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最高の会社の辞め方(全4記事)

1ヶ月で短期離職、無職など「人生ハードモード」な過去があった 転職のプロであり、「退職学」第一人者の意外なキャリア遍歴

「退職学®︎」の研究家であり、『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』著者である佐野創太氏が、キャリア戦略としての「最高の会社の辞め方」について語りました。転職が当たり前になった時代において、辞めた会社とも友好な関係であり続け、退職後も声をかけられる人になるための「退職学」を学びます。

退職学の研究家が解説する「最高の会社の辞め方」

佐野創太氏(以下、佐野):みなさん、今日はよろしくお願いいたします。「最高の会社の辞め方」という、僕にとってど真ん中なテーマを絶対肯定サロンのオーナーのタマキさんと今日の司会者のぽちゃんさんが選んでくれました。その時に「佐野さんはけっこう理詰めの人ですよね」と、すごく鋭い一言をいただいたので、今日は理詰めで退職を考えていこうと思います。

「『最高の会社の辞め方』~退職学が『3.5%』に広がった未来~」という、ちょっと大きな話からはじめて、身近な僕たちの働き方を考えていきたいと思います。

最初にご紹介です。今回、(ハナマルキャリア総合研究所代表取締役の)日本初のキャリアコンサルタントとして活躍されている上田(晶美)さんにご推薦いただいてこの場に来ております。上田さんにはすごくお世話になっていまして、出会いはClubhouseなんですよ。

Clubhouseでたまたま話した時に、僕がプロフィールに「退職学」と入れていたのを見て、上田さんが「それいいじゃん。ちゃんと商標取るんだよ」とアドバイスをくださって、速攻取りました。なので僕としては、「退職学の生みの親」じゃないですが、勝手にそれくらい尊敬しているんです。

スライドの右下にあるのが退職学のロゴなんですが、丸くてピンクで、上田さんの(ハナマルキャリアの)マークに似ていますよね。そういうところにも、勝手に縁を作らせていただいています。僕はよく、自分の中で勝手に縁を作るんです。

これからの働き方において、また「自己肯定感を上げる」というテーマで考えた時にもけっこう重要になるんですよ。だから、このへんも織り交ぜてお話ししていきます。

「退職学」と名付けた由来とは?

佐野:「退職学ってどうやって名付けたんですか?」とよく聞かれるので、最初にお話しします。「学習学」というものがあるんですが、みなさんご存知でしょうか。京都芸術大学教授の本間正人先生という方が、「今は最終学歴ではなくて、『最新学習歴』が大事だ」を根本の考え方とした「学習学」を唱えているんです。

僕はこれを10年ぐらい前の学生時代に知って、なんとなく覚えていました。それで、会社から独立する2017年に「ああ、何にしようかなぁ」という時に、学習学を思い出したんですね。

「自分が研究したいテーマに『学』を付けている人がいたわ。僕もつけたろ!」と思ったのが始まりです。こうやって僕は、すごい人や出会った人を勝手に先生にして生きていくタイプです。今日もこういう話をちょこちょこ入れていきたいと思います。

みなさんも聞いたことがあるかもしれませんが、(スライドにあるのは)ちょっとかっこいい言葉集ですね。

「私が遥か彼方まで見通せたのだとしたら、それは巨人たちの肩に立っていたからだ」。万有引力の法則のアイザック・ニュートンの言葉とされていますが、本当はフランス人哲学者ベルナーが原点という説もあります。「巨人の肩の上に立つ」とは、つまり「学問体系」や「すごい人の学習の知恵」などの上に立っていると、自分ももっと遠くを見渡せるよということです。

こんな言葉があって、「これだ! 自分だけの力で生きるんじゃなくて、縁をいただいた人の力を借りながら生きる。佐野の生き方はこれでいこう!」と思いました。退職学の根本もこれなので、今日は話をしていきます。

今日は30人ぐらい参加してくださっていて、すごいなと思いました。今、お盆もラストで疲れていないですか?(笑)。

司会者:35名ぐらいの方が来てくださっていますね。

佐野:びっくりしました。子育てをしている人だったら、夏休みこそ疲れていて「学校始まれ~」と思いますよね。なので、今日こんなに来てくださるとは思っていませんでした。

同じことをインプットしても、アウトプットに差が出る理由

佐野:では、まずは準備運動をしますね。みなさんいいですか? 「研修効果を3倍に上げる『発見ワーク』」をいきなりやります。何でもいいので、Web記事などを開いてお手元に文章を出してください。目の前に本がある方は出してください。

では、1分レースを始めます。今みなさんの目の前にある文章から、ひらがなの「の」を数えてください。理由とかは聞かないでください。とにかく1分間「の」を数えてください。いきますよ。せーの、どん! 

今入ってきた方はびっくりすると思いますが、急に「の」を数えさせられております。みなさんもよく知っている「の」でございます。あと30秒です。こういうワーク中はしゃべりたくなってしまいますが、以前「そっちに気が取られてワークできませんでした」という声が届いて。

司会者:(笑)。

佐野:「ちゃんとしよう」と思ったので、今日はがんばります。

司会者:わかります。

佐野:しゃべっちゃいますよね。ほら、しゃべってる間にあと15秒です。はい、OKでございます。みなさん「の」の字は何個ありましたか? その数字をチャット欄に書いてください。

強者がいますね(笑)。「94個」ってすごくないですか? そのテクニックは何なんでしょうか。速読がすごい人がいる。いったい何の文章を読んだか気になるレベルですが、94が最高ですね。みなさん拍手で称えてください。60秒だから、1秒に1個以上見つけている「の」マスターがいますね。

急に「の」を数えさせられたと思いますが、その時に「が」は何個見つかりましたか? これもチャット欄に数字を打ってください。「数えてません」「0」「1」。「が」も主語で使うので、めちゃくちゃ多いんですよ。これ、時々「『が』も数えてました」っていう変な人がいるんですよ。

今日は大丈夫だ。ちゃんとみんな数えていないし、覚えていない。「2個は見ました」。おお、すごいな。これは「間接視野」で見えている人がいるんですよ。サッカーや野球をやっていた人は、間接視野が強いんですね。94個を叩きだした方は、たぶん「の」に集中しすぎて何も入っていない感じです。OKです、ありがとうございました。

つまり僕らは「見たいものは見る」けど、「見たいものしか見ない」んですよね。なので今日のこの時間も、全員が同じことをインプットするはずなんですが、アウトプットには差が出るんです。僕の研修の先生は、これを「行動格差」と呼んでいました。

インプットを「ものにする人」を「ものにできない人」の差

佐野:同じ研修で同じ情報を全員がインプットしているのに、アウトプットとなるとぜんぜん違う。年齢やこれまでの実績も関係なく、この時間を「ものにする人」と「ものにできない人」がいて、その差がすごいんです。

「その違いは何ですか?」と聞いたら超シンプルで、参加目的があるかどうかなんです。つまり「見たいものをはっきりと持っているか」です。今日はお盆の最終日で、20時と夜も更けてきました。それにも関わらずみなさんが来てくださったということは、何か強い動機があるはずです。

まだ言葉にしていないかもしれませんが、強い動機があるから、今日は佐野に時間を使ってくださったと思うんですね。ぜひみなさんの参加目的を教えてください。僕が「こんな感じかな?」と思うものを7個ほどスライドに表示しました。

今日のイベントタイトルは「最高の会社の辞め方」なので、1番は「転職・退職のいい方法を知りたい」。2番目は、逆に「うちの会社は辞める人が多いから、組織作りのヒントが知りたい」という人。3番目は「これからの働き方、キャリアを知りたい」。4番目は僕が著者なので、「本になるコンテンツ作りのヒントがほしい」という方。

誰に許可を得たわけでもないけど、僕は「退職学」で第一人者になりました。5番目は「何かの第一人者になる方法はないかな?」と考えている方。6番目は「佐野、応援してやるぜ」という方。

ということで、みなさんの参加目的をチャットにお願いします。もしくは、「実はこういうことを考えているんだ」というオリジナルなものでもOKです。1、3、3、なるほど。(視聴者コメントで)「感情で生きている私は、佐野さんがさらっとしていると……」。さらっと感、時々言われます。

講義内容そのものよりも「自分で考えたこと」に価値がある

佐野:上田さんにも「肩の力が抜けている」みたいなことを言われましたが、僕がベンチマークにしている生き物はクラゲなんです。ふわふわした感じでいいですよね。クラゲはほぼ水なんですよ。クラゲはすごい。変化が激しい、学ばないといけないこれからの時代にはめちゃくちゃいいなと思っていて。

(視聴者コメントで)「現在の仕事に役立てたい」。キャリアカウンセリングにはめちゃくちゃ活きるはずですね。やっぱり、1と3が多いですね。ありがとうございます、すごく勉強になりました。みなさんも今、選びながら参加目的の言語化をしたと思うので、ぜひそれを頭に浮かべながら聞いてください。

感想やメモ代わりにチャットを使っても大丈夫です。僕は研修の仕事もするんですが、佐野が話した内容よりも、みなさんがご自身で考えたり感じたりしたことのほうが、圧倒的に価値があるんですよ。

僕は60分いただいていますが、終わった時に僕の話はたぶん5秒分ぐらいしか覚えていないと思います。でもご自身が考えたことは、1週間後とか1ヶ月後とか、下手したら1年後にも覚えているかもしれない。

なので、佐野の話は覚えておくのは1行でいいんです。僕はよくしゃべるので、ずっと聞いていると疲れます。だから、みなさんが考えたことや感じたことをメモする感じでチャットを使ってください。

黙って聞いているのって疲れませんか? 僕は、オフラインだったら会場をぐるぐる回りますからね。そんな感じでやっていきます。

「自己肯定感が地面にめりこんでるくらい低い」と語る佐野氏

佐野:講師の紹介としてはこんな感じです。主に「退職学」というものを2017年から掲げてやっておりまして、退職者をファンにする退職広報を実施することでピンチに強い組織にする組織開発を一緒にやったりしています。

働く人の働き方の相談にも乗っています。最近、経営者の方も相談に来るんです。経営者の方って、自分が作ったのに「会社を辞めたい」って普通に言うんですよ。やっぱり大変なんですよね。そういう人たちのいろんな話を聞いたり、本を出したりしています。『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!転職後も武器になる思考法』が、Amazonの転職カテゴリーや楽天の労働カテゴリーで1位になったりしています。

「パワーワード」を作ることもやっています。「退職学」とか「最高の会社の辞め方」とか、なんだそれ? と知りたくなる言葉があると、お客さまやメディアの人が興味を持ってくれるんですよね。人は、一言でつながれるんです。

特にコーチングやカウンセラー、コンサルタントなど、キャリア支援や対人支援をされている方と一緒に「声をかけられる一言」や「指名が続く一言」を作っています。

対人支援のお仕事は労働集約になりがちなので、「すごくたくさん働いているんだけど大変すぎる」ということになってしまうんですよね。だから自分に旗を立てて、「自分にしかできない、その道の第一人者になれるポジションを見つける」ことを一緒にやっております。

(視聴者コメントで)「先ほどのスライドのサイクルはオリジナルで作成されたものですか?」。はい、そうです。わざわざありがとうございます。

僕は自己肯定感が地面にめりこんでるくらい低いタイプなんです。でも、こうやって退職学とか自分で出した本が1つあると「肯定祭り」で、自分とは真逆の人たちとお話ができたり、呼んでいただけたりするので、発信してみるもんだなと思います。

早期退職や介護離職を経て、たどり着いた「退職学」の道

佐野:ここまではかっこいい部分を自慢させていただきましたが、これはコインの表でしかありません。(スライドを指しながら)裏はもう、こんな感じですよ。

最初の会社を1年で早期退職をし、次の会社は1ヶ月で辞め、そんなことをしていると無職になり……。転職エージェントで働いていたのですが、テレアポしているふりをしていましたね。電話をかけて、ガチャッと切られるのが怖いのでね。そんな人間だったので、無職になりました。

そして、最初の会社に出戻りさせてもらったんです。4年間ぐらい新規事業の担当者をやらせてもらったんですが、今度は母が体調を崩して介護離職です。あらあら、と。「けっこう人生ハードモードになったな」というところからの退職学でございます。

なので、「失敗を糧にする」「全部ネタにする」という考え方がすごく好きです。さっきは褒めていただきましたが、本を出したら批判もくるわけです。みなさんもあまりレビューを見過ぎないほうがいいですよ。

最初の1ヶ月ぐらいはレビューを見過ぎて疲れちゃいました。「端的に浅い」と言われたら、普通に傷つきます。でも、表に出るということは叩かれることでもあるので、がんばろうかなと思います。

(視聴者コメントを受けて)テレアポしているふり、やっぱりしたんですね。人材系の営業って、体育会系というか精神論も大事で大変なんですよね。

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