2024.12.03
企業の情報漏えいで最も多いのは「中途退職者」による持ち出し 内部不正が発生しやすい3つの要素
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高橋浩一氏(以下、高橋):ではあらためまして、ご参加くださっているみなさん、どうもこんにちは。
高松智史氏(以下、高松):こんにちは。
高橋:高松さん、今日はよろしくお願いいたします。
高松:お願いします。
高橋:この後、それぞれ簡単に自己紹介しようと思います。そもそも、高松さんと僕の出会いはTwitter?
高松:そうですね、Twitterです。僕が(高橋さんの)大ファンで、Twitterでずっと「いいね」を押しまくっていた(笑)。
高橋:そうなんですか(笑)。実は、僕も編集者の方から高松さんをご紹介いただいていました。BCG(Boston consulting Group:ボストン・コンサルティング・グループ)時代に書かれた『変える技術、考える技術』を「おもしろい本ですよ」と言われて、読ませていただきました。
高松:ありがとうございます。
高橋:その後、赤(『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』)と黄色(『ロジカルシンキングを超える戦略思考 フェルミ推定の技術』)の本も読ませていただきました。すごくキャラクターが強くて、おもしろい方がいらっしゃるなと思っていたら、こうやって対談の機会をいただいて。本当に今日はめちゃくちゃ楽しみにしてきました。
高松:いやいや、ありがとうございます。そもそも僕、高橋さんのサロンに入っているんですよ。
高橋:あ、そっか。
高松:あれ、すごくないですか? 毎日投稿されているし、質が濃すぎて。
高橋:毎日やっていますね。
高松:みんな(サロンに)入ったほうがいいですよ。確か数千円ですよね?
高橋:(笑)。3,000円です。
高松:3,000円でしょ。このイベントに出ているくらいだったら、あのサロンに入ったほうがいいと本当に思う。そう思いません? あれすごいですよね。1ヶ月に本1冊分くらいの内容がありますよね。
高橋:かなり贅沢な中身になるようにはしています。
高松:そうですよね。あれ、すごすぎです。イベントも盛りだくさんですよね。
高橋:だいたい週に1回くらいやっています。
高松:そうですよね。それはすごい、すさまじいなと思います。
高橋:いえいえ(笑)。
高橋:では冒頭に、それぞれ簡単に自己紹介してからスタートしましょうか。
高松:よろしくお願いします。
高橋:みなさん、こんにちは。TORiX株式会社の高橋浩一と申します。スライドを出させていただきますが、今は44歳です。営業の研修やコンサルタントをやっております、TORiX株式会社という会社をやっております。
もともと新卒でコンサルティングの会社を2年半くらいやってから、アルー株式会社という人材教育のベンチャーで、6年くらい役員を務めていました。営業の組織や仕組み作りを一番やっていたので、それを元にいろいろと本を書かせていただいております。
今回は3月17日に『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』という本を出させていただきました。キャラクターのカピバラは自分で絵を描いて、編集者さんに「カピバラ部長でどうですか?」と提案したら、本当に通ってしまった(笑)。こんな感じですが、中身は至極まじめな質問力の本です。どうぞよろしくお願いいたします。
では、高松さんも簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいですか?
高松:スライドも何もないんですが(笑)。僕は「考えるエンジン」という、考える力を教える講義を10年くらいやっています。去年から今年にかけて、『変える技術、考える技術』から始まり、最近は『「フェルミ推定」から始める問題解決の技術』という本を出しました。
そもそも高橋さんのファンなので、本を読んでいたらTwitterを見つけて。「絡めないかな」と思って、ずっと「いいね」を押していました。そうしたらこの縁をいただいたんです。僕もみなさんと同じで、営業は本当に難しいです。「こんなの言語化できるのかな?」と、正直思っていたんですよ。そこで出会ったのが『無敗営業』で、すげーなと思いました。僕も今日は学んで帰ろうかなと思っています。
高松:今日のテーマは『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』ということですが、実は(自分の)本を出してから、(他人の)本を読むのをやめたんですよ。
高橋:やめたんですか?
高松:(他人の本を読むと)真似しちゃうので。実は2年間、ほとんど本を読んでいないんです。読みたい本もあんまりないですし。だから今日は久しぶりに読みました。
高橋:本当ですか(笑)。
高松:めちゃくちゃおもしろかったです。
高橋:どういうところがおもしろかったですか?
高松:やっぱり、高橋さんの本には「これ明日から使えるんだろうな」ということがいっぱいあるのでいいな、と思って読みました。
高橋:ありがとうございます。では、今日はどのあたりから話しましょうか。
高松:そもそもみんなが(本を)読んだか聞いてみませんか。質問やアンケートはできないんですか?
高橋:チャットでご質問いただくこともできます。
高松:では、今このイベントを目の前にして、『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』を持っているか・いないかを聞いてみませんか?
高橋:(笑)。
高松:いや、これはけっこう大事ですよ。本を持っているのかどうかな、と思ったんです。
高橋:ありがとうございます。チャットで、みなさま宛先で(返事を)いただくか、手を挙げていただけますか。すごく(たくさん手を)挙げていただいて、ありがとうございます。
高松:いいじゃないですか。
高橋:すごい。これはちょっとじーんときますね。うれしい。
高松:こういうのは大事だと思います。こういう時に本を持っていない人がいる。そういう人のこと、本当に大嫌いなんですよね。
高橋:はっきり言うなあ(笑)。
高松:いや。大嫌いというか、人生が薄くないかと思うんです。せっかく高橋さんの話が聞けるんだったら、この1時間はすごく大事ですよね。そうしたら、当然読むでしょ。(読まないのは)どうなのかな? と思います。僕の生徒たちも来ているので、「お前らなめすぎだぞ」と話をしています(笑)。
高橋:ありがとうございます(笑)。
高橋:高松さんの本の『フェルミ推定の技術』とか、あと最近の『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』のうち、特に『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』のほうは、後半に「事業家になろう」と書かれていますね。
まず、「フェルミ推定」を堂々とタイトルに使われる方はけっこう少ないと思います。例えば、コンサルティング会社で働いたことのある人だと、フェルミ推定という概念をご存知だと思うんですが、それを正面からタイトルにバーンと使う方は少ないですよね。
高松:確かに、そうですね。
高橋:少ないというか、いるのかな?
高松:いないかも。
高橋:だから、ここまで正面で勝負できるのは本当にすごいなと思うんです。実際に読ませていただくと、言語化と分解というのがすごく印象に残りました。僕と高松さんの共通点は、言語化や分解ではないかと思いました。高松さんは考える方法、僕は営業とアプローチは違うけど、お互いに突き詰めて考えるのがけっこう好きですよね。
高松:それはありますね。高橋さん的には、営業をどうやって捉えているんですか?
高橋:たぶん僕は、営業に関わるいろんな仕事をしている人たちからすると、すごく変なポジションにいるんですよ。よく営業のイベントに呼ばれて、この間は「営業日本一を決めよう」という大会で審査員をしました。
高松:あー、あれ! 見ました!
高橋:だいたい、(営業の世界には)“コミュニケーションおばけ”みたいな人がいっぱいいるんですね(笑)。そもそも僕にとって営業は、自分の人生が変わるきっかけなんですよね。
高橋:本にも書いていますが、高校生の頃に思いきって「人見知りを克服しよう」としたら、たまたま飛び込み営業の世界に行っちゃったんです(笑)。それが、今思い返すとすごくよかったんですよね。普通はアルバイト感覚で仕事をすると怒られるけど、アルバイトで営業をやっていたので、探究心が先にきたんですよね。
飛び込みで成果報酬型だったんですよ。街中に英会話学校のポスターが貼ってありますよね。あれを1枚貼ってもらったらいくら、という報酬があるんです。それで、貼ってもらえないと0円なんですよ。これがまたけっこうすごいですよね。
高松:シビアですね。
高橋:そうなんです。高校生のアルバイトなんてたかが知れていますから、最初はまったくダメでした。地図に沿って回りまくるんですが、断られているうちにやっぱり考えるようになるんですよね。
今思うとすごく大きな発見だったなと思うのが、「ポスターを貼らせてください」とお願いすると断られるんですが、他の英会話学校のポスターが貼ってある所に行って、「あれ、ちょっと古くなっているから取り替えませんか?」と言うと、「いいよ」と言われていきなり決まっていく。
それまでは、他の学校のポスターが貼ってある所は「成約済み」で対象外だと思っていた。だけど、貼っていないお店に行って「貼らせてください」と頼むよりも、1回貼っているお店に行って「古いから取り替えませんか?」と言うほうが、だいぶハードルが低いことに気付いたんです。それが高校1年生の時だったんですね。だから、たぶん普通の人の営業の入り方とだいぶ違うんですよ(笑)。
高松:なるほど。それが高校生の時ってすごいですね。
高橋:この数分でもうすでにみなさま感じられていると思いますが、高松さんは圧倒的なオーラとコミュニケーション力の塊です(笑)。
高松:いやいや、ちゃんとしている人(高橋さん)とちゃんとしていない人(私)ですよ(笑)。
高橋:僕は18歳くらいまで、人とろくにしゃべれなかったんです。キャラが使えなかったわけですね。一応今はある程度の社交性を身に付けたので、そこそこしゃべりますけどね。本当にしゃべれない状態でお店に行って、「あ、すいません」と言っても、まず雰囲気が暗いわけです。
「あ、どうも」とか、元気も愛嬌も勢いもないので、まず最初はすごく頭を下げてお願いするんですよね。だけど、頭を下げてお願いしても貼らせてもらえないから考えて、法則性を見出した。だから一番最初の入り口になったのは、「営業はおもしろいな」という感じだったんですよ。
高松:それ、すごいですね。
高橋:他で勝負できる武器がなかったことが、すごくラッキーだったと思う。
高松:コンサルを経て、それが今につながるのはおもしろいですね。
高橋:そうですね。まず一番最初の入口は成果報酬型の飛び込み営業で、あれこれ工夫して。その後、大学生の時はテレアポの営業をやっていました。テレアポの営業も、隣でアポを取りまくっている人の電話の内容を聞いて、「これを真似してみたらアポ率が上がるかな?」と思うと、やっぱり上がりました。
前にアルー株式会社という人材教育のベンチャーを創業した時、社長が元BCGの人で、3人全員コンサルタントだったので、みんな電話をあんまりしたがらなかった(笑)。
高松:確かに。コンサルは現場で使い物になりませんからね。本当にコンサルは雇っちゃいけないんですよ(笑)。
高橋:みんな、「断られながら電話をかける」ことにあんまり慣れていないけど、僕はアルバイトでずっとやっていたので、けっこう楽しみながら(電話をしました)。今だから言えるんですが、隣にストップウォッチを置いて、一部上場企業の代表電話に上から順番にかけるんですね。だいたいすぐ追い返されるんですが、どのくらい粘れるかっていう時間を計りながら電話しました(笑)。
高松:すごいですよね。その話から聞きたいなと思ったんですが、高橋さんの本を読ませてもらって3年学べば、お客さんと盛り上がってしゃべっているような平常時なら、高橋さんの技術を繰り出せるかなと思うんですよ。
ただ、いったん断られたり、「そんなのいらないよね」「これってどこでもよくない?」と攻撃された時に、やっぱり僕みたいなタイプは心が折れちゃうんですよね。「いや、そんなこと言うなら別に売らなくていいし……」といじけちゃうんですよ。僕はけっこうカチンときちゃうタイプなんです。
さっきの高校生の時もそうだし、大学生のテレアポも、その心の波が来ると思うんですよ。起業されたアルーの時も、たぶん残りの2人は心が折れちゃっているんですよ。だから、結局いじけていたと思います。
高橋:いや、いじけてはないと思うけど(笑)。
高松:心が折れるというか、少なからず攻撃を受けますよね。その時、高橋さんは心の持ちようをどう切り替えるのかなと、この本を読んでいて思いました。
高橋:それでいうと、ひたすら好奇心なんですよね。そもそも、けっこう営業は難しいじゃないですか。
高松:難しいですね。
高橋:難しいということは、うまくいく道がそう簡単に見えない。だから、どうやったらうまくいくかを考えること自体が、たぶん好きなんだと思いますね。
最初はすごくベタなことをやっていましたよ。テレアポがうまくいかなかった経験でだいたいみなさんも通る道が、「ちょっと今、近くに来ておりまして。ごあいさつだけでもさせていただけませんか?」という電話。だいたいそれはダメなんですが、それも途中で試しました。
高松:「ダメだったな」と言って、終わった後に探求するのはよくわかるんですよ。例えばこの間、日立さんに営業に行ってボッコボコにされたんです。高橋さんの言う「惨敗」だと思って、終わった後に「これはなんでダメだったのかな」と、筋のいい生徒を呼んで議論しました。この後の探究心はわかります。
ただ、言われた瞬間にもう僕は敵とみなしてしまう。イラッとする部分の力を逃さないと、次に行けないと思うんですよね。(力を逃がす)ために、何か(コツが)ないですか? すてきな口癖を教えてください。
高橋:そうですね……。まずは口癖の前段から入るんですけど、営業のモードと、買う側のモードというのがあったとします。営業がうまくいく人は、自分を100パーセント売り手側のモードだけではみなしていないと思う。
高松:そうですね。(売り手側100パーセント)は私です(笑)。
高橋:買う側のモードに切り替えられるかどうかが、すごく大事だと思うんですね。それに気付いたきっかけが、2007年から2008年あたりのリーマン・ショックです。当時、僕は前の会社で営業チームを仕切る立場にいたんです。
営業メンバーの人たちが毎日、うなだれて帰ってくるんですよ。(営業に)行く度に「予算が削られて、御社に頼めません」と言われて帰ってくる。営業側からすると、やっぱりすごくビハインドだなと思いました。
当時、僕はその会社の役員だったので、購買側でもあったんですよ。マーケティング部の責任者も兼務をしていて、その時にインターネット広告代理店の、あの有名な会社が営業に来られました。
高橋:僕は買い手側として製品説明をされて、「今、リーマン・ショックで本当に打撃を受けていて、正直うちの会社もけっこうダメージをくらっているんです」「だから、広告の予算はそんなにないんです」と言ったんですよ。
これは、つい数時間前まで自分の会社の営業メンバーが外でお客さまから言われていたことでした。営業メンバーがまったく太刀打ちできなかったことを自分が買い手側として言った瞬間に、その相手の方が「だからこそ今、すごく良いんです」とおっしゃった。「だからこそ今、良いんです」と来たかと思って、グッと前のめりになる。
要は、「広告出稿をしたがらない会社が多くなっているから、逆に今のタイミングで出すと露出も増えやすいし、費用対効果が上げやすいんです」という話をされました。「だからこそ」「むしろ」と言われた瞬間に、「え?」といきなり聞く気になったんです。
冷静に考えると、数時間前まで同じ構図で断られていたのに、なんでこの会社はこのように(できるのだろうと思いました)。そこで、僕は自分の会社のメンバーがいつもお客さまから言われて困っていることを、買い手側としてぶつけてみたんです。一番典型的なのは、「研修は費用対効果が見えない」という(意見)。経営陣から言われると、営業する側としてはけっこうやりづらい。
だから僕も買い手側として、「バナークリックはまだわかるけど、効果検証しづらいものは、本当にそれでお金になるかどうか判断しにくい。本当にそこに投資をするのは難しいんですよ」と言いました。
それは、いつも自社の営業がお客さまに言われてハードに感じている壁でした。それに対してまたうまく返してきて、今までは「お客さんがこう言っているからダメ」と思い込んでいたけど、本当にうまく返してくる人が目の前にいるな、と思ったんです。
その時に、「なんで今までこれに気付かなかったんだろう」と思ったら、(これまで)は売る側の発想に100パーセントある状態だったんです。
高橋:僕はよく「つまみを調整する」という表現をします。売るのが100パーセントのモードになると、どんなに優秀な人でも突破できない壁がある。このつまみを調整することが、営業をうまくいかせるための大きなポイントじゃないかと思ったんです。
高松:そういうことですね。確かに、(高橋さんの)本を読んでいて「ああ」と思ったのが、「断られそうになったら、関係構築エンジンに切り替えろ」というメッセージです。あれを僕はスイッチ化しようと思っているんですよ。
「あ、断られそうだな」と思った場合、基本的に僕はさらに攻撃しにいっていたんですが、「いや、ここはちょっと待とう。いったん仲良くなって終わりましょう」と、関係構築エンジンに切り替えて自問しようと僕は思ったんですよね。
人間はそんなに優しくないから、1回「ダメ」と言ったのに引き下がることはなかなかない。やっぱりここから半年、1年は攻めづらいので、ギリギリまで行って、ダメそうだなと思ったら、いったん「お話聞きましょうか?」と切り替えるということですよね。
高橋:そうですね。
僕の原体験でいうと、キャラクターとかコミュニケーション力に自信があって、武器があるから営業に行っているわけじゃなかった。何もないところからスタートしているので、いろんなやり方を試したんですよ。その中で、めちゃくちゃ試してよかったことを1個言うと、お客さまが「欲しい」と言うまでは絶対にお金の話をしないことですね。
高松:なるほどね。
高橋:なぜかというと、多くの営業の方は「お金が断られる原因なんじゃないか」という不安があると、先に自分のほうから言っちゃうんですね。「よく高いと言われるんですけど」「もしお高く感じるようだったら値引きもできますよ」とか、自分から言っちゃうんですよ。
高橋:僕は昔、日経(ビジネス)さんの「課長塾」というところで、毎年一般応募されてくる方々と研修をやっていました。本当にいろんな会社から来られるんですが、だいたい価格交渉の場面をやると、お客さまが「値引いてくれ」と言う前に、営業のほうから勝手に引いてくるんです。
高松:あー、それわかりますわ。
高橋:本当に、勝手に引いてくるんですよ(笑)。
高松:それは傷つきたくないからですか?
高橋:そう。僕はいろいろあれこれ試す中で、お金が原因で断られるのはすごく嫌だなと思っていました。いっそのこと、「本当に欲しいです」という気持ちと意向を言葉ではっきりおっしゃったお客さま以外は、自分からお金の話をしないということを試していたんです。
さっきの関係構築エンジンに戻るんですが、お金の話をしないと商談の温度感がそこまで上がらないとしても、こっちは見積もりを出していないからジャッジを迫らない。そうすると、延長戦ができるんです。
高松:確かに。
高橋:だから、「また次に議論しましょうか」「お役立ち情報をまた送りますね」と言ったら、一応切れないですよね。だけど、1回お金を出しちゃうと相手が判断するモードに入る。そんなに有利な材料が揃っていない時に、だいたい相手の方はコンサバティブに判断します。一番よく出てくるセリフは、「社内で検討してなにかあったらご連絡します」。
高松:ありますね。
高橋:あと、本当に相談するのかわからないけど、「上司に相談します」「社内で共有しておきます」というのがあります。あれを言われちゃうと、もう次がやりづらいですよね。だから僕は、とにかくそれが出てこないようにするにはどうしたらいいかをいろいろ試したんです。
高松:今回の高橋さんの本でいうと、レクチャー12くらいに価格と購買意欲の話がありましたよね。
高橋:ありました。
高松:価格を下げるんじゃなくて、購買意欲を上げることによって、相対的に価格を下げることになるという話ですよね。絶対的に下げる必要はぜんぜんなくて、購買意欲を上げましょうということですよね。
高橋:そうです。やっぱり、お客さまがジャッジをする、営業はジャッジをされる、という構図になった瞬間に、営業はすごくやりづらいなと思いました。だから、いろんな本の中で一貫して書いているのは、ジャッジする・ジャッジされるの関係よりは「一緒に作りましょう」とやったほうが、気持ちの面でも折れずにやり続けられるということです。
高松さんが『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』でA4一枚のディスカッションの話をされていますが、実は僕のやり方は「ディスカッション営業」なんです。ひたすらA4一枚で議論をして、欲し」と言われたらそこで初めて(お金の話になる)。それでもすぐには話さないで、まずは「どこが良いと思われたんですか?」と聞きます。
はっきりと「購入したい」とか「やりたいんです」という言葉が出てくるまではお金の話に移らないようにすると、傷つかずに営業できる。
高松:確かにそれはいいですね。僕は1時間で決着しようと思っているから、それがダメなんですね。せっかちなので(笑)。
高橋:ダメかどうかはわからないですが、それはスタイルの問題ですからね。でも、それで成果を出すためには、よっぽど折れない強い心が必要だと思います(笑)。
高松:そうですね。確かにそれは折れちゃいますね。
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