2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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福田和代氏(以下、福田):渡辺さんは、この本『アメリカはいつも夢見ている』でもそうですけど、いろんな方とお会いになった時のエピソードが登場します。宇宙飛行士の方と一緒に記念写真を撮影されているこのお写真ですとか。
あるいはヒラリー・クリントンとお会いになった写真もお借りしているんです。ヒラリーさんのお写真を、ちょっと今出しますね。こういうところを見ていると、ものすごく活発にいろんなところに行かれているんだろうなと思うわけですよ。
渡辺由佳里氏(以下、渡辺):興味深い体験をする機会が出た時にノーと言わないように心掛けているんです。ノーと言ってしまうともう機会がなくなってしまうので。考える前にイエスと言ってしまう。
福田:それは素敵ですね。
渡辺:やってしまってから考えよう、みたいな。
福田:はい。はい。はい。
渡辺:考えれば考えるほどできなくなってしまうものですから。とりあえず行くと、やっぱりおもしろいんですよね。
福田:そうですよね。
渡辺:ですから、その代わりに個人的なお付き合いというか、お友だちとお食事に行くことがほとんどないです。出かけると取材マインド。その結果、個人的な社交がなくなってしまうんですよね。
福田:わかります(笑)。
渡辺:お店やスーパーでいろんな人の話を聞いても取材マインドになっていて、みなさんのお話をずっと聞いてしまうという。
福田:あぁー。わかります。取材楽しいですよね。自分の知らないこととかね。
渡辺:本当に楽しいですよね。でも、いつも仕事優先だからランチに行くような友だちがいなくなってしまう。
福田:えぇっ。いや、そんなことはないでしょうけど。
渡辺:友人がいても、やっぱりしょっちゅう会うことはできないんじゃないですかね。お友だちも仕事や家族があるし。
福田:そうですね。
渡辺:ですから会う時に会う。
福田:でもそれでいいような気がしますね。私もたぶんそうですね。
渡辺:私は、それでいいみたいです。
渡辺:TwitterやFacebookのお友だちとのやり取りが、職場のコーヒータイムみたいな感じになっていますね。
福田:はい。はい。
渡辺:ここでの人間関係に精神的にも助けていただいてる感じです。
福田:そうですよね。私もなんだかSNSのやり取りで満足してしまいます。
渡辺:やっぱり出不精です。
福田:そうかもしれない。Facebookで知っている人たちとしゃべっていると、自分の中では会っているのとあんまり差がないんですよ。この感覚は正しいんですかね。
渡辺:でも私、日本に帰る時に、もう何年間分もの社交生活をするので、すごく忙しくなるんですよ。書店でのイベントで読者の方と会えるのも楽しいです。
福田:そうですよねぇ。
渡辺:時間がいくらあっても足りないぐらい楽しくて、そういう交流をボストンのこっちでできないのがちょっと悲しいです。でもやっぱりそれは、たまのことだからすごく貴重なんでしょうね。
福田:そうですよね。
渡辺:たまにだから、よけいに楽しい。
福田:そうですよ。
渡辺:たまに羊羹を食べるからおいしい。
福田:たまに羊羹って(笑)。
渡辺:毎日羊羹食べてるとちょっとこれは問題かもしれないみたいな。
福田:(笑)。
福田:今YouTubeのライブのほうにいろんな方がコメントを書いてくださっていて、ものすごい量になっているので、少し見てみますね。
渡辺:承知しました。
福田:ご質問はなさそうですけど、「始まった~」「楽しみにしてました!」から始まりまして、「最初に読んだのが『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』でした」とおっしゃっている方がいらっしゃいますね。
渡辺:ありがとうございます。
福田:これは何だろう? 「『人形つかい』ですね」って何だろう。『人形つかい』、あ、本のタイトルかな? 「『ミス・マープル』大好きです」という方もいらっしゃいます。
渡辺:あぁ、冒頭で話した、子供の頃に読んだハインラインのSFのタイトルですね。私タイトルが思い出せなくて。私のイベントでも、よくクイズのようになっているんですよ。私が「こういう登場人物で、内容がこうで...」と言うと、参加者の方たちが「それは○○です」とタイトルを教えてくださるんです。
福田:(笑)。「ストレス解消にはサイコロジカルスリラー!」と書かれている方も。
渡辺:『人形つかい』(ロバート・A・ハインライン作)はSFですよ。違う意味で怖いですけど。
福田:そうですね。そう、そう。質問が1つありました。「サイコロジカルスリラーのお好きな作品を知りたいです」と。たくさんありそう。
渡辺:そうですね。たくさんあるので、もうじき本を出しますから、それを楽しみにしてください。もうじきと言うか、秋になりますけれど、3年かけて作っている本です。自分で言うのもなんですが、すごいですよね。
福田:おぉー、3年越しの。
渡辺:もう本当に自分でも呆れかえっているんです。
福田:いやぁ、でも楽しみですねぇ。その中にサイコロジカルスリラーの話も出てくるんですね。
渡辺:出ます。
福田:絵のこともお書きになっていらっしゃる方がいますね。「素敵な絵ですね」と。「世界が浮かぶ絵ですね」、「素敵ですごく好きです」と。
渡辺:どうもありがとうございます。
福田:いいですよねぇ。
渡辺:うれしいです。
福田:「いつも夢見てないとですね」。いや、本当そうですよね。「下手くその達人の話で気持ちが沸きました」と。「今詩を書き始め、ちょっと長い書き物にも二十数年ぶりに挑戦しています」とおっしゃっている方もいらっしゃいます。
渡辺:あ、すごくいいです。
福田:「踊ればいいじゃんも名言かもです」とおっしゃっていますね。あぁ、そうですよね。
渡辺:踊ってしまえ~ですよね。
福田:もう考えるより先に踊ってしまうのもいいですよね。
渡辺:そうですよね。踊ってしまうという。
福田:「まずは楽しむことですね」、「自分に許可するって必要ですね」とおっしゃっている方もいらっしゃいますね。そうです。
そして、森の中でダンスをしていたら通りかかった人が、というエピソードの時だと思いますけど、「通りかかった人が不審な目を向けるのじゃなく、楽しい気持ちを向けてくれるのもいいですね」というのも、その通りですね。
「ユーモアのセンスを磨きたい」とおっしゃっている方とか、お義母さまのお話を喜ばれている方も。
渡辺:おもしろいこと、とんでもないことをして、本当にとんでもない家族だと思うんですけど。
福田:試着の話とか、試着してしまうお義母さまも素敵で楽しいとか。
渡辺:そう、そう。試着、すごいでしょ。本当に。
福田:「渡辺さんが書くと笑えるんだけどとんでもない話よね」と、気になっている方が……(笑)。
渡辺:(笑)。あの話は本当に。夫と笑いたくてシェアしたかったのですが、シェアできないんですよ。ウエディングドレスは結婚する前に、自分の夫になる人に見せてはいけないんで。
福田:そうでした。そうでした。
渡辺:縁起悪いんですよね。これ、誰かにシェアしたい、できない〜と(笑)。それで今頃シェアしてます。あの写真どこにいったんでしょうね? 今から探したい(笑)。
福田:そうですね。
福田:「行儀の悪い女たちの項(歴史を変えたのは『行儀が悪い』女性たちだった)はもう最初に読みました。行儀はその時代の慣習に乗っ取ることだから、行儀良くしていたら窮屈な慣習を打ち破れないなと思いました」というお声もあります。本当にそうですよね。
渡辺:本当にそうです。でないと、行儀良くしていたら私たちに参政権はなかったですもんね。
福田:本当そうですね。暴れないと。
渡辺:暴れちゃいけない(笑)。
福田:暴れる時にはやっぱり暴れないといけないということですよね?
渡辺:そう。だから暴れる時を選ぶのは大切ですよね。
福田:大切ですね。
渡辺:しょっちゅう暴れてる人は、ちょっと問題だと思う(笑)。あの人はちょっと危ない人だからという感じになるから。メリハリを利かせるのは大切です。
福田:必要な時に。
渡辺:そう。だから、ふだん笑ってる人が怒ると怖いですもんね。
福田:確かに。ふだんすごく優しくていい人なのに、ピリッとした時怒られると「怖っ」て。いかん、いかん。言うこと聞かないと、と思う(笑)。
渡辺:そう。だから塩味とか甘辛効かせましょうみたいなメリハリが必要。甘いだけじゃおいしくないみたいなね。
福田:時々隠し味で(笑)。
渡辺:やっぱりそう。バシッと出しましょうみたいな。ピリッといかないといけないですよね(笑)。
福田:そうですよね。
福田:このご本の中の名言集みたいになってきていますけど、次の話は、今のお話も関係があると思うんですけれども。
「ポジティブに逃げる」ということをお書きになっている章があったんですよね。これも本当に大事なことだと思っていて。今、特にみなさんいろんなことがあって、つらい気持ちになっている方も多いと思うんですけど、逃げ道を作っておくべきだというのも、よく言われることです。「ポジティブに逃げる」は、すごくいいなぁと思いました。ちょっとこのお話も聞きたいですね。
渡辺:そうですね。逃げるというとすごくネガティブに感じられますでしょ。
福田:はい。イメージが。
渡辺:石の上にも3年とか。我慢は日本のカルチャーの中ですごく大きいじゃないですか。ともかく我慢しなさいという。我慢することがポジティブな結果につながるのであれば、我慢も価値があると思うんですよね。でも、それを続けていることによって自分の心も死んでしまうし、将来も、自分のキャリアも、関係も死んでしまう。
いろんなことが死んでしまうようなことを我慢している必要はぜんぜんないわけですよね。でも逃げるというと、我慢をしないお前が悪い、みたいな感覚がある。だから逃げられない人がすごく多いと思うんですよ。
福田:はい、はい。
渡辺:そうではなくて、苦しい状況があることはもう事実なんです。じゃあそれを変えるためにはどうすればいいんだろう。自分を変えることで、この状況は変わるんだろうか。自分の考え方を変えることでなんとかなるんだろうかと。
でも、そうではない場合はありますよね。そうではないなということがわかったら、場所を変えるしかないわけですよね。
渡辺:場所を変えるなら、じゃあどこに場所を変えればいいんだろう。その場所にいくためには、自分は何をすればいいんだろう。キャリアの場合ですと、例えばこの仕事に就きたい場合には、やっぱりもう少し英語をがんばらないといけないとか、人脈を作らないといけないとか。例えば今ですと、ブログとかいろいろありますよね。
そういうところで自分をアピールできるような経験を積まないといけない。それらの準備をすれば「あそこに行けるだろう」という計画が立てられますよね、逃げる準備をすることで、嫌な場所で働いている最中でも、職場から離れて準備のために使う時間を心待ちにして1日を過ごすことができるという効果があるわけです。
そうすると、準備ができた時にポジティブにそっちに移ることができる。私自身がそうだったんですけれども、その逃げ方は、すごいポジティブな逃げ方だと思うので、ぜひやっていただきたいと思うことですよ。
人間関係でも言えることです。自分と相手の関係でも、なんとかしてこの人と一緒にいたほうがいいのか。この人は自分を生かしてくれる人なのか。そうじゃないと思ったら、悲しいけれどもさよならしたほうがいいのかなと考えると思うんですよ。
福田:今のお話をうかがって、「未来を良くする方向」に、価値基準があるんだなと思いました。
福田:今の話でもそうですけれども、この本の中ですごく共感した仕事に関する話がありました。日本の人は仕事が嫌なもの、嫌いなものだと思っている人が多いけれども、現代社会で「すごいね」と言われる人たちは、バカンスに行った先でメールを見る。それはもう必要なことだし楽しいからやってしまうので、それを苦にしていないという働き方の話が出てくるんです。
本当に、「そのとおりだなぁ~」と思いました。好きなことをやっている時は、しんどいことをやっていると思わないんですよね。
渡辺:うん。まったくそのとおりです。だから仕事をいけないもののように思っているのは、やっぱりその職場というか仕事自体も悪いのかもしれないし、自分自身のパーセプション(認識)がいけないのかもしれない。それを見直さないといけない、分析しなおさなければいけないのではないかな、という気はするんですよ。
福田:はい、はい。
渡辺:だから例えば、自分の頭の中で怒りとか悲しみが湧いた時に、なるべく自分の中でそれを整理する。なぜ自分はこういう気持ちになるんだろうとか、そういう分析をまずしてみるのは大切というか。その過程で落ち着いてくるんですよね。
だからむかっとした時とか、悲しいとかそういう時は、ちょっと待ってみる。ちょっと待って行動するのも、大切かなと気づくようになったのがわりと大人になってからというか、年を取ってからという感じがありますね。その前は、わりと「かっ」としていました。父を見て育ってしまったのがいけなかったのか。もう少しちゃんと消化してから行動を取ればよかったなと、反省しています。
だから若い方のうかつな言動に出会った時は、もう私自身も許容力がないといけないな、と思います。「こういうことは私自身もきっとやっていたよね」と思うんですよ。だからそこは受け入れてあげないといけない。
そういう話は夫ともよくしています「自分も生意気な時があったよね」と。だからそういうところは広い心で接してあげないといけない、という思いもあるんです。
引いて、自分で分析する。とにかく、ぱっと言い返したくなる時に、ちょっと分析してみる。なぜ私はこう思うんだろう、なぜ私はこう感じるんだろう、と問いかけてみるのは、心を落ち着かせるステップとしては、すごく役立ちます。私自身が、よく感情的になる人だったので。
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