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自分を動かす 〜自分もチームも瞬時に動かすスゴイ方法〜(全5記事)

人間を突き動かす原動力はどこから生まれるか? Must・Can・Willから考える、自らの行動様式

2019年で開催7年目を迎える「Tokyo Work Design Week」は、“働き方の祭典”として、のべ2万人が参加。今回は渋谷をはじめ、横浜・大阪・韓国などで開催されました。本セッションには、『0秒で動け』著者で、Yahoo!アカデミア 学長・伊藤羊一氏、篠田真貴子氏、ONE JAPAN・濱松誠氏、Tokyo Work Design Weekオーガナイザー・横石崇氏の4名が登壇。「自分を動かす 〜自分もチームも瞬時に動かすスゴイ方法〜」のパネルディスカッションのパートをお送りします。

Must・Can・Willを日本語に置き換えると…

参加者4:今、Mustが約束という言葉に置き換わって、ちょっと深掘りされた感じがあったので。ここで話していたときに、Willはどういうふうに言語化したらいいのかが、ちょっとぼやけているという話もあったかと思います。

Must・Can・Willを、もうちょっと違う日本語に置き換えるとどういう言葉になるのか、お三方に聞いてみたいなと思いました。

篠田真貴子氏(以下、篠田):(濱松氏を指して)いま、ものすごく考えていますね(笑)。

横石崇氏(以下、横石):持っている顔ですね、あれは。

篠田:持っていますね。

濱松誠氏(以下、濱松):いや、すみません。スピーカーとして答えになっていないことを言って申し訳ないのですが、MustもCanもWillも……例えばパナソニックが大赤字だったとします。そこで経営者だけじゃなくて全員が「なにかをしなければならない」と思うじゃないですか。だって給料をもらっているんだから。辞めていたら別ですけれど。

なので、なにか自分がやることをやらなければならないという。これは責任という言い方でもいいし、もしかしたら自分の中で約束になるかもしれないし、「〇〇せねばならない」かもしれないです。

でも自分が選んだんだから、「それが自分のやりたいことであるだろう」というものがあり、それを進めるにはやっぱり僕はCanだと思っていて。

得意なことや自分ができることじゃないと、相手を変えたいと悩んでいる人が多かったら、それを変えるには自分の得意なところでグワーッと進める。自分を変えるのもそうだし、相手を変えるにも得意なことじゃないと、なかなかドライバーにならないだろうと思うから。

なので、いろいろ言いましたが、何が言いたいかというと、定義や解釈にあまりこだわりりすぎず「目の前の課題ってなんだったっけ」と。WillとCanは「得意なことはなんだっけ」「自分ができることはなんだったっけ」と考える。その後のバランスは細かいことを考えずに動くのはいかがでしょうか。すみません、お粗末様です。

伊藤羊一氏(以下、伊藤):採用! 採用です。

MustとWillはほぼシンクロしている

篠田:今のご質問の趣旨がもう少しうかがえたらと思ったんですが、言葉の定義そのものは濱松さんがおっしゃることに私も賛成です。言葉の定義は、わりとどうでもいいわけですが、たぶんそれを知りたいわけではないのではないかなと思うんですよね。

参加者4:今、Must・Can・Willも人によって解釈の仕方が微妙に違うのかなと思うんです。それぞれを別の言葉に置き換えたとき……。

伊藤:自分にとってのMust・Can・Willは、どんなふうに捉えていますか? という質問ですね。

参加者4:そうです。

伊藤:その定義は、MustとWillはほぼシンクロしていると思っています。自分を突き動かしているものは使命感ですね。それはなにかというと、一生懸命がんばっている人が報われないことを、世界中からなくしたいんですよ。過去の俺もそうだし、それで悲しむ人がいるのはやっぱり嫌だなと思って。

それで、世界がそうなっていないのは自分の責任だと思っているんですよね。ものすごく尊大ですけれども、それをやるのが自分の使命だと思っていて。それが結果的に自分のやりたいことにもつながっているわけですよ。

それはそうですよね。やりたいと思うから、そこが使命感になる。そういう使命感が自分のやりたいことであり、やらなきゃいけないことにシンクロしています。結果、それが利他的に思われるかもしれないですけれども、それをやって幸せな人が増えたら、すごくうれしいわけですよ。だから利己にもつながっていると思っています。

横石:それは僕も近いです。TokyoWorkDesignWeekを始めて、これはなんでやらないといけないのかを人に説明するときに、やっぱりWillが必要になるんです。「I believe」はつまり、「僕はなにを信じているか」を語る必要があるなと。

それでやっていく内に「これから働き方は変わるということを僕は信じる」と言えるようになったんですね。言っていくと不思議なもので、自分が選ばれている感覚、つまり使命感みたいなものがちょっと出てきたりしていて。

ちょっと抽象的で妄想的なんですけれども、「君に働き方を変えることができると信じているよ」という。なんかちょっと言い方が変なんですけれども、そういう使命みたいなMustが勝手に芽生えてきているのは不思議な体験でした。やっていくことで見つかることは多いですね。

結局は「自分とはなにか?」に行きつく

篠田:私はもっとすごく自分に引き寄せて、「私はこれ」というすごく具体的なことを考えています。

例えば、過去に働いた5社のうち3社では、私のいわゆる業務というか業務責任の中に、予算を作って、予実管理をして。言ってみれば、予測通りの実績を会社が出せるようにコントロールすることがあったんです。もう十何年もやっていますから、たぶん得意なんですよ。だからCanなわけです。

横石:それはCanですね。

篠田:Mustという約束が職場である限りはやるんですけれども、「それが好きか」「Willか」と言われると違うんですよね。

横石:それをやり続ける原動力はなんなんですか? 

篠田:それを通して、会社の〇〇の部署で出張費がこうなっているみたいな話から、会社の経営方針や経営理念という、ものすごくミクロな抽象レベルまで、私はこの仕事を通して全部一貫性を持って、まさに手に取るように理解できるんです。

それがおもしろいからこの仕事は10年以上続けられたし、続けていろんな会社でいろんなやり方でやったことで、たぶん一定の幅も出てきたなとは思うんです。そういう感じなんですよね。

なんというか、取り出して「これはこれだな」という感じではないんですよ。説明に便利でキャッチーだし、リクルートさんとかがそれを社内で使ってらっしゃるそうなので、このキーワード(Must・Can・Will)が流布していますけれども、そのものに意味を見出そうと思っていないんです。

伊藤:そこの3つが渾然一体となって、それはWill的・Must的な要素もあるかもしれないし、Canがなければ始まらないことを考えていくと、要は「自分とはなにか?」に行きつきますよね。

僕はけっこうそこにこだわっていた時期があって。なぜこだわっていたかというと、自分のWillのなさ感に40年ぐらい悩んでいたからなんです。

そうすると「これはなんだっけ」と考えるんですが、「やりたいことなんてなくていい」と言っちゃっているぐらいなので、そこは自分なりに解決したからいいですよね。そういうことだと思います。

Must・Can・Willを問うには大切な時期がある

横石:先ほど、自分に問いかける質問が自分にとって適切なのかという話ですが、自分でその質問は選ぶ必要があると思っています。だから、Must・Can・Willを自分に投げかけることが大切な時期がある。

だけどタイミングは人によって違うし、同じ方でも時期によってその問いが有効なときと、そうでないときがありますよね。

ログミーにも載るらしいので、私の主張も記録してもらおうと思うのですが、こうやってなんやかんやと話しているのですが、結局は自分が動いて自分なりに解決していくことだと思うんですよ。なんならWillも後付けでいいわけで。

(会場笑)

伊藤:議事録に入れておいていただきましょう。

篠田:いただきましょう。ぜひ名前入りでお願いします。

横石:ありがとうございます。

濱松:伊藤さんがさっきおっしゃった、Mustなのか・Willなのかは、僕もポイントだと思っていて。

僕の場合、Willは「俺、こんなやりたいことがありますよ。イエーイ」というよりかは、「絶対になにかしなければいけないぐらい心を突き動かされるもの」なんですよね。さっき伊藤さんがOne PanasonicをWillのほうで解釈していただいていましたが、実は私からしたらMustなんです。

突き動かされるものです。だから本当に渾然一体となっているのは、まさにそのとおりの言い方なので。私もどちらかというと、「やりたいです! イエーイ」みたいなWillはなかったんです。だからモヤモヤを20代で経験したんですよね。

なので、よく言われることですが、アンテナを張るとか、世界一周にからめて言うと、たくさんの社会課題が落ちているところにどんどん身を投じて、鈍感にならないようにする。

鈍感な人は敏感になっていったほうがいいし、敏感すぎる人は鈍感力をつけたほうがいいかもしれないけれども。

移動することは、1つの手段として「自分がなにか」を考える意味でもいいきっかけになる。私もログミーに残すうえで世界一周への想いをここで……(笑)。

横石:ログミーへの期待がすごい。

篠田:ちょうど2人がものすごく官僚的になっている(笑)。

横石:(笑)。

篠田:なんか、憧れ? 

横石:記録を取られる憧れがあったのか(笑)。

伊藤:でも、濱松さんの話はすごく理解できます。

濱松:人の選択はそれぞれですが。

モヤモヤの正体は行動することでわかる

横石:おっと、いいお時間となっておりまして、「自分を動かす」というテーマで、あっという間の90分だったんですけど、みなさんいかがでしたか?

なかなかモヤモヤを抜け出せないとか、好きなことが見つからないとか。今日はたまたま出てきたキーワードがWillとなりましたけれども、言葉の定義というよりはその考え方、プロセスがいろいろあってもいいんだなと感じました。

僕としては、まさに今日はキャンプファイヤー型にした甲斐があったなという会でした。最後に一言ずつお言葉をいただきたいなと思っているんですけれども、濱松君から、今日は改めてみなさんに感想や応援メッセージがあればお願いします。

濱松:はい。どうもありがとうございました。感想は、今回Zoomを使ってこうしてインドから出られるなんて、本当に数年前まで思ってもいませんでした。

本当に、私自身にも貴重な機会をどうもありがとうございます。今回は横石さんとみなさんのおかげですが、無理なことなんてないし、とりあえずやってみようよということが僕としても、もしかしたら横石さんたちにしても挑戦だったのではないかなと、僭越ながら思います。

メッセージとしては、繰り返しになりますが、「悩んでいるんだったら行動しましょう」ということです。

私は伊藤さんみたいに「スキルが大事」と言っても、そこまでやっていなかった人間なのですが、もし迷っているんだったら、動いて。動くところから答えが見える可能性もあります。

自身をいろいろなところに投じてみて、いろいろな人と話してみて、自分の頭で考えて、トライしてみる。この繰り返しを高速回転でやることになるんじゃないかなと。

命さえあればなんでもできるので、恐れずに突き進んでいってほしいなと思います。私もがんばります。どうもありがとうございました。

横石:ありがとうございます。おなかを壊さないように気をつけてくださいね。じゃあ、篠田さん。

篠田:はい。今日は本当にみなさんのお休みの日の貴重なお時間を共に過ごさせていただいて、本当にありがとうございました。何回か繰り返して話していることをもう1回話して、結びにしたいと思います。

悩みとかモヤモヤっと感じたものを、どうにかして問いあるいは課題に転換できたら、そこからすでに一歩が始まっていると私は思います。もし、今日からなにかできることは、人の本の宣伝ですけれども、『ゼロ秒思考』を読んで。

横石:『0秒で動け』じゃなくて?

篠田:(笑)。『0秒で動け』は、当然みなさんは読んでいますよね。だからそれにオンするかたちで。他にもああいった本はたくさんあるので、ご自身にとって心地よくやれそうな方法を見つけていただければ。

そうすればモヤモヤの正体を明らかにすることがたぶん今日、今からできるかなと思うので、ぜひそれをおすすめしたいなと思います。ありがとうございました。

横石:ありがとうございました。拍手。

(会場拍手)

高速回転をするためには日々の習慣が大事

横石:締めを伊藤さんよりお願いします。

伊藤:ありがとうございました。そうやって悩みを課題にして一歩を踏み出して、濱松さんが言っていたように高速回転します。この高速回転が大事です。

あっちに行ったり、こっちに行ったりだと集中できないじゃない。だから回転していくことが大事で、つまり回転は行動したら戻ってくるんですよ。行動したら、明日また戻ってくるんです。

僕はこの回転を繰り返すのはすごく大事だなと思っています。そのための具体的な方法としては、行動したら振り返って、自分にとってどういう意味があるのかと考える。篠田さんはこのセッションのあいだ、「自分に引き寄せて考えてみると」と、そういう考え方をしている。

自分にとってどういう意味があるか考えて、「あー!」と気づく。それで寝て、また明日行動してみる。これを繰り返していくと必ず成長していくんですよね。

もう1回大事なことを言うと、行動してみたら振り返って自分にとってどういう意味があるかを考える。So Whatですね。そして「あー!」と気づくと。それを毎日繰り返していると、だんだん「あれ、思えば遠くに来たもんだ」という行動ができるようになると思います。

高速回転をするためには日々の習慣が大事かなと思いますので、ぜひちょっと付け加えさせていただければと思います。どうもありがとうございました。

横石:ありがとうございました。

(会場拍手)

横石:みなさん、いかがでしたでしょうか。今日はおもしろかったぞ、よかったぞという方はお三方に大きな拍手を。またお会いしましょう。

(会場拍手)

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