2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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佐野創太氏(以下、佐野):(周囲から)結婚の話が入ってきたり、僕もそうだったんですが、ちょっと体調を崩したりとかすると「あれ? ずっと働き続けるのけっこう難しいんじゃない?」と思ってくるのも30代の特徴です。
もし今日この場でブレていたりとか、「なんかブレている部下がいるんだよね」と思ったら、「しゃあない」と思ってください。これは“花粉症”であって、個人の責任ではありません。
「ブレる」は花粉症です。花粉症の人に、「あなたの鼻が弱いです」とはあんまり言わないですよね。それとまったく一緒で、ブレていることは汗をかいているみたいなもので、自然現象です。
「ブレる」は、実はぜんぜん悪くない。さっき有山さんからも「ブレていい」という話があったと思うんだけど、僕も悪くないと思っています。
「ブレる」というと、けっこうネガティブだったり、確かに苦労することもあります。でも、苦労や傷は自分のセンスになったりします。その経験があったから成長できたり、近しい境遇の人の悩みを自分ごとにできたり。ブレて遠回りした先で得られるものはたくさんあります。
たぶん有山さんも、キャリアや働き方で悩んでなかったら、協会を立ち上げてないんじゃないかなと思うんですよね。「いやいや、やればよくない?」「がんばったら成果って出ませんか?」「普通にやればいい」でうまくできてきたキャリアを作れていたら、おそらく「プロティアン」とは言っていないんじゃないですかね。
「普通に結果を出していたら認められますよね」みたいなことを、本当に言える人はいます。天然のエリートです。有山さんも僕と一緒にしていいかわからないですが、たぶん僕も有山さんも「そんなことはない」と思って、「キャリアの裏玄関」から市場やキャリアを作っていたタイプだと思うんです。
佐野:僕が好きな考え方をここでお伝えします。「『センス』=『心の傷』」「心に持った傷跡からセンスが生まれると言っても過言ではない」です。という言葉を、僕が好きなミュージシャンの本から持ってきました。X JAPANのベーシストとして活躍したTAIJIさんの著書『伝説のバンドXの生と死―宇宙を翔ける友へ』からお借りした言葉です。
僕の本にもちょいちょいミュージシャンの言葉を引用しています。GLAYのTAKUROさん、宇多田ヒカルさん、キズの来夢さん。ミュージシャンはキャリア形成の先生なんですよ。
もし今、「ちょっと悩んでるんだよね」という人は、その経験を活かして有山さんみたいなキャリアを作れるかもしれないし、人の悩み相談に乗れるかもしれない。なので、自分が今悩んでいることは、誰かの悩みを前借りしている、ぐらいに思っていただければいいんじゃないかなと思います。
ここから「ブレる状況」を具体的にさらに見ていきますね。栗原さん、もし「お前しゃべり過ぎだ」となったら、そんな顔をしてください。ちょっと話し過ぎている気がする。
栗原:ぜんぜんオッケーです。大丈夫です。
有山:大丈夫です。
佐野:ありがとうございます。ここから「ブレる状況」の数字を2つ出します。「42.5」という数字で、何か思い付く方はいますか? 実は平均で、42.5歳を境に「今の会社でがんばろう」という、出世する意識が下がるというデータがあります。小林祐児氏の『早期退職時代のサバイバル術』から概要を引用しますね。
42.5歳までは「出世したい」という思いが強かったところが、42.5歳を過ぎると「出世したいと思わないんだよね」という気持ちのほうが増えるんです。みなさんはどうですか。その気配がある方いらっしゃいますか? 「出世じゃなくなってきたかも」と思い始めるのが、実は42.5歳だという数字が出ていたりします。
佐野:もう1個が「35」。これも、転職やキャリアを作る時に1つのターニングポイントになりやすい数字です。「35歳転職限界説」が存在するというデータが同じく小林氏の『早期退職時代のサバイバル術』にあるんですが、みなさんはどう捉えますか。
僕は今年で34歳です。エージェントをやっていたり、今も採用に関わっているのでわかるんですが、フリーランスの経験とか、起業経験をちょっと疎ましく思う採用の考え方もあったりするんですよ。「チームプレイがあまりできなさそう」とか思われたりするんですよね。
「確かにそうかもしれない」と、自分でも思ったりします。僕も「正社員に戻るんだったらそろそろ決断しないといけないかも」と思ったりします。このくらいの年齢は、フリーランス仲間で正社員に戻る人もけっこう多いんですよ。
「35歳転職限界説」について、「35歳以降は効用値が大きく低下して、採用されにくくなる」「35歳を超えると5歳ごとに大学偏差値が10低下することと同程度の差がある」という、しっかりしたデータが実はありまして。これはデータをとっている方も書いているとおり、「バイアスだ」という話をしています。
35歳になってからどんどん能力が低くなることは、ほぼない。経験が増して優秀になっていくはずなのに、なぜか採る側からすると、「35歳を超えると変われなくなってくるんだよね」「組織に馴染まなくなってくるんだよね」という考え方が強まっていきます。
転職サービスdodaの「コロナでどう変わった? 転職成功者の平均年齢調査【最新版】」のデータでは、転職成功者の年代別割合で、確かに35歳からちょっと減ってくるんです。これはさっきのバイアスの問題もありますし、年齢が上がっていくと、マネジメント職や事業部長とか、もともと「ポストが少ない仕事に就いてね」という採用や組織の在り方だったりするので、確かに転職しづらくなるのはあると思います。
というのも踏まえて、30代前後で悩み始めるというのが、今の全体の流れだったり、この年齢とキャリアの1つのポイントかなと思っております。
佐野:じゃあ、どうやったらこのブレを止められるのか。どうやったら思い切ったキャリアを作れるのかをここから話していきます。
まずは、自分が全体のどれくらいのところにいるのかを知っておいてほしいなと思っております。「あまり自分と周りを比べなくていい」という意見ももちろんあるんですが、自分の立ち位置や現在地を大事にすること冷静になれます。
まず、スタッフサービスグループの「仕事の本音」働く4世代4,000人の調査からは「仕事辞めたい」と思ったことがある人は、どの世代でも8割を超えます。みなさんはどうでしょう? けっこういるかな。
Z世代、ミレニアル世代、就職氷河期世代、バブル期世代、どの世代でも8割を超えます。僕は週4で辞めたいと思っていたので、ほぼ毎日でした。
大きく分けると、不満は「待遇」「仕事」「人間関係」の3つです。お給料が上がらないは大きな不満です。有給休暇を取りたいと言ったら「なんでですか?」と聞かれるとかは待遇ですね。あとは「仕事」で、「あまり成長を感じないな」「つまんないな」とか。「人間関係」を分解していくと、ほぼ上司が原因なんですよね、「うまく評価されない」とか。
パーソル総合研究所がAPAC14の国・地域(主要都市)にとった国勢調査でも、日本は就労意識が低いと出ていたりするんです。転職を考えている人は、14の国と地域で最も低いです。こんな感じのデータがバンバン出てるんですよ。
「管理職になりたい」と思っている人も少ない。みなさんは管理職になりたいと思いますか? 日本には、「名ばかり管理職」なんて揶揄されるような表現もあったりしますし、どうなんでしょう。
独立を考えている人も、今日はいらっしゃるんじゃないかな。僕のイベントをやると、独立を考えている人がいつもたくさん来るんですが、(統計で見ると)独立を考えている人は少ないんです。
佐野:今日の場も自己研鑽なので、今日ここに来てくださっている方は自己研鑽をしていらっしゃると思うんですが、日本では自己研鑽をしている人も低いというデータが出ています。
不満は多いのに転職はあまり考えていないとか、「出世したいわけではないです」「独立するわけでもないです」「あまり自己研鑽していないです」となると、外から見ると「何がしたいんだろう」という感じなのが、今の日本の状況なんですよ。
なので、この数値が低いところを見ると安心するという、あまりよくない情報の出し方かもしれないんですが、僕はこういうのを見ていったん安心しちゃうところもありまして(笑)。自分の現在地を把握すると、いまの悩みや不安が「基準を高いところに置いているからだな」と落ち着けます。
「自分がこうやって悩んでいたり、勉強する気がない状態になったりする時も、みんなもそうなんだな」と思えて、焦る必要はないんだなと、こういうデータを見てもわかっていただけると思います。逆に行動を起こすと、すぐに差を付けられるのも日本の労働環境の特徴なのかなと思います。
佐野:ブレ止めの薬として、今日からできること。これは有山さんもおっしゃっていましたが、ブレていいです。(2つ目が)「ネガティブに慣れてほしい」、3つ目が「依存しろ」。この3つをお伝えします。
ブレない自分はどうやったら作れるのかというと、まずは「ブレていいんだな」と思うところがすごく大事です。人間は本当にブレます。特に「この会社辞めたい」は社会問題で、花粉症みたいなものだという話をしました。これからもどんどん転職やキャリアのサービス・手段が増えていくので、選ぶのに疲れてどんどんブレます。
僕も最近「ブレたな」と思ったのは、子どもが2年前に生まれたんですよ。2歳の男の子がいるんですが、子育てを始めた瞬間、いったん仕事する気がゼロになりましたもんね。本当に「ゼロ」という感じで、何もしたくないくらい。仕事より大切なものができるとは思いませんでした。
「ずっと子ども見ていたい」ぐらいの感じになって、本当に引退を考えました。妻の実家の長野に里帰り出産をしてたんですが、妻の実家は農家なんですよ。「農家アリじゃない?」って、本当に思いましたもんね。あまりにも甘い考えですね(笑)。
「土を触ると人間は幸せになる」というデータがあるんですが、知っていますか? 「土はすごいんですよ」みたいなことを調べ始めた時は、めっちゃブレました。ということで、ライフステージが変われば人は変わるんです。なので、まずは「ブレていい」と思ってください。
ブレて横道に行ったところで、社会関係や人間関係が作れたり、いいこともあったりするので、ブレるのは別にいいぞと。
佐野:「ネガティブに慣れろ」というのは、そもそもネガティブになることが「不安」「恐怖」「罪悪感」だったりするかもしれないんですが、それは全部生存本能がという話があるんですよ。
人類が「何でも行けるぜ。どんどん行こうぜ」みたいな人ばかりだったら、昔だったら毒キノコとかを食べて死んでるんですよ。でも、その中で「これ食べていいの? 干したほうがいいんじゃないの?」って、ちょっとネガティブだったり保守的に考えた人がいたから、僕らは生きているんです。
ネガティブというのは、実は生存本能という話があるぐらい大事なものです。なので「絶対にポジティブにならなきゃ」「ネガティブになっている自分はダメだ」と思う必要はいっさいなし、というところが1つ。
もう1つが「依存しろ」という話で、ちょっとわかりにくいかもしれないんですが、有山さんからも「キャリアは関係性」という話があったように、キャリアは自分1人で考える話ではぜんぜんないんですよね。
自分と会社だったら、会社と自分の間の中で作られるのがキャリアなんです。「私はこれをやりたいです」と言っているのに、会社やお客さんが「それはいいわ」と言っていたら、経験が積めないので仕事にならないんですよ。
どこまで行っても、「キャリアは自分で作る」というイメージがあるのかもしれないんですが、ぜんぜんそんなことはなくて。会社との関係、顧客との関係、仲間との関係で作られていくのがキャリアです。
なので、「自立しなきゃ。もっとがんばらなきゃ」という時は、自分だけのスキルを高めるじゃなくて、「チームをどうやって勝たせるか」「会社をどうやって伸ばすか」「ボスマネジメントと言われる上司をどうやってマネジメントするか」「どうやって上司を勝たせるかを考えましょう」というくらい、関係性を重視をするのがノウハウだったりします。
佐野:自立の1歩目は「他者依存」。他者依存と言うとわかりにくいのかな、「他者を見る」というか。「他者」を見て、「自分」を見て、その間でどうやったら関係を作れるかな? というところを意識すること。そうすると、自分から目を離せるので。
自分から目を離している時や、自分じゃなくて誰かのことを考えている時って、頭がクリアになってアイデアが浮かんできたりするんですよね。ある「夜と霧」という日本でもベストセラーになっていて、世界でもロングセラーになっているヴィクトール・フランクルという心理学者は彼が創始したロゴセラピーの中では、「自己超越」という言い方をします。
自分ではない、仕事や人や物に集中してる時に自己実現できるという考え方です。「自分を見ている状態は健全じゃない」なんていうくらい、自分よりも他のものに集中しろ、という考え方をします。
今のがマインド的なところだとすると、「『勝手な仕事』を増やせ」「『裏玄関』に行け」「本気で副業しろ」の3つは戦略的なほうです。この3つは、ぜひやっていただきたいなと思っています。
「勝手な仕事」、僕は「ナチュラルジョブ」と勝手に名前を付けています。今までいろんな環境で働いたり、それこそ大学時代の部活やサークルやアルバイトでOKです。上の人や周りの人が「やれ」とは言ってないのに、勝手にやっていたことってないですか? 実はこれがすごく大事なんですよ。
それが、いわゆる「強み」や「軸」になったりするので、勝手にやっている仕事があるかどうか、自分の棚卸しをしてみてください。
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