2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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小寺裕樹氏(以下、小寺):話を「学び」に戻したいんですけれども、お二人とも冒頭に申しあげた通り、いい意味で学びオタクであり、自己投資の達人です。私から見ると、常に学ぶ姿勢を崩さないというのがその通りだと思うんですけど、これから岡崎さんとか井上さんの本を読んで「よし、俺も勉強しよう」「自己投資しよう」とか、「セミナーに行こう」と思った方がいたとしても、無理して続かなかったりするじゃないですか。
学びを苦痛じゃなくて習慣にするために、意識的にやっている考え方や技があったら教えてほしいんですけど、岡崎先生、何かありますか。
岡崎かつひろ氏(以下、岡崎):学びを日常的な習慣にする。でも、学びって慣れるまではほぼすべて苦痛な気がするんですよね。よっぽど好きなこととひも付いていると学びたくてしょうがなくなるわけなんですけど、例えば会社の仕事で新しく学ばなければならないとか、独立するにあたってどうしたって税金について学ばなければならないとか、「ねばならない」学びが全体的に多い気がするんですよね。もちろんそうじゃないのもあるんですけどね。
そうすると、学びを楽しくするのが一番理想的なんですが、それよりは自然と学ばざるを得ない環境をつくるほうがやりやすいのかなって、僕は思っています。
どういうことかというと、例えば僕はClubhouseとかFacebookライブとかで、いろいろ対談させていただくのも、結局、強制的に自分の学びになっているんですよ。よっぽど興味があるものは何も言わなくても学ぶし、学んでて楽しいのでそのままやってくださいと。
岡崎:多分どちらかというと、「学びたくないものを学ぶ時にどうしたらいいですか」っていうのが主軸になりそうな気がするので、学びたくないものを学ぶ時には、学ばざるを得ない、もしくは自動的に学んでいく環境をつくるのがいいんじゃないのかなと思います。
小寺:なるほど、強制にしてしまう。
岡崎:強制的に学ばざるを得ない状況にする。
小寺:岡崎先生で言うと、毎朝7時と7時55分から予定入っちゃってるから、学ばざるを得ないんでしょうね。
岡崎:そうなんです。
小寺:確かに、それだったら強制的に習慣になってしまいますもんね。
岡崎:そうなんですよ。それに、やっていく中でおもしろくなってきています。もうClubhouseは1年以上、Facebookライブも半年以上続いていますけど、最初は絶対続かないと思ってましたもん。今はめちゃくちゃ楽しいです。
小寺:なるほど。いい技だと思います。ちなみに、今の考え方はこの本の中にたっぷりと紹介されてますんで、まだ未読の方はぜひ。
小寺:井上先生はどうですか。
井上裕之氏(以下、井上):まず、学びたくない時は学ばなくていいかなと思ってるんです。嫌なことを無理してやっても、嫌だと思うんだよね。逆に言えば、今岡崎さんが言っていたように「学ばないといけないもの」って必ずあると思うんだよね。
自分はどうなりたいとか、いくら稼ぎたいとか、例えば何か人とのつながりをどうやったら持てるのかとか、そうしたときに必要なところや関心のあるところでまず学ぶ。そうしたら、自然と「学ぶっていいな」って、そこから枝葉のようにもっと学んでいこうとなるんです。
まず「学びの習慣」を順序立てて、興味あることだけで進めていくのがいいのかなって思いますね。僕の中で基本的に「嫌なこと」と「無理なこと」はしないのでいいのかなって考え方なんですよ。疲れるので、やらなくていいじゃないですか。
小寺:なるほど。お二人の回答が絶妙にそれぞれ参考になって、すごく勉強になっています。ありがとうございます。逆に言うと「あの時もっと勉強しておけばよかった」みたいな失敗したエピソードってあったりします? 井上先生にはあまりなさそうですけれども。
井上:僕はあんまりないですね。必要なときは必要なことしてるかな。「あの時、勉強をしておけばよかったな」というのはないですよね。
井上:ただ、今自分がしている「学び」のことを、小さいときから教えてもらっていたらどんな人生だったのかなとか、どういうものの考え方で人生を選択したのかなっていう気持ちはありますよね。
「学び」って自分のためじゃなくて、自分の次の世代に対してとか、社員とか、子どもとか、そこに生かすものが実は大きいです。自分のためよりも、そこに価値観を持つためにと考えると、意外と学ぶことがあるんじゃないかなと思います。
人間って、どういう人と出会い、どういう環境で育っていくかが大事だって、さんざん言うわけじゃないですか。だとしたら、自分の大切な周りの人たちにどういう環境でどういうことを伝えるかって、すごく大切だと思うんですね。僕はそういう環境が少なかったので自分で学んで身につけていきましたけど、「早く知ってたらな」という気持ちはどこかにありますね。だから学びの大切さを若い人たちに必ず伝えるようにしています。
井上:例えば、仮に銀座においしい朝食で有名なお店があるんですけど、朝の10時半からスタートで、朝食に8,000円かかるんですよね。自分の周りの若いスタッフに、「8,000円の朝食、食べに行ったら? 高いけど、昼も夜も食べなくていいほどおなかいっぱいになるから。まず軽い気持ちで行ったら?」って言うんです。
そこの朝食を食べたら、日本中のどこの朝食を食べても、「ここと比べたらどうかな」っていう比べ具合の基準になる。そうしたら、自分の目の前の人生を生きていく時に、そこに「価値」ができてから生きていくと、余裕が出てくるよって。
次に戻ってきた時に、お料理の構成を全部見て、あのお料理はどうやって食べたらきれいな食べ方のマナーなんだろうとか、器の置き方とか戻し方とか、お魚のノドグロの食べ方とかも含めて、自分の価値、品格を身につけてみたら、人生は変わるよって言ってあげるんですね。
僕はそんなことを20代、30代の時に言ってくれたりとか、そういうところに行ってお金使ってみたらって言われたことはないですよね。だけど学んでみて、体験してみて、「人生の早いうちにこれを知っていたら、人との出会いとか見られ方とか、評価も変わってきて、どんなに変わっていただろう」って思うわけです。
心のゆとりも変わってくるだろうし、目指していく社会も、意識も変わるんだろうなと思うわけです。そういう意味で、自分の経験や学びを人に伝えるってすごく大事かなと思ってます。
小寺:井上先生のところのスタッフの方は、強制的に成長されるんでしょうね。
井上:僕が話すと、みんな行くんですよ。実際に行くからびっくりしちゃいます。
小寺:それがすごいんですよね。自分が20代前半だったら、何となく大事なのはわかるけど、実際に行動に起こさないと思うんですよね。
井上:そうですよね。「そんなこと言われてもファミレスでいいよ」とか、そういう感じですよね。意外と素直に行って、僕のほうがびっくりします。
小寺:でも、それは普段の井上先生の姿勢とか、マインドを側で見ているからなんじゃないですかね。
井上:それもあるかもしれないですね。
小寺:ありがとうございます。岡崎先生はどうですか? もっと勉強しておけば良かったなって失敗したこと。
岡崎:僕の人生はダメなことばっかりなんで。でも、本当に井上さんのおっしゃる通りで、今に活きていることしかないですね。例えば、学ばなかった時期も、学ばなかった時期があるから、学ぶことの大事さに気づけていたりとか。
僕は高校時代に雀荘にはまって、16歳から雀荘漬けになるというダメやなつでしたが、でもその中でいろいろ気づけたこともいっぱいあって。すべての経験が財産にしかなっていないですよね。
ただ、もう本当に全く一緒なんですけど、おっしゃってた通り、「もしあの時、もっと違った学びをしていたら」とか「もしあの時あの場所に、今の自分が戻れたら、どんなことができたのかな」っていうのは興味関心事項ですよね。
学びにおける後悔は一切ないんですけども、過去にもし何をやってたかっていうのは関心事項ではあるので、まだ僕の場合は学ばなきゃいけない立場ですが、もう少し歳を重ねたら、今度は「もっとこうするといいよ」って教らえれたらいいなって、憧れを持って聞いてました。
小寺:岡崎先生は20代から成功に向かっているかなり早いほうだと思いますけど、それでも今はもっとすごいじゃないですか。高校生社長として有名な子もいますし、そういう段階から学びとか成長に貪欲であることが素晴らしいなと思います。もっと早くこの感覚に気づけていたら違ったなと思いますよね。
岡崎:でも、人生って何か……。偉そうなこと言っちゃうようですけど、その人に一番必要なタイミングで必要なことが起こるんでしょうね。
僕は実は大学生の時に1回、「一緒に雀荘やろうよ」って言われたことがあるんですよ。雀荘の立ち上げにお金を出したら、その人が持ち逃げして消えちゃったことが1回あって。僕は、正確に言うと学生で大したお金出してなかったんですけどね。多分あの時に経営とか言っても、適切にはできなかったと思うんですよね。
だから、僕にとって今一番大事な、一番必要だったのが26歳だったというだけだと思うんで、変に過去に後悔しなくてもいいのかなっていう気もしてますけどね。
小寺:ありがとうございます。また別の方から質問がきています。「会社を辞めたいと考えていますが、上司にお世話になったので伝え方を考えています。伝えづらいことを伝える時の心構えを教えていただきたいです」ということですけれども、井上先生、どうでしょうか?
井上:会社を辞めることに対していえば、会社に貢献してあげたらいいと思うんですね。そして、その理由を明確に話してあげたら、上司の人は理解してくれる。会社にも貢献してくれるし、引き継ぎとかもしっかりしてくれれば、それを止める人はいないのかなって思います。
井上:ただよくあるのは、会社を辞める理由を話す時、自分の失敗だとか、貢献できないことを理由に辞めることがあると思うんです。いわゆる「責任を取って辞める」という。それが一番の責任を取らない辞め方であって、無責任な辞め方だと思うんですね。その辞め方を僕は「転落の辞め方」だと言っています。
もし辞めるのであれば、貢献をして、周りを育てて、そして目的を明確に話して辞める。これが必ず上司の人が応援してくれる辞め方かなって思います。
小寺:確かに、「転落の辞め方」ってパワーワードですね。岡崎先生はどうですか?
岡崎:本当に同じこと考えてたんですけど、ビジネスだって辞める時に赤字決算で辞めていったら「転落」じゃないですか。辞める時にちゃんと黒字決算で終えられているから、次のステップにいくわけですよね。
(質問者さんの)辞めたいと思っている理由がわからないので、辞めることに関しては尊重されるべきなんですけれども、辞めようかなと思った時に、もしステップアップをお考えであるならば、やっぱり今までお世話になった方に、していただいたこと以上のことができている状態で辞めていかれた方がいいと思うんですよ。
もし今の段階で「お世話になったのに辞めるのは悪いな」と思っているんだとしたら、いただいてるものの方が多いと思うんですよね。「お世話になったし、けど僕はこんだけ貢献したぞ」という状態であれば、おそらく悪く思う必要がそもそもないので、堂々と辞めていただいたらいいと思います。
岡崎:後半の伝えづらいことを伝える時の心構えなんですけど、僕は伝えづらいことを伝える時には飲みに行きます。
小寺:酒の力を使うんですね。
岡崎:ただ、酒じゃなくてもいいんですよ、お茶でもいいんですけど、ちゃんと「二人で話す」ことでしょうね。
結局周囲にみんながいると、ある種守られるじゃないですか。「みんなの手前、強く言えない」というのもあるので、伝えづらいからメールで伝えちゃえとか、遠回りな仕方を考えちゃうんです。「この上司に伝えなきゃいけない」ということであれば、その上司にちゃんと伝えられる環境をつくって、「実は……」とお話しされると、一番誠実でいいんじゃないかなと思いますけどね。
間違っても、メール1通で「実は辞めようと思ってます」というのはやめた方がいいんじゃないですかね。お世話になっているのであれば。
小寺:井上先生は具体的な手法の部分で言うと、会社を辞める時もそうですし、シンプルに伝えづらいことを伝えなきゃいけない状況になった時、どうしていますか?
井上:方法論とか我慢とかより、嫌な時ほど一歩前に出た方がいいと思うんですよね。だから僕は自分の気持ちをはっきり言います。
何か自分が不安になる時ほど、その不安に追いかけられるのが嫌なので、踏みとどまって一歩前に出て、自分の気持ちをはっきり何でも伝えるようにしています。
オブラートに包んだ関係性って、日本人は特に気遣いするタイプだと思うんですけど、その気遣いって、逆にかえって相手に、曖昧さがあってわからない不安感とか、心地悪さを与えるんですね。
明確な回答って外国的なんですけども、かえっていいんですよね。例えば好きでもないのに好きっぽい態度でずっと一緒にいても、仕方がないじゃないですか。それだったら「もうお互い違う道に行こうよ」ってスパッとした方が良かったりすることもある。だから、僕はどちらかというとはっきりさせるタイプですね。
小寺:ありがとうございます。とっても参考になったんじゃないでしょうか。
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