何でしょうか?答えは、打者の打つタイミングを外すこと。打者の打つタイミングさえ外れれば、凡打になるか空振りをする確率が高くなるじゃないですか。
なぜ、これが大切なのかというと、人は自分の得意なやり方や自分流のコツしか、人に教えられないことが多いからです。スピードボールタイプの上司は、スピードボールの投げ方しか部下に教えられなかったりするので、スピードボールが苦手な部下の場合、不幸にしかならないんですよね。
だって、苦手なスピードボールを投げる練習しかさせられないと、得意だった変化球のキレが悪くなってしまったりする。しかも、「もっと速く投げられるだろう!」と怒られ、評価も下がり、自信もなる、という悪循環に陥ったりします。
そう、仕事のコツは、持ち味やキャラが違うと使いこなせないのです。それこそ、孫悟空であれば如意棒を使いこなせますけど、猪八戒には使いこなせない「この豚野郎!」ってどんなに三蔵法師にピシピシッとやられても使えるようにならないのは、キャラが違うので使いこなせないからなんですよ。
でも、大事なことって相手をどう倒すか。それがわかると如意棒を使いこなせなくても、沙悟浄や猪八戒は「私の得意なこの武器を使ってこう倒せばいいんだ」とわかることと一緒です。上司も悪気なく、自分のやり方しか知らないし、できないので、キャラ違いの部下の持ち味にあった指導ができないのです。
同じように仕事も、うまくいくポイントを沢山洗い出し、成功のキーになる共通した成功要因を洗い出すといいでしょう。上司と自分はキャラが違って、もしくはハイパフォーマーの人とはキャラが違った場合でも、この方法ならコツをつかめるようになります。コツさえつかめれば、自分がやったことがないことでも、できる確度が高まっていくのです。
井上:なるほど。
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