2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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島田由香氏(以下、島田):今日は日本の未来を、ジェンダー平等、国際女性デーという切り口からお話をする場でもあるので、最後に一言ずつメッセージをいただければと思います。島本さんからいかがでしょうか?
島本久美子氏(以下、島本):私はアメリカ、ヨーロッパ、日本とそれぞれに長い間住んでおります。それで言うと、アメリカは日本と一緒で、女性に対する差別はきつい国だと思っているんですね。やっぱりどうしても、アメリカ文化に染めようとしてしまうところがあって、日本もすごくはっきりとした文化を持っている。
それに対してヨーロッパは、昔からいろいろな都市国家が近くにあるため、いろいろな人種の人たちがいて、そうした中でどうすればうまくいくのかという面で、多様性に慣れているんですよね。多様性にまつわる問題解決にもすごく慣れています。ですから、今後政策などをいろいろと考えるときには、ぜひアメリカばかりではなくヨーロッパを研究してもらいたいと私は思います。
そのようにして、いろいろな人種が入ってくると、自然に男性・女性だけの問題ではなくなってきて、もう少し根本的にある課題について話し合って考えるようになるのではないかと思うんですね。
一番効果があるのは、もしかすると宇宙人を連れてきたら、地球人対宇宙人になってみんなまとまりやすくなると思うんですが(笑)。
島田:一致団結というような(笑)。でも本来はその宇宙人も一緒にね、多様な。
島本:そうなんですよね(笑)。
島田:でも、すごくわかります。アメリカの会社に勤めていたこともあるし、今はヨーロッパの会社でやっているのですが、すごく違います。ご体験からの最後のメッセージをありがとうございます。
島田:では慶子さん、いかがでしょうか?
小島慶子氏(以下、小島):私、最近読んだ本があって。このミシェル・オバマさんの『マイ・ストーリー』がとても元気をもらった一冊なんです。ここにね、HAPPY WOMANのロゴが入っている。
島田:すばらしい〜。今、売れているんですよね。
小島:今、この帯が付いているんです。私はこれを読んで、やっぱり自分より若くて、まだ世の中を知らなくて、自分なんかたいしたことできないと思ってしまっている女の子たちが、「あんなこともできるのかもしれない」「チャレンジしてダメでもほかに方法がある」と思える世の中にしたいと思うんです。
『スキャンダル』というアメリカの映画を見ても……。
島田:おもしろかった!
小島:ね! 現状は男性にもいろいろな視点があるのに、その中でも本当にごく一部の視点だけが意思決定をしている場面が、世界中にある。いろんな戦いがある。
男性が意思決定をしていて、しかも性差別的な職場の中で女性が生き抜くときには、どうしても戦いが孤独にならざるを得ない。3人いたら3人で手を携えてがんばりたいのに、手を携えられないような構造になっていると、どうしても女の人はそれぞれの孤独な戦いになる。
映画でもそうなんですが、同じことで戦っているのに、女同士で戦い方の違いで分断してしまうことがある。そうした意味で、非常に現代的な映画だったと思うんです。
やっぱり私たちに必要なのは、「私が困っていることと、あなたが困っていることは同じではないかもしれないし、やり方が違うかもしれないけれども、やっぱり一緒に若い人たちが元気になるようなことをやれないだろうか」と動いていくことだと。
今日みなさんのお話をうかがっていても、みんなぜんぜん専門分野は違いますが、同じ気持ちがあることにすごく勇気をもらいました。
島田:シェアをしていくと同志が増えていく。みんなでやるともっと早いし、もっとパワフルだし、いいですよね。
小島:そうですね。本当にこのミシェル・オバマ……しつこいですが(笑)。ミシェルはすごく特別な女性で、「高学歴高職歴で絶対に自分とは違う!」と思ってしまいそうなんですが。彼女が支えられている場面は、身近な人の一言、「半径2メートルの当事者性」が背中を押しているんですよね。
どうしても「もっと大きな仕事の利益を見よ」などと言われがちで、「半径2メートルの当事者性」が蔑ろにされがちですから。でも、やっぱりそうしたところに足をつけているからこそ、ここまで彼女は行けたんだということがわかる。みんなにも読んでほしいです(笑)。
島田:ぜひ読みましょう! 半径2メートルと言えば、今、慶子さんから私たちも含まれていますね。
対馬ルリ子氏(以下、対馬):私たちがね。きっとね。背中を押し合って。
小島:はい、今日はすごくパワーをいただきました。
島田:では対馬先生、お願いします。
対馬:日本のこれからの未来は、女性たちがまず動き出し、発言しだすことで変わっていくし、決まっていくと思っているんですね。
日本の人はすごくまじめで、頭が良くてがんばり屋さんなんだけれども、どうも一言言わない、一歩踏み出さないというところがある。おそらく、女の人たちの中にはいろいろと思うところや、恨みつらみもあるかもしれません(笑)。
言うときにやっぱり上手に表現できないと、こうしてほしい、ああしてほしい、こうしてくれないから恨むぞというように対立関係になるので。もっと上手に表現する。
当事者は表現していいんですよ。私たちは女性のことを表現していいし、それから私は産婦人科医師として表現できることもあるし、たくさんの女の人の体の悩みや生活の悩みを聞いているので、そこは伝えてもいいことだと思うんですね。なぜなら、ほかの人は聞いたことがないから。
そうしたことはだんだん慣れていくので。多様性というものは、お互いに慣れることだと思います。慣れていくと、ダイバーシティもサステイナブルな世界も、いろいろな人が手を繋ぐことに慣れると思うんですね。今、ここでみんなが慣れるためのヒントを出し合えばいいのではないかと思いました。
島田:ありがとうございます。やっぱり表現するということは本当に大事ですね。
小巻亜矢氏(以下、小巻):大事ですね。
島田:最後、トリをお願いします!
小巻:「2メートル以内の当事者性」がすごく共感できると思いました。多様性、表現、感情というように、私の大好物なキーワードがたくさんあって、今、どれを捕まえようかと迷っていました(笑)。
多様性をお互いに男も女も関係なく認め合えるということに、まず自分の中の多様性に気付くということが一番大事だと思っています。
例えば「私は弱気」「私はお母さん」というように、「主語としての私」と「述語としての私」がありますよね。こちらはわりと多様性に気付くのだけれども、「私は」と言ったときの主語の私すらも、実は多様だということに気が付くと楽なんですよ。
今はこの立場で話しているけれども、家に帰ればだらしなかったり。社長をしているときはふるまいを正すこともありますよね。常にみんな多様性の中で、大人になればなるほどその居心地の良さと同時に求められている役割というものを選んでいるんですよね。いつの間にか。
それはそれですごく素敵な成熟していく生き方だと思うんですが、もうすこし若いときにはそれがぐっちゃぐちゃになっていて、「なにかあの人は人によって態度が違うよね」などとも言われる。
でもあれは当たり前で、その場ではかわいい女を演じることもできるし、選んでいるんですね。それも別に悪いことではなくて、みんな自分の中にいろいろな自分がいて、優しいときもあれば、残酷なときもあれば、攻撃的だったりもする。そこに感情が常に紐付いているんですよね。
そこに気が付くと、「あの人、今日はあんな感じだけれども、家に帰ると優しいお父さんかもね」と思えて、心が広くなったりもするということの繰り返しで、お互いに理解しあえる社会になっていくのだろうということが1つ。
あと、感情的なのはネガティブ。どちらかと言うと、そう取られますよね。まず表現と感情を結びつけたときに、自分が自分の感情に気づくという瞬間が必要。「あー、今、私イライラした」というように。
その奥にある悲しみや期待、期待が裏切られた悔しさ、憤りに気が付くと、表現が変わってくると思うんですよね。「なにくそ!」と言うのではなくて、「私は今、すごく傷つきました」「ここが私ちょっと傷つきました」と言えたら、コミュニケーションが違ってきますから。
そんなことを思いながら、頭の中が飽和状態でぜんぜんまとめにならなくて、失礼しました(笑)。
対馬:さすが大人ですね (笑)。
島田:自分の中の多様性という言葉は、すごくしっくり来ると思います。私が関わっている脳神経言語学という学問では、「パート」という言い方をします。自分の中にいろいろな自分がいるんだよ、という話です。そのすべてのパートが全部大事なのです。
ときには先ほど言った「怒っちゃうパート」もいれば「自信がないパート」もいる。そのどれもが全部、自分を守って助けるためにいるから、その子たちをまず認めようということなんです。
それができると、ほかの人のことも受け入れることができる。だから今のお話を聞いていて、「ああ、それだ」と思いながら。
自分というのはやっぱり思っている以上に大きな存在で、そうした自分もいれば、こうした自分もいて、それもすべてが自分なんだということになれば。いろいろな人のいろいろなところもやっぱり余裕を持って見られるようになるのではないかと思いますね。
小巻:そう思います。
島田:私が一番楽しんでしまったかもしれない。いろいろなお話をありがとうございます。ぜひこれを機に、シェアしながら仲間になって、そして自分の多様性もお互いにいい意味で褒め合いながら、このメッセージが未来のこれからの人たちにも繋がっていけばいいと思います。引き続きよろしくお願いします。
一同:よろしくお願いします。
島田:楽しかったです。ありがとうございました!
(会場拍手)
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