2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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伊藤羊一氏(以下、伊藤):とにかく僕はその認知の4点セットの)感覚があまりわからなかったので、とにかくいろんなことをボーッと頭の中で並べてみて、ボーッと回す感じで振り返っていたんですよね。時間がかかるし、感情とか切り離しちゃっていたところがあったんですけど、確かに内省は感情から入りますよね。
「感情から入って、こう思っているのか」とか、「これは価値観か。必ず経験があるよね」みたいにすると、より内省が楽しくなるな。
熊平美香氏(以下、熊平):そうですね。その中でも何度も出てくるような、大事にしている価値観ってあるじゃないですか。自分を知ることでは、それを「動機の源」と呼んでいます。
自分を突き動かす価値観が、いろんなビジョンややりたいこととつながると、喜びやエネルギーを得たり、創造性が高まるので、そこを活かしていくところにもつながりますよね。
伊藤:「動機の源」は、僕は「譲れない想い」と言ったりするんですけど。
熊平:ああ、かっこいい!
伊藤:ざっくり言うとそういう感じですよね。それが未来につながっていくという。
伊藤:熊平さんにちょっとお伺いしたいんですけど、僕はそこをものすごく単純化して、「過去に経験しているよね」「現在の譲れない想いがあるよね」「そこが未来のビジョンにつながっていくよね」みたいに過去・現在・未来って引くと線になるので、これが軸だよねと言っているんです。熊平さんにとっての軸は、どこをどう定義されてらっしゃるんですか?
熊平:なるほど。まさに動機の源とか、自分が譲れない価値観を軸と置いています。軸が満たされていると気持ちや感情がポジティブになるものだし、軸に合った判断をするとか、軸に合った行動をするように、軸を整えるのにリフレクションが大事だと言っています。
伊藤:そうですよね。固めたり変えたりして、いつも回しながら軸ができている感じですかね。
熊平:回す感じなのかな。そうですね。やはり生きている中で言動に表れてくるものだけど、人間、無自覚だと軸が揺れちゃう時もありますからね。
伊藤:まあそうですよね。
熊平:なので、自分に対する問いかけはすごく大事なことだと思うんですよ。
伊藤:そうですね。そうですね。
熊平:リフレクションしていないと、軸も定まっていかないんじゃないかと思います。
伊藤:リフレクションすると、軸が固まってきますよね。
熊平:ただ思うに、軸も今度は弊害になることがあって(笑)、私の経験では大きなステージの変化のような時に、大抵自分の軸が邪魔になるという(笑)。
伊藤:そうでしょうね。わかります。
熊平:それを超えていく。決してそれがよくないということではないんですけども、一番わかりやすい例だと、個人プレイヤーとしてすごく優秀な人が、管理職になって人に仕事を与えられないように、「自分が優秀なプレイヤーでいたい」というものを手放さないと、次のステージはないじゃないですか。
伊藤:そうですよね。
熊平:そういった種類の「手放し」ができるのも、リフレクションだと思うんです。
伊藤:そうですね。それは言ってみればアンラーン(Unlearn)ということになるわけですよね。
熊平:アンラーンです。ご質問にもありましたけど、アンラーンってすごく誤解があって、感情として「全部を捨てろ」「全否定」なんですよね。昭和の人とかがけっこう批判されたりしているじゃないですか。でも、それは間違っていて、過去に栄光があったという人生の思い出は、その人の中で間違いなくあってよくて。
伊藤:うん。そうですよね。
熊平:ただ、そこで培った価値観を取り替えなきゃいけない。経験は味わって誇りに思って、自信を持ってもらって、価値観だけちょっとリプレイスみたいになるといいと思います。
伊藤:そうだよな。その経験はその経験で自分としても大事にすればいいし、みんなもリスペクトすべきものである。なんだけれども、一方で本人の中でその考え方ができるかどうかですよね。
熊平:そう。だから、4点セットの価値観の話ができると、アンラーンの価値観のところだけ取り替えましょうというのが理性を持ってできる。先ほどからのお話でいうと、感情が結局手放すことに抵抗するので、そこでやはり理性で感情を扱っていかなきゃいけないんです。
伊藤:なるほどですね。ちょっとQ&A見たら質問が来ていて、質疑応答の時間ではないですけど、前提としてちゃんとお伺いしたほうがいいなと思ったので。「リフレクションと内省、反省、振り返りは、具体的にどのように違うかを、具体例を交えて教えていただきたいです」という質問です。
「リフレクションと内省と反省は違うよ」とおっしゃられていたと思うんですけど、「リフレクションと振り返りはどう考えたらいいんだっけ」、みたいに2つの疑問があると思うんですよね。
熊平:これは人によって解釈が違うと思うので、注意しなくちゃいけないんですけれども、間違いなく私の中でははっきりと、反省とリフレクションはぜんぜん違うものと言っています。一応、昔はリフレクションを「反省」と訳していたり。
伊藤:そうなんだ!
熊平:たぶん今は「内省」と訳していると思いますけど。日本語では内省とリフレクションが近いものだと理解しています。リフレクションとか内省が、反省とどう違うのかは、自分の中ですごくはっきりしていて。
昔から私が「リフレクション、リフレクション」と言うと、みんながすごく嫌がったんですよね(笑)。なんで嫌がるんだって(笑)。私が嫌いなのかなと思ったけどそれは置いといて。何が嫌だったかというと、やはり彼らの(リフレクションに対する)マインドが、何か悪かったことを見つめて、辛い気持ちになって、後悔して。時に責められて謝って、封印して終わるみたいな、すごく暗いもの。
伊藤:ネガティブですね。
熊平:ネガティブ。これに学びはないんです。心理的安全もないところで学べないですよね。
伊藤:なんか、固まっていっちゃうような感じがしますよね。
熊平:固まっていっちゃう。そして封印だから、もう考えない。「このことは忘れよう」というのが反省なんですよね。でもリフレクションは、失敗したとて経験したからそこには学びがあるよね、みたいに、むしろ失敗したほうが学びの印象が強い。
伊藤:そうだよね。
熊平:結局、どんな経験にも学びがあって、「はっきり言って私は昨日より賢いから」みたいな感じで、その賢さを未来に活かす。未来をよりよくするためのものだというところは、すごく違うと思います。
伊藤:なるほどね。内省をリフレクションとイコールにするとして、僕は軽く言っちゃっているんですけど、「振り返り」もそんな認識でいいんですかね。
熊平:私もそうなんですけど、リフレクションは「振り返り」だと思うんです。「リフレクションしましょう」と言わないで「振り返ってみましょう」と言います。
伊藤:強いて言えば、内省とかリフレクションが一連の行動のことを言っていて、振り返りはその行動を始める時に「振り返りましょう」というふうになっているところがあると思うんですけど。
熊平:OECD(経済協力開発機構)が教育改革の中で、「これが21世紀の子どもたちが学ぶ要となる力」と言っていたんですけど、その時の彼らの言い方だと、リフレクションという言葉には「思慮深さ」とかも含めていました。
伊藤:うーん、なるほどね。
熊平:自分の考えを端的に見るとか、客観的に見る、批判的に見るという吟味していくような思考のことを言っていたり。さらにいうと、その中で前例を踏襲するんじゃなくて、経験を通して新しい考え方を生み出して行動も変わっていくような、変化を作っていくまでを含めた概念になっていました。
伊藤:なるほどね。
熊平:振り返ることには、そこまでのことは入ってないような気がします。
伊藤:たぶんそうですね。なるほどね。だいぶ頭の中がクリアになってきた。
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