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経営者力診断スペシャルトークライブ:できる30代は、「これ」しかやらない!(全7記事)

一生懸命やってきたのに、気づいたら「永遠の作業員」 40代以降も、自分らしく羽ばたくキャリアを築くポイント

経営者やリーダー向けに、「経営」「マネジメント」をテーマとした各種セミナーを開催する経営者JPのイベントに、外資系大手コンサル会社幹部を歴任し、『できる30代は、「これ」しかやらない』『「ラクして速い」が一番すごい』などの著作を出版しているHRストラテジー代表の松本利明氏が登壇。経営者JPの代表・井上和幸氏と共に、後のキャリアに大きな影響を与える30代の過ごし方や、ベンチャー・スタートアップに挑戦するる若手ビジネスパーソンが増えた理由などを語りました。

5万人以上のリストラと6,500人以上の次世代リーダーの選抜・育成の経験

井上和幸氏(以下、井上):みなさん、こんばんは。経営者JPの井上と申します。よろしくお願いいたします。

みなさんのいらっしゃる場所は、今どんな状況でしょうか? 僕らは今恵比寿で中継しています。朝も空がかなりゴロゴロいっていたんですが、少し雨がやんだかなと思ったら、また今、雷鳴がとどろく感じで雨が降っています。

なんだか変な天気で、蒸し暑くてうんざりしていらっしゃる方も多いかと思いますけれども、ぜひ楽しい時間を過ごしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

本日は「できる30代は、『これ』しかやらない!」というテーマで、HRストラテジー代表の松本さんをお迎えしています。松本さんの話を中心に、僕が聞き手としてトークライブをお届けしてまいります。松本さん、よろしくお願いいたします。

松本利明氏(以下、松本):はい。今回、井上さんと一緒に担当させていただきます、人事・戦略コンサルタントの松本です。どうぞよろしくお願いいたします。

井上:今日のトークライブは松本さんと私の掛け合いというかたちになります。お話の中で何か確認したいとか、質問したいとか、あるいは「こう思う」とご意見されたい方は、ぜひチャットに書き込んでいただけるとありがたいです。

最後にQ&Aの時間を取ろうと思っていますが、トークライブ中でもどんどん書き込んでいただけたら、僕らも随時拾わせていただきます。なるべくインタラクティブな感じで進められればと思います。

今日ご登壇の松本さんは、ご存知の方も多いと思います。この『できる30代は、「これ」しかやらない』というベストセラーの本。今発行部数はどれくらいですか?

松本:1万部は超えました。

井上:すばらしいですね。、本日、本書の内容全てに触れていただくことは無理ですけれども、その一端、一番重要な部分をご紹介いただくようにしておりますので、ぜひみなさん楽しみにしてください。

松本さんというと、「5万人以上のリストラと6,500人以上の次世代リーダーの選抜と育成に携われた」ということでインパクトがあるわけですが。「育てる」のと「切る」のと両方を大量にやってこられているのが、僕から見た松本さんの売りかなと思います(笑)。ぜひ、育てる話とちょっと厳しい話と、両方おうかがいできればと思いますので、よろしくお願いします。

松本:はい、よろしくお願いします。

井上:相手役は私、経営者JPの井上が務めさせていただきます。

後のキャリアに大きな影響を与える30代の過ごし方

井上:では、さっそく松本さんのお話に入ってまいります。『できる30代は、「これ」しかやらない』ということですが、そもそも松本さんがこの本を書かれる時に思ったことから、おうかがいしてよろしいですか?

松本:そもそもになるんですけれども、「30代って大事な年代だよね」とみなさんわかっていらっしゃると思うんですよ。でも、同時に30代って忙しい時代でもありますよね。

一人前以上になっていろんなことを任され、気づいたらもう40代になっているとか。出世をしたり、場合によっては転職をしたり、もしくは結婚して家庭ができたり。仕事面とプライベート面が大きく変わる10年間です。

井上:そうですね。

松本:なので、日々忙しいのはいいんですが、その時に過ごし方を間違えてしまうと、気づいた時には「もうどうにもならない」という中高年が増えていますよね。井上さんもかなり接していらっしゃるのではないかと思いますが。

「真面目に一生懸命やってきたんですけど、キャリアの賞味期限が切れてしまいました、今からどうしましょう?」と相談されても、40、50歳になってからでは遅い面があります。

もちろん、人生は何歳になってからでも逆転といいますか、自分らしく活躍できる道は昔と違って増えてはきています。けれど、だったら早く自分らしく活躍したほうがいいよね、と。そういう思いで、今回はこの本を書きました。

井上:ありがとうございます。本当におっしゃられたとおり、30代は人生の中の一番大きな、地固めにもなるし、転換点です。おおよその方向感は、30代の前半・中ぐらいで決まりますよね。

松本:そうですね。

井上:自分事として振り返ってみても大事な時期だなとは、私も思います。

松本:ということで、まさに今からテーマに入っていきます。なぜこの本に注目したかと言うと、30代になってくると「忙しい」「いろんなことが変わる時期」なのもありますけど、あわせて「だいたいこのまま行ったら私はこうなりそうだな」と見えてくる年代でもあります。。

20代をある程度がんばって、1つの会社だったり、もしくは転職するなりして、「このまま行ったら30代にはこうなって、40代になったらこうなって……」と今の延長線上で見えてくるところもあるんですが。

逆に、大きく見えていそうで見えていないところ。その境目について、最初に解説したいと思います。

求められる役割が変わる、20代と30代

松本:なぜ30代はキャリアの分岐点かと言いますと、20代と30代で求められる「○○」がガラリと変わるんですね。すいません、一方的にしゃべるのもなんなので、ところどころアニメーションとかを入れます。人間は7秒間しか集中力が持たないので、少しでも画面が動くようになるべく工夫をしてきました。ちょっとチカチカするのはごめんなさい。

20代と30代では何がガラリと変わるかを解説しますと、「成果のコスパ」が変わります。なぜかと言うと、20代の評価されるポイントは「正解のある仕事を効率的にこなす」ことが一番だからです。

上司とかお客さまから、例えば、「この資料を作ってくれ」とか「提案書を考えてほしい」と言われた仕事に対して、100パーセントの答えはなくても、ある程度正解がある中で効率的にどううまくこなしていくかが、評価されて褒められるポイントになります。

30代になってくると今度は、「正解がない仕事でも、成果を出さないといけない」。もちろん、世にない新しい何かを発明しろということではないんですが、「あなたはやったことがないよね。私もやったことがないよね」ということだったり、

「我が社ではやったことはないんだけど、こういうことを若い視点で考えてみてよ」とか、誰かに聞けば100パーセント正解があるとか、ググれば正解が落ちているようなものではないこともやらないといけない。ここが、30代で大きく切り替わるところです。

40代以降も、自分らしく羽ばたくキャリアを築くポイント

松本:20代は、正解がある仕事を効率的にこなしていくと周りが評価してくれる。人間は経験から学び、過去の成功体験を繰り返し、失敗を避けようとするので、「よし、このまま一生懸命やろう!」とやっていると、気づいたら、40歳を過ぎても永遠の作業員になってしまう。

井上:「永遠の作業員」というフレーズ、刺さりますね(笑)。

松本:けっこうあるのが、40歳を過ぎて管理職の一歩手前になって、Excel職人になっている人事の方がいらっしゃる。別にそんなことを手作業でやらなくてもいいんだけど、「私はこれが一番得意です」になってしまうということですね。

もっと言うと、今はテクノロジーに入れ替わったりするので、作業員になった後だと復活する道が少ない。

ただし、30代で正解がない仕事でもできるような勘どころをつかめたり、経験を積んでいくと、どこでも自分らしく羽ばたけるようになります。どんな環境の変化があっても大丈夫な人になれますよ、ということです。

30代の10年間で、今後の人生の可能性はある程度大きく決まってしまいます。これは私だけではなくて、実際に企業なんかを見てみると、28歳から38歳ぐらいの方、40歳手前ぐらいの方が、会社自体を現場レベルで動かしていますよね。

その結果を踏まえて、外資系ですと早く昇進。日系の大手の会社だとそこから課長になり、管理職になり、目に見えるかたちで昇進したりしますが、けっこう一番任されていたり動かしているのは、この世代です。元「NewsPicks」の佐々木(紀彦)さんも、「やっぱりその層が動かしてるよ」と同じようなことを言っていました。

実際に見てみると、みなさんご存知だと思いますが、落合陽一さん。彼は今34歳ですよね。若い。あと、ホリエモンさんは私と2歳違いにはなるんですけれども、ライブドアの時に球団買収を仕掛けたのは30代前半です。

同じように、キングコングの西野(亮廣)さんも『えんとつ町のプペル』を描いたのは35歳というように、大きく羽ばたく人は、30代の時に何かしら芽が出ているんです。そこからさらに大きく発展していることは非常に多いです。

ただし、焦らなくても大丈夫。そのことを今日、井上さんとお話ししながら解説できたらなと思っています。

ベンチャー・スタートアップに挑戦する若手が増えた理由

井上:象徴的に、時代の変わり目とか大げさなものでなくても、次の時代を仕掛けていく人が出てくるのは、やっぱりこの30代半ばぐらいですよね。

松本:その時にどういう経験を積んだかで、それ以降の選択肢の数が決まってきます。例えばカーネル・サンダースさんみたいに、「ケンタッキーフライドチキン」を60歳過ぎてから大成功させる人もゼロではないですけれども、確率論で言ったら低くなりますよね。

なので、先々になんとかなるかよりも、今自分らしくどう活躍するか。あとは今回、人事の方とか経営者の方が多いとすると、30代の時にいかにチャレンジをしていただくかとか、一皮むけるような経験をどう積んでいただくか。それを現場に仕掛けていくことが、キーになるのかなと思います。

井上:30代の転換点、松本さんがおっしゃってくださっているとおりかなと僕も思うんですよね。

ただ、今変わりつつあるとは思うんです。日本の大手企業とかを中心に言うと、松本さんがおっしゃるような30代での転換点を押し殺すような働き方とか、昇進・昇格制度が、比較的多いのはありますよね。40歳ぐらいまで横並びに行かせてしまうみたいな。「それだとまずい」と、最近少しイノベーション系の組織なんかで、若手の方を抜擢する会社が、出てきているとは思うんですけどね。

一方で、僕らもベンチャーとかスタートアップを見ていますけど、そちらのほうが今はいろんな意味で、大手と採用の条件が並んでいたりする。大きく言うと、意外と昔ほど「大手、大手」ではなくて、わりと若い会社にも新卒から入社する、成長していくスタートアップにチャレンジする方が、今増えています。

そういうところで言うと、松本さんがおっしゃるようなオポチュニティが、大手組織にガッチリと入ってしまうと、本当はそうあるべきなんだけどそうなれないぞ、と感じている方も多い気がしますね。

松本:そうですね。しかも30代って、特に今の時代になってくると、大手の会社からスタートアップに行ってまた大手に戻ったり、いったん独立されてからまた元に戻ったりと、やりやすいじゃないですか。

井上:そうですね、はい。

松本:5年間独立してやってみて失敗しても30代だったら企業勤務に戻ることはできますけど、50歳過ぎると55歳で役職定年を越えるので余程の専門性を持つか役員クラスの人材でもない限り、勤め人に戻れないのが現実です。

井上:そうなんですよね(笑)。

松本:そこはもう30代の人はけっこう気づいています。今「リスキリング」という言葉が流行っています。要は今までのスキルアップだけではなくて、世の中変わってしまったので新しいスキルを身につけましょうよ、ということが多いんです。

このリスキリングができるか。どんどん自分自身を、アップデートだけでなくて新しい能力・経験を手に入れられるかどうかで、会社から見切られてしまう。若い人はちゃんとそこを見ているケースが多いのではないかなと感じます。

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