2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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勝田健氏:では、今日の本題ですね。冒頭に申し上げたように、全体的な転職の母数が増えていて、35歳以上のシニアの転職も増えている。そんな中で、その実情は転職後に年収が下がったり、現職以下のポジションだったりするケースが普通なんです。
そうなった時、ミドルシニアの転職を成功させるにはどうしたらいいのか。要は「勝ち筋」ですね。少々逆説的ですが、「ミドルシニアが転職を成功させるには、転職市場に出ていかないこと」なんです。ここが今日の最大のポイントとなります。
例えば「ビズリーチ」など、いろんな転職サイトがあります。20代・30代の求職者は、企業からのダイレクトスカウトやヘッドハンターからのスカウトメールが多数飛び交っており、「多すぎて選べない」状況です。
一方で、40代以上、あるいは45歳以上になると状況は一転します。ほとんどの方がスカウトを受けていないという状況となります。だから、20~30代の方々と同じ転職の土俵で戦ってもなかなか難しいのが現実としてあります。
そうなった時にどうするのか。1つだけ、転職を成功させるポイントとして、逆説的なんですが「縁故転職」というものがあります。転職マーケットに出ずに、いわゆるコネというのか、縁故転職をするケースを提案してみたいと思います。
最近、企業側からは「リファラル採用」と言われるんですが、データを見てみるとこれが増えていまして。私がやっているようなエージェントや、転職サイト経由ではなく、社員の方が知人を紹介することによって採用する手法なんですね。
「同じような経験・能力の方が集まってくるので、効率よく採用できる」という意味でリファラル採用が伸びてきています。そんな中、多くのシニア層・ミドルシニア層が縁故採用経由で入ってきています。これは「リファラル採用」と呼ばれるようになる前からその傾向にあります。
CxOクラスは別としても、転職エージェント経由でも転職サイト経由でもなかなか難しい中で、縁故経由で転職する方が増えています。ハローワークはおそらく再就職支援だから、また毛色が違うと思うので、実質縁故採用が一番多いというデータがあるんですね。
当然、「採用する企業」と「個人」双方にメリットがあります。
まず、よく知っている人なので「スキル」「経験」あるいは「性格」において、カルチャー的なギャップがない。ミスマッチが少ないということですね。
次のメリットは採用する企業側のコストですね。ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、エージェントは紹介した方の年収の通常30パーセントの報酬をいただくんですね。例えば、年収1,000万円であれば300万円という高額な成功報酬になるわけです。
縁故採用だと社員の紹介なので、そういったコストがほぼゼロですね。コスト負担が少ないということで、かなりリファラル採用を強化している企業も増えています。
それから個人としても、知人経由で入るので、どんな会社であるかをいろいろ聞いていますよね。良い点も悪い点も聞けるのでミスマッチがない。だから違和感なく実力を発揮できるケースが多いんですね。
余談になりますが、私も含め転職エージェントは普通、採用していただく企業側からお金をいただくので、求職者に「縁故転職をしてみませんか?」とアドバイスすることはありません。だから、こういった選択肢自体が表面化することがなかなかないんですね。
そこで、「どうやって縁故転職のルートを見つけていくのか」ということが、大きなポイントになってくると思います。求人サイトに掲載されるわけでもないですし、リファラル採用につながるような知人がいない場合は、どうやってそのコネクションを作っていけばいいか。これが今日のもう1つの提案です。
よく「WILL CAN MUST」と言いますが、縁故転職に限らず、転職で一番大事なことは、「WILL」です。これはつまり、「今回の転職を通じて、どんなことを実現したいのか」というキャリアビジョンです。転職はあくまでも手段ですので、「転職を通じてどのようなキャリアを描きたいのか」ということが極めて大事です。
それを明確にした上で、「CAN」と「MUST」ですね。今までの経験と能力を活かして、どんな貢献ができるのか。特にミドルシニアの方は、たくさんいろんな経験をしてきているので「自分はこんな経験があります」「こんな強みがあります」などを明確にすることが大事です。非常に素晴らしい経験を持ちながらも、自分自身の強みを把握していない方もいらっしゃいますね。
実は「CAN」を明確にするだけでは十分ではなくて、こちらの「MUST」の視点が必要です。つまりは転職先の企業の「あなたを採用するメリットは何ですか?」ということへの回答になるんです。
「私を採用することによって、こんな貢献ができます」「こんな成果を残せます」など具体的に、できれば数値面も含めて提供することが大事です。「CAN」の棚卸しだけではなくて、「採用する企業にとってどんなメリットがあるのか」「自分は具体的にどういう貢献ができるのか」といった「MUST」の視点が不可欠となります。
そして次が、本日ライフシフトラボがこのセミナーを主催している理由の1つとなります。むやみにセミナーに行って人脈を広げても非効率ですし、なかなか転職には結びつきません。
だから、弊社は「複業をすること」を提案しています。複業と言っても、例えば「Uber Eatsをやりましょう」など、小遣い稼ぎをすることではないんですね。
いわゆる「キャリア自律」ですが、今までの経験やスキルを活かした複業を、あるいは社外活動をしていく。「会社に勤めたままで複業をする」ということを提案しております。
今(漢字のことで)ご質問をいただきました。そうですね、通常は「副業」と書くと思いますが、弊社はこちらの「複」の字を使っています。これには理由がありまして。後ほどご説明いたしますので、少しお待ちください。
通常の「副業」の場合は、本業が「主」で、副業が「従」という関係で、(副業が本業を)補うことになると思います。しかし弊社が提供している「複業」は、「正も副もない」という概念なんですね。
要は、キャリアをポートフォリオとして考えた時、「複数のポートフォリオとしてキャリアを実現していこう」という考え方になるんです。ですから、どちらが正でどちらが副といった位置付けではないんですね。
なおかつ、できれば「1つではなく複数の複業をしていく」という意味も込めて、「複」の字を使っています。言葉として、(副業とは)少し意味合いが違うんですね。弊社はこれにこだわってやっています。
例えば、小遣い稼ぎとしてFXをやってみるとか、「せどり」のように、個人輸入のショップを作ったりすることも、広い意味で副業になると思います。
こうした取り組みももちろん意味がありますが、弊社の提案する複業はどちらかというと、セカンドキャリアを中長期で考えた時の「キャリア自律」を狙いにしています。要は、「本業を継続しながら、それ以外の場所で活躍すること」がキャリア自律につながっていく。
複業をすることそのものが、キャリアの市場価値となって、当然それを通じて本業へのフィードバックができます。今までやってきた本業を見直す機会にもなるんですね。
当然、金銭的にも複業収入が入ることで安定し、ポートフォリオができてくる。だから、本業と複業のバランスを取ったり、複業のボリュームを増やすことも中長期的には可能になると思います。
それから、「本業について新たな視点が見つかった」「本業の業務の価値を見直すきっかけとなった」という方もけっこういらっしゃいますね。「本業にとってプラスになる」ということも、複業の大きな利点だと思います。
(複業の業態分類をスライドに表示しました。)たくさんの種類がありますね。大きく分けると、今までのビジネス経験を活かした法人向けのサービス、BtoBのものや、BtoCのものもありますね。
例えば、私のようなリクルートのセールスパーソンが、企業外で採用や人事を行っているケースもあれば、個人の趣味を活かして、イラスト制作や写真撮影をやっているケースもあります。
必ずしもビジネス上の延長ではなく、先ほど申し上げた「WILL」、やってみたかったことをベースに本業とは関係ないことをやることも可能なんですね。こういった「代行業」や「顧問」もあるし、「セミナー講師」など、この他にもいろいろあります。
最近だと、TwitterやSNSで発信することも含めた(業態で、複業を)される方もけっこういらっしゃいます。こんなイメージですね。
そして当然ですがリファラル転職をするために、中長期のキャリアにつながる、意味のある複業をしなければなりません。そのためには5つのステップがあります。
特に1つ目は大切ですね。今までの業務や過去の経験・スキルを振り返って、「自分の強みは何なのか」を知ること。またはプライベートな側面で、「今まで大切にしてきた価値観」「今後大切にしていきたいこと」「キャリアビジョン」「自分のありたい姿を実現するために必要なこと」などを洗い出す。つまり自分の武器となる「強み」や「専門性」を掘り起こすということですね。
2つ目はそれだけではなく、それを基に商品化していくということです。複業は基本的に個人でやります。だからその専門性を武器に、「どういう商品」「どういうサービス」「誰向けなのか」「BtoBなのか」「BtoCなのか」などを含め、「サービス化・商品化」していく。
そして3点目、複業をするにあたって、私のZoomの背景などもそうですが、自己紹介用の資料や名刺、いわゆるビジネスプロフィールといったものを用意する(必要があります)。要は、本業の肩書ではないプロフィールなど、商売道具を準備すること。
次に4点目、それに加えてプラットフォームへの登録です。「ココナラ」とか「ビザスク」とか、複業マッチングサービスはいろいろありますね。ただ、登録するだけでは十分ではないんです。すぐに案件化することは難しいので、競合優位性も含めて、どういうふうにアプローチしていくのか考えなくてはいけません。
具体的なターゲットは誰で、その方に対してどういうサービスを、どういうふうに提供していくのか。ここまで考えてはじめて、お客さんを獲得できるといったイメージですね。
では、実際にあったケースをご紹介します。50代のシニアの方ですね。もともと通信系の会社でサービス企画などをされていました。人生100年と言われ、セカンドキャリアが長くなってきて、企業の寿命よりも個人の寿命のほうが長い時代です。仮に定年が70歳に延長されたとしたら、あと20年働かなければいけないわけです。そうなった時に、「もう一花咲かせたい」ということで、複業にチャレンジされました。
そこで、「クラウドワークス」や「ランサーズ」といったクラウドソーシングのサイトに登録してみました。しかし、こうしたサイトにはものすごい件数が載っているので、なかなか案件の獲得につながらなかったんですね。仕方なく時間を切り売りして、最低賃金以下の時給800円、1,000円といった単価感で請け負うことになり早々に心が折れてしまう。
その後、「ビザスク」というスポットコンサルのサービスに登録します。ここはコンサルなどを含め、単価が高いんですね。そこでたまたま1件、時給3万円の仕事を受注することができました。
でも、これもなかなか続かないんですね。小遣い稼ぎにはなっても、キャリア自律にはつながらない。「3万円の単発案件受注で終わり」という感じでした。
そこから、「顧問名鑑」というサービスに登録するんです。しかし「上場企業で執行役員経験がないと実際には案件がない」と言われてしまい、「なかなか複業をするのも難しいな」と思ってしまうんですね。
その後、この方はご自身で動き出しました。「自分で何でもやらなきゃダメだ」ということで「Facebook」をやってみたり、ビジネスマッチングアプリの「Yenta」を使ってみたりしました。(その他)「Twitter」「LinkedIn」「Wantedly」「YOUTRUST」なども利用されて。
それから「note」で自己紹介ノートを作って投稿しています。ここまでで半年ぐらいかかっていますが、「サンカク」というリクルートがやっているサービスを通じて、ようやくあるベンチャー企業の経営者の方と出会います。
その方に「週1時間ぐらい、マーケティング支援をしてくれないか」と言われ、手伝うことになりました。これが月額5万円です。ここまでで半年ぐらいかかっていますね。
そこから実績を積み重ねて3ヶ月、つまり8ヶ月間ぐらい経って、紹介などが増え始める。その後さらに3ヶ月、ここまでで1年弱かかっていますが、ようやく軌道に乗ってくるんですね。ようやくフリーランスとして独立し、月20万ぐらいの収入になりました。こんなイメージですね。
これを本業がある中、1人でやり続けるのは相当難しい。ほとんどの方が心が折れてやめてしまう。従って、大半の方にとってキャリア自律の選択肢がない状況になってしまうんですね。
たまたまこの方はご縁がありましたが、大手に在籍していたミドルシニアの方は特に、今までの自分の経験やスキルセットを、それ以外の企業でどのように活かしたらいいのかわからないことが多いんですね。自身の強みがわからないという方もいます。
また、本屋に行くと「複業をしましょう」「開業をしましょう」「簡単にできますよ」みたいな本がたくさんあります。でも、何から手を付けていいのかわからないし、ショップを開設するなど、よほど得意な方以外は、まったく縁がないところでやるのも難しいと思います。
また、「『今までの経験』や『自分らしさ』を活かした複業とは、どんなものなのか」ということがわからない方が大半です。それに強みがわかったところで、ポータルサイトやマッチングサイトに載せてもなかなか案件獲得ができない。どうすればいいのかわからない。こういうことがほとんどだと思います。
そういった方々に、弊社がサポートできることとしてはライフシフトラボを受講した上で複業デビューしていただくことです。今までの強みや経験、あるいは志向やキャリアビジョン、「WILL」を活かした複業をしながら、社外活躍の機会を見出していく。セカンドキャリアですね。こんなアプローチになっています。
実際シニアの方は特に、いきなり縁もゆかりもないところで転職して、今までと同程度の活躍ができるかというと難しい。だから知人経由での転職が一番現実的だと思います。
そうは言っても、コネと縁故がない方が大半ですから、それをどう作るのか。その時に、複業を足がかりとして、その複業先に正社員として転職するというケースが最近すごく増えていますね。これは双方にリスクがないんです。
また、場合によっては複業が軌道に乗ってくると、本業との兼ね合いもありますが、将来的に独立することも視野に入れることができます。このように、我々はミドルシニアの方にとって現実的な「複業」という選択肢を提案したいと思います。
弊社ライフシフトラボのカリキュラムは60日間のプログラムとなりますが、こちらの受講生の95パーセントが複業デビューされています。先ほどのマッチングサイトに登録をするだけではなく、複業の内容(誰にどんなサービスを提供するのか)が決まり、顧客/案件獲得に向けた具体的なアクションを起こせているという意味の複業デビューですね。
先ほどの50歳の方の例でいくと、「『サンカク』を通じて経営者の方からお声がかかった」時点でデビューとしますが、ライフシフトラボの60日間のプログラムを受講された方は95パーセントの方が複業デビューしているという実績があります。
以上、ここまでが、ミドルシニアの転職についてのご説明でした。
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