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緒方 憲太郎さんに教わる「働き方 × 個が活躍する時代」のフロンティア(全3記事)

自分の魅力を高めたいなら、見た目より「○○」を磨け 個が活躍する時代の、自分の売り出し方

名刺管理サービス「Eight」が提供するビジネスイベントメディア「Eight ONAIR」。今回は「個が活躍する時代」をテーマに、株式会社Voicy代表取締役CEOの緒方憲太郎氏が登壇。音声コンテンツで活躍する人に多い2つのパターンやVoicyで「ワーママ」のコンテンツが伸びる理由などを語っています。 ■アーカイブ動画はこちら(※動画の閲覧にはEightの登録が必要です)

音声コンテンツで活躍する人に多い2つのパターン

日比谷尚武氏(以下、日比谷):Voicyで、音声によって活躍するというのは一体どんな事情かというのを、まだよく知らない人が多いと思うんで。Voicyがあるからとか、「声×インターネット」のおかげで活躍できるようになった人たちは、どういう人たちかを、ちょっと教えてもらいたいんですけど。

緒方憲太郎氏(以下、緒方):なるほどね。たぶん、大きく分けて、声で初めて活躍するようになった人と、今まで声で活躍していた人がさらに飛躍したという、2パターンがあるなと思っています。

日比谷:うん、なるほど。

緒方:まず、「活躍するって実際どういうことなんだ」といった時に、1個は、声で新しいリーチとファンを手に入れたということですね。自分のファンコミュニティを手に入れたと。それ自体が、ただ広く取ったということ以上に、より深くなったという人がすごく多くて。

日比谷:広くじゃなくて、深くか。

緒方:深くですね。共感が得られたり、理解してくれる人が増えたり、好きと言ってもらえるようになる。そういうエンゲージメントの高い状態のリーチがしっかり取れることがめちゃめちゃでかくて。「オンラインサロンの流入経路の8割ぐらいがVoicyです」って人がけっこういるんですね。

日比谷:逆かと思った。

緒方:いや、そうなんですよ。

日比谷:サロンの人が、自分たちのことをより深く知ってもらうエンゲージメントツール、ナーチャリングツールとしてVoicyを使う構造かと思っていたけど、Voicyからのサロンなんだ。

緒方:そうですね。聞く時間がだんだん伸びて、長ければ長いほど好きになったり、理解したり、信用したりするんですよね。だから、サブスクリプションみたいな、突発的に申し込むのでないものは、それまでに信頼感があって初めて申し込むようになりやすいので。

日比谷:なるほど。

緒方:Voicyのパーソナリティさんは、けっこうリスナーの経路をそこから取っていますね。

企業の「採用」を、音声コンテンツで行うメリット

緒方:あと、企業アカウントで音声コンテンツを作れるんですね。Voicyの中でチャンネルを持てるんですけど、そこでも採用にうまく使っているところはけっこうあります。

日比谷:つまり声で魅了して、魅力を届けて、それで自社への興味を高めようみたいなことを。

緒方:そうですね。文字だと、できるだけ短い時間でフックにして、まず来たら良いっていう。タイトルで流入を取るわけですよね。確かに音声って、ぱっと取るのは難しいんですけど、一回聞き始めたら最後まで聞きやすいので。

そうすると、ちゃんとした話も、長い話も理解してもらいやすくなる。今みたいに、とにかくコンパクトに短くやることが良いというのは、ライト層しか採れない。声なら、会社が何を持っていてなぜそう考えたのかとか、将来何をしたいんだというところまで理解できるようになるので。

僕らもVoicyの採用情報とか全部出しているし、僕自体も発信していることで、面接のタイミングで来た瞬間に「もう2時間くらい緒方さんの話を聞いてから来ているんで、けっこうわかっています」みたいな状態になるんですよね。

日比谷:他の媒体と比べて、距離が短いってことか。

緒方:そうですね。すごく距離が近くなる。そういうふうにして、声をうまく使っているプレーヤーが、まず1つ。

もう1つは、声自体がお金になるというか、リスナー課金をしたり、企業のスポンサーが入ってきたりして、実際声で稼げたりします。そのへんが1個、声で活躍する人として出てきているのかなと思っています。

自分の魅力を高めたいなら、見た目より「しゃべり」を磨け

緒方:どんな人が声で活躍するのかと言うと、ばらばらですね。自分の魅力をより理解してもらうための方法って、誰でもできると思うんですよね。しゃべるのがうまくなることってめちゃめちゃ得なんですよね。「俺、仕事できるんですよ」って自分で言ったらキモいじゃないですか(笑)。

日比谷:「で? どういうこと?」って、むしろクエスチョンマークだね。

緒方:そうですね。それをテキストで書いてもそうなるんですけど、短いテキストでやるとしたら、数字で実績をできるだけ書いて、信憑性を高めたりするんですけど。しゃべりがある程度うまくなると、なぜ自分が仕事ができると思ってほしいかという話をしっかりと説明できるようになります。

人間の魅力を表現するのに、今は見た目だけみんなめちゃめちゃこだわっていて、かわいいが正義みたいになっているわけですけど。見た目でのその人の魅力のアップ度合いって、知れてると思うんですよね。でも、ちゃんとしゃべれる人の自分の魅力のアップ度合いは、3倍、4倍と簡単に自分の魅力をアップさせることができる。

日比谷:逆に言うと、そこで差がつくっていうことかしら。

緒方:めちゃめちゃ出ますよね。プレゼンテーションがうまい人か下手な人でもたぶんぜんぜん違いますし。当たり前ですけど、営業マンの中でしゃべるのがうまい人と下手な人では、やっぱぜんぜん違うと思うんですよね。

日比谷:そりゃそうだ。同じ製品でも、うまい説明をされたほうが買う気になるし、信頼もできるよね。

緒方:なので、自分を商品として売り出すことが、個人の活躍の時代にはとても大事なわりに、自分を商品として説明する良い方法があまりないんですよ。SNSのフォロワー数ぐらいしかないんですよね。でも、営業マンで考えたら、「僕、これだけ売っています」みたいな数字を持って営業に行く人はいないし。

日比谷:確かに。

緒方:テキストで一発で食いつく自分のキャッチフレーズを持っているという人もいなくてですね。だいたいうまい人は、うまくしゃべっているんですよね。なので、自分をプロダクト化して、商品化してちゃんと見せる時に、「×声」はめちゃめちゃ相性が良いと思います。

日比谷:なるほど。

聞いて欲しい人は無限にいるが、聞きたくなる話をできる人は少ない

日比谷:昔だとほら、ライターになろうとか、ライターで独立しようみたいなのが一時期はやったことがあったと思うし。それがインスタや、TikTokになったような感じだったと思っているんだけど。

声で活躍する人も増えているだろうし、さっきもちょっと調べたら、月に1,000人ぐらい? もっと? Voicyで番組を持ちたいという人がいると聞いたんだけども。

緒方:めっちゃ来ますよ。月に1,000人以上来ますし。企業さんでアカウントを持ちたいって会社も相当来るようになりましたね。ただ、審査率が1パーセントから3パーセントくらいなんで、けっこう通らない。

日比谷:審査を通過するのがってこと?

緒方:そうです。

日比谷:1,000人いたら、10人しか番組を持てないってことか。

緒方:そうですね。毎月10人~30人ぐらいですかね。

日比谷:それは、クオリティを担保するということなのか、それともある程度ちゃんとした人じゃないといけないから、審査をしなきゃいけない。そうすると、時間がどうしてもかかってしまうってことなのか。

緒方:ええとね。世の中の人って、みんな話を聞いてほしいんですよ。テキストとか動画を作っている人なんて人口の5パーセントもいないですけど、しゃべっている人って人口の100パーセントなんですよね。なので、話を聞いてほしい人なんて無限にいるけど、話を聞くのって、けっこう苦痛なんですよ。

日比谷:話したいけど聞くのは苦痛?

緒方:そうそう。苦痛以上に聞きたい人の数がそんなにいっぱいいなくてですね。まず、「Voicyに来たら良い人しか話していないから、Voicyにいる人から話を聞きたい」という状況に持ち込んでしまおうと思っています。

日比谷:なるほど。

緒方:YouTuberのように声で活躍する人を、まずVoicyからどんどん生んでいこうと考えました。なので、今でも月100万円以上稼いでいる人がいるんですよね。もう声だけで食える人が出てきています。

日比谷:すごい。

緒方:もうあと数年後には100人以上、月100万円稼ぐ人を生もうかなと思って作っています。

テキストや動画にはない、音声コンテンツの売り

緒方:ただ、どちらかというと、声は他のコンテンツに比べて、手間がめちゃくちゃかからないことが売りなんですね。

日比谷:つまり。

緒方:そのままで良いということですね。ユーザーの時間を5分奪おうと思った時に、テキストだったら3,000文字、4,000文字書かないといけない。5~6時間かかる。動画でも半日かかるんですよ。写真でも、5分間拘束するような写真を撮ろうと思えば、むちゃくちゃたくさん撮らないといけないですね。

そう考えた時に、声だけはユーザーの時間を5分奪うのに5分でできる。忙しい人たちが簡単にできるので、むしろめちゃくちゃ手間を掛けて声をコテコテに作っても、あまり勝てないんですよ。動画とちょっと違うんですね。

もし、動画がめちゃくちゃシンプルに一瞬で作れたら、もっと有名人がばんばん動画を作ると思うんですよ。むしろ、動画に命を懸けた人たちがYouTuberになっていったんだと思っているんですね。

日比谷:確かに。カジュアルな動画も、一応YouTuberさんはいっぱいいるけど、ちょっと見るに堪えないというか、ずっと見るのは難しいよね。

緒方:そうですね。なので、声はどちらかというと、誰でも武器にできることが1つの強みです。発信者の手間をめちゃめちゃ下げたので、めちゃくちゃトップの営業マンとか、すごいこだわりのデザイナーも、忙しくても隙間の5分で発信できるというのが違いですね。

Voicyで「ワーママ」のコンテンツが伸びる理由

緒方:実はインターネット上って、暇な人しかコンテンツを出してないんですよ。暇かプロかしか出してないんですよね。

日比谷:なるほど。忙しい人はいないものね。

緒方:そうなんですよね。Voicyをやってわかったんですけど、ワーママさんのコンテンツがめちゃくちゃ伸びるんですよ。ワーキングママさんって、忙しくて子育てして仕事もしているんで、コンテンツを作っている暇がないんですよね。

でも、声だったら、ちょっとした時間に入れられるからできる。そして聞くほうも、何かしながらでも聞けるので、めちゃくちゃ伸びています。ワーママさんに話を聞きに行ったら、インターネット上にちゃんと生きているワーママさんのコンテンツってあんまりないんですよと。

日比谷:ああ、そうなんだ。

緒方:下手な旦那が不倫して困っていますという相談とか、誹謗中傷はいっぱいあるけど、忙しい人ってほとんどネット上にちゃんとコンテンツを出していないから、忙しい人用のコンテンツはぜんぜん生まれていなかった。

なので、「Voicy上のコンテンツはすごく助かる」という話をしていて。「そうなんだ」と。インターネットって全部の情報があるんだと思っていたけど、確かに忙しい人の情報ってないんだと思って。

日比谷:俺も言われて納得した。それはすごい発見だ。

緒方:そうなんですよ。だから、めちゃくちゃチャンスがあって。発信者のコストをめちゃくちゃ下げることで、忙しい人たちの武器になるんですね。なので、YouTuberみたいな人は生まれないと思っています。Voicyで月100万円稼いじゃうけど、その人は魅力的で、普通に仕事をしても月200万稼げる人って感じだと思います。

日比谷:魅力のある人が忙しい中でもきちんとしたコンテンツを届けられるのが声であり、Voicyであるという?

緒方:そうですね。なのでいろんな魅力のある人が出る。暇な人ももちろん配信して良いと思うんですけど。自分が「話すよ」と言ったら「聞きたいです」という人を持つ人は、声で発信するとそこでファンができるし、講演会をしなくても日々出会える。今Voicyでトップ層の人とかは毎日講演会しているみたいという。

日比谷:確かに澤(円)さんとかね、毎回ちゃんとコンテンツというかお話することがあるな、すげーなと思って聞いているけど。

日本は読み・書き・そろばん、海外はスピーキング・リスニング

緒方:でも意外とね、しゃべればできるんですよ。ジャニーズとかがだいたい1年目の子にラジオをやらせるんですよ。ラジオをやると1年後にはけっこうしゃべれるようになっているんですね。自分の魅力をめちゃくちゃ表現できるようになっているんですけど。日本は今しゃべるのがうまい人がめちゃくちゃ少ないんですよ。

日比谷:そうなんですか。

緒方:海外はスピーキング、リスニングから勉強するんです。日本は読み書きで、次そろばんなんですよ。

日比谷:「話す」がないんだね。

緒方:話すも聞くもないんですよね。だから国語の時間とかみんな、すごい棒読みをするじゃないですか。

今までは口がうまいとかってちょっと悪いイメージがあったけど、ちゃんと話せる人は圧倒的にポジションが取れるようになるし、その人たち用のSNSも出てきたから。そこで自分のパンチが出せるようになると、自分のことを理解してくれる人が日本中に数百人とか数千人いるということが簡単に分かるようになってくる。

日比谷:誰でもできそうだからと言って安易に参入しようと思っても難しいよって話もあるし。一方で、いろいろ知見があって活動している人たちが、忙しい中でも、より理解できる人とかファンを捕まえる技、武器でもあるということかな?

緒方:そうですね。僕らも知見がすごく溜まってきていて。別にそんなにすごい有名人じゃなくても、まずは5人喜ばせて、まずは10人喜ばせてってやることで一定数まで持っていけることはだいぶ分かってきています。だって、自分の話を毎週30人が聞いてくれるってすごいことじゃないですか。

日比谷:めちゃうれしいというか、それでフィードバックもきっとあるだろうし、鍛えられる側面もあるだろうしね。

緒方:そうですね。

日比谷:そうか、それはありがたいな。僕が最初にイメージしてたのとは違った発展の仕方をしていて、ちょっとおもしろいですね。

緒方:(笑)。

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