2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
パイオニアのDXご紹介(全1記事)
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石戸亮氏: パイオニアの石戸と申します。あらためて、よろしくお願いします。先ほど多田さんからも自己紹介がありましたが、お声掛けいただいたタイミングではChief Digital Officerだったんですが、8月からChief Customer Officer兼Chief Marketing Officerという形で、役割が変わりました。
後ほど少しお話しできればと思うんですけれども、前のお二人の話と比べると「DX本部とは」というふうにわかりやすくお話しできる形ではないんですが、「組織に属せず有機的に動く」という役割で、私は(この会社に)ジョインしました。
組織がいろいろ変わってきたタイミングでもありまして。どちらかと言うと実行だったり、事業をより加速させるということで、今月の8月から顧客との向き合い方やマーケティングにフォーカスするような役割に変わった次第でございます。
簡単に自己紹介をしてから、パイオニアがどういったことを考えているのか・しているのかもお話しさせていただければと思っています。私のキャリアでは、パイオニアは初の老舗企業というか事業会社でして、去年の4月に入社をしました。
多田さんからもありましたが、新卒でサイバーエージェントといったインターネットビジネスの会社に入りました。その後、子会社の立ち上げや経営をさせてもらい、本体に統合しておりました。
その後もインターネットビジネスとグローバル、世界トップクラスのプロダクトに興味があって。当時Googleはプラットフォームとしてものすごく勢いがあったところもありましたので、Googleで働く機会を得て、4年弱働きました。
その後はサイバーエージェントで非常にエキサイティングな経験をさせてもらっていましたので、Datoramaというイスラエルの企業の日本支社の立ち上げに参画しました。
3年くらいやっていくうちに、DatoramaがSalesforceに買収されて、ここ2年ぐらいはSalesforceで統合後のPMI(Post Merger lntegration=買収後の経営統合作業)をして、昨年4月からパイオニアで働いております。
私はインターネットビジネスやスタートアップで働いていたので、お二人ほど老舗企業の経験があるわけではないですが、また違った観点で「どう貢献できるか」を考えて入社したことになります。
個人的にキャンプが好きでして。日々、デジタルやデータやAIをやってきましたので、3ヶ月に1回ぐらいソロキャンプに行って現実逃避、気を抜くのが趣味です(笑)。
2〜3年前くらいから肉バルなんかもやっていて、個人的にはITだけに偏らず、いろいろ振り子のある考え方や経験を習得できるようにと思っております。
なぜパイオニアに入ったのかも簡単にお話しさせていただきますと、私がこれまで働いてきたマーケティングテクノロジーですが、資料の左上を見ていただくとたくさんのロゴが載っていますが、マーケティングテクノロジーのさまざまなサービスが、2011年から2020年までの間に150から8,000に増えています。私はこういった環境下で働いてました。
右上を見ていただくと、この8,000(のサービス)が大陸のように分かれています。大陸の中には広告のプラットフォームや、ソーシャルのプラットフォーム、データのプラットフォーム、コマースのプラットフォームなどがあり、飽和状態から淘汰されているような形です。
こういった激しい競争の中で、どうやって一次情報を得ながらサバイブしていくか。パイオニアが置かれているモビリティの世界も、この先10年はこのような大陸になるだろうと言われていますし、ヨーロッパはそこに先行してさまざまなプレイヤーが出てきています。
このモビリティ領域において、インターネットビジネスの発展に関与してきた私として、貢献できるのではないかと思っております。それが1つです。
もう1つは、人材の流動性に対して違和感のようなものを感じたというのがあります。ちょうど私が在籍していた時、Googleが1,300人、セールスフォースは2,000人を採用し、両方とも本社を一等地に引っ越すというリリースを出しました。当時はいい人に来て欲しいと、採用活動を(積極的に)していました。
2社とも事業会社さんを助けるようなツールやソリューションを出していますが、その事業会社さんからはデジタルやデータに明るい方々がどんどん辞めて、IT企業やスタートアップに行くと。
そのチャレンジは悪くないんですが、例えばパイオニアで言うと、GDPが2割くらいを占める製造業を伸ばしていくには、IT企業に人が偏りすぎるのではなくて、人材の流動性が必要だと思いました。微力ながら、私は(製造業からIT企業の)逆の流動性を作りたいと思って、パイオニアにジョインしたという背景になります。
ヒト・モノ・カネがテクノロジー企業やスタートアップで伸びることは素晴らしいことなんですけれども、一歩引いて見ると、こういった老舗企業における人材の流動性が重要と感じてます。
私の紹介は置いておいて、パイオニアについても少しお話しさせていただきます。パイオニアをご存知の方はいらっしゃるかと思うんですけれども、世代によってイメージがバラバラというのがあります。もともとは1937年に音のパイオニアとしてダイナミックスピーカーを世に広めた会社でございます。
音の総合メーカーとして、家でコンポをお使いになった方もいるかもしれませんし、今もファンの方がたくさんいらっしゃいます。その後はレーザーディスクやプラズマテレビ、ここ30年くらいは主にモビリティの世界で挑戦をしております。パイオニアの社名のごとく、世界初・日本初の開拓をしてきた会社でございます。
一方、ここ30年くらいはカーオーディオやカーナビといったモビリティ市場でシェアをたくさん取ってきたんですけれども、スマートフォンの台頭や、テックジャイアントと言われるAmazonやGoogleのモビリティ領域への参入によって、業績としては非常に厳しくなってきています。
その中で2019年に非上場化しまして、香港のファンドの出資に合意をし、その年にカンパニー制を導入して、プロダクトのハードウェア事業であるモビリティプロダクトと、データやソリューション、これから伸ばしていく事業のカンパニーモビリティサービスの2つのカンパニーを新設しました。
経営陣も、これまでは新卒出身の方々が多かったんですが、ここに書いてある4名をグループのCEO、CHRO、CFO、CTOという形で外部から迎え入れ、生え抜きのメンバーと融合しながら、みんなで一丸となって再成長に向けて邁進しています。
モビリティプロダクトでは、カロッツェリアというブランドをご存知の方もいるかもしれませんが、オートバックスさんとかいろいろなリテイラーさんで買えるようなもの。あとはOEMですね。カーメーカーさんにプリセットでスピーカーやナビを(製造しています)。ここはやっぱりビジネスとして大きいです。
モビリティサービスは主にBtoBのビジネスですが、さまざまなデータを活用して安全安心や業務効率のソリューションを展開しています。ここはさらに伸ばしていこうとしているところでもあるんですが、私は主にモビリティサービスに軸足を置きながら働いております。
今はモビリティのプロダクトのビジネスが大半を占めており、2025年にはこのEBITDAベースで半々位のところまで持っていく中期計画になっております。
新体制になって、この2〜3年で売り上げはややタイトになってきておりますが、営業利益はファンドが入ったタイミングでは赤字だったんですが、(現在は)良化してきております。
加えてこのさまざまなデータ(を持っていること)が(パイオニアの)強みです。我々は2006年から約80億キロレベルのモビリティ(データ)を持っております。
キロ数を言ってもイメージがつきづらいかもしれませんが、ドライブレコーダーも提供しておりますので、約1.4億枚の画像データ・映像データがあり、地図データや約60万の地点データもあります。こういったモビリティデータを活用して、これからの事業を作っていく形です。
最後に少しお話しさせていただくと、いきなり英語になってしまいますが、(図の)上にある社会的なニーズとは何なのか。左側のパイオニアのアセットとは何なのか。そして(右側の)足りていないものは何なのか。
このトライアングルを社内で考えながら、これまでのビジネスとは違うものを生み出したり、加えたりして、議論したり新しいものを作っているフェーズです。
後半のディスカッションであるかもしれないんですが、この図の右側のお客様にモノを届ける際にニーズや行動を考えて、プロダクトやプライスとかを考えると思うんですけれども。
その前に、これまで製造業で作ってきたプロセスや文化が生きるところもありますが、一方サービスビジネスを作ったり、成長させたりする進め方やスピードを変えたり、外部のエッセンスを入れるような必要がありますので、(図の)左側のところでここ1、2年で変化が起きているんじゃないかと思っています。
ここ1年くらいで外部から入ったメンバーもおり、採用も積極的にしています。CTOも、IT企業の経営をしていたメンバーだったり、SaaSビジネスの投資家の第一人者の倉林(陽)さんという方がアドバイザーに入ったり。
Microsoft出身だったり、P&G、KDDI、LINE、ユニクロ出身といったメンバーが要所要所に入ることで、現存メンバーと融合し「How To」のところが変わり、スピードをどんどん上げたり、やり方を改良するような動きをとっております。駆け足ではありましたが、私からは以上となります。
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