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転職すれば解決する? 上司ガチャに悩む30代社員に贈るブレない自分の見つけ方(全4記事)

キャリアで「寄り道」が多い人は、“裏玄関”からの転職が吉 30代以降、転職市場で評価される「ナチュラルジョブ」とは

数年前は35歳が転職の上限と言われていましたが、転職は40代でも当たり前になりつつあります。「会社ガチャ」「上司ガチャ」とも言われる時代において、これからのキャリア形成において大事なキーワードは「ブレない軸」を持つこと。そこで今回は、「退職学®︎」を研究し、『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!』の著者・佐野創太氏と、『新しいキャリアの見つけ方』の著者・有山徹氏が、「ブレるキャリア」に悩む30代に向けて講演を行いました。本記事では、正攻法ではなく“裏玄関”から転職するための極意を明かしました。

キャリアは「裏玄関」から攻める方法もある

佐野創太氏(以下、佐野):「裏玄関」に行くのは本当に大事です。「表玄関」が、いわゆる転職エージェントや転職サイトを使ったりして、一番楽に行ける正攻法です。これができる人はいますし、正直に言ってこれは“きれいなキャリア”の人です。

僕みたいに、早期退職を繰り返していなかったり、最初からいわゆるネームバリューのある会社に入れて、いい部署に入れて、結果も出せるという方は、表玄関からバンバン行ってください。それはもう、「あなたは素晴らしい」としか思えないです。あなたは本当に素晴らしいので、がんばってねと。

僕みたいに「ちょっと荒れているな」「ちょっと寄り道が多かったな」という方が、この中にもいらっしゃるかな。いらっしゃったら、求人はもらうもの・応募するものじゃなくて、開拓するものだと思ってやってほしいです。この時の武器になるのが、「ナチュラルジョブ」です。

言い方が悪いですが、僕らみたいに荒れた人、キャリアで寄り道が多い人は、履歴書と職務経歴書だけを出しても、絶対に書類は通らないんです。なので「ナチュラルジョブ」という勝手にやっている仕事を経歴書の上のほうに書いて、「こいつはあとから見たら大変なキャリアかもしれないけれども、一貫してこれをやっているんだ」というのを見せる。

そうすると、裏玄関からバンバン行けます。裏玄関は自己応募の時もあれば、SNSで社長に直接送ることもあれば、友人に(履歴書・経歴書を)回す時もあったりします。求人開拓は、裏玄関から入るというのもあります。

「本気で副業」することが重要

佐野:もう1個、本気で副業することはとても大事で、「自分の経験の中で換金できる仕事は何なんだろう?」というのをぜひ見てみてください。やり方はすごくシンプルで、副業サイトやフリーランスのサイト、スキルシェアマーケットであるココナラやストアカを見て、自分の経験・仕事が換金できるかをやってみてほしいです。

それをやることで、自分のキャリアは社内で留まっているだけではなくて、他の人も興味を持ってくれるんだなとわかる。「それを伸ばしてみようかな」「それを軸足にして他のことを学ぼうかな」と、どんどんキャリアが自分で作れるようになってきます。

実際にはできなくてもいいので、副業サイト、フリーランスサイト、スキルシェアサイトをちょっと見ていただけたらいいんじゃないかと思います。

ナチュラルジョブは、表を作るだけで把握できるので簡単なんです。「勝手にやっていたこと」とか、これまで生きてきた中で、「特定した課題」や「改善したこと」は必ずあると思うんですよ。それを年代ごとにバーって書いていくと、「環境が変わってもずっと同じことをやってるな」というものが、けっこう見つかるんですよ。僕はいつも人のナチュラルジョブを見つけて、裏玄関市場に一緒に行きます。

自己評価はどうでもいい、キャリアで大事なのは「他者評価」

佐野:ここからがめっちゃ大事なんですが、さっき「キャリアは関係で作られる」と言ったみたいに、自己評価はわりとどうでもいいんです。自分がやったことに対する自己評価よりも、他者評価が大事です。

数字でできる定量的な評価と、アンケートでもらった3行くらいの言葉や、同僚やお客さまから言われた定性的な評価を覚えておいてください。これが僕らの評価になります。

僕が転職エージェントをやっていた時に、「佐野さんは元気はないけれど、ゆるくていいね」と言われたことがあるんですよ。だいたいの人材エージェントはやる気があるらしくて、僕もやる気がなかったわけじゃなかったんですが、基本的にテンションが低かったんです。ローテンションでしゃべるので「そういうところが信頼できる」と言ってくれたところが、5社あったんです。これが定性的な評価ですね。

あとは「巻き込んだ人」。上司を巻き込んだのか、同僚を巻き込んだのか、後輩を巻き込んだのか、他部署を巻き込んだのか。自分の範囲から出て人を巻き込んだ経験は、特に転職市場ではとても評価されます。30代以降、これはすごく大事です。

自分1人の仕事内容や、「効率を改善しました」というよりも、部署やチーム、会社全体というふう、輪が大きくなるような考え方。主語を、私という「I」から「We」で考えられる人のほうが30代以降は特にとても評価されるので、巻き込んだ人がどれくらいいたかを考えてみてください。

というところで、「ブレろ」と言ったり「ブレるな」と言ったり、なかなか大変なんですが、ナチュラルジョブを見つけてブレない強みを見つけてください。

佐野氏がおすすめする、キャリア形成に役立つ名著

佐野:次に「おすすめ書籍」。あらためてお伝えするまでもなく、みなさんもご存知で、某データでは今日も読んできた方が9割と聞いておりますが。はい、完全に出オチですね(笑)。

有山さんの『自律の時代を生きるプロティアン・キャリア戦略』と佐野の『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!転職後も武器になる思考法』です! 今日は来てくださった方が、運営を外して22人ですね。視聴で80人くらいいたので、今日はこれで80人くらいが購入してくださって、Amazonレビューが増えますね。有山さん、今日で100は行くんじゃないですか(笑)?

有山徹氏(以下、有山):行けますね。注視しましょう。

佐野:僕らはこの1週間、追っていますので(笑)。ちなみにAmazonから買っていなくても、レビューは書けるって知ってましたか? この2冊は読んでくださいね。

「ちゃんとお伝えする名著」もお伝えしますね。まず、さっき「ネガティブに慣れろ」という話があったと思うんですが、『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』というタイトル通りの本があるので、これもぜひ読んでください。

転職や退職のマーケットで変わってきている傾向として、早期退職が増えているんですよ。かつ、黒字の会社でも早期退職が増えていたりします。なので、これから60歳や70歳まで働く時に、ずっと会社にいるか・いないかは別としても、たぶん何らかのキャリアの危機は来ると思うんですよね。

会社がいきなり「早期退職を始めました」となるかもしれないし、これからは「買収されました」も増えるだろうし、僕みたいに親の介護がどうのこうの、という話が入ってくる方もいらっしゃるかもしれないです。こういう時に、ネガティブな感情に振り回されるとけっこうきついんです。

僕も介護離職の時はけっこうきつかったです。「なんで俺がこんなことしなきゃいけないんだ」と、思いましたし。ただ、ネガティブな感情にも必ずポジティブな意味があるので、それを使いこなしましょう。とてもいい本なので、機会があればぜひ。

「置かれた場所で咲く」というよりも「自分が咲ける場所を探す」

佐野:もし「共働きだよ」「パートナーも働いているよ」という方がいたら、ぜひ『デュアルキャリア・カップル 仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』を見てみてください。キャリアは自分1人で作るんじゃなくて、他の人の支えを得ながら作っていくものだよということを、とてもわかりやすく書いてくださっている本です。

かつ、これは主に共働き用の本なので、共働きで仕事も生活もどっちも幸せにする方法を書いているので、育児や結婚、パートナーの転勤や転職・独立といった転換期の方はぜひ。

このへんから、パワーワード・パートナーっぽいことを言うんですが、キャリア市場やキャリア本を見ていると、「自分で『強み』を見つけてがんばって磨いて、それを売っていけばなんとかなる」という傾向がけっこう強いんですよね。自分視点が強すぎると思っていて。

逆に「需要はどこにあるのか」とか、置かれた場所で咲きなさいというよりも「自分が咲ける場所を探す」という考え方をマーケティング思考と捉えると、マーケティングの本でキャリアに使える本がたくさんあるんですよね。

『ポジショニング戦略』は、マーケティングの古典的名著と言っていいのかな。例えば、「清涼飲料水と言ったらポカリスエットやアクエリアス」って、すぐに頭にポンと浮かぶ。「○○と言えばあの商品、あのサービス、あの人物」と思い浮かぶと思うんですが、あれはどうやってやれてるのか? というのを解説してくれている本です。

「独立や転職をしよう」「自分をどうやって記憶してもらおうかな」「どういうひと言で自分を覚えられたいんだろうか」と、少し外を向いた時には、この本がとても使えます。

オンライン時代は「単純接触の法則」が行いやすい

佐野:これもちょっと近しいやつで、『最新のネーミング強化書』。自分をどう商品化して、希少性の高いキャリアを作るか、名前を付けるというものですね。さっきポカリスエットという名前を出しましたが、人間って固有名詞しか覚えられないそうです。

例えばポカリスエットを探しに行く時に、「清涼飲料水どこかな」とは探さずに、ポカリスエットを探しに行くんですよね。これと一緒で、自分に名前を付けるとか、自分にタグ付けをするという考え方は、これからとても大事になってくる。もう、なっているのかな。

こういう『最新のネーミング強化書』とか、いわゆるマーケッターの人や広告代理店の人は、こういう本が大好きなんですよ。マーケットインの考え方でキャリアを考えてみようかな? というころを、やっていただければなと思います。これでしゃべり切りました。以上でございます。

栗原和也氏(以下、栗原):佐野さん、ありがとうございます。

佐野:しゃべった。しゃべった。

栗原:データも踏まえて、さまざま日本の現状と対策と言いますか、先ほどの表もご参加いただいたみなさんには公開いただけるということで、ありがとうございます。ちなみに、私も動く人間としては非常に興味があるポイントなので、1つだけご質問してもよろしいですか。

佐野:ぜひぜひ。

栗原:ありがとうございます。「関係性を作る」って、けっこう重要なワードだなと思っているんですが、とはいえみなさんも関係性を作るのが億劫だったり、「そんなのを考える余裕ないよ」という方も多いと思うんですよね。ここに対する第一歩で、アドバイスはございますか。

佐野:有山さんがタナケン先生にメールを送ったみたいに、「こまめに連絡する」というのが、関係性を作るのにとても大事です。

社会心理学の古典的な名著の『影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか』という本に、「単純接触の法則」というものがあって。「何回も会っていると人はその人に好感を持つ」という、「確かにな」という法則がありまして、それってオンラインが大前提の今の時代はとてもやりやすいんですよ。

距離を縮めたい時には、相手の「興味があるもの」に興味を持つ

佐野:「この人と仲良くしたいな」「この人とお仕事したいな」「気が合うな」という程度でいいと思うんですが、その人に対して、その人が気になっているニュースを送ったり、僕だったら本をたくさん読むので、本の1文を送ってあげるだけでいいんです。そうすると、接触回数が増えるじゃないですか。けっこう喜ばれます。

「自分が興味を持っていること」に興味を持ってくれる人に対して、人は興味を持ったり好きになったりするので。

「関係を作る」と言うと、「名刺交換会に行かないといけないのかな?」とか、すごく大変な感じがするんですけれども、単純接触の法則で回数を増やしたり、「この人が興味ありそうな情報をこまめに送ってみようかな」というのをやっていただけるといいんじゃないですかね。

それこそ僕なんかは、パワーワード・パートナーのクライアントさんとかには、その人らしさが出せそうな音楽や曲を送ったりするんです。

そういうことをすると、「この人はいつでも私のことを考えてくれているんだな」という感じになって、話がしやすくなったり、信頼関係が作りやすくなるんですよね。漫画が好きな方だったら「この漫画がすごくよかった。あの人に向いてそう」と思ったら、送ってあげていいんですよ。

栗原:ありがとうございます。もしかしたら「チームメンバーだとやりづらい」とかもあるかもしれないですが、今だとSNSで自分の趣味や好きなことを発信する機会も増えていると思います。「本を出すといいよ」というお話にも通じるのかなと思いましたが、何かしら自分が発信して、そこに関連する方とつながっていくのは、ある意味第一歩なのかなとも思いました。佐野さん、ありがとうございます。

佐野:ありがとうございます。

あくまでも転職は「手段」

栗原:それでは、あっという間に終了の時間を迎えております。

有山:あっという間です。

栗原:あっという間でございました。有山さん、佐野さん、講演ありがとうございました。

有山・佐野:ありがとうございました。

栗原:最後にお二方から、告知等もあればぜひぜひお知らせいただきたいんですが、有山さんはいかがでしょうか。

有山:今日は転職の話が出ましたが、これは転職どうこうじゃなくて、どちらかというと「キャリア開発をやりましょう」ということなんですが、うちの協会とJACさんで新しいサービスをやりましょうと言っています。

転職はあくまで「手段」として考えるんですが、手段として考えるにも、しっかりとキャリアを考えて取り組むというサービスを、一緒に共同開発しようとしています。

あとは、法人さま向けのプロティアン・キャリアドックの説明会もございますし、もしプロティアン・キャリアをもう少しちゃんと学びたいという個人の方は、ぜひ基礎講座にお越しいただければなと思っております。私からは以上です。

栗原:有山さん、ありがとうございます。佐野さん、ご参加いただいたみなさまに、最後にメッセージいただければと思います。

佐野:みなさま、今日はありがとうございました。30代は本当にブレますよね。「ブレブレ」を連呼して恐縮なんですが、僕も今でもぜんぜんブレていますし。

ブレるたびに「じゃあ、どうやってネガティブから意味を出そうかな」「ネガティブは生存本能みたいなものだから、ポジティブな本音のある疼きみたいなものだな」ということで、なんとか踏ん張っております。

ネガティブな環境を、いかに自分の「糧」にするか

佐野:もし、「うわー、ブレてんな」「会社辞めたいな」と思ったら、それは全部自分の本音が疼いている証拠だなと、転換していただければなと思います。僕がやっている退職学は、終わっていく営みをいかにいいものにしていくか、という研究でもあります。

哲学で言う「生きる」とか「死ぬ」とか、死生学を先行研究にするんですが、そこの中でも「死を穏やかに迎えていくたびにユーモアを持つ」ということをかなり大事にしているアルフォンス・デーケン氏という上智大学で名誉教授をされていた人がいます。彼が始めたのが「死の準備教育」です。そこにはユーモアを持つと、自分の悩みを俯瞰して見れるので、解決策が思いつきやすいという感じですね。

僕は介護離職だったり、無職だった経験がけっこう長かったので、わりとキャリアの暗い面も見ることが多くて。

データを見ても黒字の会社も早期退職をやっていたり、こういう混沌とした時代になると労働環境も荒れてきたり、大変な環境になってくると思います。その時に、どうやって大変な環境やネガティブな環境を自分の糧にしていくかという考え方が、これからますます大事になってくると思います。

もし大変なキャリアの状態になったら、「退職学とかプロティアンとか言っているやついたな」「あの人たちは変幻自在で生きろとか、ネガティブのままがんばれとか言ってたな」と思って検索していただければ、有山さんも僕も動いているはずです。その時はぜひ、イベントや本に出会いに来ていただければなと思います。今日はありがとうございました。

栗原:佐野さん、ありがとうございました。チャットのほうでも、佐野さん、有山さん、そしておまけに栗原のTwitterのアカウントをシェアいたしましたので、よろしければみなさん、ポチッと押していただいて。DM等もいつでもお待ちしております。

有山:まず、つながることからですね。つながることが、社会関係資本の第一歩ですから。

栗原:お忙しい中、ご応募いただいたご縁ですけれども、ぜひ今後も細く長くつながって、みなさんのご縁に何か貢献できればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

有山:よろしくお願いします。

栗原:あっという間の1時間でしたが、本日のイベントは以上で終了とさせていただきます。またこうしてみなさまとお会いでき、またキャリアのお話できることを楽しみにしております。

ネガティブでもいい、変化する時代にがんばっていこう、というお話ですので、ぜひまた継続的にお話できればうれしいです。それでは、本日はこちらで終了となります。みなさま、ご清聴ありがとうございました。

有山・佐野:ありがとうございました。

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