2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
有山徹氏:これからの主体的なキャリア形成ということで、プロティアン・キャリアのキーワードとしてこの2つを覚えていただければなと思っております。「アイデンティティ」(自分らしさ)と「アダプタビリティ」(適応する力)です。自分らしくありつつ、変化に適応するというキャリア形成の考え方ですね。
つまりプロティアンな人材は、アダプタビリティが高くてアイデンティティが高い方、ここが進化・発展型です。自分のことをちゃんと認識していない人間は、自分が行きたいと思っている山に登れないということですね。自分の立ち位置がわからなければ、行きたいところには当然行けません。
自分をしっかり知ること、かつ変化に適応すること。山登りでいうと自分の位置がわかって、雨が降っても雪が降ってもそこで適応できるような適応力をもつ人間が、自分が行きたい頂上に行けるということです。
わかりやすい有名人でプロティアン人材を例えますと、冒頭にお伝えしましたけど私は野球部でしたので、野球でお話します。変幻自在な走塁もできるイチロー選手は、みなさんご存じですね。もう引退しちゃいましたけど、忍者のような走塁をされるイチロー選手もプロティアンなんですよね。
どういうところなのかというと、写真を見ていただけるとわかるんですが、イチロー選手はあれだけヒットを打って、首位打者をダントツで取っていても、フォームが変わっているんですよね。
外形的な基準で「自分が首位打者を取っているから今のままで維持しよう」ではなく、首位打者を取っても、より1本でもヒットを多く打てるように、進化するためにフォームを変え続けるんですよね。
松井秀喜選手もそうでしたが、やはり外形的な基準ではなく、自身の定めた内的な目標に挑戦して、変化しながら1本1本ヒットを蓄積していったところがあります。
私も覚えているんですが、2,000本安打を打った時にインタビューで「次の目標は3,000本ですか」とインタビュアーから聞かれた時に、イチロー選手は「2,001本目です」と言うんですよね。大きな記録を成し遂げたイチロー選手でさえ、小さな蓄積が大事だということに意識を向けているんです。
「自分にとって大切なのは自分」です。1本1本重ねていくヒットの本数を自分は大切にしているということですね。やっぱり自分にとって価値があるのはなんなのか。そこは明確でしたよね。
「打率じゃないです」「1本1本ヒットを打っていくことが大切なんです」「打席に立つことが大事なんです」ということが明確にあるのがイチロー選手です。夢や目標を達成するには1つしか方法がないとおっしゃっています。「小さなことを積み重ねること」です。
ではここでみなさんにまた聞きたいんですけど、みなさんが「こう在りたい」と考える未来に向けて、今前進できる行動はなんですか? 小さなことでもいいのですが、なんでしょうか。
イチロー選手になったと思って……とは言わないですけど(笑)。イチロー選手は「ヒットを1本打つ」というところかなと思うんですけど、例えば「仕事を極力なくしていく」「読書する」「明日の育児をする」なども大事なことですね。
(チャット欄を見て)「今の活動を愚直に続ける」、そうですね、続けることは大事ですよね。「早寝早起きの継続」、早寝早起きもとっても大事です。早寝早起きは、生産性の高い時間(を有効活用できます)よね。ありがとうございます。
たぶんパッと出てこない方も多かったかなと思います。将来の在りたい姿と言われると、けっこう難しいですよね。小学生の時のように「自分はプロ野球選手になりたいです」と、反射的に回答できる大人は少ないと思うんです。
では、「未来の在りたい自分の姿を描くヒント」というところに進みたいと思います。これは本の中でも紹介させていただいているんですけれど、「自分軸」がありますよね。
みなさん「ジョハリの窓」はご存じかと思います。要は自分が知っている・自分が気づいていないという横軸と、他人は知っている・他人は気づいていないという縦軸で考えた場合、ここが「開放の窓」ですね。自分も他人も知っている自分、自己。ここを広げていくところが、アイデンティティ、自分らしさを探す、自分軸を探すところで重要な考え方かと思っています。
自分が知っているところを広げていくには、やっぱり内省しかないですよね。過去を振り返ったり、自分が感じることを言語化してノートに書く。伊藤羊一さんの一行日記(『1行書くだけ日記』)が有名ですね。
あとは、右側に広げていくところは「フィードバック」ですよね。自分は気づいていないけど他人は知っていることを広げるには、フィードバックをもらうしかない。
自分はこう思っているけど、他人に「いや、有山さんはこうですよね」、「こういうふうに見えるけどこうじゃないんですか」とフィードバックをもらうことで、「俺ってそういうふうに見えるのか」「確かにそういうところがあるかも」と気づけるんです。こうやってフィードバックをもらうことで、他人は知っているけど自分は知らないことを減らしていく。
あと「未知の窓」というところがあります。自分も周りの人も知らない窓。ここは新たなことに挑戦していくしかないですよね。それをやっていくと、どんどん開放の窓が広がっていきます。自己認識、自分の価値観で大事にしているものがだんだん言語化できてきます。
そこでプロティアンで言っているのは、シングルアイデンティティではなくマルチアイデンティティだということです。「自分はこうだ」と決めつけるのはよくないです。
同じ方でも、例えば家庭とか地域とか仕事で見せる顔が違ったりします。仕事上ではリーダーシップがあるんだけども、家庭に入るとぜんぜんリーダーシップがなくて、奥さんに言われるがまま。「ぜんぜん違う顔しますね、部長。家庭に入るとそうなんですか」ということがあったりするかなと思います。
周りの環境によって、自分が見せる顔や行動は変わります。だから「自分にはいろんな顔がある」という前提で、マルチに自分らしさがあると考えるのが、プロティアンですね。
「変化の時代のキャリア開発」でいうと、アイデンティティは「自分の働く意味」です。仕事で捉えると、働く意味を見つけるには動くしかない。だから固執せず、「自分はこれが苦手だ」と決めつけないことです。
例えば「自分はプレゼンが苦手だからそこは避けて通ろう」ではなく「昔はそうだったけど、これから新しい手法を取り入れたら、自分の得意になっていくかもしれない」とか。「過去がこうだったからこうだ」と自分を決めつけず、執着しないことです。執着せずに未来志向で、自分で可能性を勝手に狭めないことが大事かなと思っています。
動くことで、変化は自ら創り出す。これは変化の時代のキャリアにおいて最も大事なことです。変化は予期せず急に訪れます。コロナも、いきなりこんなのが来るなんて誰もわからないし、今回のロシアの件だって、いきなりこんなことが起こるなんて誰もが思わないわけですよね。
でも日々ちょっとでも動けるようにしている人間はすぐにパッと動けるんですけども、そうでない人はなかなか動き出せない。スポーツの前のウォーミングアップと一緒ですよね。いきなり試合に出て成果を出すのが難しいのと同じように、変化の時代に自ら変化を創り出して、変化に慣れておくことが大事ですよね。
変化の時代に適応するための筋肉を鍛え続けるためには、新たなところに挑戦したり、動くことです。別に小さな挑戦でいいんですよね。やり続けることが大事です。とにかく動いて内省する、言語化することが大事です。大事なのは自分の心の声です。楽しいとかわくわくするとか、そういう感情にちゃんと注目しましょう。
もう少し見方を変えたところでいうと、インプットとアウトプットの行き来をどうするのかというのもあります。行動において、インプットとして勉強ばっかりやっていても、アウトプットがないと定着しないし力にならない。このバランスもただ単に動くんじゃなくて、今はどっちに寄っている(か見極める必要があります)。
意図的に、戦略的に今は学ぶインプット時期なのか、もしくはアウトプットして自分に定着させるタイミングなのか、中長期のキャリアの目線においてどうジャッジするかは、大事な観点ですね。
それから「深めるのか、広げるのか」ですね。今は専門性を高める時期なのか、もしくはそこを広げることに注力する時期なのか。もちろんゼロイチではないです。別にどちらか一方ではなく、そのバランスを取ることが大事になってくるかなと思っています。こういった観点も参考にしていただければなと思っています。
今お話ししたとおり、別に「こうありたい」と大きく考えなくてもいいです。まず身近なところから、興味のあるスポーツを始めてみるとか。私も野球をやっていたんですけど、あまり団体競技は合わないなと思って、実は2年ほど前からテニスを始めていまして、「個人のほうが合うな」と思っています。
今までチームプレーばっかり、ずっと野球ばかりやってきました。でも個人競技をやってみると「やっぱりこっちのほうが合うな」とか、やっていないことをやってみると感じることがあって、「自分はこういうタイプなんだ」と気づくことがある。ダイエットでもなんでもいいので「始めてみる」のが大事かなと思っております。
心理的成功で言うと、先ほど冒頭に説明いただいたとおりです。プロティアンでも職業キャリアにおいての生きがいは「好き」とか「得意」とか「需要がある」、「お金になる」といったところの接点です。生きがいにあたるような仕事をする時間を増やしていくことで、ハッピーになると思っています。
「好き」「得意」というのはアイデンティティの話で、「需要がある」「お金になる」というのはどちらかというと外的なことなので、アダプタビリティに対応すると捉えております。「好き」とか「得意」は自分の内面、マルチアイデンティティなので当然変化します。アダプタビリティの需要や市場も当然変化します。
つまり何が言えるかというと、この「生きがい」は常に変化しているんですよね。内面も変化しているし、外的な環境も変化している。なのでこの100年時代は、常に自分と向き合いつつ、外部の環境変化も探知して、自分の生きがいがどこにあるかを定期的にコンディションチェックする。その上で、そこに向けての行動を繰り返していくことが大事なんですよと、プロティアンでは考えております。
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには