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最小の努力で"残業沼"から脱出する『トップ5%の時間術 実践プログラム』(ゲスト:越川慎司さん)(全3記事)

「冒頭2分の雑談」で、会議が早く終わる確率が45%アップ ハイブリッドワークで、情報共有より「感情共有」が大事なワケ

本の学びを深めるオンライン講座「flier book camp」を運営する株式会社フライヤーが主催したイベントに、ゲストとして登場した越川慎司氏。ベストセラーとなった著書『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』に続き、シリーズ最新作の『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』が発売されました。2.9万人を対象に行った再現実験で、再現率89パーセントの結果が出た「時間術」をもとに、仕事の“残業沼”から抜け出すポイントを解説します。

「重要度の低い仕事」を手放し、短い時間で成果を出す

越川慎司氏(以下、越川):ちらっとだけ、講座でやることをお見せします。1、2、3、4、5と、みなさんいろいろなタスクを持ってるんですね。これを、上位5パーセント社員がやっている2つの評価軸で比較してみます。

縦軸が成果に対するインパクトで、上が高い、下が低い。横軸は緊急度で、左が低くて、右が高い。重要度が高くて緊急度の高いタスクの3番は、みんな黙っていてもやるのでぜんぜん関係ないんですよ。

問題なのは、2番と5番をいかに手放すかという覚悟ですね。重要度が低いわけですから。でも、個人ではわからないですよ。ピンクの線のものを手放して生み出された時間で、1をやるんですよ。重要度がものすごく高いんだけれど、今は必要じゃないってやつ。働き方改革や、事業開発なんかもまさにそうですね。

水色の時間に時間を費やしていた人たちが、5パーセント社員です。ローリスク・ローリターンでピンクを少しずつ減らしていき、それで生み出された時間を、水色の未来に必要な重要なタスクに再配置する。そうすると、短い時間で成果が残る。

タスク1、2、3と、付箋紙のイメージでプロットしましたが、こんなの自分でわからないじゃないですか。キャンプの参加者の方々には、みんなで(タスクの事例を)持ち寄っていただいて、第三者の人に意見をもらうんです。

「もともと重要度が低いと思ってたんだけど、実は重要度が高かった。だから、タスク1はもうちょっと上なんじゃないの?」とか、グループワークの中で、違う視点から「これ、もうちょっと右上じゃない?」「左じゃない?」というフィードバックをもらって、自分のペイオフ・マトリクスを完成させていくんです。

そうすると、「自分の作業興奮まみれの主観」と「作業興奮じゃなく、損得関係ない客観的な視点」が入ることによって、ペイオフ・マトリクスの精度が高まっていくという仕組みです。これが、コミュニティ・ラーニングの大きなベネフィットだと思います。

久保彩氏(以下、久保):なるほど。仕事でどっぷり一緒になってる方ではない人に説明しようと思ったら、端的に説明しなきゃいけない。そうするとすごく磨かれるというか、「自分にとって大事なものは何か」だけを伝えなきゃいけなかったりするから、よりクリアに見えてくるのはありますよね。

さらに伝えるだけじゃなくて、フィードバックや質問が来て、考えて自分の整理が進むということですね。

越川:おっしゃるとおりです。特に同じ会社のメンバーでは、やっぱり主従関係があるので、評価対象の上司からはなかなか意見がもらえないといった、しがらみがあると思うんです。完全にフラットで、損得関係ない、同じようなレベルの方々が参加することによって、すごく刺激し合う。

「失敗」は、成功に至るまでの通り道

越川:ずばり、タスク1〜5の仕分け、それからタスク2とタスク5をやめるにはどうしたらいいか。タスク1を確実にこなすにはどうしたらいいかという、行動実験をみんなでやっていきます。グループに分かれて、みんなで実験していくんです。トップ5パーセント社員の言い方を借りると、この行動実験は「成功を目指しちゃダメ」なんです。

昔のように「成功」と「失敗」が二手にあって、どっちかを選ぶという仕事のスタイルじゃなくなったんですね。これだけ変数が多いので、僕の書いてある本だって、ぜんぶが正しいかはわからないですよ。

まずはやってみて気づきを得て、「意外と良かった」「ちょっと自分向けに修正してみよう」と。これを個人でやるよりも、グループでやったほうが圧倒的に刺激を受け合って、触発し合って前に進めるんです。

みなさんが行動を起こせないのは、失敗が怖いからです。成功は失敗の先にあるわけですから、失敗を一緒にすることがコミュニティラーニングとしてはすごく重要なんです。

時には傷をなめ合いながら、自己効力感を高めながら、みんなで励まし合って山を登っていく。自己否定はしちゃダメです。山を登ったら、一緒に山の頂上の景色を見る。これが「flier book camp」の醍醐味だと思います。

久保:今のを聞いて2つ思い出したんですが、私もこういうイベントで本を書かれてる方や経営者の方とお話をしていて、「よくこういう考え方をしてるな」と思います。例えば「人生は実験と思うと良い」とか、なにか成功を成し遂げるというよりも、「実験こそが人生」と捉えるとおもしろく感じるし、いつの間にか道が開けてるとお聞きしたり。

成果を出すチームの特徴は「Safe and fun」が定着していること

久保:もう1つは、前回の越川さんの「flier book camp」を実際に受けられた方が言ってたんですが、失敗をみんなで共有するという話です。

越川さんからいろいろエッセンスを聞いても、忘れちゃうこともある。それを、自分じゃない誰かが「(実際に)やってみたらこうでした。でも、ちょっと失敗したんです」「僕の場合は、同じことをこうやってみたらうまくいったんです」と共有する。

「失敗と成功パターンを他の人が行動実験してくれていて、それをインプットすると自分もできるようになる」という話があって。このプロセスを一緒に体感すると、1人でやるんじゃなくて、3倍、4倍と行動実験の幅が広がっていきますね。

越川:はい。ですので、今回はグループ戦でゲームをしていきます。「意外と良かったで賞」「良かったです大賞」とか(表彰します)。一番の成果は、「こうやったら意外と良かったよ」の共有なんです。それが触発であり、行動修正した結果ですから、学びの獲得になるんですね。

これを各チームで切磋琢磨してもらって、「うちのチームではこういう『意外と良かったよ』があったよ」というのを発表してもらって、投票して、一番のチームにはご褒美が出ます。

学びは楽しみながらやるべきですし、先ほどチャットでも「心理的安全性」と書いていただきましたが、まさにそのとおりです。出社しても、テレワークでも成果を残すチームの特徴は、「Safe and fun」の法則が定着していることなんですね。

なので、「flier book camp」でもルー語を織り交ぜていきますし、第1回目でしっかりとチーム内で心理的安全性を確保して、楽しみながら進めていくことがポイントかなと思います。

久保:なるほど。自分がマネージャーの立場になった時も、このプロセスはそのまま使えそうですね。1期目で(キャンプを)受けた他の方も、「越川さんの話をメンバーにそのまま伝えてます」と言われていたんです。しかも伝えるだけじゃなくて、楽しむとか、ゲーム的にやってみる取り組み方も一緒にチームにインストールしてるんです、というお話がありました。

業務改革のポイントは「共感・共創」

久保:マネージャーって、「これをやったらいいかも」ということが見えても、それをチームみんなにインストールするのがすごく難しくて。でもこれは、越川さんのキャンプでやっていることは、そのままリーダーとしてもやれる方法なんですね。

越川:そうですね。今回も月に1回、4日間ずつやろうと思ってるんですが、前半の2日間は個人の時間術に特化して、「意外と良かった」をみんなで見つけようかなと思ってます。

後半の3、4日目は、チーム時間術。自分が所属するチームにいかに影響を与えるかという、行動実験をみんなでやってみます。「社内会議45分でやったら意外とできました」「うちは50分のほうがうまくいきましたね」ということを、みんなで出し合ってもらう。

今日参加のみなさんとも、「苦労してる社内の抵抗勢力をいかに動かすか」というアジェンダで、みんなで山を登っていこうと思います。

久保:なるほど、ありがとうございます。「flier book camp」の流れもお話しくださったんですが、冒頭でありましたように、私どもはコミュニティ・ラーニングをすごく大事にしています。それは、越川さんを含めたいろんな講師の方から学んでいるところでもあるんですけれども。

チームで楽しんでゲーム的にやる、インターバルの2時間の部分の工夫。(4ヶ月間の「flier book camp」の中で)この2時間は4回あるわけなんですが、1ヶ月のほうが時間は長いので、こっちの時間も大事だなと思っています。

この間に勉強会をしてもらう仕掛けとして、チューター制度を作ったりしてるんですが、越川さん、このあたりはどうお考えですか?

越川:「やってください」と、一方的に突き放すのが難しいことは理解していますので、こういった業務改善は「共感・共創」だと思うんですね。共に感じて、共に創っていくことだと思います。

ハイブリッドワークで重要なのは、情報共有よりも「感情共有」

越川:1ヶ月何もしない、もしくは1回やって終わりではなくて、刺激し合うために「flier book labo」のプラットフォームとして「OSIRO(オシロ)」というものを使ってます。それを使って勉強会が自発的に行われたり、「これやってダメだったよ」と共有したりとか。

「flier book labo」のメンバーにチューターとして入っていただきますので、その方に「みなさん、どんな感じですか?」というかたちで、チャットで書いてもらうとか。挫けないように、諦めないような仕組みを、みんなで刺激をし合いながら一緒に進めていくかたちになります。

久保:ありがとうございます。「共感・共創」とおっしゃいましたか?

越川:共に感じて、共に創る。このハイブリッドワーク時代で重要なのは、情報共有よりも「感情共有」です。感情共有ができる関係性がないと、ぜったいに情報共有はうまくいかないですから。

業務の見える化じゃなくて、「業務の見せる化」をしなきゃいけない時代です。そのためには「Safe and fun」、いわゆる心理的安全性をベースに業務をしていかないとうまくいかないということが、17万人の行動実験からわかっています。

久保:なるほど。このキャンプの中でだけではなくて、自分の職場や組織に戻った時に、「やってみよう」というものを発見する。続けるために一番大事なところですね。感情の共有で「共感・共創」を意識して、チアアップしながら続ける。

確かに、「感情共有が苦手」という方もいらっしゃいますね。でも、こういうサードプレイスで、まずは実験的にやってみるというトレーニングにもなりますね。

越川:そうですね、感情を出すのは難しいので。一例として、書籍にも書いてあったり「flier book camp」でもやることなんですが、ぜひみなさんも今日からやっていただきたいと思います。

“上司が一方通行でしゃべる会議”で、なかなか意見が出せない

越川:1週間で働く時間の43パーセントが、社内会議に費やしています。その中で、なかなか意見が出せないとか、中には上司が7割ぐらいずーっと暴走してしゃべっている、みたいな会議がよくあると思うんですね。

ですので今日の午後からは、社内会議の冒頭2分で雑談をやってみてください。同じチームでも、冒頭2分の雑談をやった時とやっていない時だと、発言数が1.7倍、発言者数が1.9倍で、早く終わる確率が45パーセント(向上)です。

何が一番良いのかというと、午後なので食事(を摂りながら話すことが多い)です。雑談はくだらない話をすることが目的じゃなくて、共通点を見つけ出すというコミュニケーション術なんです。

久保:そうなんですね。

越川:これが、感情共有のベースなんですね。例えば共通点が2つ以上ある人たちは、絶対に「Safe and fun」が獲得できるんです。

「お昼にオムライスを作って失敗しちゃったんだけど、みんなはどう? 買って来る派? 自炊派?」「僕はうどんを食べに行きました」「僕はカレーライスです」「なんだい、今日は炭水化物が多いな」とか、共通点が見つけられるじゃないですか。これが「Safe and fun」なんですよ。なので、冒頭の2分の雑談をぜひやってみてください。

久保:おもしろい、ありがとうございます。雑談は勇気がいるところもありますが、今のだとできそうな気がします。

ハイパフォーマーには共通点がある

久保:ここからあらためて、「flier book camp」のお申し込みのご案内も差し上げて、最後にもう一度越川さんから一言いただきたいと思います。

司会者:ありがとうございました。では、ご案内させていただきます。今、ご案内もありました講座が7月より開講になります。『トップ5%社員の時間術』という本の実践編ということで、みなさん今日もかなり心にグサグサきたと思うので、ぜひ一緒にトライしたい方はご確認いただければと思います。

DAY1からDAY4の4ヶ月間ありまして、中のインターバル期間で、みなさんが勉強会をしたりシェアをしたり、先ほどもありました「コミュニティ・ラーニング」をやっていく形式です。今後また同じような講座があるのかは、今のところまだ未定なので、気になる方はこの機会にチェックをいただければと思います。

また、LINEも始めました。「メールを見るのはちょっと大変」という方は、LINEを登録いただきますとお知らせが来ます。また、今後のお知らせなどもLINEやflierのメルマガでお知らせいたしますので、ご登録いただければと思います。

次のランチタイムセッションはお二人のゲストが決まっておりまして、『最高の結果を出すKPIマネジメント』『爆伸びマネジメント』という本を出されている中尾隆一郎さんと、もう1人の方が『無敗営業』の高橋浩一さんです。

ちょっと余談なんですが、中尾さんや高橋さんやこっしーさんの本を読むと、共通する話がいっぱい出てきて、「やっぱりハイパフォーマーに共通するところはある」とすごく実感しました。マネジメントや営業の目線だったり、いろんな目線から見ていくと、気づきがすごく多いです。ぜひチェックしていただければと思います。

なにかをやめない限り、新しい仕事に手を出すのはNG

久保:ありがとうございます。じゃあ越川さん、最後に一言いただけますか。「雑談がしにくいな」という人に向けて、「返報性の原理」と言ってましたよね。

越川:そうですね。自分から「こんなものを食べたんだ」「何でもいいよ」というオープンクエスチョンは誰もしゃべりませんので、「お昼食べましたか?」とか、イエス・ノーで答えられるクローズドクエスチョンからスタートしていく。「何でもいい」が一番話しにくいので、自分から話して相手のを引き出す自己開示、返報性の原理ですね。

久保:なるほど、ありがとうございます。最後に、どういう人にキャンプを受けてもらいたいですか? 今、受ける意味って何ですか?

越川:まずベースとして、トップ5パーセントを目指さなくていいです。ただ単に現状から抜け出したい人とか、別にそんなに出世したくない人も多いと思うんです。

この時期が最適だと思うのは、理由は2つあって。やっぱり、新年度が始まってうまくいかない方も多いと思うんですよ。新しいメンバー、新しい上司、新しい仕事の仕方を今変えてかないと、この残業沼が続いてしまうというのが1つ目の理由です。

2つ目。今やっておくと、10月の下半期から新しいことをスタートできる。10月から成果を出すためには、行動実験を9月末までにやっておきましょう。このタイミングでやっておくと、下半期に成果が出て、そして年度末を迎えて、ずーっと残業沼から抜け出せるんじゃないかなと思うので、このタイミングがよろしいかなと思います。

久保:さっきの「緊急度・重要度マトリクス」の下の部分(重要度の低い仕事)を手放さないと、上のところ(緊急度は低いが重要度の高い仕事)ができないということですもんね。

越川:そうですね、おっしゃるとおりです。新たな仕事が降ってきても、なにかをやめてかない限り、新たなものに手を出しちゃいけないんですね。なので、意外と「やめるべきこと」「断り方」「巻き込み方」が重要なポイントになってきます。

久保:ありがとうございます。参加者のみなさんも、いろいろと質問ありがとうございました。越川さんにはここまでにさせていただきます。越川さん、ありがとうございました。

越川:トゥギャザー、ありがとうございました。

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