2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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日比谷尚武氏(以下、日比谷):みなさん、こんにちは。「働き方最前線:フロントランナーのビジョン」の第6回を始めたいと思います。
初めて見る方のために、このコーナーの趣旨を説明すると、「フロントランナーのビジョン」というとおりで、働き方の観点で、最前線、フロントで道を切り拓いている人、もしくは切り拓く人を応援したり、その様子を観察している人たちを呼んで、今新たに起こっていることやこれから起こりそうなことを聞いていきたいと思います。
今日はVoicyの緒方さんに、「個が活躍する時代」というテーマでお聞きします。ご存じの方は多いと思いますけど、Voicyは声で個の魅力を届けるというようなことを標榜して作られたと僕は理解しているんですけども。いわゆるYouTuberのように、個人として発信する人が非常に増えていると言われているんですね。実際、その状況は今どうなっているかを、緒方さんの視点で、ぜひご紹介いただこうかなと思ってます。
私はEightのエバンジェリストをやっているほか、文字が多くてもう読めないと思いますけど、新しい働き方を啓発する社団法人をこの5年ぐらいやっていたりもします。いろんな働きを見てきたつもりなんですけど、それでも見えないことはいっぱいあるので、緒方さんに聞いてみようかなということです。
じゃあ、緒方さん。自己紹介を軽く用意しておきましたので、これに沿ってでもアドリブでもけっこうなんで、ご自身でご紹介いただければと思います。よろしくお願いします。
緒方憲太郎氏(以下、緒方):はい、よろしくお願いします。今日、ボケても良いんですかね?
日比谷:ボケ倒してください。
緒方:わかりました(笑)。
日比谷:(笑)。それもムズいよね。
緒方:よろしくお願いします。株式会社Voicy 代表取締役 CEOの緒方憲太郎です。1980年生まれの、今40歳です。中高は神戸で、大学は大阪大学という感じでずっと関西人なんですが、キャリアの初めは公認会計士として、いろんな企業を監査で回ったり、コンサルをしていました。
そこから、海外を1年ぐらい放浪して、海外の現地採用で働いていました。その後、日本では今では大きくなったんですけど、トーマツ ベンチャーサポートというベンチャー支援をする会社の初期メンバーとして立ち上げをしていたという経歴を持っています。
その際に、ベンチャーの社長のブレーンとして走るのがむちゃくちゃおもしろくて、ハマってしまって、自分でVoicyという会社を起業するんですが。その最中も、友人の会社を手伝っていたら、いつの間にか自分が社長になってしまって、1社、テーラーメッドという会社をバイアウトしています。
緒方:Voicy自体は2016年に創業して、もうすぐだいたい5年になる(ログミー註:2021/6/21のイベント当時)サービスです。スマートフォンの次の時代が出てくるんじゃないかと思って、世界で使えるような音声プラットフォームを作ろうという、けっこう大きめのことを考えた事業になっています。
比較的、課題解決型でお金がすぐ出てくるものじゃなくて、価値創造型で、マーケットがないところから事業を作っていくぞ。そして、文化とかも全部変えていって、活躍する人もさらに生んでいく。そんな事業を作っていきたいと思ってやっております。
日比谷:よろしくお願いします。
緒方:よろしくお願いします。
日比谷:今回、緒方さんに話を聞こうと思ったのは、Clubhouseブームもあったりして、音声ががっと注目される理由の中に、「音声だったら、個人でも気軽に始められるし、コスパいいんじゃないの」みたいな話も、文脈の1つとしてあったように思っていて。
音声が盛り上がっているという観点じゃなくて、個人がインターネットで活躍できるという観点から聞いてみても良いかなと思って、お声掛けしたんですけど。
緒方:そうですね。本当にそれは来るなと思っています。例えばファッションや情報も全部そうなんですが、もともと総合的に全部のものが載っている。例えば服だったら、楽天やAmazonに全部載っていたら良いってところから、ZOZOとかが出てきて、ある程度紹介してくれたら良いとかになってきて。
でも最終的に、今は一番良いファッションの服を選びたいわけじゃなくて、自分の好きな人が着ている服が欲しかったりという、インフルエンサーの世界がやってきたと思うんですよね。
同じように情報も、もともとは「Yahoo!のトップニュースに載っていたら一番良かったね」とか。それよりも以前には、どこかのメディアが紹介していたら、そのメディアを信頼していたと。そこからだんだん、自分でパーソナライズして情報を得ようと思ってきたものの、最近は、「この人が言っていることを聞こう」と、人にどんどん引っ付いてきたりもしているんだろうと思っています。
緒方:情報や商品があふれる社会の中で、全部ベストな選択をするというよりも、その人の個性が好きとか、人に共感をするから動く社会にどんどんなってきているんですね。その中で一人ひとりが、「早い」「安い」「うまい」とか、「わかりやすい」とか、合理的なものを提供しても、ぜんぜん好かれない時代になってきています。
好かれる、共感されることができない人たちが、「なんで俺たち、こんなに早い、安い、うまいでやっているのに、お客さんが来ねえんだ。俺の話を聞いてくれないんだ。信じてくれないんだ」という社会に、どんどんなってきていると思っています。
自分をどう表現していくかっていう中で、どんなにスライドがきれいに書かれていても、そのプレゼンテーションががちがちで、つまんなそうにしゃべっている人のプレゼンは誰も聞けない。
日比谷:(笑)。はい。
緒方:表現が下手な人や、自分の思いが乗っていない人の話は誰も聞かん、みたいな状態にもなってきていると言えます。けっこう経営者でも、トップがちゃんとメッセージを出せる会社と、トップがほとんど話すことをしないという会社では、採用とかでも大きく変わってきていると最近は言われています。
それを文字で表現するのか、または動画の中で広くPRするのかという中で、最も手軽だけども、思いとかが届くのは声なんじゃないかと最近言われていて。プレゼンテーションでも、声がないプレゼンテーションってあんまりないんですよね。動画で下にテロップが付いているものは、そんなに人をエモーショナルに動かしたりできないと。
日比谷:ああ、そう。うん、うん。
緒方:動画で感動的なものを作るとかはできますけども、「うちの会社はこういう未来を作りたいと思っています」というのを、動画とテロップでものすごく熱く出すってむちゃくちゃ難しいし、めちゃくちゃコストがかかるんですよね。一方、声でやればしゃべるだけで届くというかたちになってきています。
コストの問題もおもしろくて。ちょっと前まで、動画のコマースみたいなものが出てきて、動画で訴求させて買ってもらおうということがすごく多かったんですが、コストがめちゃめちゃかかると。コスパが合わないと。動画製作コストに比べて、コマースにならないというのもあったわけですね。
同じように、動画で何10万円も使って発信したところで、得られるものとCPAが合わへんみたいなこともすごく出てきました。そういう中で、声で、低コストでシンプルに発信することによって、自分の共感・好感を得る時代を作っていこうというのは、かなりうまくいっている事例が増えてきたと思います。
日比谷:なるほど。ちょっと本編に入りかけちゃったけど、緒方さんはそもそもなんでご自分で起業したり、いろんなものを見てきた中でなぜ声なのかなと気になって。ちょっと2人の出会いを、調べてきたんですよ。
緒方:(笑)。
日比谷:ほらほら、6年前にSansanに遊びにきているんだ。
緒方:ほんとだ。
日比谷:Akerunのチームと。
緒方:懐かしい。
日比谷:2016年のこれは、山口豪志先生とPR Tableの大堀(航)君と、五反田あたりで何か話したんでしょうね。
緒方:そうですね。だから、僕らは2人ともベンチャーを支援する立場の人間で。
日比谷:そうそう。
緒方:スマートロックのAkerunのリリースのタイミングでも、PR Tableも戦略とか広報とかいろいろ手伝ったりとかしてて。どっちも、2人とも支援先として被っていたという感じですね。
日比谷:そうですよね。気付いたら、緒方さんが創業するというんで、オフィスに遊びに行っているうちに、チームに入りましたってことになっていたみたいなね。
緒方:(笑)。そうそう。勝手に入れた。
日比谷:勝手に「Chief Kabeuchi Officer」になっちゃって。ここまでのくだりは半分ネタですけど。要はベンチャー支援をやったり暗躍していた緒方さんが、自分で表に出てまでしてやろうと思った。そして、しかもそれが音声だったというのは、何なんだろうなというのを、もうちょっとイントロとして、さくっと聞かせてほしいと思うんですけど。
緒方:そうですね、僕は1日に5社くらいベンチャーを回っていて、いろんな社長のビジネスの設計やファイナンスをずっとやっていった中で、創業したタイミングで言われたのは、本当に同じですね。「それだけたくさん見ていて音声なの?」「もっと他にも良いものあったでしょう」「こいつ、とうとう焼きが回ったな」みたいな感じだったんですよね。
日比谷:ここにも「Voicyの構想を当時100人ぐらいに話したら98人ぐらい『は?』って言われていた」と書いてある。
緒方:そうですよね。もうちょっと多かったかもしれないですね。99人ぐらい言っていたかもしれないですね。
日比谷:(笑)。ああ、割合のほうね。
日比谷:そんな中、Voicyに行ったと。
緒方:うん。でも、人の情報って2パターンしかなくてですね。手で作って目で入れるか、口で作って耳で入れるしかないんですよ。
日比谷:え、もう1回言って。手で作って?
緒方:目で入れる情報か、口で作って耳で入れる情報しかないんですよね。
日比谷:おもしろいことを言うな。なるほど。
緒方:手で作って目で入れるものは、中間媒体がいろいろあるので、本人性がめちゃくちゃ削がれるんですよね。
日比谷:なるほど。
緒方:口で作って耳で入れるものは、そのままその情報が入るので、本人性がすごく入りやすくて、緊張感とかまでそのまま届くようになっています。ただ、口で作って耳に入れるものの操作がぜんぜんできない世の中だったわけです。
それが声のOS、Siriみたいなものが出てきたり。それからイヤホンがどんどん伸びてきたり、スマートスピーカーみたいなものが出てきたりしてて、ガジェットが伸びた産業は絶対伸びるとまず思っていたし。
日比谷:インフラがね。
緒方:そうです。目が飽和しているんだったら、次は耳に来るだろうということも思っていました。
日比谷:なるほど。
緒方:あと、飲み会とかしていても、誰も筆談をしてないし、誰も動画でコミュニケーションをしていなくて。基本的に人間は、しゃべるのが一番うれしいわけですよ。でも、この「しゃべってうれしい」ということ自体が、インターネット化していない。そして、ライターとして書くのは新聞記者さんとかで、普通の人は文字を書かなかったところから、ブログやTwitterで誰でも書くようになった。大衆化と言われるところですね。
日比谷:確かに。
緒方:動画だって、テレビの人しか作っていなかったのが、誰でもYouTubeに出すようになって。写真もカメラマンしか撮っていなかったものを、言ったらグラビアアイドルしか自分の写真を出していなかったのが、誰でも自分の写真を出すようになったんですよね。画像も文字も動画も大衆化していったのに、声だけは「いや、僕、アナウンサーじゃないんで」「僕、声優じゃないんで」となっていたんですよ。
「いやいや。でも、あなたは毎日しゃべっていますよね」と。大衆化する中でも、最も毎日使っているものが声なんですよね。それ自体がインターネットに載っていなくて、大衆化されていないというのは、めちゃくちゃでかいマーケットがそこにあるだろうなと思っていて。当たり前に価値があるもので、インターネット化されていないものだったら、一番できるだろうなと思っていましたね。
日比谷:それに近しいことを当時もとくとくと説かれて、つい、僕は素直に「お、そうだ」と思っちゃったんだけど。でも、もうちょっと今のほうが、説明がブラッシュアップされている感じはある。
緒方:もう5年間、しゃべりまくっていますからね(笑)。
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