2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
リンクをコピー
記事をブックマーク
新條隼人氏(以下、新條):西村さんも、先ほどの自分の事業をデジタル化するという話だったり、逆にオンラインだからこその長所を取り入れるという話とか、いろいろあったと思います。西村さんが今、意識されていることや仕込んでいることはありますか?
西村創一朗氏(以下、西村):そうですね。既存のことができなくなっている以上、「新しいことにチャレンジするしかない」とも言えるんですけど、やっぱり今は新しいことにチャレンジするには、本当に絶好の機会だなと思っています。僕がもともとオフラインありきで運営していたスクールも、Zoomを使って完全にオンラインに切り替えて開催しています。
あとは、もともと対面で「複業版ライザップ」みたいなこともやっているんです。複業のパーソナルトレーニングですね。3ヶ月でゼロから複業の立ち上げを支援しているんですけど、それも全部Zoomに切り替えてやりました。
あとは僕が足を置いているのが、採用領域です。採用マーケットは、今はもう完全に状況が売り手市場から買い手市場にシフトしつつあります。企業の採用人数がどんどん萎んでいくなかで、就職活動や転職活動の難度が高まっていくので、リクルートの先輩と一緒に就活生の支援事業を立ち上げようと思っています。本当にこの1~2ヶ月で一気に、新しいことを仕込む動きはかなり加速しましたよね。
新條:逆に言うと、その新しく立ち上げるほうって、コロナ前はまだ考えていなかったことですか?
西村:そうですね。優先度は低いものの、ぼんやりと考えていたり、小さく取り組み始めていたことを、一気にギアを上げて、優先度を高くして取り組み始めたという感じですかね。
新條:なるほど。今までエージェントをされていたので、先ほど採用の話もあったと思うんですけど、今日、事前にいただいた「こんなことを聞きたい」というアンケートでは、キャリアの悩みがすごく多いんですよ。
西村:なるほどね。
新條:たぶん2つあって、1つが「個人活動をどうしよう?」「どう進めていく?」みたいな話のところと、もう1つが自身の今を取り巻く環境がこれだけ変わっているなか、いわゆる本業で、「キャリアをどうしよう?」というものです。大村さんで言うとメーカーのほうみたいな感じだと思うんですけどね。
今の採用市場とも表裏一体だと思うんですけれども、西村さんはその辺について、キャリア選択はどうしていくべきだとか、どう変わっていくべきだとか、どんなことをアドバイスするかということで、何かありますか?
西村:そうですね。キャリア選択に関してはもう置かれている状態が100人100通りだと思うので、「これだ!」というのがズバッと言えないところがあるんです。
新條:そうですね。
西村:まず複業に関しては完全に今、多くの方が興味・関心を持っています。2020年2月以降の複業系のサービスの登録者数を見ると、どのサービスも例外なくユーザー数が急増しているんですよね。このコロナの影響で、複業ニーズがかなり高まっているというのがもう数字で見て取れるんですよね。
理由が2つあって、まず1つは個人の可処分時間が増えていることです。お子さんがいらっしゃる家庭だとコロナの影響でむしろ忙しくなって大変になっていると思うんですけど、そうじゃない独身の方々だと、在宅勤務が広がってきたし、夜に飲み会とかにも行けないので、自由に使える時間が良くも悪くも増えちゃったということです。
もう1つは、このコロナによって不安感みたいなものが高まって、自分の会社が今後どうなるかもわからないし、1社に収入を依存することがすごく高リスクだということに、徐々に気づき始めています。そこの2つが要因となって、複業系のサービスの登録者数はすごく増えていますよね。
新條:自粛期間とはいえ、空いた時間で『どうぶつの森』(注:任天堂株式会社が開発・発売しているコンピュータゲームのシリーズ名)とかをやっていていいんだろうかとか、悩む人はいそうですもんね。
新條:ちょっと今の話ともつながるんですけれども、じゃあご自身でいざ個人活動、複業をしようみたいなときに、それこそWill Can Mustではないですけれども、「何を題材にするか」みたいな話って、どう考えていくべきなんですかね? (スライドを指しながら)3番目のお題に近いかもしれないです。
西村:そうですね。複業を始めるときには、「自分が複業に取り組んで、複業を通じて何を得たいのか」という目的を明確にしたうえで、例えば「本業では得られないスキルや経験を得たい」ということが目的だとするならば、「どんなスキルや経験を得たいのか」「自分がやりたいこと」をまずリストアップします。
それと同時にWill Can MustのCanですね。「自分ができること」や「人に教えられるぐらい詳しいこと」みたいな、「できること」をちゃんと見える化して、書き出していく。
僕はよく「複業発見ワークショップ」とかをやるんですけれども、ワークショップではA4の紙を9つのブロックに分けて、書き出して、それをグループワークとかペアワークでディスカッションします。そして、「こういうのはニーズがありそうだね」というのをディスカッションを通じて見出していったりするんです。
そういうかたちで見える化します。まずは実際に試作品、プロトタイプを作って、自分の半径5メートル以内の友人や知人とか同僚とかに実験的に試してみて、フィードバックをもらって、実際にβ版として世の中に打ち出していく感じですね。
新條:会社、スタートアップを始めるのとちょっと近いですね。プロジェクトの大小はあるものの、最初のお客さんが……。
西村:複業というのは「自分を商品化すること」そのものです。商品化って、会社に例えると商品企画があって、市場調査があって、試作品を作って試してみるという期間があって、最後に改良を経て世の中に流通させるみたいなステップがあると思うんです。それを自分に当てはめるとどうなるか、という話ですよね。
新條:なるほど。しかもさっきの大村さんの話じゃないですけど、最近だととくに、企画の段階でオンライン前提みたいなところも入ってくる、1つのフィルターになってくるという感じなんですかね?
大村信夫氏(以下、大村):そう思いますよ。
新條:そうですよね。あと、チャットのコメントですごくおもしろいと思ったのがあります。
「収入」メインで複業を考えていくという考え方と、さっきのWill、「実現」に向けて複業というのがあります。プロボノ(注:各分野の専門家が、職業上保持している知識・スキルを無償提供し、社会貢献するボランティア活動)というのが少し近いかもしれないです。
「何入りで(何をきっかけにして)自身の複業のスコープを決めていくか」というのは、いろんなものがあるということですが、この辺っていかがですか? お二人はどちらが近かったとか、何の思いだったとか……。
大村:じゃあ、大村からいいですか? すみません。ありがとうございます。僕は、収入という意味では正直そんなにないです(笑)。僕は何をやりたいかと言うと、まさにさっき西村さんにおっしゃっていただいた「自分がどうありたいか」と「何をやりたいか」が重要だと思っています。
やはりhowよりも後というか、how toではなくてbeingだと思っているんですよね。要は「やり方」ではなく、「あり方」が重要。「何をするか」というか、「どうありたいか」なんですよ。
だから「どうありたいか」をまず見つけることが重要で、それをやっていくことで先に……。僕は「お金持ちになる前に、人持ちになって」と言っているんです。
新條:ほー。
大村:はい。そうやって、人に感謝されるような活動をしていく。お金というのは感謝の代わりのものなので、いずれ感謝の代わりのお金が入ってくるんです。先に収入を考えると、やはりつらいと思います。だからまずは、「何をやりたいか」「どうありたいか」ということを考えた上で、「どう人に貢献できるか」ということをやったほうがいいのかなと、僕は思っています。
新條:ちょっとブランディング的な話も含めて、大村さんは「何をされたい方なのか」というのが、会った人にすごく伝わりやすい気がしますね。
大村:そうですか。はい。
新條:「片付けパパ」というワーディングもそうかもしれないですけど、「こういうビジョンで、こういうことをされている方なんだ」というその認知、視認性が高いというか、すごくブランドとして一貫されています。遠くから見ていて、そう思います。
大村:ありがとうございます。
新條:西村さんは、その辺りはいかがですか?
西村:そうですね。僕自身も、それこそ複業を始めたきっかけはお金でも何でもなくて、「経験」を買いたかったからなんですよね。
新條:なるほど。
西村:「自分の時間を投資して、本業では得られない経験・スキルをリターンとして得る活動」が、僕にとっての複業だったんです。たぶん、自分なりに「こうだ」と複業を定義するといいです。
僕の場合は「時間を投資して、本業では得られないスキルや経験を得るための手段」でした。学生時代からずっとチャレンジしたいと思っていたのは、「0から1を作る新規事業の仕事を本業にしたい」ということでした。けれども、なかなか営業として成果を出していくだけでは、その実現が難しいということを知りました。
そのときに、「本業でいきなり新規事業にチャレンジするのが難しいのであれば、プライベートの時間を使って、小さくてもいいから自分なりの事業を作ってみる。そして、複業を通じて『プチ新規事業体験』みたいなものを得ることで、本業を新規事業企画の仕事にシフトさせるきっかけにできないか」と思ったんです。
チャレンジしたら、結果的に複業を始めてから11ヶ月後の2014年4月、新規事業部門に異動できました。そういう背景がありますね。
新條:なるほどなぁ。
西村:さっきPVの話をしましたけど、僕はお金の話はしなかったと思うんです。
新條:確かに。メディアですよね?
西村:複業を始めて、最初に収益が上がったのが6月。5月から6月にかけて50時間以上は割いていたと思うんですけど、50時間以上割いて得られた収益って、いくらだったと思います?
新條:じゃあ、チャットで(回答を)いただきましょうか(笑)。
西村:すみませんね。
新條:西村さんが5月から6月で……60時間ぐらいですか?
西村:そうですね。50~60時間ぐらいです。
新條:「(その時間を)かけて得た初収入は、いくらか?」ってやつですね。
西村:(チャットを読み上げながら)3万円。2万円。……そうですよね。それぐらい得られないとなると、明らかに費用対効果が悪すぎるじゃないですか。
新條:いわゆる時給換算みたいなことをしたら、あれですよね。
西村:50時間かけて2万円だとしても、「時給換算したらいくらだ!?」みたいな話。
新條:もう最低賃金を割っていますもんね。
西村:答えを言うと、6月の売り上げは62円だったんですよね。
新條:おお(笑)。絶妙すぎますね。
西村:「ガリガリ君」も買えない金額。時給換算すると1.2円ですね。
新條:それは、アドセンス(注:Googleアドセンス。ユーザーが広告をクリックすると報酬が発生する広告)みたいなやつですか?
西村:アドセンスですね。さらにその翌月、7月売り上げは360円です。それも、時給換算すると6円みたいな感じです。
新條:(笑)。
西村:妻からは「バカじゃないの?」って言われたんですけど、僕は「やっとガリガリ君からハーゲンダッツに進化した!」って言って、めちゃくちゃ喜んでいたんです。
喜んでいたのは、お金を稼ぐこと自体を目的にしていなかったからです。お金というのは副産物に過ぎなくて、一番は事業を作る経験、事業を作り収益を生み出すという経験を得ることが目的だったので、62円と言えど、360円と言えど、収益を生み出したこと自体が僕にとってはもうかけがえのない財産だったんですよね。
そこから7月に人生初バズりを経験し、それで結果的に8月の収益が3万円ぐらいになった。そこからは5万円、10万円……みたいな感じで、倍々ゲームまではいかないですけど、順調に伸びていくようになりました。
新條:なるほど。
西村:そういう背景があるんですけど、めげずに続けられたのはお金だけを目的にせずに、経験を得るということを目的にしたからです。まったくめげずに続けられたというのは大きいですね。
新條:なるほど。雑談なんですけど、私は大学3年生の就職活動中に、新宿へ面接を受けに行くときに急に胸が痛くなって、肺気胸になったんです。肺気胸で1ヶ月ぐらい……1ヶ月どころじゃないかな? 就職活動も、もう続けられないなと思いました。その日に入院になったんですけど、就職活動を続けられないことよりも、「1ヶ月どうしようかな?」というので、私は小説を書こうかなと思ったんです。
西村:だいぶ血迷っていますね。
新條:そうなんですよ。水嶋ヒロが(本名の「齋藤智裕」の名義で)『KAGEROU』を書いて、「あいつがいけるんだから、いけるんじゃないか?」みたいなことを思ったんです。でも後日談で言うと、私は軽めの肺気胸だったので、その日中に退院になったんですね。
ぜんぜんシーンは違うものの、現在は世の中の変化で急に時間というリソースができて、究極的にはどこに投下するかも選べるようになってみたいな話で、すごく特異な状況にあります。この1年って、他の経験ではあまり同じようなことがなさそうな時期でもありますよね。ありがとうございます。
ちょっと、ごめんなさい。時間が押しているんですけど、せっかくなので次のコーナーに行く前に、Q&Aを挟もうかなと思います。
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略