2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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鷺山昌多氏(以下、鷺山):ありがとうございます。(「起業テーマとの出会い」は)お一人1時間ぐらい聞きたいテーマなんですが、次の方にいっちゃいます。どうでしょう。宮原さん、田中さん。
田中大地氏(以下、田中):じゃあ、いいですか。僕が「医療」を選んだこと自体は、さっきも話したようにマーケット、産業構造が今後も伸びる可能性があるところだったんですけれども、「なぜアイリスか」でいうと、大きく2つあって。
1つめがもうめちゃくちゃでかいんですけど、CEOの沖山と出会えたことですね。僕自身もシンガポールで事業責任者をやっている中で、事業家としての自分に対して、ある種自負があったんです。その中で沖山と出会ったんですけど、話を聞いていて、同い年なのに見ている世界がぜんぜん違ったんですよね。
それこそ当時のスティーブ・ジョブズと出会った人がいたら、こんな気持ちになるんじゃないかと。その人から誘われる機会ってないなと思って。「ここで乗らなかったら、もう二度とこういう機会は自分の人生で現れないかもな」って。ちゃんと乗っかろうというのが1個、でかかったところですね。
2つめが、事業のところです。僕はもともとエス・エム・エスにいて。エス・エム・エスにいたときから医療の中でも周辺領域の業務効率化をやっているなという自覚があったんです。例えば製薬マーケティングとか、そういう領域はやれるんですけど、医療の本丸をやれているなという感じはなかった。
沖山の語っていた事業内容が「感染症の診断をやるんだ。医療のど真ん中をやるんだ」と。患者と医師の診断・治療を、まさか自分がやれるとは思っていなかったので。これが、事業としてすごく惹かれた部分かなと思っています。
鷺山:ちょっと縁遠いテーマだからこそ惹かれる部分もあるし、一番のメインは沖山さんという、まったく異質だけどすごく優れた人に誘われたことですね。
田中:そうですね。
鷺山:もちろん(田中さんが)ヘルスケアがお好きな方だと存じ上げてますが、なるほど。
鷺山:宮原さんはどうでしょう。
宮原禎氏(以下、宮原):私の場合、もともと若い頃から「人間を科学する」ところに非常に興味がありました。私の中の整理として、自然科学と社会科学の間に「人間科学」みたいな分野があるなと思っていて。例えば生物学みたいにより自然科学寄りに行くのもそうだし、医療であればその両輪ですよね。社会と自然科学の間のようなサイエンスがあるんですよね。
リクルートにいた時も、私は6年10ヶ月いて、当時はFIT、システム開発をやる部隊にずっといて。片や事業開発をやっている時も、実は一番テーマとしておもしろかったのは「SPIの開発」だったんです。
鷺山:ほー。
宮原:SPIって、みんなが就職の時に受ける、簡単な主成分分析を使った統計解析なんですけど、それがけっこうおもしろいなと感じたんです。まさに「人を科学していく」ですよね。
リクルートを辞めたのは、販促とか人材とか、会社のPLの1科目をプラットフォームで取りにいくよりか、事業会社のPL全体をマネージするほうがおもしろいから、辞めて別の会社やってみようかなと。それがはじめに飛び出したきっかけですね。
ただ、そこから2社ほど経験して会社経営を学びつつ、前職でまさにヘルスケアやるとなった時が、一番自分の中ではしっくり来て。一番はじめの「人を科学する」ところに、一番深くダイブできるものなんですよね。
社会性の分析もそうだし、心理的な分析もそうだし、肉体的なそれが検査値や病気に跳ね返ってくる。データを見ていてもすごくおもしろくて。
宮原:ただその時に1つ、さっきの磯野さんの話じゃないですけど、「人にとっての幸せとは?」をもう1回考えたんです。今後「脳の健康」は成熟社会であればあるほど、すごい大切なテーマの1つになるなと思ってきて。
前職の時も、実はPHR(パーソナルヘルスレコード)を立ち上げた頃から、睡眠とか脳の状態を簡便に観測する技術とかにすごく興味があったんですね。5年前ぐらいにウェアラブルデバイスを配って、200人くらいの睡眠データを取った時、分析精度は低いんだけど傾向は見えたんですよ。
ただ他方で、自分はそのディープテック(技術)を持っていないので、誰かと組むしかないと。自分は事業サイドを立ち上げながら、技術のあるよりすごい科学者となるべく組んだほうがいいなと思ったんです。
実は鷺山さんにご紹介していただいたんですけど、そこで東大医学研究科教授の上田先生と偶然にもお会いできて、今一緒に経営しています。自分のテーマもそうだし、彼自身も昔から人を科学していきたいという思いで、遺伝子とか細胞とかの研究をやっていたんです。そこでうまくレイヤーをマッチさせて一緒にやっているという、ハッピーな感じがありますね。
鷺山:ありがとうございます。その意味では、田中さんと宮原さんは「出会い」が最終的なトリガーだったかもしれませんし、森脇さんと磯野さんはもともと持っていた「想い」が、そのままかたちになっているということなのかもしれません。似ているようなちょっと違うような、こういう整理になりますね。
鷺山:今日のテーマの中に「どこでやるか」があるんですが、やはり一番大事なのは「自分が何をやるか」だと思います。もう一言だけ、みなさんにいただきたいです。
今日はリクルートさん、もしくは別の大手にいらっしゃる方や、ベンチャーにいらっしゃる方も来られていますが、今いる組織で何をすると、今までのお話のような「運命の出会い」、新しい「やりたいことへの出会い」が早くなるのか。
自分のやるべきテーマと出会うために、やるために、今は何をするべきか。アドバイスをいただけるとうれしいんですが、あらためて磯野さんはいかがでしょうか。「私の場合は」で構いません。
磯野謙氏(以下、磯野):そうですね。僕が大事にしていることは、「人のせいにしない」ことですね。置かれた環境がどうだとか、そういうことを言い訳にせずに生きることが大事かなと思います。そうするとチャンスは自ずとやってくるような気はしますね。
森脇潤一氏(以下、森脇):じゃあ僕もいいですか。磯野さんと被るんですけど、「計画的偶発性」という話をたぶんみなさん聞いたことあると思うんです。予期せぬことが人生には起こり続ける。キャリアも同様だと思うんですよね。
僕もさっき言ったように、経営者になろうなんて微塵も思っていなかったけれど、今は経営をやらせていただいていますから、偶発的に起こるものによって、人生が大きく変わっていくんだと思います。じゃあそれを起こすには、やはり行動し続けること。今を大切に、愚直に生き続けることが重要かなと思っていまして。
それによっていろんな縁や運が降ってくるような状態になると思いますから、モヤモヤする時も悩んでいる時も、家に籠もっておらず一歩外に出て、フラフラするだけでぜんぜん刺激も違うし、またそういうことを日々大切にしていくと、いつか出会うんじゃないかなと僕は思いますね。なぜなら、僕もたまたまいろんなテーマに出会って今がありますから。
鷺山:ありがとうございます。
田中:擦り合わせたわけじゃないんですけど、僕もそう思っていて(笑)。リクルートで一番尊敬している、今リクルートの役員をやっている人も言っていたんですけど、「本当に目の前の仕事に真剣に向き合っていたら、30歳前後で自分でも信じられないような機会が出てくるから、ちゃんと目の前のことをがんばれ」と。この話が、僕の中にずっと刺さっていて、それでやっていただけなんですよね。
そしたらいきなり、英語もぜんぜんできないのに「シンガポールに行ってくれ」という話があったり、アイリスの話もあったり。人生ってそういうことなんだなって思っていますね。
あとテクニカルな話でいうと、僕自身はブログで外部発信をやっていたので、それで沖山さんとか今の創業メンバーに知ってもらえたところもあるんです。でも、それよりも目の前のことをがんばる。そこに尽きるかなと思います。
鷺山:なるほど。何となく「機会を自ら作り出し……」系のメッセージが、頭に浮かびました(笑)。
(一同笑)
田中:(旧社訓の「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」は)いい言葉ですよね。
鷺山:いい言葉ですね。受け止めながら、成果とアクションは出し続ける。そうすると球が来る。いい話でした。宮原さんはいかがでしょうか。
宮原:そうですね。私も行動し続けることは、すごく大切だなと思いますね。人間って賢すぎるので、認知の外側が見えてないじゃないですか。当たり前なんですけど、自分が知っていることでしか判断できていないんですよね。
でも、外側にいっぱいチャンスがあって、それを引いてみると、あとで(自分自身と)つながるんです。でもタイミングで判断しすぎて、「そこは私にとっては遠いところです。僕にとっては遠いところです」みたいに判断しちゃうと、今回のチャンスも次回のチャンスも来ないと思っていて。
おもしろそうだし、ちょっとでも勝ち筋が見えたら取りあえず行ってみる。そういうことがすごく大事なんじゃないかなとは思いました。
鷺山:ありがとうございます。時間の関係で、次の「どこでやるんだ」という話に行きたいんですけれども、質問が入っていましてね。今日の横筋なんですけど、すごく大事な「誰とやるか」につながる質問があって。
「自分でやると思った時に、1人目・2人目をどこからどうやって口説いて仲間にするのか知りたいんだ」というお話があります。すごく大事なテーマだと思うので、「自分のところはこうだよ」とお話できる方、ぜひお願いできませんか。
森脇:僕はビジネスサイドの人間で、リクルートで事業責任者をやらせていただいて、40人くらいの組織を率いて事業を推進することをやっていました、だからある程度経営の予行演習がリクルートでできており、もともと営業マンですから営業もできる、事業開発もできる、PMもできるというキャリアだった。
でも、どうしてもプロダクトを作ろうと思うと、やっぱりエンジニアがいないと進まないんです。まずはCTOを誘わなきゃいけないということで、リクルートで一緒に働いていたエンジニアを「CTOになってくれないか」と口説いて、入っていただいたという経緯です。それが1人目です。
鷺山:どういう口説き文句で?
森脇:(笑)。自分がやる事業アイデアを思いついた時は、A4のペライチの紙にバーッと書いていました。それでシードの調達もしましたし。本当にA4の1枚だけなんですけど、それを見せて「どう思う?」と。
後は相手の興味ですよね。「これはおもしろそうだ」とか「なんか行けそうな気がする」と直感的に思ってくれて、あとは一緒に働いてましたから、人となりもわかってくれてたと思います。そういう流れですかね。
鷺山:人となりと事業のおもしろさと、割合はどうなんでしょう。自分の魅力で口説けたと思うのが8割ぐらいですか?(笑)
森脇:わかんない(笑)すいません。メタ認知能力が低いと言われているんで(笑)。
鷺山:そうですか(笑)。ありがとうございます。でも確かリクルートさんで良かったですね。身内に優秀なエンジニアの方がいて。ごめんなさい、リクルートさんが聞いてたらあれですね(笑)。
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