2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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田中研之輔氏(以下、田中):曽山さんの新作(『若手育成の教科書』)を僕も読ませていただきました。
曽山哲人氏(以下、曽山):ありがとうございます。
田中:サイバーエージェントの若手は、本当に躍進していますよね。曽山さんから「これだ」というメッセージをみなさんに伝えて欲しいんだけど。
曽山:まず、僕が言っているのは「決断経験を積もう」です。自分の決断は、自分で責任を持ちますよね。なので、あまりに自分で決められない環境にいるんだったら、その会社はあなたじゃなくてもいいのかもしれない。
商品Aと商品Bを選ぶのも、「指示されたからではなくて、どっちが良いか決めて上司に言ってみればいいじゃん。これは決断なんだよ」と言っています。この決断経験の質と量が向上すると、他の人にはない財産が増えるんです。「学習効果によってあなただけのバリューが高まり、市場価値が上がるよ」と伝えています。
田中:自分の人生についても決断していいんでしょう?
曽山:もちろんです。やっぱり自分の人生は自分で決めるべきだし、それこそ曽山に「おまえの人生これね」って決められたら嫌じゃないですか。
(一同笑)
曽山:「あなたの人生でなく、私の人生です」と思うわけですよ。たとえば親が言うことも1つの意見だけど、親の人生じゃないから、自分の人生は自分で決めたほうがいいです。
田中:金井さん、これは今ポジウィルでやっていることと同じメッセージだよね?
金井芽衣氏(以下、金井):本当にそうですね。
田中:やっぱりみんないい子だから、親からの洗脳みたいなものはあるよね。
金井:そうですね。私は今の事業を始めて「こんなにもいい子が多いんだ」と思いましたね。私の親も「結婚したら早く会社を辞めて専業主婦になるのはどう?」みたいな、けっこう固定観念が強いタイプだったんですよ。でも、私は親の言うことをほぼ聞いていないんですよね。
田中:(笑)。まあ、親も起業家だし、起業家魂があるからね。
金井:そうですね。母親は普通の人なので、固定観念がすごく強かったんです。でも私にとっては、親であれ、一個人の意見でしかないなと思ったんですね。でも、多くの人はすごくいい子だからこそ、「親の期待に応えなくちゃ」とすごく考えてしまうんだろうなと思って。その呪縛を解けるかというのは、すごく大きなキーだと思います。
田中:オッケー。じゃあ呪縛を解きましょう。
田中:次のスライドをお願いします。「この先のキャリアについて考えていること」。じゃあ、そのまま金井さんにつなぎます。あらためて、金井さんの言葉を聞くのは貴重だね。「何を考えているんだろう」って。
金井:私の場合は、「会社をどうしていくか」しかありません(笑)。
田中:今はそうかもですね(笑)。
金井:会社を作ってからは、「会社をどうしていくか」が自分自身のキャリアになったんですよ。会社が自分自身の人生にもなりましたし。うちの会社は若手が多いので、サイバーさんみたいな会社にしていきたいとすごく思っています。
私自身も社長というポジションに就いて、得られたものや気づいたことがたくさんあって、そういう経験はみんなにも積んで欲しいとすごく思います。社内外を問わず、そういう機会を作っていける会社でありたいと思いますね。
田中:この愛あるメッセージを聞いて、齋藤さんはどうですか? 「やってやるぞ」ってね。
齋藤あい氏(以下、齋藤):本当に「やってやるぞ」の気持ちです。
田中:(笑)。
齋藤:20代最後に、「ここで挑戦できて良かったな」と、すごく思いました。
田中:おいくつとおっしゃったっけ。
齋藤:28歳です。
田中:今日のテーマはやっぱり齋藤さんが聞きたいことなのね。
齋藤:そのへんもちょっと含んでいます(笑)。
(一同笑)
田中:「この先のキャリアについて考えていること」、曽山さんはどうですか?
曽山:やっぱり20代の前半、サイバーに入った直後ぐらいは「キャリアをどうしよう」という言葉を自分も使っていましたが、今は考え方が大きく変わりました。みなさんにも、選択肢としてお伝えしておきたいと思います。
「キャリアをどうしたいか」じゃなくて「何を成し遂げたいか」を大事にしていただきたいです。これがたぶん一番大きな概念なんだと思います。その中に金井さんの場合は、会社の先にある社会貢献のイメージがインパクトとして当然あると思うんですね。なので、「何を成し遂げたいか」ということを考えたほうが人生は楽しいです! これは断定してしまいます。
曽山:僕も20代の時は「キャリアをどうしよう」「スキルをどうしよう」「ポジションをどうしよう」とすごく悩んでいました。でも、「何を成し遂げたいか」を考えると、スキルとキャリアが付いてくるんですね。これは、僕の人事16年の経験から言えることです。なので、現状で「何を成し遂げたいか」がまだなくていいんですが、「ある」という人は必要なアクションが全部リストアップされるので、ぜひ追求して欲しいと思います。
ちなみに、僕自身は何をやりたいかというと、「才能に驚く会社を作りたい」ということです。「自分はこんなことができるんだ」と誇れたらいいじゃないですか。「10年働いたら、俺ってこんなことができるようになったんだ。良くね?」とみんなで自慢し合う社会や会社が作れたらいいなと思っています。社会は簡単に動かせないので、まずは「世界最高の人材育成企業を創る」という挑戦をしています。
田中:素晴らしいですね。「この先のキャリアについて考えていること」について、僕もちょっと補足します。みんなもっと活躍できるのに、なんだかすごく潰し合っている気がするんですね。
曽山:もったいないですよね。
田中:今はメディアにしても、オミクロンにしても、社会全体がブレーキのほうに行っています。僕は明日、教授会があるんですが、そこで提案しないといけないと思っていることがあって。教員たちのイノベーティブな仕事が、ガバナンスの強化によって、どんどん作業化・業務化していて「本当にそっちが仕事なの?」と思うんですね。だから、そういうことをみんなが考えないといけないと思っています。
田中:この先のキャリアについて、我々一人ひとりが自分たちのキャリアに向き合うべきだと思うんです。そうすれば、社会はより良くなるし、みなさんがいる組織や集団、出会う人も、じわじわと良くなるんだよね。ボトムアップなムーブメントかもしれないけど、やっぱり「やらないよりは、やりがいはすごくあるな」って、本当にそう思っている。
だから今、僕は「SDCs」と呼んでいるんです(笑)。「Sustainable Development Careers」で「持続的なキャリア形成」。みんなが「SDGs」と言っているから、僕は「SDCs」をやり抜こうと思って。
曽山:いいですね。
田中:僕や曽山さんの年齢のレンジに入ってくると、日々の仕事は安定的に動くようになるんですよね。でも、やっぱり困っている人が目に浮かぶし、不思議と困っている社会、チーム、場所が気になるようになってくるんですよね。だから、そこに向かって動きたいなとすごく思うんです。
曽山:うん。
田中:せっかくだから、質問が来ていたらどんどん取り上げましょうか。
齋藤:1個来ているのを読みますね。「未経験ポジションオッケーのベンチャー企業への転職に不安を感じています。未経験でも就業できて、キャリアを積めると思いますが、将来性や研修がないところが不安です。また転職回数が多いこともとても不安です」というものです。
田中:この先のキャリアにもつながるし、いい質問ですね。じゃあ、曽山さん、お答え願えますか?
曽山:未経験か……。僕は、百貨店で服を売っていましたからね。そこからネット業界へ行きまして。「20年前の話だろう」と思われるかもしれませんが、今でもサイバーエージェントは業界未経験者がけっこう多いんです。なので、そういう意味では未経験でもチャレンジはもちろんできると思いますよ。
このご質問は「将来性や研修がないところが不安に感じます」の一言が気になります。まず「将来性がない」というところ。その会社に対して「将来性」がないと思っているんだったら、よく考えた方が良いですね。自分のキャリアがうまくいくか、成績が出るかはわからない。だけど、「とりあえず、その会社の未来は伸びるだろうな」と思っているところに行ったほうがいいと思います。これが1つ。
あと、研修よりも大事なことは「決断経験」であり、そのために会社ができることは「機会の提供」なんですね。機会を提供して、できる限り配置する。例えば抜擢して、新しい仕事、やりがいのある仕事、チャレンジャブルな仕事を渡して期待していくことが、一番成長すると思っています。そこ(研修)を目的にするよりも、未来のキャリア、最先端のキャリアを得られるかどうかで見ることがおすすめです。
田中:オッケーです。ちょっとそのへんにもつながると思うので、次のスライドをお願いします。「活躍する若手の定義」ですね。これは、金井さんにお答えいただきます。今のお話にもつながると思うんですよね。ご質問にもあったように、やっぱり若手の時は悩むので、そういう意味での補助線を引いてあげられたらいいと思うんです。
金井さんも若手チームを牽引しているから、「どういう若手が伸びるのか」という経験値が、今かなり貯まっていると思います。チーム・ポジウィルも聞いているんだとすると、けっこうドキドキするかもしれないね(笑)。
齋藤:チーム・ポジウィル、けっこう聞いていますよ(笑)。
田中:「当てはまってない!」とかで、Slackが荒れないかな。大丈夫かな。
齋藤:Slackは荒れるかもしれないです。
田中:そこは本音トークがおもしろいと思いますので、金井さんから「活躍する若手の定義」をお願いします。次は曽山さんですからね。
曽山:もちろんです。
金井:2つあって、1つは「失敗を恐れないこと」だと思います。
田中:ああ、失敗を恐れない。
金井:確かに、失敗しないように動くのも大事な気はするんですが、逆に失敗しないと学びにならないことも多いと思うんですよね。あえて失敗するということではなく、前に進むために「うまくいくかわかんないけど、やってみる」という気持ちが持てるかどうかが大事だと思います。
2つ目は、なんだろうな。「自分でおしりを持てること」のような気がしますね。
田中:ある意味、責任を持って決断するということ。
金井:そうです。何か事象が起きた時に、「これが課題だよね」となるじゃないですか。その時に、みんなが「そうだよね」と言ってボールが妙に浮いてしまうことがあります。それを、「私はこういう理由で必要だと思うから、いつまでにこういう状態にするね」と言って、自分でボールを持てる人。そこで責任を持って行動して、ちゃんとPDCAを回した人にしか得られないスキルや経験があると思うんですね。
誰かがやってくれたほうが楽なので、あえて動かない人がたくさんいる気がします。その時に「自分の責任です。ごめんなさい」と言えて、いろんなボールが持てる、意思決定できることは重要だと思いますね。
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