
2025.03.19
急成長するドバイ不動産市場の今 投資のチャンスと注意点を専門家が解説
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鷺山昌多氏(以下、鷺山):では(自己紹介の)ラストになりますが、田中さんお願いします。
田中大地(以下、田中):みなさんこんにちは。アイリスでCOOをやっております、田中大地と申します。本日はよろしくお願いいたします。今日の登壇者の中では僕だけCEO・起業家ではないのですが、その視点でもお話をさせてもらえればと思います。
僕自身は2008年にリクルートに新卒入社をしておりまして、在籍中の5年間は5年、ずっと旅行の「じゃらん」をやっておりました。最初は営業を2年半ほどやって、その後に今のリクルートの社長である出木場(久征)さんが立ち上げた、当時のCAP室という、今のネットビジネス推進室という組織に異動になりました。
その時、リクルートから自分自身が一番大きく学んだこととして、「大方針を決めることは重要」ということです。リクルートは僕が入社したとき、紙・雑誌広告の事業がメインでした。
『じゃらん』という雑誌が毎月発行されるんですけど、「この枠を20万円で買ってください」というような営業をゴリゴリやっている、営業組織の会社だったんです。今日の事前アンケートを見ると、結構「テックカンパニー」という印象を持たれている人が多いかなと思いますが、当時はぜんぜん違いました。
それを今の出木場社長が、「このままだと先細りだから、もう紙からネットにフォーカスするんだ」という大きな意思決定をして、それで今のような偉大なリクルートを作ったんですね。「1個の意思決定で大きく変える」ということを学んだなと思っています。
田中:どうしても企業にいると、いろんな人がいろんな正義を持っている。かつそれぞれ全部正義なので、コンフリクト(衝突)すると思うんですよね。(紙からネットへという話が出た時も、)8割の人が「紙の事業を続けるべきだ」と。当時数十億円の売り上げがあったので、なかなかやめるという意思決定はしづらいと思うんです。
その中で、いやいやこっちは先細りだからみんなから反対されてもネットにフォーカスするんだという、こういう意思決定は本当に、自分が経営しててもめちゃくちゃ難しい。これが(経営者の意思決定として)本当に大事だなと学びました。
その後、リクルートは「will-can-must」のフレームワークがすごく有名なんですけれども、「大地は何したいの?」と聞かれ続けた結果、僕のやりたいことはリクルートではできないという結論に行き着いてしまいました。実はプロフィールに書いてないんですが、(リクルートを出た後に)映画のベンチャーにいっているんですね。
僕自身大学時代は、映画館で年間350本の映画を見るような映画オタクでして。「この映画というカルチャーを次世代に継ぐんだ!」という思いから、映画ベンチャーにいきました。そこでがんばってやっていたんですけど、資金がショートをしてしまいまして。結果その会社は倒産してしまいます。
会社の倒産を経験したことがある人ってあんまりいないかなと思うんですけど、本当に人間の闇の部分が全部見えてくるんですね。
「一緒になんとかがんばりましょう!」と言ってた人が、翌日に退職届を出してきたり。そういうこともあって、「人を信頼するのしんどいなぁ……」と。今だから笑って言えるんですけど、当時は最悪な気分になりながらやってました。
田中:それで、映画の仕事の後は何しようかなと考えた時に、「衰退産業にいると、そこで働く人も不健康になってしまうんだな」と思ったんです。一方、マーケットがしっかり成長するところは、そこで働く人も幸せになれるだろうと考えました。少子高齢化が進む中で、ヘルスケア領域が今後マーケットが唯一大きく伸びる領域だなと思い、ヘルスケアの道を選びました。
そのとき、エス・エム・エスという会社に転職を決めて、国内で事業立ち上げを行ったり、海外の企業で「アジア版のエムスリー」といわれるMIMSという会社を三井物産さんと300億円で買収して、シンガポールにPMIに行ったりということもやっていました。
そこでシンガポールで働いていたんですけど、当時メドレーという会社の役員をやっていた沖山(翔)さん、今のアイリスの創業者なんですけれども、この方が「会社を創業して人生をかけてやっていくから事業を見てほしい」と誘われ、ジョインを決めました。
アイリスは何をやっているのかというのを、簡単にお伝えしたいなと思います。。今、従業員は70名程度で、特徴的なところで言いますと、社員に医師が6名いて、医療の現場をわかりまくっている。
さらにAIコンペティションのプラットホームの「Kaggle」で世界2位を取るようなAIエンジニアがいたり、経産省厚労省の出身のメンバーがいて規制にも対応できるという、プロフェッショナルが揃っているチームだったりします。
プロダクトとしては、咽頭の画像から感染症診断をするデバイスをファーストプロダクトとして開発をしています。アーンと口を開けて写真を撮ったら、それでインフルエンザの陽性陰性がわかるというものです。今後は他の感染症の疾患もわかるようにプロダクトを進化させていきたいと思います。
田中:(社会的な)大きな価値は2つあります。、1つは、インフルエンザを含む感染症の一般的な検査って、鼻に綿棒を突っ込んで、ぐりぐりと検体採取をするんですけど、これが実はめちゃくちゃ痛い上に、精度がそんなに高くないんです。
例えば10人インフルエンザの患者さんがいたら、3〜4人に対して本当はインフルエンザなんだけどインフルエンザじゃないという(誤った)結果を返しちゃうと言われています。う
今のコロナの中でもわかると思うんですけど、本当は陽性の患者さんなのに陰性だという結果が出ると、町に偽陰性感染症の患者さんが出ていってしまうわけですよね。こうなると感染症はどうしても広がっていってしまいます。
一方、検査という入り口の部分で、正しくより精度が高く発見できたとしたら、感染症の広がりを防ぐことができるんです。それが1つめの価値です。
2つめは咽頭からわかる疾患を増やすということです。咽頭はすごく可能性を秘めた場所でして。みなさんクリニックに行くと、「アーンとしてください」と、一番最初に喉を見られると思うんですよね。必ずドクターが喉を見るということは、それだけものすごく情報量が多い場所なんです。
でもおもしろいことに、情報量が多いにもかかわらず、咽頭の画像はこれまで一度もデータ化されたことがない領域なんですよね。データ化されていないということは、研究が進んでいないということです。。
例えば脳の研究は、MRIができたからすごく進んだところがあるんです。それと同じようなパラダイムで、咽頭からわかることをどんどん増やしていきたいと考えて事業をやっております。簡単ですが、アイリスのご紹介をさせていただきました。
鷺山:田中さん、ありがとうございました。4人の自己紹介を聞いていただきました。環境、睡眠医療、決済、そして医療と。この4名の方々が一度に揃う機会はなかなかないと思います。異種格闘技感が強いですが、1本のラインでつなぐとすると「出身がリクルートである」と。このへんが1つのキーワードなのかもしれません。
鷺山:実はもう時間が40分もないので、ばーっといこうと思ってるんですけど。みなさんのお話をまとめさせていただくと、田中さんと磯野さんは営業畑でいらっしゃって、森脇さんは新規事業畑。宮原さんも営業ですが、システム系もやってらっしゃると。リクルートさんの中でのキャリアもけっこうバラバラですね。
リクルート歴でいうと、磯野さんは2年、他の方は5〜7年ぐらいいらっしゃって、次のチャレンジにいってらっしゃる。事業領域に関しては、森脇さんだけある意味リクルートさんに近い領域で事業をされていて、他の方はけっこうジャンプした領域でやってらっしゃるんですね。
また、最終的に経営者や経営陣になったのがみなさんお早く30代前半・中盤なんですかね。このあたりはやや近そうな印象を持っています。
今日ご視聴のみなさんと深掘りしていきたいことは、非常にシンプルです。僕が聞きたいのは、何をやるか、どこでやるか。そしていつやるか。この3つだけです。
一番最初のは今日のメインテーマでもあるんですけれども、今みなさんが抱えていらっしゃる、人生で取り組むべき経営のテーマとの出会いですね。これをやろうと決めた時のお話を聞きたいです。いかがでしょう。
宮原:磯野さんじゃないですかね。
鷺山:磯野さん、ぜひお願いします。
磯野謙氏(以下、磯野):日本人的には難しい質問ですよね。僕は経営者というより、大事にしていることを曲げないところが大きくて、なかなか参考にならないかもしれないんですが。自分がカーボンニュートラルとか再生可能エネルギーに対して「これだよなぁ」と思ってから、20年近く経っているんです。その想いを曲げずにきた。
そのきっかけは、リクルートの内定をもらった後、大学4年生の時に世界中を旅して、今「SDGs」と言われるような問題にたくさん触れたことです。環境問題もあれば、戦争もあれば貧困もあるのですが、自分は自然の中でサーフィンとかスノーボードをするのが大好きで、大学卒業までそればかりやっているような生活でした。
(なのでいろんな問題の中で)「自然の環境をどうやって守るか」ということを強く感じてしまって、23歳の時にはもうテーマが決まりました。
でもなかなかそれで仕事になるかというとそうではないので、相当苦労しましたね。20代は本当にお金がなくて、ずっとぷらぷらしてた感じです。
鷺山:当時、環境ベンチャー自体がほとんどなかったですよね。
磯野:ないです。国連とか、そういう機関しかやっていなかったですね。「環境」については、ベンチャーというかそもそもビジネス産業として成り立っていなかったし、僕が知る限り存在していなかったように思います。
鷺山:そういう意味では、ライフスタイルの方面から出会いがあって、ずっと心の真ん中にあったんですね。次の話に半分入っちゃいますが、2年目のタイミングで事業としてやるということで、まずベンチャーに飛び込んだという話がありました。これはきっかけとしてどういうタイミングだったんですか?
磯野:実際、今の仕事とつながっているのは、その風力発電事業のベンチャーなんですけど、その前はぷらぷらしてまして。屋久島に住んで観光事業を立ち上げたりとかしていたんです。「自然の中にいる」という、共通のテーマはあるんですけれども。
当時の想いをオープンに話すのは良くないとは思うんですが、リクルートにいてもいなくても、どこの会社に行ってても、辞めていたと思います。世界でこんなに問題が起きているのに、目の前の商売とかどうでもいいよなと思ってしまったんです。
鷺山:なるほど。
磯野:売り上げが上がれば上がるほど(自然の環境を守るという意味での)価値が上がることをやらないと、生きてる意味がないと思っていましたね。
鷺山:その(テーマと出会った)タイミングでそう思ってたんですね。
磯野:そうですね。まぁ、世界中を旅をしてそう思っちゃったのが不幸の始まりですね。気づかなければ、真面目にサラリーマンをやっていたかもしれないです。
鷺山:(笑)。
磯野:幸いにもいろんな人に支えられて、その気持ちを曲げずに40歳まで来れたという。
鷺山:環境が好きで、そういうものと共に生きるんだというところはわかりますが、それをベンチャーというかたちでやるんだ、創業するんだというところにまた1つハードルがあったような気もするんですけど。
磯野:そうですね。これはみなさんの参考になるかもしれない。
鷺山:ぜひぜひ。
磯野:まさに想いを曲げずにいて、たまたまタイミングが来たのは2011年ですね。いきなり最初にエネルギーの事業をゼロから立ち上げるのは無理だったと思います。それも資本金300万円で始めました。2017年まで、いっさい資金調達してこなかったんで。
先行したメリットはとれたというか、完全にマーケットは始まったばかりでやっている人がほとんどいなかったので、キャピタルインテンシブな事業を今でもできている。これはその前の風力発電のベンチャーでの助走期間があって、2011年のこれしかないというタイミングがあった。
鷺山:実際に原発の事故もありましたし、社会的要請を受けて、「俺が埋めるしかない」と事業を立ち上げた。でも当時は環境ビジネスの市場がほぼないからお金も入らなくて。その中で苦労してなんとか生き延びたことが先行メリットを生み、今の礎になっているという話ですね。
磯野:そうですね。
鷺山:いや、1発目になかなか熱いお話しが出ましたが、この想いを受けて「私はこうです」という方の話にいきたいと思います。すごいですね。ラップバトルより熱いですね。
森脇潤一氏(以下、森脇):(笑)、じゃあ僕も磯野さんに乗っかろうかな。磯野さんはすごいんですよ。本当に、日本のイーロン・マスクみたいで、僕は横から見て本当にすばらしいなと思ってるんです。
好きなことをちゃんと自分の中で見つけて、そこにチャレンジするのが一番シンプルでいいかな思いますね。僕も別に起業家になりたいとか、ベンチャーを創業したいとかまったくそんなことは思っていなくて。事業開発によって社会を良くしていくことに対して関わりたいというだけだったので。
仮に自分が立ち上げた事業が今もリクルートに残っていて、まだそこで責任者としてやらせていただいていたら、たぶん創業・起業するという機会もなかったでしょうし、今ここでしゃべっていることもないと思うので。
本当に僕はそこ(起業)がまったく目的じゃなくて、必然的に自分がやりたいと思ったことを実現するには起業するしか手段がなかったというだけですから。自分の心の赴くままに、わくわくするほうにいくというのが、すごくシンプルで本質的なのかなと僕は思っています。
鷺山:そういう意味では、森脇さんが今手掛けている(フィンテックの)テーマは自分にとってすごくわくわくするテーマだということになると思うんですけど。このテーマはどういうかたちで発案したのでしょう。
森脇:ありがとうございます。ミッションにおいては、今やっていることは少し遠く感じられるかもしれないですけど、やはり「子どもが住みやすい環境を作っていく」とか、「子どもの未来ある社会を作っていく」ことが、一番興味があるというか、成し遂げたいことです。
そこを実現するためには、教育関連で働いている方の負担を下げていくとか、そこで起こっている無駄な時間をなくしてあげる。保護者の負担を下げてあげる。根深い課題がそこにはあって、これが1歩目になるんです。これを解決すれば、かなりの大きなインパクトを社会に出していけるだろうと。その結果間違いなく、子どもに対して間接的により良い環境が届けられると。
かつフィンテックの領域で事業をやっていくことも、本当に1歩目でしかありませんから。いろいろお金に悩まれている方も世の中には多いと思いますし、そこに直接的に我々が介在できる可能性も、金融という大きなマーケットにおいてはぜんぜんあり得ると思ったので、これはやろうと思った感じですね。
鷺山:ご経歴の流れだけをうかがいますと、リクルートさんの中で、「Airペイ」という、フィンテック領域を森脇さんがやっていらっしゃって。その派生としてフィンテック領域でやりたい事業を見つけて外に出たんじゃないかなと想像する方が多いのではと思います。
でも今の話の文脈だと実は違っていて、お子さんとか、自分を応援した人のために事業やりたいというのが一番先で、たまたまツールとして自分の知見もあったフィンテックを選んだという表現が近いですね。
森脇:そのキャリアがあるからそこを選んだということは本当になくて。たまたま寄っていった感じだと思いますね。副産物じゃないですけど、僕の場合は本当にたまたまですね。
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