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コロナ禍における社員コミュニケーションの在り方 トークセッション(全4記事)

新卒採用のwebサイトを、社員はキャリアの“参考書”として活用 入社3年目の社員に一任したオウンドメディアが成功したワケ

コロナ禍でリモートワークへの移行が進んだことにより、社員同士のコミュニケーション量の低下や、職場の一体感が損なわれるなど、経営層・マネジメント層はさまざまな課題に直面しています。これからのリモートワークにおけるコミュニケーションの在り方について、企業独自の色を活かした経営戦略を実行している責任者4名がイベントに登壇。本記事では、コロナ禍の新しい働き方の変化に戸惑う社員の声に対して、各社がどのような取り組みを行ってきたかが明かされました。

リモートワークに対するネガティブな声にも耳を傾ける

西田政之氏(以下、西田):次の質問ですが、コロナ前から3社ともリモートワークを進めていらっしゃったと思うんですが、コロナによってドライブがかかったのはたぶん間違いなくて。その推進方法と、それに伴って生じたオンラインコミュニケーション上の課題、この対応策についてうかがってみたいと思います。

まず、武田さん。先ほど、カルビーではダイバーシティチームの2名をスマートワーク推進担当にアサインされたというお話があったと思います。これは徹底的に個々のメンバーに寄り添ったというお話でしたが、具体的にどのような粒度の課題に対して、どこまで支援されたのか。

また、先ほどの武田さんのプレゼンで「(場を)作る人、見つけられる人」という話もありましたけど、武田さんの感じた危機感の背景や前兆ってどんなものがあったのか、お話しいただいていいですか?

武田雅子氏(以下、武田):そうですね。危機感というよりは、実は私のもとにはリモートが始まって、「これをずっと続けたい」というポジティブな声がたくさん届いたんですよ。ただ、どこかで「もしかしてそうじゃない人もいるはず」という仮説も持っていましたが。

かつ、さっき曽山さんがおっしゃっていたように、マネジメント層は絶対に負荷がかかっているので、100パーセント(リモートワークが)OKじゃないはずだという仮説も持ちつつ。「じゃあみんなに聞かないとね」ということで、アンケートを全社に投げることになるんですが、アンケートの「ポジ」「ネガ」や、リモートに賛成・反対のほかに、毎回最後に「新しく始めたことがあったら教えてください」という一行を入れたんです。

これはフリーライティングで書き込みをしてくれればいい設問なんですが、ここにみなさんが工夫をしてチャレンジングに取り組まれていることがたくさん出てくるんですね。なのでこれはいい事例として、よいものがあれば全社にまた還元をする。

ヒアリング開始から4ヶ月で、社員の不満が大幅削減

武田:かつ、「リモートワーク自体に課題を感じています」という方には、「どんなことで困っていますか? それはあなた自身で解決ができますか? できない場合は相談したいですか?」というふうに設問をして行って。

その時に「相談したいです」とお答えされた方や、どうも仕事でかなり行き詰まっちゃっているなと読み取れる回答をされている方には、全部個別にご連絡をさせていただいて、マンツーマンで解決できるものは解決。また、実は聞くだけでよかったりするものもあるんですよ。場合によっては、マネジメントにフィードバックするようなこともありましたね。

最初の頃はこういうことを毎月丁寧にやっていて、それを繰り返しをしていたら、実は4ヶ月目にはほぼ不満はなくなったんですね。なので最初の頃はすごく大変だったと思うんですが、これがすごく功を奏して、結果みなさんの安心にもつながった。早期に困っている方がどんどん音を立てて減っていったので。

中には、「本当は出勤したいんだけど、出勤したら上司が怒られちゃう」と思っていらっしゃる方とか。そういった、ほんのちょっとしたボタンの掛け違えを直してあげるだけで、ものすごく結果全体がよくなって。最初は大変でしたが、そんなことをやってました。

西田:カルビーさんは(社員が)何千人もいらっしゃるので、ものすごく対応が大変なイメージを受けたんですが、絶対数としてはそれほど多くはないのですね。

武田:リモートの対象は900人ですし、丸の内のオフィスはそのうちの6割ぐらいなので、絶対数としてはそんなに人数はいないです。

西田:そうなんですね。なので、個々に寄り添った対応ができたということなんですかね?

武田:そうですね。

西田:なるほど、ありがとうございます。

社員との面談を月に1回→毎日5分に変更

西田:曽山さん、サイバーさんは先ほどのLOT(リーダーオンライントレーニング)、をはじめとして、オンラインの利点を利用した課題解決に取り組んでいらっしゃいますよね。その中で、曽山さんの果たした役割とか、留意してきた点はどういうところにあるのでしょうか?

曽山哲人氏(以下、曽山):実際、私も試行錯誤しながらやっています。この1年半は「カオスでした」っていうのが正直な感想なんですが、できることをやったというのがすごく大きいんですね。

例えば具体的にやったことで言うと、面談の頻度。もともと月1回ぐらいの面談を推奨してましたが、部署によって、特に若年層に対しては週に1回じゃなくて、むしろ分割して毎日5分の面談をやる。面談の頻度を刻むようにして、お互いのずれをなくすこともやりましたし。

あと毎月、私たちサイバーエージェントは表彰文化がありまして、すべての部署で表彰をやってるんですが。オンラインになったので、もともとセミナールームに集まってやっていたものの一体感をどう醸成するかとか悩んでいたんですよ。

そこで各部署で取り入れたのが、毎月背景用の壁紙を配布したりコメントや絵文字が飛びでる演出を取り入れたりですね。例えばこれは晴れた青空ですが、これが全員になった状態で今日の締め会や表彰式をやると、画面いっぱいに明るい画が見えるので。そういった感じの雰囲気ややり方を、できる範囲の中で変えてったのが非常に大きいです。

週に2日リモート、週に3日出社の勤務スタイルに着地

曽山:あと、地方分権をなるべくしていったのがけっこう大きいなと。サイバーエージェントの場合、130社ぐらいの子会社に分かれているので、「各会社に最適なやり方にどんどん変えていっていいよ」と伝えていったんですね。

一方でウィズコロナの働き方など、会社全体の経営に関わるような方針については経営チームで議論して決めています。今は全社員が基本的には週3日出社の週2日リモート。今日は月曜日なので出社してるんですが、火・木はリモートのデイってことで「リモデイ」、月・水・金は出社日です。

「リモデイ」は2020年の6月に(最初の緊急事態)宣言が解除された頃から、ずっと運用・実験をしています。働き方などを分散して言うのはけっこう大変なので、管理職に決めさせるのはけっこう酷だと僕は思ってるんですね。ですので、経営チームで「これはそういうものだ」と決めて発信しています。重いものは経営チーム、できるものは分散。そういったスタンスでやってます。

西田:(面談の)頻度を増やしたとおっしゃいましたが、会議が増えることによる弊害は起きなかったんでしょうか?

曽山:GEPPOで「リモートで困ってることはないですか?」と聞いたら逆の声が多くて、「会議の時間が半分になったケースが多いです」という声が多かったですね。

役員会でも「もともと60分の会議が多かったけど、30分に短縮しても全然いけるね」という話になったんですよ。「短くなったので、そのぶん(これまで参加できなかった他の)会議にも参加しやすくなりました」という、いい意味でそっちの声がけっこう多かったです。

時々「(会議が)長くなってつらいです」というのが来るので、その部署や役員に伝えていくと、分割したり休憩を取ったり工夫してくれましたね。僕らも毎月(アンケートを)取って社員の声を聞きながら、どんどん方針を出してたのが大きいと思います。

学生向けに制作したサイトを既存社員も閲覧

西田:なるほど。お三方、それぞれもし質問があったら考えておいてほしいんですけれども。

松浦さん、CCCでは「CCC inside」の運営を、入社3年目の女性が1人で切り盛りされたという話をうかがってますが、これがすごいなと思ってて。これが成功した理由がなんなのか、また先ほどのプレゼンでクロストークというお取り組みをご紹介いただきましたが、今後の展開を含めて教えていただけたらと思います。

松浦俊雄氏(以下、松浦):ありがとうございます。CCC insideというのは、もともと新卒採用の学生向けに作ったサイトだったんです。採用活動がオンラインに切り替わっていく中でも、しっかり会社の情報をお届けしたい。でも、学生のみんなが付き合ってくれるのはせいぜい2〜3分だよね、ということで、スマホで2〜3分で伝わる内容をコンセプトにしました。

さらに内定者のみんなも巻き込んで、取材先は僕らが調整するので、内定者のメンバー自身が知りたいことをどんどん取材してもらって記事にしていく。こんなふうに進めていきました。

視点を変えると、僕らが伝えたいことだけを伝えてるのではなくて、知りたい人たちが知りたい情報を、自ら編集して発信していくという仕組みなんですね。まさにプロダクトアウトではなくて、マーケットインの思想でできたのが良かったのかなと思います。

学生向けのサイトでしたが、副産物としては社内の人たちが読んでくれていること(笑)。アクセス履歴を見ても社員からのアクセスも多いので、そういう意味では良い仕組みになったなと思っています。

もう1個、経営メンバーが本社から見えている風景だけでは分からないことがいっぱいあるので、現地に行って現地の人たちの声をしっかり聞いてこようよ、というのがクロストークのきっかけなんですよね。

なので、こちらも考え方によってはマーケットインで、現場で何が起きてるのかを実際自分たちも肌で感じて、そして課題をしっかり持ち帰ってくる。そういう視点でやっておりますが、もっと頻度を上げてもいいと思います。

役員の誰がその地域に行くかでけっこう毎回盛り上がるんですが(笑)、それぞれの課題が見えてきたら、それに合わせた担当の役員を派遣することもちょっと考えてみたいなと思ってます。

自社のオウンドメディアが社員同士の交流を活性化

西田:ありがとうございます。お互いに質問し合いたい事ってありますか? 武田さんお願いします。

武田:松浦さんに聞きたくて。今のCCC insideって、社員がすごくご覧になってるということなんですが。松浦さんから見て、社員の方たちに起きてる変化とかはありますか?

松浦:そうですね。「じゃあ、なんで見てるんだろう?」ってことなんですけど、僕らはやっている事業の範囲がすごく広がってきてるんですね。ということで、このグループの中でどんな仕事があるのかがわからないとか、自分のキャリアを考える上で参考になる人がわからないとか、そういう声がけっこうあったんです。

そういう人たちに「(CCC)insideあるから見てみて」と伝えていくと、社員同士で連絡を取り合ったり、興味のある人に話を聞きに行ってる人たちが増えてきたりとか。社員自らのキャリアとか、あるいは仕事を相談する相手を見つけるツールになりつつあるのかな、とも感じています。

武田:うわあ、いいですね。理想形。やってみようかな(笑)。

松浦:ちなみに、これはブログサービスを用いて編集しているので、すごく簡単に、テキストと写真だけ貼って作っていますので、完全内製でやっています。

西田:運営コストも安いってことですね?

松浦:そうですね。月額数万円ぐらいで運用しています。

西田:素晴らしいです、ありがとうございます。

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