2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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小西湧氏(以下、小西):よろしくお願いいたします。本日「働く女性のホンネトーク」というところで、先ほどお伝えしていた3つのケーススタディをご用意しております。まず最初に「実は大変…営業同行時の本音」というところから始めていければと思っております。
本日はあくまで対談セッションになりますので、私や須賀の主観の部分があるかもしれないですが、あくまでもそういったところを踏まえて聞いていただければありがたいと思っております。
では、お話を進めていければと思います。「実は大変…営業同行時のホンネ」というところですね。そもそもこのケーススタディ、どういうところで設定したのかというところからお話しできればと思います。
そもそも私が営業をしていた中で、実際に女性の従業員と一緒に外回りするという経験がありました。今はオンラインなのでなかなか一緒に回ったりということはないんですけれども。実はその際ちょっと私自身の課題感がありました。
仕事に関しての悩みとか、そのあたりはすごく相談に乗ったりすることはあるんですけど。やはり、生理やPMSなどといった、今日言ったテーマのところで悩みがあったと。それに対して、正直これまであまり考えたことがなくて。
実際、今日はホンネトークなので、そういったところやふだんはちょっと聞けない上司 のところも聞いていければと思います。
小西:いきなり振っちゃうんですけど、新人時代をちょっと振り返っていただいて、こういったご経験は実際いかがですか。例えば男性社員と一緒に回ったり、そういった外回りなどの中で、生理で困ったご経験があるかお伺いできればと思います。
須賀友子氏(以下、須賀):わかりました。もう新人時代ってすごく前なので、なんとも言えないんですけど。そうですね、今考えるとけっこう生理で困った時とかは、若ければ若いほどありましたね。
小西:そういう時、何が大変だったりするんですか。実際のご経験で大変だったところがもしあれば、言える範囲で大丈夫です。
須賀:ありがとうございます。「あるある」かもしれないんですけど、新卒の時一番困ったのが、先輩の歩くスピードでした。経血や月経と関係ないですけど、歩くスピードに追いつかなきゃいけないというのが、一番困りました。
それとは別に月経時にいつもヒヤヒヤしていたなというのがあって。本音を言っちゃうと、すごくわがままなんですけど、生理中にアポが入ると「うわー、まじか」という感じで、すごく嫌だなと思ってましたね。
小西:なるほど。そもそもアポを入れてくれるなと。
須賀:そうですね(笑)。
小西:歩くスピードは、確かにアポの時とかどうしても急いでいたりするので、なんかいつもより早いなというのは確かにありますね。
須賀:さっき小西さんからもあったと思うんですけど、女性って生理中ずっと体調が悪いというのもあるんですけど、特に2日目とかはすごくお腹も痛いし経血もすごく出るんですね。
私の場合は、朝起きた瞬間から寝るまでずっと憂鬱だったりするので。会社に行くだけでもけっこうがんばらないといけないのに、アポに行くというのは相当大変というのがあるのと。あとは行くといつもヒヤヒヤしちゃうんですよね。それがすごく困りました。
小西:正直ちょっと2日目がきついんだという、そこから知らなかったりするんですけど。そうなんですね。あとはやっぱり経血の漏れというところが、けっこう気になることなんですかね。
須賀:そうですね。さっきお話があったとおり、制御不能なので、経血の漏れがすごく気になって。例えばアポとかだと、電車に乗って座ったり立ったりするじゃないですか。あとクライアント先に行ったら、例えば挨拶の時に名刺を出して「お願いします」と腰を曲げるとしますよね。そうするとドバッと血が出るんですよ。
白いパンツとか履いちゃった時は、もう悲劇です。経血が漏れていないかなというのを実は、女性はすごく気にしていますね。ちょっと、本音すぎてあれですけど。
小西:すみません。なんか、受け止めきれていないとこもちょっとあって……。そうか、じゃあアポで立ったり座ったり、移動の中で座る時とか、訪問先とかでも、そういうことが気になったりすることもあるんですね。
須賀:そうなんですよ。例えば会社だと書類を渡しに行く時とかに立って「あ、やば」と思ったら、トイレにそのまま行けるじゃないですか。でもアポ先って、特に新人時代は先輩と一緒だから「やば」と思ってもトイレに行くタイミングがぜんぜんなくて。
しかも私、経験があるんですけれども午前中に1件、午後に1件とか入れられちゃうと先輩も急いでいるから、それこそさっきの話みたいに、すごいスピードで歩いている先輩に、若い頃は「ちょっとトイレに行きたいです」とは言えなくて。
本当にそういう小さいことで、たかだかトイレなんですけど。「(経血が)漏れているかもしれない」と思いながらずっと過ごしているというのは、外回りをする営業女性の本音だと思います。
小西:なるほど。先輩に気を遣ってなかなか言えないというところなんですね。トイレに行きたいと口に出すのも、ハードルがある。
須賀:そうですよね。男性からしたら「トイレなんて行けばいいじゃん」という感じだと思うんですけど。今だったら小西さんと営業に行ったら「ちょっとトイレに行ってきまーす」とか言えますけど、やっぱり新卒時代は、言い出せなかった経験はありますね。
小西:さっき須賀さんも言っていたんですけど、やっぱり言ってもらったほうが男性としても気を使えたり助けたり(できるんじゃないか)とか、正直思います。男性としては、何ができるんですかね。
須賀:確かに男性も困りますよね。
小西:察することができればいいとは思うんですけど。
須賀:すごくわがままなやつだと思われそうですけど、一番簡単にできることは、女性は男性から「トイレに行く」と言ってもらいたいんですよ。ちょっと想像がつきにくいと思うんですけど、月経中の女性って、トイレでナプキンを換えるんです。男性はそんなにナプキンを見たことがないと思うんですけど、通常のお手洗いに入るより時間がかかるんですね。
待たせちゃうのとかがすごく気になっちゃうから、逆に男性のほうから、「トイレに行ってくるね」と言ってくれるとすごく「よかった」と思いますね。
小西:なるほど。男性から言うほうがいい。「トイレに行っていいですか」と自分から言ってあげると「あぁ、じゃあちょっと行きたいです」みたいな感じで乗っかれるというか。
須賀:そうです。「ナプキンを換えるチャンスがきたー」と、私は思います。
小西:そうなんですね。今聞きながら、たぶん過去にそういう場面があったんだろうなと思っておりました。なるほど。経血の話とかすごくリアルですし、そもそもアポを入れてくれるなみたいなところも、すごく本音の部分かなと思います。
男性としてできるところは、今言ってくださったような、トイレに行くと言うのもそうですし、そういう想像力を働かせて配慮してあげることなのかなというのは、思っておりました。
須賀:ありがとうございます。そういう配慮は女性にとってはものすごくうれしいなと思います。
小西:本当に勉強になります。では今回は(トークテーマが)3本なので、2つめのケーススタディも進めていければと思っております。
では2つめのテーマ「弱音を吐けない働く女性のホンネ」のパートになります。この背景としまして、実はちょっと宣伝っぽくなっちゃいますけれども、先ほどご紹介した弊社のサービスを社内で導入した際にアンケートを取ったんですよ。
質問自体はこれまで男性の上司や同僚に、女性特有の健康課題や体調が優れない時などに、そういったことを言った経験があるか、またそれを言いにくかった経験があるかというところですね。
その際に自由記述であった内容が、「そもそも自分が言っても理解されない」とか、「言うことが甘えだと思われる」とかでした。
須賀:うーん、わかります。
小西:わかります?
須賀:はい。
小西:本音っぽいところがあって、正直この自由記述を見ながら、自分もこういうふうに思われているのかとドキッとしたんですが。須賀さんも男性の上司とか同僚に、言いにくかったご経験があればちょっとおうかがいできればと思います。
須賀:そうですね。社会人人生でずっとこんなことは言ったことがないなと今聞いていて思ったんですけど、大切なプレゼンの時期とかに生理が突然来たことがあって。その時はなんか言えなかったなと小西さんの話を聞きながら思っちゃいました。
小西:なるほど。
須賀:月経ってなんとなくこの日に来るなとかわかっているんですけど。特に働く女性はそうだと思うんですけど、忙しい時って、いつ生理が来るか忘れちゃっているんですよね。そうすると、「あ、今来たか」みたいなのはあって。そういう時に上司にも言えないし、困った経験がありましたね。
小西:そこは言いづらい部分なんですね。
須賀:そうなんですよね。突然来ちゃうから、自分もびっくりしているし。「え、今休むか」というところで休まれるのは男性的にも嫌じゃないですか。突然やってきて薬もない状態で、すごくお腹が痛いんだけどめちゃくちゃ我慢しながらやったということがけっこうありましたね。
小西:そういうところは(男性の自分には)わからなかった部分がすごくあります。私も妻がいるので、やっぱり月経前で体調が悪くて、なかなか会議を休めないから行くとか、そういう思いを身近で聞いたりとかはありますけど。
やっぱり、どの女性も家ではそういうつらそうな顔をしているのかなというのは今聞きながら思っていました
須賀:そうですよね。たぶん小西さんも私もだと思うんですけど、会社と家の顔って違うと思うので。私もいつもこんなシャキシャキしていますけど、家だと「お腹痛いわ~」とか言っていますよ(笑)。
小西:そうですね。ふだんから須賀さんの明るい面しか見ていないので、そういうふうに言われると、いやぁ、そうなんだなと思いますね。
小西:すごく大事なプレゼンなどの中で、自分の体と付き合いながら仕事をしていくというところだと思うんですけれど、どうやっていたのでしょうか。
須賀:さっき社内のアンケートでも「甘えていると思われたくない」というのがあったんですけど、私もまさにそうでした。働いてキャリアを積んでいきたい女子はたぶんそうだと思うんですけど、「女性だから」とか「だから女性ってだめだよね」とか言われたくないから、悟られないようにめちゃくちゃ涼しい顔で「ぜんぜん大丈夫です」みたいな感じでやっていますね。
小西:痛みはあるけど、涼しい顔をしてやっているんですね。それもつらいとは思うんですけれども、例えば周りに助けてもらったり、そういうアクションを取ったご経験ってあります? なかなか言いづらいと思うんですけれど。
須賀:いや、ぜんぜんないです。なんか素直じゃない女性のようですが。さっきも言ったんですけど、それが弱みに思っちゃうんですよね。「だから女性には重要な仕事を任せられないんだよ」とか「女性だからそうやってすぐ人に頼むんだね」という弱さになっちゃうんじゃないかと思って。特に私は、あまり頼ったり言えないですね。。
でも男性の小西さんからしたら、「『手伝ってよ』ぐらいは言って欲しい」と思ったりしますよね。
小西:そうですね。「言って欲しい」と言うと、ちょっと言い方があれですけど。でも、助けを求めるということが、弱みを見せることになるんだな、そういう視点なんだなというのは思いますね。
小西:さっきと同じような話になっちゃいますけど、つらい時ほど口に出してもらったほうがサポートしやすいと思ったりはします。でもなかなかそれが難しいということですよね。
須賀:そう。でも自分からつらいと言うことは女性も必要ですよね。
小西:女性は言いたくないけど男性はむしろ言ってもらったほうがいいという。そこのコミュニケーションがすごくずれているというのは、何かあるんですか。
須賀:たぶん女性も悪いですよね。悪いという言い方は変ですけど。つらいのに涼しい顔をしていて言わないから、小西さんはいつも私が涼しい顔をしていると思うじゃないですか。だからやっぱり女性も言うべきですよね。「ちょっと今日、辛いんですよね」とか「小西さん、ちょっとこれ手伝ってもらえません?」と言うのも大事ですよね。
小西:そうですね。今言われてそういう場面があったのかなと思いながら、ちょっと反省しながら聞いています。そういう場面で男性が察して気遣いしていくのも大事だと思いますし。今須賀さんも言ってくださったように、お助けできることは女性からも言っていただいたほうが、男性的にはすごく助けはしやすいかなと思います。
小西:特にキャリアになってくると、そういうことをあえて伝えることによって、男性側としても、体制としてもサポートしやすいかなと思います。PMSの症状や月経はやっぱり人によって個人差があるんですか?
須賀:そうですね。こんなことを言ったら専門医の先生に怒られそうですけど、私は毎月痛み止めを飲むと我慢できるので。
いつも痛み止めを飲んで、我慢して大丈夫ぐらいなんですね。でも人によっては痛み止めを飲んでも効かない人もいるし、あとは痛み止めなんか効かない、抑うつ気分とかで精神的にが大変という人もいるし。
これはたぶん男性だから理解できないとかじゃなくて、実は私も症状が酷い人のことを理解できていないと思っています。昔女性の部下がいて、私は痛み止めを飲めば大丈夫なのに彼女は休むということがありました。
本当にここだけの本音を言えば、「え、なんで生理痛だけで休むんだろう」と女性でも思っていた。女性間でも個人差があるので、とても理解が難しいんじゃないかなと、自分でもものすごく思ってます。
小西:今のはすごく大事だなと思います。男性と女性という構図で比較されがちだけど、女性の中でもやっぱり個人差があるということですよね。そこはちゃんと理解してあげるというか寄り添ってあげることも大事なポイントですよね。
須賀:あると思います。
須賀:あと、女性だと、女性上司だからそういうことを言えないということもあると思うんですよ。
小西:なるほど。
須賀:男性上司にも言えないけど、女性上司にも甘えていると思われたら嫌だから言えないというのもあると思います。だから一概に女性上司を置いておけばいいという問題じゃないんじゃないかと思ったりしますね。
小西:これは根深い問題ですけど、そうだと思います。そこで例えば私はどういう助けができるでしょう。個人差もあって、気遣いというところは先ほどの話の繰り返しの部分だと思いますけど。
須賀:どうだろう。なんかめちゃくちゃわがままに思うかもしれないんですけど、特別扱いはされたくないけど、察してほしいなってちょっと思っていて(笑)。めちゃくちゃわがままなんですけど(笑)。
例えば、私はいつもこんなテンションだけど、少し「おはようございまーす……」みたいな(暗い)感じだったら、「あれ今日は調子が悪いのかな」みたいな。めちゃくちゃわがままで怒られそうですけど。察してほしいなというのがあるから。それで小西さんに「何か手伝えることはありますか」と言われたら、すごくうれしいです。
小西:なるほどね。
須賀:わがままですね。ちょっと察してほしいです。
小西:なるほどね。けっこう察しが悪いほうなので、そう思われているんだろうなと、聞きながら思っているんですけど。でもおっしゃるとおりで、本当に日頃から基本的なところですけど、ちょっと変わった様子があったら聞いてあげるとか、そういうことが大事なのかなと思いますし。
小西:手伝ってあげるというところも、手伝うことありますかというのはちょっと弱みを見せるような感じになるので、ちょっとハードルを下げて。例えば「手が空いていますけど手伝えることありますか」とか。
須賀:あぁ、確かに。
小西:聞くだけでも女性は頼みやすくなったりするんですかね。
須賀:そうですね。
小西:大丈夫ですか。合ってます?
須賀:めちゃめちゃうれしいなというのと、あと今私もそう言ったらいいんだなと思いました。私も部下の男性にしろ女性にしろ、調子が悪そうでちょっと様子が変だったなと思ったら、「今ちょっと手が空いているけど何か困っていることがある?」という感じで。それを使います。小西さんにも使います(笑)。
小西:(笑)。ありがとうございます。いいですね、確かにそれはうれしいです。そういったところで女性としてもちょっと歩み寄っていただけると男性としてもサポートしやすいです。男性もそこのハードルを下げてあげるのが、ポイントじゃないかというところですよね。
須賀:そうですね。
小西:ありがとうございます。
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