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コロナ禍における社員コミュニケーションの在り方 松浦俊雄氏 講演(全1記事)

97%の社員がリモートワーク希望、今後の追加施策はどうする? 「リモートか否か」では済まない普遍的な課題

コロナ禍でリモートワークへの移行が進んだことにより、社員同士のコミュニケーション量の低下や、職場の一体感が損なわれるなど、経営層・マネジメント層はさまざまな課題に直面しています。これからのリモートワークにおけるコミュニケーションの在り方について、企業独自の色を活かした経営戦略を実行している責任者4名がイベントに登壇。本記事では、カルチュア・コンビニエンス・クラブ CHROの松浦俊雄氏のセッションをお届けします。

TSUTAYAのプラットフォーム企画などを手掛けるCCC

司会者:続いてお迎えするゲストは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 執行役員 CHRO 松浦俊雄さまです。松浦さま、どうぞよろしくお願いいたします。

松浦俊雄氏(以下、松浦):みなさん、こんにちは。カルチュア・コンビニエンス・クラブの松浦と申します。当社の社名の頭文字を取って、「CCC」と言われていますので、ぜひこの機会に覚えていただけると大変うれしいです。CCCでの取り組みと、私の考えも含めて、お話しをさせていただきます。

まず最初にキャリアの振り返りですが、1995年に新卒でパチンコの機械を作っている会社に入り、ここでビジネスの基礎をしっかり叩きこまれ、2007年からリクルートに移りまして、ここで人事に出会いました。そして2014年からCCCに入り、人事、そして今は社長室も兼務している状況でございます。あらためて、よろしくお願いいたします。

では、「CCC」は何をやっている会社なの? と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、メインはTSUTAYAや蔦屋書店といった、プラットフォームの企画。そして、そのプラットフォームを通じてさまざまなライフスタイルコンテンツを提供すること。

そして、Tポイント等を通じて集まってくるデータを活用した、データベース・マーケティング。これらを通じて、みなさまにハッピーをお届けしている企画会社でございます。

こちらは「CCC inside」で検索していただくと見つけられると思いますが、人事のメンバーが作って、取材・編集している情報ページです。当社の企画や取り組みについてしっかりお伝えをしているページですので、お時間のある時に見てみていただければ幸いです。

コンセプトは「目的に応じて、働く場を自らデザインする集団へ」

松浦:今回は「コロナ禍におけるコミュニケーションについて考える」ということですが、当社は東京・渋谷に本社がございますけれども、これはある日の出勤率の状況です。

全部の席に対して、ピンクのところだけ使われていたという図になりますが、見ていただいてのとおり、6月、8月が約30パーセントぐらい。9月でも15パーセントぐらい。10月に入り、先週はだいたい20パーセント台ぐらいの出勤率となっておりました。

こうした出勤率の状況も踏まえて、「今後のワークスタイルをどうしていこうかな」ということを社内でも整理をしておりましたが、集まって仕事をする場としてのオフィスは半分にしていこうと。なので、まさに僕が今日情報発信しているこのフロアも、来週から原状回復を始めます。フロアをお返しするということで、今日は誰も来ていないフロアからお伝えしています。

オフィスで集まって仕事をすることや、家以外の場所での仕事、あるいはお客さま先での仕事を、それぞれ「目的に応じて、働く場を自らデザインする集団へ」をコンセプトに、ワークスタイルの進化につなげていこうということで、いくつか取り組みを進めております。

リモートワーク継続を望む社員は97パーセント

松浦:もともと我々は、社外でも仕事をできるインフラは整えてきておりましたが、やはり昨年から実際にリモートワークで働く社員が非常に増えてまいりました。

こちらは、今年の1月にリモートワークを主体として働く400人の社員の方に採ったアンケートの結果です。「リモートワークを継続したいよ」という回答が、なんと97パーセントという結果になりました。

主な理由としては、「通勤時間の削減」「コロナ対策に有効」「業務効率がアップする」ということを、非常に多く回答いただきました。じゃあ、どんな点で業務効率がアップすると感じたのかというのが、(スライドの)下に出ているいくつかのコメントになっております。

一方で「リモートワークはもうやめたい」「オフィス主体での働き方に変えたい」という3パーセントの方からいただいたコメントが、こちらのとおりです。

見ていただくと、「メールが増えて、情報精度が高まった」という一方で、「コミュニケーションがいまいちになっちゃった」「情報共有の頻度が落ちたよ」「温度感が伝わりづらい」というような、マイナスの要素もあるということで、非常にいろんなことを考えさせられるアンケートでありました。

あらためて、コロナ禍における論点を整理してみると、安心・安全の担保とか、情報連携、そしてマネジメントや働き方、仕組みや制度といったキーワードが浮かんできます。会社さんによっては、他にもいくつか論点はあるかもしれません。

コロナ禍における企業の5つの論点

松浦:では、リモートワークを併用した働き方になることで、新たな追加施策は必要なんだろうか? ということを考えてみたわけです。この後に(パネルセッションで)みなさんとも、ぜひこの論点で意見交換させていただきたいなと思っております。

個人的な意見としては、答えはやや「ノー」に近いです。リモートか否かにかかわらず、やるべきことをしっかりやっていくことが大事なんだろうなと感じています。

さて、私自身が考えるスタッフの役割、つまりコーポレート部門とか、管理部門の人のやるべきことは何だろうということを整理してみた図がこちらです。

スタッフには「経営」「事業」「社外」「社員」という、4つのステークホルダーの方々がいますが、それぞれのステークホルダーに対して、例えば、経営に対しては3つのインプット。事業に対しては3つの支援。

そして社外に向けてファン作りを進め、社員に対しては3つの情報浸透をしっかり図っていく。こういうことを、「それぞれの立場や専門性を活かして進めていくことが大事だよね」と、よくメンバーとも話をしております。

こういう観点から、働き方がリモートワーク主体になっていく中でも、しっかり情報循環をさせていくという視点に立って、主な施策を整理してみました。例えばですが、各事業の本部や広報チームからは、本部単位で発行されるいろんなオンライン通信やWebマガジンなどを通じて、事業の近況をわかりやすく伝えていく。

「日報」の導入によって得られた気づき

松浦:そして経営ボードからは、オンラインだからこそつながり合えるという利点を活かして、定期的にオンラインでの全社員会をやったり。あるいは、オンラインでは拾い切れない質問や課題を、経営メンバーが実際に現地に赴き質疑応答するという、クロストークも実施しております。

8月には僕自身も北海道に行って参加しましたし、そしてまたあさっては福岡でクロストークに参加する予定です。また、各地域で行われるクロストークの状況は全部映像に収めてアーカイブ化して、全社員がまた見れるようにして、シェアもしていくという流れです。

また、先ほどもご紹介した「CCC inside」を通じて、人事からもしっかり発信をしていく。そして段階的ではありますが、右下にあるような施策をしっかり整えていく。また、日常のマネジメントの取り組みを支える仕組みもいくつかありますが、「日報」がけっこう有効だなと感じています。

僕自身も今年から日報をやり始めました。「この歳になって日報なんて……」と最初は思ってたんですが、実際にやってみると、一日をしっかり振り返ることで新たな気付きが得られたり。そして、メンバーから日報をもらうことで、新たな課題発見とか、あるいは返信を通じてメンバー育成につながっていく効果を、ひしひしと感じています。

今日取り組んだことと、気付きや課題を書く。送り先は、上司以外の宛先の追加は本人に委ねる。ルールはこれだけなんですが、けっこう有効かなと感じています。

「キャリアシート」がコミュニケーションの基点に

松浦:また、「タレントパレット」というツールを通じて、アンケート機能を使って人事で社員の状況を毎月モニタリングをしたり。あるいは人事のメンバーには週に1回、どこかの部門や現場での仕事を励行し、そこで得た課題を踏まえて面談を組んでいく。

そしてまた、上司とメンバーの人をつなぐツールとして、このタレントパレット上に強みや課題、そしてキャリプランを書いた「キャリアシート」という機能を作ってまして。これを介して、コミュニケーションの基点にしていただいてます。

また、こうしたキャリアシートを活用して、メンバーのキャリアをどうしていくのかということを、今度は上司と経営ボードでシェアをしていくような、「人材開発委員会」という取り組みもスタートさせました。またこれらをダッシュボード上に全部展開をして、シェアをしていく。

ということで、「しっかり情報循環させながら、受信者にしっかりとメッセージを届けてく」ことの一例をお話しさせていただきました。こういうことって、「リモートワークだから」ということではなくて、日頃からしっかりやってかなければいけないことだったなというのを、あらためて感じさせられているところです。

ぜひこの後、またみなさんとのディスカッションでブラッシュアップしていければと思っておりますので、後ほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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